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悲しいとかハラハラするとか怖いとか必要なく、ただただほんわかして、暖かい気持ちを感じたい人におすすめの本

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世界の大きな流れを知りたい人向け

深い物語

いろいろ考えさせられる、深い物語

生き方を考える

人生の密度を上げたい方が読むべき本

学習・進歩

常に向上していたい人が読むべき本

組織を導く人向け

日本の経済力を強くするために、組織づくりに関わる経営者などにおすすめしたい本

デザイン

ただ美しいものを作れるだけじゃなく、一歩上のデザイナーになりたいデザイナーが読むべき本

英語読書初心者向け

英語は簡単だけど面白い、そんな面白さと英語の易しさのバランスの良いものを厳選

英語でしか読めないおすすめ

英語で読む以上、英語でしか読めない本を読みたい。現在和訳版がない本のなかでぜひ読んでほしい本。

「強いチームはオフィスを捨てる」ジェイソン・フリード/デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
インターネット上に様々なツールが出そろった今、僕らが働いているオフィスは本当に必要だろうか。確かに、実際に顔を合わせた方がインターネットを利用してチャットやビデオ会議をするよりもいいことはあるだろう、しかしそのメリットは、毎日満員電車に揺られて同じ場所に来るという労力に見合うものだろうか。また、僕らは同じ場所で働くことのデメリットをしっかり認識しているだろうか。リモートワークを実現するアメリカの企業、37シグナルズがその働き方を語る。
リモートワークの良さを語るだけではなく、現状のオフィスで働くことのデメリットを多く挙げている点が面白い。確かに、僕らは集中して仕事をしたいとき、平日のオフィスで仕事をしたりなんかしない。わざと人のいなくなった残業時間や休日を選んだりしているのが実情だ。なぜならオフィスではいろんな人が重要だろうと重要でなかろうと話しかけてくるため、長い間集中して作業する事ができないのだ。
オフィスワークの支持者達は、きっと見ていないと社員が働かなくなることを恐れているのだろう。そしてそれは、リモートワークが普及しない大きな理由の一つなのだ。しかし、本書ではそれを、「そもそも監視していなければ働かない社員を雇うな」と一蹴する。オフィスでもFacebookやYoutubeを見ている人はたくさんいるのだ。本書で書かれていることは誰もが経験からうなずける事ばかり、考えれば考えるほどいまのオフィスワークがばからしく見えてくる。
リモートワークを利用して、国境をまたいだオフィスを必要としない企業を作りたいと思わせてくれる。また、本書で紹介されているインターネットツールも参考になる。今後の働き方を考えるうえで抑えておきたい。
【楽天ブックス】「強いチームはオフィスを捨てる」

「学習する組織 システム思考で未来を創造する」ピーター・M・センゲ

オススメ度 ★★★★★ 5/5
社員の誰もが学習し、組織全体としても学習して発展していくというのは企業としての理想の姿であるが、多くの企業がそれを目ざしながらもできないでいる。本書はそんな学習する組織を作るために必要な考え方や、陥りがちな問題を丁寧に解説する。
印象的に残った話はいくつかあるが、そのうちの一つが「探求と主張のバランス」である。

最も生産的な学習は、通常、主張と探求のスキルが融合された場合に起こる。別の言い方をすれば「相互探求」である。つまり、全員が自分の考えを明らかにし、公の検証の場にさらすのだ。それによって、防御的な行動に走ることなく、弱みをさらけ出せる雰囲気が生まれる。誰も自分の意見の裏にある証拠や推論を隠しだてしない、つまり誰もが綿密な検証を受けるのを避けようとせずに意見を言う状態だ。

企業はどうしても大きくなるにつれ、生産性のない会議の数が増えていく。不要な会議を減らし、必要な会議はより充実したものにするためにあるべき姿はまさに「探求と主張のバランス」なのだろう。
また、「意識の変容」という章のなかで説明されている内容も面白い。多くの人は物事を線形に捉えようとするが、実際には環状であり、世の中にある多くの問題が、物事を環状に捉えられないゆえに解決されていないのだという。本書ではその例を「コップに水を満たす」という行為で説明している。

私たちが日常的な会話で「コップに水を満たしている」と言うとき、一方の因果関係「蛇口に載せた手が、コップに入る水の流量を調節している」を意味している。しかし「コップの推移が私の手を調節している」という説明も同じように真実であろう。

その他にも組織に関わる人に知って欲しいおおくの内容で溢れている。

企業にとって利益を上げることは、人間にとっての酸素のようなものである。十分な利益がなければ脱落する」。利益を目的とする企業は、「人生の目的は息をすること」と考える人のようなものだ。こうした企業は、大切な何かを失いつつある。

とてもすべてを理解したとは言えないが、組織のなかでの行動に大きく影響を与えるであろう内容がたくさん詰まっている。ぜひ、もう一度読んでみたい。やや英語の翻訳にわかりずらい点があるのでひょっとしたら英語で読んだ方が内容の理解はしやすいかもしれない。
【楽天ブックス】「学習する組織 システム思考で未来を創造する」

「セブンイヤーズ・イン・チベット チベットの7年」ハインリヒ・ハラー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
オーストラリア人の登山家がチベットにたどり着く。そこでの生活からチベットの魅力に取り憑かれていく。
ブラッドピット主演で映画になった「セブンイヤーズ・イン・チベット」の原作である。冒頭で著者自身も「わたしには文才がない」と述べているように、映画のように面白く読者を飽きさせないような展開や描写ではなく、むしろ著者自身の体験をひたすら単調に綴った形になっている。そのため、冒険物語を期待して本書を手に取った人にとってはやや期待はずれかもしれないが、それでも著者の体験を通じてチベットという土地の魅力は伝わってくるだろう。
本書を読んで改めて興味を持ったのが、ダライ・ラマ14世の生き方である。最近ではテレビ出演までしているのダライ・ラマは、著者がチベットを訪れた1940年代には、チベットの人はダライ・ラマを直接見ることさえしなかったのである。チベットの平和や世界の平和を守るためにダライ・ラマが伝統よりも重要なこと、として決断した結果なのだろうか。
また、ダライ・ラマ14世の誕生の話を知ると、世の中には本当に「輪廻」というものはあるのかもしれない、と感じる。チベットや、ダライ・ラマについてもっと知りたいと思わせてくれる一冊である。
【楽天ブックス】「セブンイヤーズ・イン・チベット チベットの7年」

「たのしいインフォグラフィック入門」櫻田潤

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
スマートフォンが一般普及して誰もがその場でインターネットに接続でき、調べる事ができるということになった。つまりそれは情報を記憶していることは重要ではなくなってきているということ、むしろ重要なのは情報をどのように伝えるか、効果的な情報の伝達方法である。そのような理由から、今後ますます情報の効果的な伝達手段であるインフォグラフィックは注目されていくだろう。
本書はそんな情報の視覚化をピクトグラムとインフォグラフィックで分けて説明している。前半部分は特に印象的な説明はなかったが、後半になると覚えておきたい考え方がいくつか出てきた。特に12の図解タイプ(サテライト型、ベン図、蜂の巣型、ツリー型、マトリクス型、2軸マップ型、テーブル型、チャート型、プロセス型、サイクル型、ピラミッド型、ドーナツ型)は図表を作るときには常に意識できるようにしておきたい。
また終盤では実際に著者がインフォグラフィックを制作する過程が描かれており、どのような考え方を経てすぐれたインフォグラフィックが作られるのかがよくわかるだろう。本書では良いインフォグラフィックの条件として次の5つを挙げている。

1.意味のある視覚要素を用いること
2.簡潔で、親しみやすく、わかりやすいこと
3.インパクトを与え、目を惹くこと
4.内容に価値があり、資料として保存しておきたいこと
5.見た人に考えるきっかけを与えること

こちらもぜひ覚えておきたい。さらに、グラフィックツールを使わずにインフォグラフィックを制作できるサイトなども紹介している。1つの制作手法として覚えておきたい。

参考サイト
Piktochart
easel.ly

【楽天ブックス】「たのしいインフォグラフィック入門」

「An Incomplete Revenge」Jacqueline Winspear

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ある田舎町の不動産の購入を考えているJames Comptonはその周辺で起きている不審火を懸念して、Maisieにその物件の調査を依頼する。そこは毎年都会から多くの人がHopの栽培に訪れ、ジプシー達も住む、地元民とそれ以外の人との不和を抱えた町だった。
Maisie Dobbsシリーズの第5弾である。ロンドンに拠点をすえて活動する女性探偵Maisieを描いており、毎回物語のなかで戦争の悲惨さを訴える点が本シリーズの特徴である。今回は田舎町を舞台としており、この町も多くの若者を戦争で失った悲しい町である。この町で、毎年同じ時期に発生する不審火をMaisieが調査することによって、少しずつ町の抱える秘密が明らかになっていくのである。
興味深いのは、Maisieが町のはずれに住んでいるジプシーたちと関わりを持つ点である。やがてMaisieの祖母も同じジプシーの出であることが明らかになる。ジプシー達から「救世主」とされたMaisie。1人のジプシーの奏でる美しい音色に触れて、Maisie自身も新たな方向に感覚を育んでいくのである。
また、植物人間となってしまったかつての恋人で死期が迫っていることを知り、ずっと避けていたその母親との再会を決意する事になる。5作目となる本作品だが、いまだに物語が力は健在である。本書が第1弾以外、日本語化されていないのが本当に残念である。

「ランウェイ・ビート 」maha

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
青々山学園高校に転校してきた背の低い生徒ビート。おしゃれが好きでかっこいい服を作ってクラス全体を巻き込んでいく。
高校を舞台とした青春物語、コンピューターオタクだったワンダやモデルをしていたミキなど、次々とビートの力に巻き込まれていくなか、やがて一つのブランドを立ち上げようとする。ちなみに、著者はmahaとなっているが、美術を題材とした小説でも有名な原田マハである。しかし、残念ながらほかの原田マハ作品にあるように、美術に関する深い知識のようなものを感じさせてくれる内容ではない。
一気読みしてすっきりしたい人向けの物語。
【楽天ブックス】「ランウェイ・ビート 」

「小さなチーム、大きな仕事完全版 37シグナルズ成功の法則」ジェイソン・フリード/デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン

「小さなチーム、大きな仕事完全版 37シグナルズ成功の法則」ジェイソン・フリード/デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
小さなチームで大きな成果を上げる方法や利点について解説する。
インターネットが普及し、便利なインターネットツールが広まった今、それを利用すればもっと効率よく働けるはずなのに、多くの企業は同じ場所に集まって朝から晩まで仕事をすることを続けている。会社にいる時間が長いことが、会社に貢献している、とみなされる。そんな考え方に違和感を感じている人にとっては本書はぴったりだろう。
いくつか今の職場の人に聞かせたい内容もあったので印象的な言葉をあげると、

仕事依存症はバカげている
無用な人は雇わない
履歴書はばかばかしい
従業員はガキではない

などである。
僕自身も先日面接に行った企業には履歴書を持っていってしまったので、意味のない習慣にとらわれてしまっているのかもしれない。また、人数が多いほど優良企業という考えに縛られて、むやみに人を増やし、人がいるからしなくてもいい仕事を増やす、という悪循環も非常に思い当たることが多い。人を増やすより減らす方が大変だから、ベストな人数を常に意識すべき、と本書は語る。
いつかそんな会社を作ってみたい、と思わせてくれる。
【楽天ブックス】「小さなチーム、大きな仕事完全版 37シグナルズ成功の法則」

「あるロマ家族の遍歴 生まれながらのさすらい人」ミショ・ニコリッチ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ロマとして生きるミショ・ニコリッチがその人生を語る。
人生のあり方について考えるうちに、イタリア旅行に行った際のジプリーの姿が蘇った。通常の文明社会からは距離をとりながら、移動を繰り返し生活するジプシーの生き方とはどんなものなのだろうか。何に価値を見いだしてそのような生き方をするのだろうか、と。
本書はそんなジプシーとして生きる一人の男性によって書かれたものである。父親と母親との出会いから、著者自身が大人になって多くの人間と関係を築き、また戦争という大きな動きのなかで生き抜いていく様子が描かれている。ジプシーに限らずこの時代は誰にとっても困難なものだっただろうから、ジプシーとそれ以外の人の生活の違い、というのは見えにくい。むしろ、家に住んだり、車に乗ったりと、予想以上に通常の生活をしていることに驚かされた。
本書で描かれる程通常の生活を彼らがするのであれば、疑問はむしろ、なぜ彼らは差別を受けるのだろうか、ということであるが、本書ではそのようなことには触れられていない。それでも動乱の時代を生きた一人の人間の物語としては楽しめるだろう。
【楽天ブックス】「あるロマ家族の遍歴 生まれながらのさすらい人」

「傷ついた日本人へ」ダライ・ラマ14世

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
東日本大震災によって傷ついた日本人に向けて、ダライ・ラマが語る。
ダライ・ラマの考え方はほかのダライ・ラマ書籍と同じように、心の持ち方が人を幸せにする、ということを語っているのだと思うが、難しい言葉が多く、ややとっつきにくい印象を受けた。「般若心境」や「因果応報」、「ビッグバン」などにも話がおよび、残念ながらストレートなメッセージが伝わってこなかった。先日読んだ「心の育て方」のほうがはるかに分かりやすかった。
【楽天ブックス】「傷ついた日本人へ」

「シメオネ超効果 リーダーの言葉で今あるチームは強くなる」ディエゴ・シメオネ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
それまでFCバルセロナやレアル・マドリートの影に甘んじていたアトレティコマドリートを強豪チームに作り替えたシメオネ。その考え方を語る。
最近サッカーから離れていために、あまり意識していなかったのだが、確かに最近のアトレティコ・マドリートの飛躍は驚くほどである。以前は数あるチームのなかの一つに過ぎなかったのが、昨年にはヨーロッパチャンピオンズリーグの決勝まで進んでいたのである。残念ながら選手としてのシメオネは、アルゼンチンの代表ではありながらも、特に僕にとって目立った印象を残すほどではなかったが、このような現在の成功を考えると、見えない部分でチームの重要な役割を担っていたのだろう。
本書ではシメオネがチームを導く際に、常に意識している信念などについて語る。その内容の多くは、ほかの成功物語やリーダーシップについて語られた本と共通する部分もあるが、ところどころでシメオネという人間の個性が見えてくる。

発言と行動が違ったら決して許してもらえない
強制されたことは必ず悪い結果に繋がる
名選手とは、長所を伸ばし短所を隠せる者
ボールではなくサッカーをプレーする選手を支持する

本書だけでなく、多国籍のチームを一つにまとめあげる監督の物語は、人を率いる立場の多くの人に読んで欲しい。
【楽天ブックス】「シメオネ超効果 リーダーの言葉で今あるチームは強くなる」

「さようならオレンジ」岩城けい

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第29回太宰治賞受賞作品。
アフリカから日本に移り住んだサリマとその同じような境遇の外国人が、学び、働き、子供を育てながら新しい文化に溶け込もうとする様子を描く。
後半まで、物語の舞台がどこだかわからなかったが、最終的には日本なのだろうという結論に至った。というのも本書では何度もサリマや、その友人のハリネズミが英語を学んでいる様子が描かれるのである。英語を学んでいるのだからそこはアメリカなどの英語圏なのだろう、と思ってしまったのだ。本書はこの点について、つまりなぜ日本語ではなく英語を学んでいるのかという点には触れていないが、僕自身がこのような境遇の人々の生活の苦しさを普段意識していない事に気付かせてくれた。
言語の問題だけでなく、サリマたちは子供を育てるために劣悪な環境で働くことになる。それでも少しずつそんな生活に適応していくのだ。最初は自分を受け入れてくれない周囲の人々に不満を抱いていたサリマが、少しずつ勉強や仕事に生き甲斐を見いだして、周囲の人々の親切や温かさにも触れていく。そんな様子は心を和ませてくれるだろう。
今まで以上に異文化に目を向けようと思わせる温かい一冊。
【楽天ブックス】「さようならオレンジ」

「ダライ・ラマ こころの育て方」ハワード・C・カトラー

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
精神科医であるカトラー博士が、ダライラマと対談を繰り返すなかで「人間の幸せ」について語り合う。
「あなたは幸福ですか?」という質問に迷う事なく「ええ、間違いなく」と答えるダライ・ラマに、カトラー博士は人間が幸福を求めて生きていくなかで遭遇するさまざまな障害について質問をぶつけていき、それぞれの質問に真剣にわかりやすくこたえようと努めるダライ・ラマの言葉から、読者自身も幸福になるための多くを学ぶ事ができるだろう。

例えば、誰かに対して怒りを感じた時、その人は100パーセント否定的な性質の人物だと考えがちです。それは、誰かに強くひかれた時、その人を100パーセント肯定的な性質をもつ人物だと考えたがるのと同じです。しかし、こういう認識のしかたは現実に即したものではないのです。
敵は忍耐を実践するために必要な条件です。敵の行動がなければ、忍耐や寛容が育まれる可能性もないことになります。

また、本書のなかでダライ・ラマとカトラー博士の話し合いの様子を知るなかでダライ・ラマ自身の人間性も見えてくる。その場にいるだけで人を引き寄せ、言葉をかわした人間に涙させるようなダライ・ラマという人間やその成長の過程にも興味を持った。
あまり読みやすい本ではなかったが、本書を読んだ後、きっと読者は少し幸福に近づくことだろう。
【楽天ブックス】「ダライ・ラマ こころの育て方」

「究極の鍛錬 天才はこうしてつくられる」ジョフ・コルヴァン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
タイガーウッズもモーツァルトのように、世の中に「天才」として語られる人たちは決して生まれながらにして天才だった訳ではなく、それに見合う努力をしてきた。それではそんな「天才」を作りあげる方法、つまり「究極の鍛錬」はどのようにして成し遂げられるのだろうか。

生まれつきの才能というのが過大評価されるなかで、本書では「天才」と呼ばれるまでに一つの分野でたぐいまれなる能力を伸ばす方法についていくつかの例を交えながら説明する。その方法「究極の鍛錬」に必要な要素として以下の要素を挙げている。

(1)しばしば教師の手を借り、実績向上のため特別に考案されている。 
(2)何度も繰り返すことができる。
(3)結果に関し継続的にフィードバックを受けることができる。
(4)精神的にはとてもつらい。
(5)あまりおもしろくもない。

基本的には「天才」は努力によって作られるという内容なので、「自分には才能がない」と諦めていた人も希望を持てる内容と言えるだろう。また、身体能力に依存するスポーツや音楽の分野ではかなり若い時期に始める必要があるとはいえ、ビジネスなどの分野では年齢に関わらず一生能力を伸ばすことができるという点も僕らの将来を明るくしてくれる。

しかし、本書は興味深いことにこんな警告も与えている。「究極の鍛錬」によって「天才」と言われるほどの技術を身につけるためには、人間関係などの人生における多くのものを犠牲にし、しばしば周囲の怒りを買う事も多いのだという。そこまでしてそれほどの能力を身につける事が果たして幸せな人生と呼べるのだろうか。

また、忘れてはならないのが、本書は決して「生まれつきの才能」の存在を完全否定しているわけではないということ。例えば体格のように「究極の鍛錬」においてもどうしようもない要素が技術を左右することは往々にしてあるのだという。「究極の鍛錬」によってある分野における能力を伸ばすために多くの時間を費やそうとしても、その分野で「天才」になるために必要な「生まれつきの才能」が欠けているかもしれないという可能性は考慮する必要があり、もしかしたら、成し遂げる事のできないことのための「究極の鍛錬」によって人生を無駄に費やす事になるかもしれないのだ。そのリスクを冒してでも自分をひたすら信じて「究極の鍛錬」をすることができるのだろうか。

自分自身の仕事の時間や趣味の時間の過ごし方を改めて考えさせてくれる1冊。僕は常に「究極の鍛錬」ができる環境に身を置いているだろうか。
【楽天ブックス】「究極の鍛錬 天才はこうしてつくられる」

「日本人のここがカッコイイ!」加藤恭子

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
日本に滞在する36人の外国人に日本が日本について語る。
日本が賞賛されるようになったのはいつからだろう。本書では日本の文化や人や教育について日本に長く済む外国人が語る。日本の個性として僕らが簡単に思いつくものもあれば、考えもしなかったものまで外国人目線ゆえの驚きを与えてくれる。世界の常識を知るのにも、日本の文化を知るのにも役立つことだろう。
本書を通じて多くの外国人が語っているのが東日本大震災の後の日本人の様子である。混乱のなか暴動や略奪を起こす事もなく列を作って秩序を持って行動するところが外国の人にとっては驚きなのだという。また、日本人のおもてなしの心や物事に対するこだわりを賞賛する人も多い。
一方で、働き過ぎや、家族で過ごす時間の少なさ、妻が財布のひもを握っている点についての違和感についても語っており、生き方や家族との触れ合いかたを考え直すきっかけになるのではないだろうか。
【楽天ブックス】「日本人のここがカッコイイ!」

「IMF(国際通貨基金)使命と誤算」大田英明

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
IMFについて語る。
誰もが一度は耳にしたことがあるであろうIMFという組織。ところが実際その目的は何でどのような活動をしているかというとほとんどの人は知らないのではないだろうか。本書ではその発足の経緯と役割や実例について示している。簡単に書かれているとはされているが、僕も含めて外交や経済のある程度の知識がないとすべてを理解するのは難しいだろう。
個人的にはIMFや国際機関の役割の重要性を漠然と理解させてくれるとともに、経済的分野においてもっと知識を深めたいという良い刺激を与えてくれた。

外貨準備
中央銀行あるいは中央政府等の金融当局が外貨を保持すること。保持している外貨の量を外貨準備高(がいかじゅんびだか)という。(Wikipedia「外貨準備」
金融自由化
金融業において、金利、業務分野、金融商品、店舗などの、それまで政府によって制限されていた事柄の制限が廃止されて自由になることをいう。(Wikipedia「金融自由化」
資本自由化
国際資本取引に対する制限を緩和,撤廃することで,広義には資本の流入,流出の両面についての自由化をいうが,狭義には外国資本の流入,特に外国企業の進出を自由に認めることをいう。(コトバンク「資本自由化」
世界銀行
各国の中央政府または同政府から債務保証を受けた機関に対し融資を行う国際機関。当初は国際復興開発銀行を指したが、1960年に設立された国際開発協会とあわせて世界銀行と呼ぶ。(Wikipedia「世界銀行」

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「「やればできる!」の研究」キャロル・S・ドゥエック

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
すべての人間の能力は持っている信念に大きく依存する。本書はそんな前提に立って能力を伸ばすための心の持ち方を語る。
子供たちを教室に集めてまずは易しい問題を解かせる。続いて難しい問題を解かせようとすると子供によってその反応は異なるのだと言う。すぐには解けない難しい問題を楽しむ子供もいれば、難しいとわかった瞬間に取り組む事をやめる子供もいる。本書では前者の子供が持っているような考えを「しなやかマインドセット」と呼び、「人間の基本的資質は努力次第で伸ばすことができるという信念」とする一方で、後者の子供たちの持つ信念を「こちこちマインドセット」と呼び、「自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらない」と信じているのだと言う。基本的には本書はその2つのタイプの信念の利点と欠点を実例を交えながら説明していく。
もちろん本書は「しなやかマインドセット」こそ成長するために必要な信念であるという立場をとっているが、本書が興味深いのは、どのような成長環境が「こちこちマインドセット」や「しなやかマインドセット」の信念を人の中に育むかという部分を示している点である。自分自身の生き方を向上させるだけでなく、部下や娘や息子たちの人生にも、本書の内容を知っているという事でいい影響を与えられるようになることだことだろう。
僕自身はどちらかといえば「しなやかマインドセット」の側にいると思っているが、本書では同じ人間の中にも分野によって、「しなやかマインドセット」と「こちこちマインドセット」が共存している事が多いという話は非常に面白く、夫婦関係も双方「しなやかマインドセット」を持っていてこそ長続きするという部分はぜひしっかり覚えておきたいと思った。
普段からプラス思考で、「しなやかマインドセット」の人にとってもいい刺激になる一冊。今自分自身をチャレンジしなければならない環境に置けているだろうか、本書を読めばきっと自分の人生を見直すことだろう。

今日は、私にとって、周囲の人たちにとって、どんな学習と成長のチャンスがあるだろうか。

【楽天ブックス】「「やればできる!」の研究」

「Messgenger of Truth」Jacqueline Winspear

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
展覧会の準備中に組み立ててあった足場から落ちて亡くなった期待の芸術家Nick。双子の姉であるGeorginaがその死に他殺の疑いを抱いて、Maisieに調査を依頼する。
Maisie Dobbsシリーズの第4弾。探偵物語というだけではもはやありふれたものになってしまうだろう今、本シリーズは戦争の悲惨さをその物語のなかで常に訴える点が面白い。本作品はある芸術家Nickの死の謎を解くことが調査の目的であるが、彼は戦争から戻ってきた後にその悲惨な体験を絵に描くことで芸術家として開花する事となったし、依頼主でありNickの双子の姉であるGeorginaは文章を描くことに才能を持ち、戦争を描写することで評価をあげたのだった。また、NickとGeorginaの姉であるNollyも夫を戦争で失っているという過去を持つ。そして、Maisieが少しずつ真実に近づいていくに従って、各々が戦時中に受けたつらい経験や過去、知りたくなかった出来事が見えてくる事になる。
また、調査だけでなくMaisieのアシスタントのBillyの生活や、Maisieに想いを寄せる医者Andrew Deneとの関係にも変化が起きる。心に傷を抱えながらもそれぞれが少しずつ人生を歩んでいく様子が印象的である。また、一方で、ドイツでヒトラーが勢いを増しているという。今後どのように展開していくのだろうか。

「目標達成の技術」青木仁志

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
目標達成に必要な考え方や心構えを語る。
著者は都内で繰り返しセミナーを開催しており、その内容の多くも含まれている。基本的には自身が元々もっていた考えに近い物だが、印象的だったのは人生において明確な目的を持つべきという点で、自分の人生にの目標についてもっと具体的にイメージしないといけないと思った。しかし、全体的には世の中には溢れ返っている自己啓発本とあまり変わらない印象を受けた。ベースとなっている「選択理論」の考え方自体は非常に好きなものではあるが、本として強い印象を残すほどではなかった。
【楽天ブックス】「目標達成の技術 」

「Indemnity Only」Sara Paretsky

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
有名銀行の幹部と名乗る男からその息子の恋人を探して欲しいという依頼を受ける。しかし、調査を始めたV.I. Warshwskiが最初に見つけたのはその息子の死体であった。
V.I. Warshwskiシリーズの第1弾。V.I. Warshwskiという名前から日本人の僕にはそれが男性だか女性だか判断できなかったのだが、女性である。
行方不明の若い女性の捜索という簡単な仕事のはずが、マフィアや巨大な組織犯罪と関わっていく事となる。シカゴを舞台としており、シカゴを本拠地とするメジャーリーグチームの動向など、アメリカ人の生活も伺える点が面白い。本書の事件はややありきたりではあるが今後どう物語が広がっていくのか、このシリーズをもう少し読んで善し悪しを判断してみたいと思った。

「断捨離 私らしい生き方のすすめ」川畑のぶこ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ものを捨てる事による人生への効用を語る。
断捨離について書いた本の2冊目であるが、本書はどちらかというとすでに断捨離を始めた人向けである。断捨離の方法だけでなく、それによってぶつかろうであろう障壁や、それによって変わる考え方にまで触れている点が、1回目に読んだ断捨離の本とは異なる。最後の章のタイトルとなっている「モノより経験を」はまさに僕自身が思っているだ。むしろそういう考えを持てずにモノに執着している人が読むべき本なのかもしれない。
【楽天ブックス】「断捨離 私らしい生き方のすすめ」