とにかくおすすめ

ジャンル関係なくオススメを知りたい人向け

とにかく面白い

ページをめくる手が止まらない、寝る時間さえ惜しくなる最高のエンターテイメント

泣ける本

思いっきり泣きたい人向け

優しい気持ちになれる本

悲しいとかハラハラするとか怖いとか必要なく、ただただほんわかして、暖かい気持ちを感じたい人におすすめの本

深い物語

いろいろ考えさせられる、深い物語

生き方を考える

人生の密度を上げたい方が読むべき本

学習・進歩

常に向上していたい人が読むべき本

組織を導く人向け

日本の経済力を強くするために、組織づくりに関わる経営者などにおすすめしたい本

デザイン

ただ美しいものを作れるだけじゃなく、一歩上のデザイナーになりたいデザイナーが読むべき本

英語読書初心者向け

英語は簡単だけど面白い、そんな面白さと英語の易しさのバランスの良いものを厳選

英語でしか読めないおすすめ

英語で読む以上、英語でしか読めない本を読みたい。現在和訳版がない本のなかでぜひ読んでほしい本。

「努力したぶんだけ魔法のように成果が出る英語勉強法」清涼院流水

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
英語の上達法法をTOEIC満点を獲得したことのある著者が語る。
冒頭で著者が言っているように、努力をしないで上達する方法は存在しない。しかし努力した分だけ成果を出す方法は存在するのである。本書はTOEICのスコアで言うと700以下を対象とした内容だし、残念ながら紹介されている多くの方法は、英語をすでに長年勉強している人間にとってはすでに聞いたことのある方法だろう。しかし、改めて自身の勉強法と向き合う機会にはなるかもしれない。
例えば、著者はディクテーションの重要性について触れている。実際英語は8割程度単語が理解できれば、相手が何を言おうとしているかがわかるのだが、そうすると残りの2割の理解が永遠にできない。残りのわずかな理解できない部分を自分に気付かせてくれるのがディクテーションなのである。ディクテーションという方法自体はまったく新しい内容ではないが、ある程度話せるようにはなったものの、なかなかその先が上達しないという人は、もう一度ディクテーションに立ち返ってみてもいいのかもしれない。
その他にも僕自身(TOEIC930,英検1級)の経験からも同意できる意見、お勧めできる方法が満載である。英語を勉強しているけれどもなかなか成果が出ないという人は本書の方法を試してみるといいだろう。

The Elements of Style
スティーブンキングも史上最高のテキストとして勧めるライティングのテキスト

【楽天ブックス】「努力したぶんだけ魔法のように成果が出る英語勉強法」

「Don’t Make Me Think, Revisited: A Common Sense Approacd to Web Usability」Steve Krug

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
本書のオリジナルはもう15年以上前に出版されユーザビリティの考え方の基本を広く網羅している。それだけでも今でも十分に通用するないようであるが、さがにスマートフォンに関する内容が追加されて出版されたのが本書である。

前半はユーザーがどのようにWebを見て、世の中のWebはどのように変わるべきなのかについて語っている。例えば「Webは本のように読むのではなく、斜め読み(scan)するのだ。」という話は、ユーザビリティに関心のある人ならすでに何度も聞いた事のある話だろうが、改めて今自分が作っているものが、本書で言われている基準を満たしているかどうかと向き合う機会になるだろう。

中盤以降はユーザビリティテストの重要性と、その進め方である。多くの人がユーザビリティテストの重要性は知りながらもそれを実現するために必要な労力に躊躇してしまうのではないだろうか。本書ではいろんな簡単に始められるユーザビリティテストを紹介して、どんなユーザビリティテストからでもサイトやアプリの改善点は見つかるはず、と強調している。ユーザビリティテストを始めるにあたって起こりうる障害や問題を挙げて、その解決方法まで提示してくれるのである。ひたすら著者が繰り返しているのは、「まずは始めることこそ重要」ということである。

またアクセシビリティについても触れている点が印象的だった。なぜか最近「アクセシビリティ」という言葉を聞かないが、その重要性が失われたわけではない。どうしても僕らはユーザーが自分と同じような能力を持っているものと考えがちだが、これを機にもう一度「アクセシビリティ」を考えてみるのがいいだろう。

また、途中で著者のオススメの本を紹介してくれる点も有り難い。知識がさらに広がって行く感じが得られるのも嬉しい。

  • 「It’s Our Research」Tomer Sharon
  • 「The User Experience Team of One」Leah Buley
  • Influence: The Psychology of Persuasion」Robert Cialdini
  • 「How to Get People to Do stuff」Susan M. Weinschenk

「いつやるか?今でしょ? 今すぐできる自分改造術」林修

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「いつやるか?今でしょ?」の台詞で有名な東新ハイスクールの講師林修が、最近元気がないと感じる若者たちにその生き方を語る。
読んでて思ったのが、この人の考え方は自分に似ているということ。早足で歩くところや、車を使わない事を推奨する事など共感できることばかりだった。冒頭で著者自信が言っているように、楽しく生きている人にとってはここに書かれている内容は「普通」の考え方ばかりなのだろう。
それでも今まであまり意識していなかったような考え方もあった。「権威トレンド」の扱い方である。「権威トレンド」とは人が何に権威を感じるかということで、世の中の多くの人は、お金持ちや、政治家や、先生や、アーチストなどの特定の人の話をよく聞こうとする傾向があるのだ。著者が語っているのは、何か話をするとき、何かの意思を伝えたいときに、相手の「権威トレンド」を見極めて、それに応じた伝え方をすることの効果である。
もちろん、強い「権威トレンド」を持っている人は、進んで付き合いたい人ではないのかもしれないが、何かを達成するためにはしばしばそのような人を説得しなければいけないのも事実。そのようなときは、その人の「権威トレンド」を見極めて、自分の態度を変えたり、人を介して伝えたりすることが効果的だというのである。
また、章の間に差し込まれているコラムも楽しむ事ができた。最も印象にのこったのは「今の生徒たちの”名前”に感じること」である。話のネタとしても使えそうだ。
【楽天ブックス】「いつやるか?今でしょ? 今すぐできる自分改造術」

「一流の人はなぜそこまで、コンディションにこだわるのか?」上野啓樹/俣野成敏

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
前半はコンディションの重要性について語っている。遅くまで働くことが本当に効率的なのか、徹夜をすることが格好いいのか。10年ほど前に比べると、すでに多くの人がコンディションの重要性について気付いているとは思うが、それでも遅くまで飲み会などに参加し、朝は出社ぎりぎりに起きるという人をよく目にするし、相変わらず徹夜したことをわざわざネットで公言する人も見かける。そんな人は本書で本当にそれが人生にとって意味のある事なのか考えてみるといいだろう。
中盤以降は、体調を整えるための食事法について書いている。従来は正しいと信じられていたこと、例えば、一般的には、朝ご飯は抜くよりも食べる方がいいとされているし、三角食べがいいとされているが、本書はそれを否定しながらその理由と正しい方法を説明している。なによりもフルーツの重要さをひたすら語っている点が普段果物を食べない僕にとっては新鮮だった。
本書の真髄となる考え方は1日を三分割するものである。朝4時から12時までを排泄の時間。12時から20時までを消化の時間、そして20時から翌朝4時までを吸収の時間とし、カラダのエネルギーをどれかに集中させるのである。つまり食べ物を食べるのは消化の時間である12時から20時にすべきだというのである。
なかなかカラダに染み付いた週間を急に変えることはできないし、食事に関していろんな説があるなかで本書で書かれている内容だけをすぐに信じて実践する事は危険だとは思うが、1つの考え方として頭に入れておくのはいいのではないだろうか。

あなたのカラダは半年前に食べた物でできている。

【楽天ブックス】「一流の人はなぜそこまで、コンディションにこだわるのか?」

「中級スペイン語読み解く文法」西村君代

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

「中級スペイン語」ということで、一通りスペイン語の文法を学んだ人向けの内容である。どんな言語にも言えることかもしれないが、スペイン語においても接続法まで一通り学んで本をスペイン語で読み始めると、どうしても理解しにくい文章や、使い分けの難しい文章に出会うことが多々ある。本書はそんな悩みをすべてではないが解決してくれるだろう。
例えば、スペイン語においては主語を省くことができたり、主語がある場合でもその位置は英語ほど明確に決まっていない。そのため、読むときには理解はできても、実際書いたり話したりする状況では、主語をどこに置くべきか悩むことがある。本書はその点についてこのように説明している。

聞き手との間であらかじめ共有されている情報を旧情報と呼び、新しく情報価値のある情報を新情報と呼ぶとすると、旧情報、新情報の順に現れることが普通です。通常<主語→動詞>の順になるのは、主語が文の話題になることが多いからです。したがって、主語が新情報である場合には、語順が入れ替わります。

その他にも英語学習の後にスペイン語に入った人には非常に悩ましい箇所をわかりやすく解説している。文法の基本的な部分に軽く触れた上で、文法の先の、実際に使われている傾向に踏み込んで解説している点が非常に有り難い。
また、最後の数ページではスペイン語の成り立ちや地域による違いについて説明している。ラテン語の変化からアラビア語やアメリカ大陸の先住民の言語の影響など言語の発展に対する興味も喚起してくれる。また、スペイン語の地域差についても説明している。例えばvosotrosとustedesの使い分けや、直接人称代名詞の地域による傾向等、どれもある程度スペイン語を学んでいる人には避けて通ることのできないことなので少しずつ覚えて行きたいと思った。
もちろん1回読んだだけですべてを理解すること等できないのでスペイン語に触れながら繰り返し読み返したい。
【楽天ブックス】「中級スペイン語読みとく文法」

「ダンス・ダンス・ダンス」村上春樹

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「僕」は引きつけられるように以前泊まったことのある「いるかホテル」を訪れる。そこで出会う受付の女性、バーで音楽を聴く少女、暗いフロア等、「いるかホテル」が「僕」を導いていく。
今まで「海辺のカフカ」と「スプートニクの恋人」という2作品を読んだだけだが、村上春樹の作品というのは僕にとっては理解不能である。にもかかわらず、僕はたびたび村上春樹ファンに出会い、その熱い話を聞かされるのでその面白さを理解したいとは思い続けている。そのせいか先日「遠い太鼓」という村上春樹の海外生活を描いた作品を読み、彼が物語だけでなく文章の成り立ちにも気を使って書いていることを知った。今回再び村上作品を手に取ったのは、物語の面白いさだけではなく文章の成り立ちについても意識して読んでみよう、と思ったからである。
本作品は以前恋人と訪れた北海道の「いるかホテル」を「僕」が訪れることから始まる。特にやることのない「僕」は、受付の女性と親しくなり、また最後には13歳の少女に東京まで付き添うという役を担うことになる。そんななか常に昔の恋人キキの姿を探し続けるのである。また、昔の同級生で今や売れっ子俳優の五反田(ごたんだ)君の存在も重要な位置をしめる。「僕」は何をしても華麗に見える五反田(ごたんだ)君とたびたび会っていろんな悩みを共有するようになる。
著者が意図したことを理解したのかはわからないが、今までに読んだ村上作品のなかでは最も読みやすく感じたし、もっとも楽しめた気がする。
一つ気付いたのは、浮世離れした印象を与える村上作品は、そのせいで時代の変化による劣化が少ないということ。実際本書は1988年に出版したというから30年近く前なのだがあまり読んでいて古さを感じなかった。村上春樹ファン(ハルキストと呼ぶらしい)が本作品をどのように語るのか知りたいと思った。
【楽天ブックス】「ダンス・ダンス・ダンス(上)」「ダンス・ダンス・ダンス(下)」

「啓火心」日明恩

オススメ度 ★★★☆☆ 4/5
大山雄大(おおやまゆうだい)は都内に努める消防士。日々消火作業に従事するなか不審な火災と出会う事となる。友人である守(まもる)と裕二(ゆうじ)とともに真実に近づいて行く。
消防士大山雄大(おおやまゆうだい)の物語の第3弾である。まずはこのシリーズ御馴染みの展開ではあるが、雄大(ゆうだい)の勤める職場と消防士という職業の過酷さ、理不尽さでの描写から始まる。消防士という普段接する事のない職業について楽しみながら知る事ができるのはこのシリーズの醍醐味である。
さて、本作品では雄大(ゆうだい)の友人である守(まもる)と裕二(ゆうじ)が大活躍する。ハッキング等情報収集を得意とする守(まもる)は不審な火災に興味を持って調べるうちにそれぞれの共通点に気付く。また雄大(ゆうだい)は火災現場で見かけた不審な男達に関わることで組織犯罪に巻き込まれて行くのである。
このシリーズでは雄大(ゆうだい)は「別になりたくて消防士になったわけではない」と言い続けている。同じ消防士として殉職した父を持ちながらも、公務員として楽に生きて行きたいから消防士になったのだという。それでも雄大(ゆうだい)の心の中にある正義感が本シリーズの魅力ではあるが、今回はそんな部分が大いに発揮される。
ちなみに、雄大(ゆうだい)が狭いことをひたすら嘆き続ける飯倉消防署はどうやら実際に存在するようで、地図で検索すると高速道路の上に存在している。
【楽天ブックス】「啓火心」

「キアズマ」近藤史恵

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大学に入学するとともに、ちょっとしたきっかけから自転車部に入部する事となった正樹(まさき)は次第にロードレースの面白さに惹かれて行く。
著者近藤史恵がこれまでに出した作品はいずれもロードレースを扱ったもので、人間の自尊心や嫉妬などや複雑な感情を描き出して見せてくれるのでロードレースのことを良く知らなくても楽しむ事ができるだろう。過去の作品とは違って本作品は大学生のロードレースを題材にしている点である。大学で立ち上げたばかりの自転車部だが、そこに情熱を注ぐ人たちから頼まれて1年限定で参加する事になった正樹(まさき)だが、日常生活で常に重い自転車に乗っていたことと、以前に柔道をやっていたことから次第に自転車でもその才能を発揮して行く。
物語を深く面白いものにしているのは、正樹(まさき)と、そのライバルとなる同じ自転車部の桜井(さくらい)の過去である。正樹(まさき)は中学時代の柔道の練習中に、顧問の先生からの過度な指導によって親友が目の前で全身付随になるという経験をしている。その友人宅に訪れるたびに、「なぜ助けられなかったのだろう」という後悔の念に苦しむのである。そして桜井(さくらい)もまた兄弟のことを触れられるのを極度に嫌う。桜井が自転車に入れ込む理由は、兄弟にあるように見えるのだが周囲の人間もそれ以上深く踏み込むことができないでいる。2人はそんな過去と向き合いながらも、次第に正樹(まさき)が力を付けていくことで真剣勝負に発展して行くのである。
目の前にあるロードレースというものに真剣に取り組む2人の姿は十分な刺激を与えてくれた。
【楽天ブックス】「キアズマ」

「狐狼の血」柚木裕子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
広島県警に勤める25歳の日岡秀一(ひおかしゅういち)は、敏腕のマル暴刑事として有名な44歳の大上(おおがみ)とペアを組むこととなる。しかし、時を同じくして広島県内では暴力団同士の抗争が始まろうとしていた。
マル暴刑事として有名な大上の下につくこととなった日岡だが、大上と共に行動するうちに、暴力団からお金を受け取ったり、また、そのお金を捜査費用に充てたりと、大上の違法な捜査を多く目にするようになる。時にはその違法である事に抵抗を感じながらも、そうせざるを得ない状況を知り、大上と長く行動するうちに、暴力団との共存を重視する大上の考えに理解を示すようになっていく。
そんななか暴力団同士の関係に少しずつ不穏な空気が立ちこめる。大上が指示する尾谷組と加古村組の間のもめ事が重なるのである。2つの組はそれほど大きくないにも関わらず、大きな組とのつながりがあるために扱いを間違うと大きな暴力団抗争に発展する可能性がある。大上は尾谷組とともに、加古村組をつぶそうと奔走するのである。
本書がどこまで現実の捜査を忠実に描いているのかはわからないが、暴力団同士の抗争が始まる事を防ぐために、それぞれの暴力団に対してその面子を重んじながら駆け引きをする大上(おおがみ)の様子は、今までどんな映画や物語も見せてくれなかったもので、非常に現実味を感じさせる。新聞などで報道される暴力団の行動の裏には、きっとこのようなやりとりがあるのだろう、と思わせてくれた。
残念ながら終わり方は後味のいいものではなかったが、むしろその後味の悪さが、物語を非常にリアルに魅せているような気がした。物語は昭和63年の広島を舞台としており、現代の東京ではなくその舞台設定を著者が選んだ理由は最後までわからなかった。ひょっとしたら実際に起きた出来事をモデルにしているのかもしれない。
著者柚木裕子は、「検事の本懐」に代表される検事佐方貞人(さかたさだと)を扱ったシリーズに非常に良く、その流れで他の作品も読みあさっていた。本作品はそんななかでも深みを感じさせる物語に仕上がっている。
【楽天ブックス】「孤狼の血」

「A Lesson in Secrets」Jacqueline Winspear

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Maisie Dobbsシリーズの第8弾である。1932年夏、戦時中に出版した絵本が反戦運動を呼んだGrebille Liddicoteの動きを知るため、Liddicoteが学長を務める大学に潜入することとなる。一方で古くからの友人であるSandraが夫を仕事中の事故で亡くして、Maisieの元へ救いを求めてくる。
興味深いのは常にドイツのヒトラーの影が物語全体に見える部分だろう。例えばMaisieの潜入した大学ではディベートが行われており、そこで行われる議論の多くはヒトラーに関連することが多く、当時の世の中の空気をイギリス人の視点で見る事ができる。特にヒトラーやムッソリーニは教科書にも出てくるので知っているが、オズワルト・モズレーについては本書を読むまで知らなかったので、当時の人々にとって大きな出来事が忘れ去られて行く虚しさのようなものも感じてしまった。
そんな世界状況のなかMaisieはScotland Yardと協力して大学内でLiddicoteの動向を探るのだが、ある日Liddicoteが大学内で殺害される。Liddicote殺害の犯人を突き止めようとするなかで、多くの関係者に話を聞くうちに、Liddicoteの出した反戦を訴えた本が多くの人の人生に影響を与えたことがわかってくる。「良心的兵役拒否者」と呼ばれる戦争に参加することを拒否した人たちは刑務所に入れられたと言うが、日本と同様に、イギリスでも戦争に反対することは、人からの軽蔑を受け入れる勇気のいる行為であったことがわかるだろう。
今回も、捜査だけでなく、父や恋人のJamesとや親友のPrisillaなど、いろんなことを悩みながら生きて行くMaisieを見ることができる。特にJamesとの結婚を意識し、結婚と仕事との間で悩むMaisieの心は、現代の人々にも共通するような気がする。
少しずつ第二次大戦に近づく世界状況、シリーズがどこまで続くのか楽しみである。

オズワルト・モズレー Oswald Mosleys
イギリス・ファシスト同盟指導者(Wikipedia「オズワルト・モズレー」

「「自信」が「過信」に変わった日 それを取り戻すための2年間」柏木陽介

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
現在浦和レッズの中心選手として活躍する柏木陽介がサッカーやチームに対する想いを語る。
比較的整った顔立ちであり、ユース時代から名前を知っていたせいか、順調なサッカー人生を歩んでいるような印象を持っていた。しかし、すでに28歳でありサッカー選手としてはベテランの域にさしかかりながらも、海外でプレーするわけでもなく日本代表で活躍する訳でもない。本書を読むとそんな柏木の悩ましい胸の内が見えてくる。
驚いたのは、柏木は非常にネガティブな人間だということだ。本書で本人もそれを繰り返し語っているが、かなり好不調の波が大きいらしい。スポーツ選手というと、中田英寿や中澤佑二のように自らを律してストイックにトレーニングに励む姿を思い浮かべるかもしれない。しかし、本書が与える柏木の印象は、ただひたすらサッカーが好きで練習に明け暮れていた結果プロになったというだけで、心は常に葛藤を繰り返す少年のようである。
また、母子家庭で育った柏木は広島ユース時代から、周囲の多くの人に支えられ叱咤されてここまでたどり着いたということも伝わってくる。多くの幸運な出会いが、人の人生を良い方に変える事も、悪い方にも変えることもあるのだろう。人との出会いの大切さを改めて感じた。
ちなみに、柏木は常に優勝争いをしながら優勝できない浦和レッズを優勝させる事が一つのサッカー人生の区切りと考えているようだ。その後は海外移籍も考えているというが、ぜひ実現させて欲しいと思った。
【楽天ブックス】「「自信」が「過信」に変わった日 それを取り戻すための2年間」

「Nothern Light」Philip Pullman

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
映画にもなった「ライラの冒険 黄金の羅針盤」の原作である。ヨーロッパではハリーポッターと並ぶほど有名なファンタジーの物語という事で興味を持った。
ライラ達の住む世界では、すべての人間はdæmonという動物と常に行動している。そしてその動物は状況に応じて数種類の動物に姿を変えるのである。例えばLyraのdæmonはPanatalaimonと呼ばれ、状況に応じてネズミになったり竜になったりするのである。その世界では人間とdæmonと呼ばれる動物との関係は特別なものと認識され、人間が思春期を迎える頃にdæmonは姿を変えることをやめて1つの形に落ち着くのである。
タイトルにもあるように、本書はライラの周囲の人がオーロラの不思議な力に魅せられたことから始まる。冒険家であるライラの叔父Asrielは北に向かって旅に出る一方で、ライラには魅力的な女性であるMrs.Coulterによって、それまで過ごした街を出るのである。
やがて、ライラは未来を予知する羅針盤の力を借り、さらに魔女やジプシー等と協力して北へ向かうこととな

「なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?」岩田アリチカ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
なぜか日本では今でも、企業によっては眠らないで働いていることを自慢する人間がいる。その一方で新しい文化を取り入れ常に効率よく働くことを目指す企業や人たちは、眠りの質を高めることを重視し始めている。本書はそんな眠りに対する意識の変化と、眠りの質を向上させる方法について語っている。
僕自身5年ほど前に朝6時までに起きて勉強するという生活を続けている。本書を読む以前から眠りの重要性を理解しているので、眠りの重要性を説いた前半部分で特に参考になるような内容はなかったが、後半に描かれていた眠りの質を高める方法。例えばコーヒーを飲む時間や、腹式呼吸、寝る前の入浴の仕方などは、なかなか取り入れるのは難しいが参考になった。
朝型になると年収が上がる、とか、社長は朝型が多い、とか、キャリアにひもづけて眠りの質野向上の有用性を語っているところが少し残念である。年収やキャリアにそれほどこだわりのないひとにとっても、充実をした人生を送るためには眠りの質を上げることは重要なはずである。。
むしろ、相変わらず寝ないで働く事が偉いと思っている人こそ読むべき本だと思った。
【楽天ブックス】「なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?」

「伝え方が9割」佐々木圭一

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
伝え方を変えるだけで、1割の成功確率のデートの誘いが5割、7割にもなる。そんな自分の望む方向へ人生を変えるための「伝え方」の極意は決して一部の才能ある人だけに与えられた物ではなく、誰しもが意識して言葉を紡ぐ事によってできることなのである。本書はそんな「伝え方」を語る。
本書で語るそんな「伝え方」の秘訣は次の5つに集約される。

サプライズ法
ギャップ法
赤裸々法
リピート法
クライマックス法

である。どれも言われてみれば単純で、たとでばサプライズ法は「!」をつけるだけという簡単なものからいくつか紹介されている。確かに「!」の文字一つあるかないかでずいぶん受ける印象は変わるものだ。
またギャップ法というのはスタート地点を下げて、本当に言いたい事を相対的に強調する方法である。

これは私の勝利ではない、あなたの勝利だ。
嫌いになりたいのに、あなたが好き。

どちらも後半だけでの意味が通じるのだが、前半がある事によって強調されるのがわかるだろう。その他の赤裸裸法、リピート法、クライマックス法などもおそらく想像するのはそれほど難しくないだろうが、慣れるまで若干時間がかかりそうだ。メールだけでなくLINEやFacebookなど、テキストによるコミュニケーションがより広まってきた今だからこそ、言葉の伝え方を見直すときなのかもしれない。
【楽天ブックス】「伝え方が9割」

「海の翼 エルトゥールル号の奇蹟」秋月達郎

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
イランイラク戦争の際、日本人を救出するためにトルコが航空機を飛ばした話は有名である。それは1800年代後半に起きたエルトゥールル号の恩返しであった。
僕自身もトルコを訪れた事があり、トルコ滞在中には日本が本当にトルコに愛されている事を感じてその理由を知ろうとした事もある。だから、エルトゥールル号の物語とイラン・イラク戦争のときのトルコの行動は知識としては知っていたが、それが本書で書かれているような劇的なものだとは思っていなかった。
本書で描かれている、日本人のトルコ人の救出や、また一方で、トルコ人達の日本人の救出は、決して政治的な駆け引きなんかではなく、一般の人々の助け合いの結果なのである。トルコに行った事ある人や、これからトルコに行こうとしている人にはぜひ読んで欲しいと思った。
また、トルコ共和国の初代大統領であるアタチュルクについてもトルコに行ったときに名前だけは知っていたが、日本人から大きな影響を受けていたことは初めて知った。
恩を忘れないトルコ人の姿から僕ら日本人も学ぶ物があるだろう。
【楽天ブックス】「海の翼 エルトゥールル号の奇蹟」

「インデックス」誉田哲也

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
姫川玲子シリーズ。
今回は短編集という事で、姫川玲子を中心とした8つの物語が収録されている。このシリーズは「ストロベリーナイト」「ソウルケイジ」など長編が人気があるが、個人的には短編集である「感染遊戯」や本書が好きである。
本書でも中程に収録されている「彼女のいたカフェ」が非常にいい感じである。書店に併設されたカフェの店員目線の物語で、特に理由もなくカフェのスタッフを始めた彼女が、毎日そこで難しそうな本を読む女性に恋するという内容である。もちろん、その女性が姫川玲子であり、やがてカフェに姿を現さなくなる…という物語であるのだが、その数年後に事件を通じて2人の再会を描くのである。
まだ、ほかの章では、ブルーマーダーの事件や、過去に殉職した姫川の部下について描いたりするなど、どうしても一冊ずつ間隔があいてしまうために内容についていくのは難しいが、姫川玲子の捜査に対する信念や部下に対する温かい思いが伝わってくるだろう。
【楽天ブックス】「インデックス」

「たま高社交ダンス部へようこそ」三萩せんや

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
高校入学と同時に、食べ物に釣られて社交ダンス部に入部してしまった雪也(ゆきや)だが、徐々に社交ダンスの魅力にはまっていく。しかしやがて部の存続をかけて競技会に出場する事になる。
社交ダンスのモチベーションを上げるために、社交ダンス関係の本をなんでもいいからと思い、本書に出会った。少しずつダンスの魅力にはまっていく流れは、非常にありがちではあるものの、挿絵も非常に奇麗で、普通に楽しむ事ができた。特に目新しさはないが、ダンスに興味を持っている人、普段楽しんでいる人が少し違った角度から改めてダンスに目を向けようとしたときには本書はちょうどいいかもしれない。
【楽天ブックス】「たま高社交ダンス部へようこそ」

「「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論」酒井崇男

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
なぜアップルやグーグルやトヨタは成功し、日本の電気・半導体・通信・IT企業は完敗してしまったのか。それは「タレント」の重要性を理解していたか否かなのだ。本書はそんな視点で企業が発展して行くためにどのようにしてタレントと向き合うかを語っている。
今や、材料や労働力はどこでも手に入れる事ができるので、物を作るのは人件費や物価の低いところを選ぶ事ができる。そうなると企業として重要なのは何なのだろう。本書はそれを「設計情報」だと主張する。優れた設計情報」さえできあがれば、あとはそれをひたすら各地で現実に存在する物やサービスに転写するだけなのである。そしてその「設計情報」を作る人こそが「タレント」と呼ばれる人なのである。
「タレント」というとなんとなく「すごい人」という印象しかないが、プロフェッショナルやスペシャリストと比較するとタレントというものが何なのか分かりやすいだろう。

単なるスペシャリストは、知識を活用する「目的」よりも「知識そのもの」にアイデンティティを持っている人が多い。プロフェッショナルも同様である。一方、優れたタレントは、知識にせよ職業にせよ、「目的」を達成するための「手段」だと考えているところに際立った特徴がある。

世の中がただ一言「天才」とか「才能のある人」と読んでいる人の正体が分かった気がする。
また本書は後半でタレントを育む事の成功例としてトヨタの主査制度を挙げている。興味深いのは、トヨタの主査制度は日本よりもアメリカで高く評価されている点だろう。
著者は言う。アメリカは日本ほど新たな文化を創造するのは得意ではないが、いいものを徹底的に分析して取り入れる能力は非常に高く、日本で生まれた主査制度もそうやってアップルなどの企業で成果を上げたのである、と。
アメリカという国の見方が少し変わった。
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「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」オリバー・ヴェッセル・テルホーン

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
魅力的なボールルーム王者だったビルとボビー・アービンの哲学を語る。
解剖学からダンスの姿勢を語っている。体の各部の骨の名称を用いて姿勢やライズ&フォールの体の動きを説明しているが、なかなか文字だけで理解するのは難しい。それでもいくつかダンスの動きや姿勢のあるべき姿として気付かされるものはあるだろう。
本書によって、長い間疑問だった、フェザーステップとフェザーフィニッシュの違いはようやく理解する事ができた。

フォーラウェイリバース&スリップピボットではフットワークもよく間違われます。これを踊る際にとても重要なことは、男性は自分のウェイトをしっかりトウの方に持って行くことです。男性が2歩目に入る所をこんな風に想像してください。ーー男性の右足トウの下にはコインがあります。そのコインを3歩目から4歩目のスリップ・ピボットまで引きずって行くのです。そうすれば2歩目右足のヒールを下ろすばかりか、トウまで上げてしまうという、間違いを避けることができるでしょう。

後半ではダンスの歴史についても多くのページを割いて説明している。クイックステップやスローが生まれた歴史的背景も知っておくと面白いかもしれない。
そもそも文字だけで動きをすべて説明しようとするのに無理があるのか、僕のダンスに対する理解が、まだ本書を理解する程度まで達していないのかはわからない。数年後にまた読んでみたいと思った。
【楽天ブックス】「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」

「いのちのダンス 〜舞姫の選択〜」吉野ゆりえ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
学生時代からダンスに打ち込んで、海外でも活躍した著者だが、ダンスパートナーでもあった夫と分かれてから、苦難の人生が始まる。
5年生存率わずか7%という難病を患うのである。担当医との確執などを経ながら、再発と手術を繰り返して行きていく様子が描かれて行くが、本書は闘病記ではない。病気と闘いながらブラインドダンスなど目の不自由な人のためにダンスを教える事に尽くし、できる範囲で一生懸命生きることの大切さを教えてくれるのである。
また、同じダンスをする人間として、著者が関わったブラインドダンスというものに興味をかきたてられた。ダンスをしていない人にとっては想像しにくいかもしれないが、社交ダンスに置いて相手の動きを察知する能力というのは非常に大切で、目の不自由な状況こそ、その能力をもっとも伸ばす事ができるに違いない、と思うのだ。
【楽天ブックス】「いのちのダンス 〜舞姫の選択〜」