オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2人の小学生の子供を持つ文絵(ふみえ)はお洒落に気を使う事もなくなっていた。しかしある日中学生時代の同級生加奈子(かなこ)に出会い、化粧品販売の仕事をすることになる。
また、鎌倉の別荘で起きた殺人事件を解決するため、神奈川県警の秦(はた)は若い女性刑事菜月(なつき)とコンビを組んで捜査をする。女性とコンビを組むことに対する秦(はた)の懸念や未だ男性社会である警察組織の描き方が興味深い。菜月(なつき)が能力の高い刑事として描かれているので、このコンビはむしろ別の物語で見てみたいと思った。
殺人現場で目撃されたサングラスの女は、文絵(ふみえ)に化粧品販売の仕事を持ちかけた加奈子(かなこ)と見られ、この女性の足取りを追う事が捜査の方針となる。
最後は予想を裏切る部分はあったものの、それでも全体的には、読み終わったら数日で記憶から消えてしまうようなよくある警察小説の1つに終わってしまっている点が残念である。
【楽天ブックス】「ウツボカズラの甘い息」
とにかくおすすめ
ジャンル関係なくオススメを知りたい人向け
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ページをめくる手が止まらない、寝る時間さえ惜しくなる最高のエンターテイメント
泣ける本
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優しい気持ちになれる本
悲しいとかハラハラするとか怖いとか必要なく、ただただほんわかして、暖かい気持ちを感じたい人におすすめの本
世界を知る
世界の大きな流れを知りたい人向け
深い物語
いろいろ考えさせられる、深い物語
生き方を考える
人生の密度を上げたい方が読むべき本
学習・進歩
常に向上していたい人が読むべき本
組織を導く人向け
日本の経済力を強くするために、組織づくりに関わる経営者などにおすすめしたい本
デザイン
ただ美しいものを作れるだけじゃなく、一歩上のデザイナーになりたいデザイナーが読むべき本
英語読書初心者向け
英語は簡単だけど面白い、そんな面白さと英語の易しさのバランスの良いものを厳選
英語でしか読めないおすすめ
英語で読む以上、英語でしか読めない本を読みたい。現在和訳版がない本のなかでぜひ読んでほしい本。
「品のある人、品のない人 紙一重だけと決定的に違う些細なこと」中谷彰宏
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人と会ったり共に行動したりするときにふと「この人は上品だな」と感じる事がある。それは一体どこから来るのか。著者が考える「品のある」「品のない」の行動やふるまいについて語る。
本書があまり好意的に受け取られていないのは想像に難くないが、個人的には比較的好意的に受け取った。少なくとも本書に書かれている内容はそれなりに僕自身の行動を見直させるものである。
さて「上品さ」と言うと、なんだか曖昧な感じがするが、結局それは、周囲の人間にどれだけ不愉快な思いをさせないように、さらにいえばどれほど周囲の人を快適な思いをさせるように、普段から行動できるか、ということなのだろう。例えば、雨の日に傘の先端を人に向けて持っている人の近くにいれば不快だし、カフェのカウンター席で、大きな音を立てて物を置く人がいればやはり不快である。ドアの閉じ方や歩く音など、誰もがそんな人の不快な行動がすぐいくつか思い浮かぶのではないだろうか。
では果たして自分自身はどうなのか、大人になるとなかなか人は自分の悪い振る舞いをただしてはくれない、だからこそ自分自身が常に自分の行動を意識することが大切なのだ。
みんな「自分は周囲の人間より上品」と思っているようで、僕自身も同様に、比較的上品な部類の人間だと思っているが、それでも本書には普段の行動を改めてたいと思う内容がいくつか含まれていた。例えば次のようなこと。
ぼろぼろになっても服や靴、ハンカチがあることに気付いた。もちろんこれは「もったいない」という考えとのバランスを取らなければならないことではあるが、「まだ使えるけど捨てる」という意識をもっと持とうと思った。
書かれている順番やその粒度がばらばらであるため、著者がただ周囲の人に文句を言っているように見えなくもない点が、不評を買っているのかもしれないが、書かれている内容から何かを学ぼうという姿勢で読めば得るものはあるだろう。人の意見に耳を傾けようとするか、それとも悪い部分をあげつらって頭ごなしに否定するか、それも「品のある、なし」なのかもしれない。
【楽天ブックス】「品のある人、品のない人 紙一重だけと決定的に違う些細なこと」
「快挙」白石一文
オススメ度 ★★★★☆ 4/5高校を中退して東京に出て、離婚歴のあるみすみと、写真家を目指しながらも満足に生活費を稼ぐ事のできない俊彦(としひこ)の2人が、人生の数々の障害を乗り越えながらも共に生きて行く様子を描いている。
数年前に読んで、今でも好きな本である同じ著者の「私という運命について」は女性を主人公としているが、本作品は俊彦(としひこ)という男性目線で展開する。
写真家として大成しなかった俊彦(としひこ)はやがて小説家を志すようになる。成功間近で不幸が重なりつらい日々が続き、さらに病気に悩まされたりする中、妻のみすみが俊彦(としひこ)を支える。また一方で、みすみも流産を繰り返し失意の日々を送るときは俊彦(としひこ)がその支えとなる。
決して幸せとは言えない人生をお互いに支え合う様子がなんとも心に染みる。人生にはいい時もあれば悪い時もあり、そんななかの平穏が人生にとてもっとも幸せな瞬間だったいるするのだ。自らの人生を振り返る俊彦(としひこ)はみすみと過ごしたいくつかの時期に対してこんな風に語るのだ。
いまにして思えば、手をつなぎ、毎日と言っていいほど共に須磨寺を歩いたあの頃が、私たち夫婦にとって最も幸福な季節だったのかもしれない。
いまにして振り返れば、地蔵通りに転居してからの数年間は、私とみすみにとって最も穏やかな日々だった。
幸せは、過ぎ去って初めて気付くものなのだと、改めて気付かせてくれる。
安定した人生を相手に提供するのではなく、不安定な人生を共に乗り越えて行くという生き方こそ素敵で、2人の間に強い絆を作るものだと教えてくれる。
【楽天ブックス】「快挙」
「イーロン・マスク 未来を創る男」アシュリー・バンス
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
アメリカの起業家であり、スペースXのCEOであるイーロン・マスクについて語る。
スティーブ・ジョブスの次に世界を変えるのはこの男、と言われるイーロン・マスク。正直、最近になって初めてイーロン・マスクという名前を知って興味を持ったのだが、本書はそんな興味をさらに大きくしてくれる。
彼のやってきたことのなかで最も印象的なのはスペースXの取り組みだろう。彼は、人類が宇宙を旅する事を本気で実現しようとしているのだ。宇宙に行く事は可能だとしても、それが一般の人間が楽しむレベルになることはないし、そもそもそこまで宇宙に行くことに魅力もメリットもない、と多くの人は考え、だからこそ、世の中の企業は宇宙という分野に注力する事はなかったのだろう。しかし、マスクはそんな常識を覆し、古い権力や考え方に振り回されないようにロケットに必要なすべてをスペースXで作ることを実現して行くのだ。
AppleのiPhoneなどのかつてのイノベーションは、今ある物を改善したり、今はある物の隙間に新たなチャンスを見い出すようなものだったが、スペースXの取り組みは、これまでのイノベーションとはまったく違った印象を与えてくれる。それは誰も目を向けていなかった先へ人類を導く取り組みなのだ。
また、マスクはスペースXだけでなくテスラという企業で今までにない車を作る事にも取り組む。こちらについても本書を読むまで知らなかったが、多くの失敗を経て完成したテスラのモデルSにとても興味をかき立てられてしまった。
マスクのように、何事に対しても情熱的に生きてみたいと思わせてくれる。
【楽天ブックス】「イーロン・マスク 未来を創る男」
「旅のラゴス」筒井康隆
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
旅を続ける男ラゴスを描く。
ラゴスが旅しているのはどこだろう。アジアのどこか、モンゴルや中央アジアのあたりだろうか。しかし、ある民族と行動するラゴスは集団転移を日常的に自然な行動として行うのである。どうやらこれは、僕らがいる世界とは異なる世の中を描いているようだ…。
そんな不思議な世界観を本書を見せてくれる。そして、いくつか非現実的なことが起きながらも、ラゴスの旅は、人と出会い、別れを惜しみながらも再び旅に出る、の繰り返しで、時には恋をしたり、トラブルに巻き込まれたりと、どんな世界にも、時代にも共通する旅の魅力であふれているのだ。
本書でラゴスと旅をする中で、それはいつのまにか、場所を移動する旅と時間を超える人生という旅が重なって感じられるから不思議である。恋愛、労働、教育、学習、子育て、確執、そんな連続で人生は進んで行くのだ。短くもはかない人生の一つ一つの出来事を一生懸命生きるラゴスの姿に、心に染み入るような何かを感じるだろう。
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「ラファエル・ナダル自伝」ラファエル・ナダル/ジョン・カーリン
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
プロテニス選手のラファエル・ナダルがその人生を綴る。
ナダルと言えば、僕の中ではフェデラーに次ぐ存在で、どちらかというと華麗さや美しさよりも、力強さや泥臭さを印象として持っていた。その印象は本書を読んでも大きく変わることはなく、むしろ意外だったのは、控えめなその性格である。5歳年下の妹マリベルとは頻繁に連絡を取り合い、両親の住むマヨルカ意外では落ち着いて過ごす事もできないのだという。
2008年のウィンブルドンのフェデラー対ナダルの決勝はもはや伝説であるが、本人にとってもそうだったようで、本書では大部分をその試合の重要な場面とそれに関連する出来事を描くことによって占められている。ナダルが語るその試合の様子からは、世界のトップの選手がどれだけ多くのことを考えているかが窺い知れる。1つの試合のなかでも、重要な場面、諦めるべき場面、ひたすら我慢して好機を待つ場面、など、僕らが思っている以上に多くのことを考えながらプレーしているのだ。
また、本書からは、ナダルの成功は家族や周囲の人間達に支えられたものだとわかる。プロサッカー選手を叔父に持つナダルや家族は、トップ選手がどんな生活を送るかを前もって知っていたのである。また、叔父のトニーはナダルのコーチとして、自ら考えて行動する事とつらい練習や試合の厳しい状況に耐える忍耐力を植え付けた。時に理不尽と思えるトニーの言動がナダルの成功の大きな要因となっていることは間違いないだろう。
周囲の人間が、うぬぼれを恥ずかしいこととして行動する様子も印象的である。ナダルの母も、ナダルのガールフレンドもナダルの成功によって華やかな舞台に出たりは決してしないのである。
スポーツに限らず、自分が日々取り組んでいる事に対して、さらに深く考えようと思わせる一冊。
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「少年たちの終わらない夜」鷺沢萌
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
10代の少年達を扱った4つの物語。
今の生き方のままではいけないと思いながら、それでもやりたいことも見つからず、毎日過ごす少年達。
何か結論があるわけではないが、もう感じる事のできない、10代の日々、とりとめもない時間がまだまだ続きそうな空気感が漂っている。今でもこのように毎晩クラブに通うような文化が高校生にあるのかわからないが、そんな時間に青春の時間を注ぎ込んだ少年達のこころが見えてくる。
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「蛇行する川のほとり」恩田陸
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
美術部の先輩、香澄(かすみ)と芳野(よしの)に一緒に夏休みを香澄(かすみ)の家で過ごして作品を仕上げようと誘われた鞠子(まりこ)。その家は10年前に事件があった家だった。
久しぶりの恩田陸作品。相変わらず放課後の匂いが漂ってくるような、懐かしい雰囲気を醸し出している。毎回周囲を魅了するような美人が出てくるのも一つの特徴かもしれない。実際に目でみることのできるドラマや映画でなく小説だからこそ存在する事のできる「美人」である。
夏休みに憧れの先輩である香澄(かすみ)の家で過ごすことになった鞠子(まりこ)だが、周囲の人々から、気をつけるように言われる。一体香澄(かすみ)はなぜ鞠子(まりこ)を誘ったのか。やがてそれは10年前の事件につながっていく。
若干の非現実的さは感じさせるが、懐かしい夏休みの思い出が蘇ってくる。何でもできると思ったいた夏休みの始まり。1日の時間を持て余していた夏休みの日々。そして、たくさんあったはずの時間を巧く使ってこなかった事に気付く8月の終わり。もう味わう事のない懐かしい感覚を本書は提供してくれるような気がする。
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「野球ノートに書いた甲子園」高校野球ドットコム編集部
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
高校野球に打ち込んだ高校生のなかに野球ノートというものがある。単純に自分のことやプレーを綴るだけのものだったり、チームについて綴って監督とコメントを交換するものだったりと様々である。本書はそんな野球ノートを扱っている。
驚いたのは、強豪チームの選手達がつけていた野球ノートの内容である。強いチームの中心選手なのだから、ある程度野球について深く考えているのは当たり前なのかもしれないが、チームへの貢献のための目線や、家族や周囲の人々への感謝の気持ちなど、20歳になる前に彼らがこの精神状態に達していたということに驚かされ、また同時に、この経験は彼らのその後の人生に大きく役立つだろうと思った。
書くという行為の意味をもう一度見直したくなる一冊。
【楽天ブックス】「野球ノートに書いた甲子園」
「The Mapping of Love and Death」Jacqueline Winspear
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第一次大戦中にイギリス兵として働いたアメリカ人の地図製作者が亡くなった。その両親は、彼が直前まで連絡をとっていた恋人を捜して欲しいという。調査を開始してすぐにMaisieは彼が戦場で撲殺されたことに気付く。
Maisieが依頼を受けてすぐに依頼主夫妻が襲われて入院するなど、謎が深まる一方で、Maisieの若い頃からのメンターであるMauriceが体調を崩し始める。本シリーズは常に、解決する事件と並行して、Maisieと周囲の人間関係が描かれるが、本書では特にMauriceとの様子が多く描かれる。Maisieは少しずつ衰えていくMauriceの姿を見て、彼が今までに与えてくれたものの大きさに気付くのである。そんなMaisieの様子は、一生に大きな影響を与えるメンターとの出会いの重要性を改めて教えてくれる。Mauriceのような優れた考えを持っている人間と若いときに出会えたMaisieの幸運を思うと、むしろ年齢を重ねた僕らは、今後育つ若き人々に重要な存在となりたいと思った。
また、一方で事件に関しては、地図製作者という仕事の魅力も伝えてくれる。戦時中に、他国の地図がどれほど重要だったかが伝わってくる。本書では「地図制作者は芸術家である」と語るシーンがある。地図製作者はただ機械的に地図を起こすのではなく、何をどこまで描くべきか、使用者の目的を考えて地図を造り出すというのである。
いつものように人生における多くのことを考えさせてくれる一冊。
「朽ちないサクラ」柚木裕子
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
県警の広報課に勤める森口泉(もりぐちいずみ)は県警の不祥事の苦情電話に悩まされていた。そんな中、その不祥事をリークしたと問いつめた報道に勤める友人が殺害される。責任を感じた泉(いずみ)は真実を知ろうと動き始める。
不祥事とは、ストーカー被害にあっている女性の被害届を受理せずに社員旅行に行った結果、その女性が殺害されてしまうというもの。それに限らず、後半では有名な宗教団体の事件への関わりが明らかになり、オウム真理教や桶川ストーカー事件など実際の出来事を物語に取り入れているような印象を受ける。
泉(いずみ)は刑事である磯川(いそかわ)とともに真実を知ろうとする。やがて事件は警察内部だけでなく公安などの警察内部の組織上の問題も関わっていることが明らかになって行くのである。
設定として、警察の汚職や公安との縄張り意識を扱った物語は既に多くあるため、あまり新しさは感じられなかった。結末もやや中途半端な印象も受けたが、同じ主人公による続編を期待できる終わり方だったのでその辺を期待したい。
【楽天ブックス】「朽ちないサクラ」
「頂点への道」錦織圭
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2015年世界ランキングを自己最高の4位まであげたプロテニスプレイヤーの錦織圭。彼が綴るブログを中心にその成長の経緯を描く。
基本的には錦織が普段綴っているブログと、その当時の戦績と、記者のコメントを並べているだけなので、読者はそれを読んで何かを感じるしかない。ラケット競技であるスカッシュを10年以上続けている僕にとっては、同じ相手と繰り返し戦い、その度に勝つために相手の弱点を分析して戦い方を変えていくという錦織のいるステージがとても羨ましくかんじた。また、そこまで突き詰めてスカッシュをやってこなかったことに考えが至り、1つの競技というものへの自分の取り組み方を改めて考えさせられた。
ブログの投稿はどれも錦織の生の声で、テニスの技術が優れている事をのぞけばどこにでもいる一人の青年だということが窺い知れる。特に何度も携帯をなくしたり、水没させたりする点にはとても親しみがわく。
錦織の今後の戦いに注目したい。
【楽天ブックス】「頂点への道」
「慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件」木村盛岳
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1915年に北海道で起こった8名の死者を出したヒグマの襲撃事件を描く。
あまりにも残酷な出来事のために、この事件を基にした物語はいくつかあり、僕自身も数年前に「シャトゥーン ヒグマの森」という物語を読んでこの事件を知った。本書は事実をできるかぎり忠実に描こうとしているため、ドラマ仕立ての物語のような感情的な表現がなく、それがむしろ現実の怖さを伝えてくるようだ。
著者は当日のその場に居合わせた人々の台詞まで調べ上げている。そして、当日人々が交わし合ったヒグマに関する冗談などが、その後の惨劇を予感させるようなものであったために、何か人の力の及ばない力の存在を感じさせている点が興味深い。
本書はその他にもヒグマ事件に関する考察や、有名な福岡大学ワンゲル部員の事件や、写真家星野道夫さんの事件など、その他の日本で起こったヒグマによる死傷事件を取り扱っている。動物の恐さを思い出させる内容である。
【楽天ブックス】「慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件」
「蟻の菜園 アントガーデン」柚木裕子
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
結婚詐欺の容疑で逮捕された女性円藤冬香(えんどうふゆか)は、美人で男に不自由しないように見えた。そこに興味を持ったフリーライターの今林由美(いまばやしゆみ)はその真相を究明して記事にしようとする。
由美(ゆみ)が円藤冬香(えんどうふゆか)のこれまでの足取りを探るうちに、円藤冬香(えんどうふゆか)は施設で育った事を知る。また、あわせて福井の言葉を知っていたらしいという証言を得る。
その一方で本書では並行して父親から虐待を受ける幼い姉妹の話が展開していく。その姉妹は早紀(さき)と冬香(ふゆか)と言い、東尋坊の電話ボックスから救いを求める早紀(さき)は早紀(さき)を救おうとする大人達が目を離したすきに再び行方をくらましてしまう。2つの物語は、由美(ゆみ)が調査を進めるにしたがって次第に重なっていくのである。
残念ながら、読者にとっては比較的あっさり結末が見えてしまうだろう。また、物語のなかに深いテーマのような物が見えなかった点が残念である。
【楽天ブックス】「蟻の菜園 アントガーデン」
「パレートの誤算」柚木裕子
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ケースワーカーとして市役所に勤める聡美(さとみ)。受給者を訪問するという気が重い作業を行うなか、先輩社員が同じく受給者訪問中に殺されるという事件が起きる。
受給者の訪問をする聡美(さとみ)と同僚の小野寺(おのでら)は生活保護として受給したお金をギャンブルに使う人にいらだちを隠せない。そんななか、そんな受給者達の訪問によって、彼らの支えになろうと、仕事に誇りを持って取り組んでいた先輩社員の山川(やまかわ)が殺害されるのである。真実を知ろうと調査するうちに、聡美(さとみ)自信にも危険が及んでいくのだ。
生活保護という議論の多い領域を扱った物語なので、物語の流れとしてはそれほど予想を超える内容ではなかった。もう一捻りあっても良かったような気がする。個人的に今注目の作家だけにありふれた物語に終わってしまっている点が残念である。
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「幸せの条件」誉田哲也
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
24歳の梢恵(こずえ)は惰性でつとめていた会社から長野に行ってバイオエタノール用の米を作ってくれる農家を探すように命じられた。
渋々行った長野で梢恵(こずえ)はいくつかの農家を訪問した後、その地域の農業の発展に努める「あぐもぐ」という会社を経営する温かい家庭に迎えらる。会社のために農業を学ぶ、という目的で農家の仕事を手伝い始めた梢恵(こずえ)は、そこで農業と農業とともに生活することに魅力を感じていくのである。
単純な話ではあるが、最先端の農業について物語を通じで学べる点が面白い。若い人間は、農業と聞くと、効率の悪い地味な作業のような印象を持っているかもしれないが、本書で描いている最先端の農業は、非常に合理的な物である。物語中で、農業に関連する言葉に対して、質問する梢恵(こずえ)に、社長である茂樹(しげき)が丁寧に答えていく。どれも興味深い話ばかりで、農業という領域に読者の興味を向けてくれるだろう。特に食糧自給率の話は印象に残った。世の中は作為的な数字にだまされているのかもしれない。
また、物語は東北大震災と時期が重なっており、福島の原発の引き起こした出来事がどれほど農家に深刻な影響を与えたかが伝わってくる。
物語の面白さだけでなく、新たな分野に視野を広げてくれたという点でも評価できる一冊。
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「統計学入門」盛山和夫
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
統計学の基本的な部分を説明している。
学生時代に習った期待値や最小二乗法などの意味がより深く理解できた気がする。また、検定という考えについてもようやく少し分かってきた。しかし、やはり鉛筆と紙を用いて書かれている内容を繰り返し使用してみないと本当の理解には到達しないというのが身にしみてわかった気がする。読書時間ではなく勉強時間を別に設ける必要があるのだろう。
【楽天ブックス】「統計学入門」
「「学力」の経済学」中室牧子
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本の教育のあるべき姿について、データを元に説明していく。
例えば、「本を与えれば成績がよくなる」とか「ゲームをさせると成績が下がる」とか、世の中でよく言われることを科学的に説明しようと試みていく。その過程で、日本の教育がどれほど証拠もなしに、先入観によって構築されているかに気付かされるだろう。
また、著者はそれ以外にも教育システムの向上のために多くの内容に触れているが、なかでも印象的だったのは計る事のできない「非認知能力」つまり「やりぬく力」の重要性である。教育に関心のある多くの人が中学や高校での教育の重要だと思う一方で、本当に人生を変えるほど重要なのは、小学校に入るまでに培われた自らを律する「やりぬく力」だというのである。「自制心」とも呼ばれるこの力は、若い頃のしつけや部活などの活動を通じで培われていくものだそうだ。
目の前の定期試験で数点を上げるために、部活や生徒会、社会貢献活動をやめさせたりすることには身長であるべきかもしれません。学力をわずかに上げるために、長い目でみて子どもたちを助けてくれるであろう「非認知能力」を培う貴重な機会を奪ってしまうことになりかねないからです。
また、後半で著者が語っている、教員免許の弊害についての考え方も新鮮で面白かった。教育に対して新たな考え方をもたらしてくれる一冊である。
【楽天ブックス】「「学力」の経済学」
「JavaScript:The Good Parts」ダグラス・クロフォード
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ここ数年で一気に需要が高まっているJavaScript。しかしそれは多くのプログラマーを悩ませる仕様が詰まっている。JavaScriptの性質を知り尽くした著者が、JavaScriptで「良いパーツ」を作るための方法をまとめている。
若干僕のJavaScriptの知識レベルには早すぎたという印象もあり、理解できない箇所も多々あったが、いいJavaScriptを書くためにやったほうがいいことと、やらないほうがいいことはいくつか知る事ができたし、なによりも本書によって癖のあるJavaScriptという言語に魅力を感じてしまった。
おそらく本書によってJavaScriptという言語の不完全さを知って嫌いになる人もいるだろうが、僕のように逆にその深さに魅了されてしまう人もいるだろう。本書には、もう少し知識を貯えてきてからまた戻ってきたいと思った。
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「UI is Communication: How to Design Intuitive, User Centered Interfaces by Focusing on Effective Communication」Everett N McKay
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
UIについて語る。
タイトルも示しているように、本書がひたすら繰り返すのは、UIはコミュニケーションである、ということである。例えば、新宿駅で本屋の場所をたずねたときに、ニューヨークの本屋を紹介するというのは普通のコミュニケーションであればありえないことだが、世の中の多くのサイトはそのようなことを平然と行っているのだ。
同様に同じ事を繰り返したずねるのも普通のコミュニケーションであれば失礼で、相手を深井に感じさせることである。しかし、僕らは何度もメールアドレスを入力する事があるし、同じエラーメッセージが何度も表示される事がある。また、興味深いのは言葉の使い方である。「You failed….」(あなたは失敗した)のようにユーザーを避難する言葉ではなく「Something went wrong.」(異常が発生しました)のようにシステム側に問題があることを示唆する言葉を使うべきだというのである。
なぜこのようなことが起きるかというと、UIデザインは未だにシステム目線で行われているからなのだ。それを表すのに次のような印象的な言い方をしている。
上記のような内容を、徹底的に実際のサイトやアプリを例にとって解説してくれる。本書は世の中のすべての物の見方を変えてくれるだろう。UIデザインに関わる人は必読の一冊。