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ただ美しいものを作れるだけじゃなく、一歩上のデザイナーになりたいデザイナーが読むべき本

英語読書初心者向け

英語は簡単だけど面白い、そんな面白さと英語の易しさのバランスの良いものを厳選

英語でしか読めないおすすめ

英語で読む以上、英語でしか読めない本を読みたい。現在和訳版がない本のなかでぜひ読んでほしい本。

「Intuitive Design Eight Steps to an Intuitive UI」Everett McKay


オススメ度 ★★★★☆ 4/5
「直感的なUIが良い」と、多くの人は言うが、そもそも「直感的なUI」とはなんなのか。これまで曖昧に語られてきたデザイン要素を定義し、すぐれたUIを作るための手法を説明している。

まず、本書では直感的なUIのための指標として次の8つの要素を挙げている。

Discoverability
ターゲットユーザーが目的を達成するためのUIを発見できるか

Affordance
ターゲットユーザーに操作可能なUIであり、どのように操作するかが伝わるか

Comprehensibility
ターゲットユーザーがそのUIの意味を理解できるか

Feedback
ターゲットユーザーの現在の状況や操作の結果を正確、明確かつ即座に示せているか

Predictability
ターゲットユーザーが操作する前にその操作の結果を予測できるか

Efficiency
ターゲットユーザーが不要な動作や繰り返しをせずに最優先事項を完了できるか

Forgiveness
ターゲットユーザーの誤操作を防げるか、誤操作による打撃を最小限に抑えているか、誤操作から簡単に復旧できるか

Explorability
ターゲットユーザーがミスをすることや迷うことを恐れずに使えるか

ちなみに、この8つの要素では、これまでに多く語られていた、一貫性(Consistency), 学習可能(Learnability)は次の理由によって除外されている。

一貫性(Consistency)
世の中には良い一貫性と悪い一貫性があることを認識しなければならない。もしあるUIに対して「この一貫性が何かいいことがあるの?」という問いに「一貫していること」としか答えられないなら、それは悪い一貫性である。

学習可能(Learnable)
直感的なUIの目的は、学ぶ必要性さえもなくすことである。

以上の8つの要素はこれからUIを評価する際に常に意識しておきたいと思った。しかし、次のような例外があることも忘れてはならないだろう。

すべてのUIのDiscoverabilityを向上しようとすると、乱雑なUIになる。Discoverabilityはもっとも重要な要素に絞るべき。
過度のComprehensibility, Predictabilityは多くの説明を必要とする。他のUIの8要素を犠牲にしない程度にする。
削除、入力項目のキャンセルなど不可逆な結果をもたらすUIは、Forgivenessを過度に重視する必要はない。
MVPでは、Discoverability, Affordance, Comprehensibility, Predictability以外の項目は除外してリリースし、以降の項目は次のリリースにまわしてもよい。

以上が本書のもっとも焦点をあてて説明している箇所であるが、他にも役に立ちそうな考え方がいくつか含まれていた。

まずは、直感的UIの段階的指標で、

  • Fully Intuitive
  • Sensible
  • Learnable
  • Guessable
  • Trainable
  • Beyond Hope

その他にもUX達成のための7階層

  • 7.Beauty, visual design, emotion, delight, brand
  • 6.Scenarios, personas, usergoals, value, satisfaction
  • 5.Usability, real user data, conversion, other metrics
  • 4.Design principles, guidelines, patterns, consistency
  • 3.Mechanical usability, business goals
  • 2.Technology, code, UI frameworks
  • 1.Personal opinion, “gut” instinct, “Trust me I’m designer”

というものがあり、こちらは組織の現在のUX達成の立ち位置を測る基準となるだろう。

後半では、Streamlined Cognitive WalkthroughsというUIを評価するための考え方が紹介されている。

  • 1.ユーザーはどのようにしてここですべきことを理解するか?
  • 2.ユーザーが正しい行動をしたら、どのようにそれがわかるか?
  • 3.ユーザーが間違ったことをしたら、どのようにしてそれがわかるか?
  • 4.ユーザーが間違ったことをしたら、どのようにそれを修正できるか

これらは上に挙げた8要素を言い換えたものであるが、組織に広めるためにはこちらの考え方のほうがわかりやすいようにも見える。状況に応じて使い分けていきたい。

全体的に非常に面白く、どの考え方もぜひ組織に取り入れてみたいと思った。取り入れる過程でまた該当部分を読み直したいと思った。

「良い戦略、悪い戦略」リチャード・P・ルメント

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
本書は、世の中に溢れる、悪い戦略の多さを嘆き、良い戦略を立てるための手助けのために、良い戦略と悪い戦略の違いを、豊富な実例を交えながら説明している。

戦略の基本は、最も弱いところにこちらの最大の強みをぶつけること、別の言い方をするなら、最も効果の上がりそうなところに最強の武器を投じることである。

言葉にすると当たり前のことに聞こえるが、実際多くの組織の戦略はこれができていないのである。以降、順を追って、悪い戦略と良い戦略を説明している。まず、悪い戦略の4つの特徴として次の4項目を挙げている。

空疎である
重大な問題に取り組まない
目標を戦略ととりちがえている
まちがった戦略目標を掲げている

3番目の「目標を戦略ととりちがえている」は、これまで所属してきた組織の中で何度も経験してきたことなのだが、こうはっきりと説明されるまでその「間違った戦略」具合に気づかなかった。

本書では、良い戦略にはしっかりとした論理構造があり、カーネル(核)とよばれる次の三つの要素が存在するとしている。

診断
診断では、少なくとも悪い箇所を特定し、病名をはっきりさせなければならない。断片的な兆候や症状からパターンを割り出し、どこに注意を払い、どれはあまり気にしなくてよいかを選別する。すぐれた診断は、ときに状況に対する見方を変え、まったく新しい見通しを示してくれる。

基本方針
診断によって判明した障害物を乗り越えるために、どのようなアプローチで臨むかを示す。

行動
多くの人が基本方針を戦略と名づけて、そこで終わってしまう。戦略は行動につながるべきものであり、何かを動き出せるものでなければならない。

そして、上のようなカーネルの元で、強みを生み出し、活用する方法を、続く章で次の項目を詳細に説明している。個人的に本書のなかでもっとも印象的な部分である。

テコ入れ効果
近い目標
鎖構造
設計
フォーカス
健全な成長
優位性
ダイナミクス
慣性
エントロピー

これからも折を見て読み返して、より深く理解したいと思った。

【楽天ブックス】「良い戦略、悪い戦略」

「P&G式「勝つために戦う」戦略」A・G・ラフリー、ロジャー・L・マーティン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
P&Gの歴史や内部の出来事を例に、戦略について体系的に説明している。

まず本書では戦略を次の「5つの選択」としている。

(1)勝利のアスピレーション
 どんな勝利を望んでいるのか?
(2)戦場選択
 どこで戦うか?
(3)戦法選択
 どうやって勝つか?
(4)中核的能力
 勝つためにはどんな能力が必要か?
(5)経営システム
 その戦略的選択をするためにはどんな経営システムが必要か?

そして、「5つの選択」と同じように大事なのが、戦略的論理フローという枠組み、およびリバースエンジニアリングというプロセルなのだという。続く章では、この5つの選択と1つの枠組み、1つのプロセスについて例に挙げながら説明していくのである。

「5つの選択」のなかの最初の3つは、よく聞く項目であるが、それでも新しい学びはあるもので、例えば戦場選択について本書では次のいずれかであると説明している。

地理
製品タイプ
消費者セグメント
流通チャネル(消費者にどうやってリーチするか?)
製品の垂直的段階(製品製造のどの段階に参入するか?バリューチェーンのどの位置を占めるか)

製品タイプ 消費者セグメント 流通チャネル(消費者にどうやってリーチするか?) 製品の垂直的段階(製品製造のどの段階に参入するか?バリューチェーンのどの位置を占めるか)

地理、製品タイプ、消費者セグメントあたりは「戦場選択」という言葉を聞いたときにすぐに思いつくかもしれないが、流通チャネル、製品の垂直的段階という戦場選択があることはついつい忘れがちである。

そして本書で印象的なパートは、「5つの選択」の後半以降である。中核的能力は「勝つための能力」であり
、本書ではその能力は結局次のいずれかに当てはまるとしている。

消費者知見(買い物客やエンドユーザーを本当に理解する能力)
イノベーション
ブランド・ビルディング
市場攻略能力
グローバルな規模

そして(5)の「経営システム」とは、これらの選択と能力を支援するシステムを組織のなかに築くことである。それができてはじめて機能する組織が出来上がるのである。そのためのシステムを

戦略を立案・レビューするシステム
中核的能力を支援するシステム

の2つに絞って説明しており、立案した戦略をレビューできない以前のP&Gを悪い例としてあげている。

もっとも印象的だったのが、最後の「リバースエンジニアリング」と呼ばれるプロセスである。それは戦略の作り方である。

(1)選択肢の枠組み
(2)戦略の選択肢を作る
 選択肢を目標に至るまでの幸福な物語の形で表現する。
(3)前提条件を特定する
 選択肢が有効に機能するためにどのような前提条件が必要なのかを明確にする。チーム全体が一丸となって行動するために重要。
(4)選択肢の阻害要因を洗い出す
 案に批判的な目を向け、実現の難しい条件を整理する。懐疑派のメンバーの意見をよく聞くことは全員が納得するためにも重要なステップ。
(5)検証策を立案する
(6)検証を実施する
(7)選択する

としている。やはりポイントは(4)の阻害要因の洗い出しを、(2)の選択肢を作るフェーズと完全に分けている点だろう。ブレインストーミングの原則にもあるように、アイデアの拡散フェーズと収束、検証フェーズを明確に区別してこそ、組織の中にある多数の知見を効果的に行かせるのだ。

その一方で、上がったアイデアを徹底的に検証する方法を、よくある悪い戦略づくりの例として、「時間のかかりすぎ」「妥協に流される」「創造性が失われる」と一蹴している。そのような悪い戦略づくりを毎日のように目にしている僕にとっては非常に耳の痛い話である。今度機会があったら、本書で勧めているように「前提条件」「阻害要因」を明確にする方法で取り組んでみたいと思った。

企業戦略について、新たな視点をたくさんもたらせてくれた一冊。残念ながらすべて理解できたとは言い難い。繰り返し読み直したい。

【楽天ブックス】「P&G式「勝つために戦う」戦略」

「メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間」奥平和行

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
メルカリの創業から上場までのその急成長を描く。

フリマアプリという、特に画期的なアイデアではないにもかかわらず、わずか5年でユニコーン企業へと成長したメルカリ。他のフリマアプリとどんなところが違ったからここまで急成長できたのだろうか。その理由を知りたくて本書を手に取った。

個人的に印象的だったのはアメリカでメルカリを普及するために、日本とは大きく異なるブランド戦略をとったことである。日本の赤いロゴとは異なり、アメリカでは青いロゴ、青いUIにしたうえで、「売るためのアプリ」であることを強調したのだという。文化や地域によって戦略を変えるのは、当たり前のことに聞こえるだろうが、実際にアプリを開発している状況を知って入ればそれが簡単な決断ではないことはわかるだろう。

また、メルカリがインドの優秀な学生の採用に力を入れている点も本書を読んで知った。すでにIT業界ではメルカリが優秀なエンジニアを徹底的に採用しているのは周知の事実であるが、その徹底した採用戦略に驚かされた。

結局、急成長のための明確な理由はわからなかった。運やタイミングにめぐまれるという部分はもちろんあっただろうが、それ以上に、経営者の周囲にあった人脈ゆえの良い出会いが大きな要素だったのだと感じる。そして、今、その成長して大きくなったがゆえのさまざまな問題に現在ぶつかっているという。本書で描かれている内容をふまえたうえで、引き続きメルカリの動向を注意してみてみたいと思った。

マイクロサービスアーキテクチャー

【楽天ブックス】「メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間」

「極夜行」角幡唯介


オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
北極などの極地では、太陽が昇らず、月も昇らない「極夜」という暗黒に包まれた時期がある。本書はそんな「極夜」に魅了された著者の80日にわたる極夜旅行の記録である。

地球は丸く地域によって、日の長さにが異なることは常識とし知っているが、それでも赤道付近は暑く、北欧の白夜程度というものが存在する、という程度までだろう。人の住まない、北極や南極がどのような様子かまでは今までまったく意識してこなかったということに、本書を読んで気づかされた。

北極点とは半年が極夜で半年が太陽の沈まない白夜、つまり日の出と日の入りが年に一度づずしかない極端な場所のことである。

著者は、犬を連れてグリーンランドのシオラパルクを出発し、事前に食料や燃料を貯蔵しておいた場所を経由しながら極夜旅行を続ける。そんななかシロクマによって食料が荒らされていたり、ブリザードにあったりと予想外の困難に出会いながらも、狼やウサギを狩ったりしながら一つずつ乗り越えていく様子が面白い。

写真がもう少し添付されているとありがたいと思ったが、考えてみれば極夜だから写真を撮るのは難しいのだろう。人生においてまず見ることのないだろう世界を垣間見せてくれた。

【楽天ブックス】「極夜行」

「スティグマータ」近藤史恵

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ツール・ド・フランスを走ることになった白石誓(しらいしちかう)は、対戦相手でありかつての英雄、ドミトリー・メネンコからチーム内のある人物に注意を向けるよう依頼される。そしてレースは始まる。

「サクリファイス」に始まる近藤史恵のロードレースを扱ったシリーズの第5弾である。感覚が2,3年ずつ開いてしまうので前作をよく覚えていないのだが、現在白石誓(しらいしちかう)はフランスを拠点としてプロのサイクルロードレーサーとして生活している。

このシリーズを読んでいる人には言うまでもないが、白石誓(しらいしちかう)は優勝を狙うようなレーサーではない。むしろ同じチームのエースを優勝させるために、風除けや囮となるアシスタントとして働くレーサーである。そんな設定が、ロードレースの特殊性と、他のスポーツにはない深みを感じさせれてくれる。

本書でも、すでに30を過ぎてキャリアの終わりが見え始めたレーサー達の葛藤が面白い。かつての英雄や、期待されながらも思ったような成績を収めることのできないエースなどである。本書では特に、かつての英雄でドーピングによってロードレース界から姿を消したドミトリー・メネンコの復活劇に焦点をあてている。彼は本当に以前のように戦えるのか、彼を取り巻く不安の影の正体はなんなのか。

そんな様々な要素や人間関係を織り交ぜて、23日間のツール・ド・フランスを描いている。ロードレーサーという、自分が選ばなかった生き方を少し体感できた気がする。

【楽天ブックス】「スティグマータ」

「Design Systems」Alla Kholmatova

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
組織が大きくなり、複数のデザイナーで共同作業するようになると、デザイナー同士の共通認識が必要になってくる。それが本書のテーマ「デザインシステム」である。デザインシステムは見た目のデザインだけでなく、社内のフローまでも大きく改善するのである

自分自身がデザインリーダーとしてデザインシステム構築のリードをする立場に立ち、これまでに所属した組織のなかで培ってきた考えを、いくつかの先人たちの知恵と比較して改善したいと思い、本書を手に取った。

本書は、前半ではデザインシステムのメリットや考え方を説明し、後半では組織の中でそれを構築する方法を説明している。特に後半のプロセスの部分は面白い。

本書ではデザインシステムにおいって定義すべきパターンをFunctional PatternとPerceptual Patternの2つに大別しており、それぞれのなかでさらに詳細な進め方を説明している。

Functional Patternについては次の順番書いており、それぞれのなかでその考え方や方法も説明している。

Identify Key Behaviors
Group Existing Elements By Purpose
Define Patterns
Naming

また、Perceptual Patternについては

color
interactive states
typography
spacing
iconography styles
shapes and borders
illustrations
photography
voice and tone
sounds and audio

に分類して語っている。

こうやって書いた見ると、デザインシステムとは非常に厳格なルールのように聞こえるかもしれないが、どれほどデザインシステムを厳格に運用するかはその組織の文化に大きく依存する。本書ではAirbnb, Atlassian, Shopifyなどの有名な企業のデザインシステムを例にとって、その厳格さや自由さの例を挙げている。またデザインシステムの維持をする方法も、担当者や部署を割り当てる方法もあれば、全体で共有し発展させていく方法もあり、どん方法が機能するかは組織で選択すべきだという。

なかなか全体の流れをイメージできなかったデザインシステムの構築から運用までが、具体的に説明されておりとても参考になった。実践する際にはまた読み返すことになるだろう。

「Lead with a Story」Paul Smith

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
人間は規則や心がけを伝えただけではすぐに忘れてしまう。しかし、よくできた物語は人の記憶にしっかり残り、聞いた人はまた別の人に語って聞かせることさえある。だから、本当に伝えたいことを伝えるために、そしてそれを組織の中に浸透させるためには物語として伝えることは非常にいい。

本書はそんな物語の伝え方を、ビジネスシーンで発生しそうな様々なシーンにあわせて紹介している。物語の作り方、語り方だけではなく、印象的な多くの物語に触れることができる。本書を読んだだけで最低でも10個は人に語り伝えられる物語を手に入れられるだろう。

個人的には

– 陪審員のテーブルの話
– 檻の中の猿の話
– 震災中に自動販売機に並んだアメリカ人の話
– グァテマラの交差点で出会った少年の話
– 近づくほど小さくなる巨人の話
– 怪我をしながら完走したマラソンランナーの話

などが印象に残った。

後半では自分自身で物語を作り出す方法を書いている。本書の物語の受け売りだけでなく、オリジナルの物語を今後集めていきたいと思った。

「クリスティアーノ・ロナウド 生きる神話、知られざる素顔」竹澤哲

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
現在メッシと並んで世界最高の選手と言われるクリスティアーノ・ロナウドについて書いている。

偉業を成し遂げたチームの監督やサッカー選手などの話は、挑戦の連続で、どんな話も非常に刺激的で自分自身の人生のヒントとなる部分が多い。今回もそんな刺激を求めて本書を手に取った。

現在、メッシと並んで最高の選手と評価されるクリスティアーノ・ロナウドだが、一般的にはメッシは努力家、ロナウドは才能によって現在の地位に上り詰めたように受け取られているのではないだろうか。僕自身もそれに近い感覚を持っていた。しかし、本書を読むと、ロナウドも練習を怠らない努力家だとわかる。

前半はロナウドの幼少期からマンチェスター・ユナイテッドに入団するまでを描いており、家族の物語として読めるが、後半はチャンピオンズリーグやワールドカップなどの話が多く、サッカーに詳しくない人にはわかりずらいかもしれない。ロナウド自身についてだけでなく、ポルトガルという小さな国の歴史と、小さな国であるがゆえのサッカーにかける国民の思いなども教えてくれるので、2016年のポルトガルのユーロ優勝がどれほど国民が待ち望んだことだったのか知って驚くだろう。

今度はメッシの本も読んで見たいと思った。

【楽天ブックス】「クリスティアーノ・ロナウド 生きる神話、知られざる素顔」

「最短で目標を達成するOKRマネジメント入門」天野勝

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
OKRの導入の方法について説明している。

OKRの本は「OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法」と「Mueasure What Matters」と読んで理解したつもりでいたが、実際に組織に導入しようと思うとなかなかうまくいかない。うまくOKRを導入するためのヒントが見つかるのではないかと思い本書にたどり着いた。

本書は上に挙げた2冊のようにOKRの導入事例は一切書かれていない。そういう意味では、本書だけでOKRを理解するのは難しいだろう。本書で説明している方法は筆者がOKRを導入する中で試行錯誤した結果であり、元々のOKRの考え方に、アジャイルのスクラムの考え方を組み合わせたような形になっている。OKRがどのようなものかを理解したい人は、どこまでがOKRでどこからがカスタマイズしたものなのか区別しずらいだろう。

しかし、すでにOKRの知識を持っている人には、その導入方法についてヒントが見つかるかもしれない。個人的には

チームの境界を決める

といったあたりが、OKRを機能させるためには重要な気がする。他にもOKRに役立ちそうなインターネットサービスなども多数紹介されている。より実践的なOKRの本と言えるだろう。

【楽天ブックス】「最短で目標を達成するOKRマネジメント入門」

「エンジェル投資家」ジェイソン・カラカニス

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ウーバーへの投資などに関わり、シリコンバレーのエンジェル投資家として成功した著者ジェイソン・カラカニスがその投資の技術や情熱、そして投資の倫理について語る。

エンジェル投資という普通の人がなかなか馴染みのない世界、さらに言えば、人生においてその技術を活かすことがあるのかどうかすらわからない話なので、なぜそんな本を手に取ったのだろう、と思うかもしれない。しかし、考え方を変えれば、スタートアップなどの企業が成功するためには資金調達は避けて通れず、そこに資金を投じてくれる人たちの考え方を理解することは決して無駄ではない。まさに本書を手に取ったのは自分自身が今後もスタートアップで働いていくだろうと思っているからである。

本書はシリコンバレーでの投資についてかからており、著者自身もアメリカのなかでもシリコンバレーがもっともエンジェル投資に向いている、と書いている。つまり、日本はまだまだ法律的、環境的など様々な面で追いついてないのだろう。

興味深いのは、著者が、投資すべき企業を判断する際には、そのサービスよりも創業者の人柄を重視するといこと。なぜなら、スタートアップが続かない理由の大部分が、実は僕らが思うような「資金が尽きること」ではなく、「創業者のモチベーションが尽きること」だからだそうだ。僕らがスタートアップの創業者に対して持つイメージは、大金を稼いでいることかもしれないが、実際にお金を稼ごうと思ったら、スタートアップを創業するよりも大企業に勤めた方が何倍も楽で、そんな周囲の誘惑に惑わされず自ら立ち上げたサービスを大きくするために長く情熱を注げる人間を見極めることが大切なのだという。

著者は、次の4つの質問を、創業者を見極めるための最初の質問として使っている。

この創業者はなぜこのビジネスを選んだのか?
この創業者はどこまで本気なのか?
この創業者がこのビジネスで成功するチャンスはどれくらいかーー人生ではどうか?
成功したときの収益や私へのリターンはどのくらいか?

年間何十件ものスタートアップの創業者とのミーティングを重ねる著者が、短時間で創業者の人柄を判断するためにとたどり着いた質問である。必ずしもエンジェル投資家だけでなく、転職先を探しているような人も、この質問は役にたつかもしれない。

全体的には、やはり異なる世界の出来事という感は最後まで拭えなかったが、ソーシャルレンディングなど、上場企業以外への投資が少しずつ一般へ広がる中、機会があれば本書で書いてあることを実行してみたいと思った。

【楽天ブックス】「エンジェル投資家」

「Design Leadership」Richard Banifield

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
デザインのチームを機能させるための考え方を、多くの成功しているデザイン企業から紹介している。

この先、デザイナーとして組織に関わる中でチームを率いることが増えると考え、本書にたどり着いた。本書でで紹介されている多くの方法は、決して著者が「正しい」と考えていることではない。著者がインタビューした多くの企業のリーダーたちの声を紹介しているだけである。その人のこれまでの経験から発せられた意見に過ぎず、決してどんな企業にも当てはまることではないし、なかには相反する意見もふくまれている。それでも、日本のデザイン企業よりもはるかに多様な人材と多様な文化の入り混じったデザインチームを機能させているリーダーたちの声はどれも非常に参考になる。

そんななか最も印象的だったのが、働く場所へのリーダーたちのこだわりである。オフィスのある都市や、オフィスのレイアウトがチームの文化への影響の大きさをどのリーダーも強調するのである。その他にも、採用の際に悩みがちな、「技術で選ぶか、情熱で選ぶか」など発展段階にある組織が遭遇する困難の多くに触れている。

そんななかでも結局、リーダーの役目はこちらの言葉に集約されている気がする。 リーダーの仕事は、自分の意思を押し付けることではなく、創造性が発揮される場所をつくることだ。

また、リーダーとして組織を導く中で、困難に出会ったら読み返したいと思った。

「リーン・イン」シェリル・サンドバーグ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグが女性向けのキャリア形成の方法を語る。

シェリル・サンドバーグのような女性が書いた本ということで、「女性も男性と同等の能力がある」という強い信念を持った生き方を語るのかと想像していたが、実際には、彼女自身のキャリアの過程で、女性であるがゆえに受けた差別や、自分自身が遠慮した結果逃したチャンスなど、常に自分自身の失敗談と向き合い学ん鼻知ったことを女性たちに向けて伝えている。

僕自身、普段から「男女平等」なふるまいをしているつもりではある。しかし、本書で彼女が語る、女性と男性の立場の違い、扱いの違い、振る舞いの違いを知ると、思っていたよりも、はるかにたくさん男女の差は存在するのだとわかる。そのうちのいくつかは、男性側の無神経さからくるものもあるが、「成功した男性は好かれるが成功した女性は嫌われる」という世の中全体が持っている価値観からくるものあり、男女平等という世界の実現にはまだまだ道のりが長いことを思い知らされる。

キャリアはマラソンだと想像してほしい。マラソンのスタートラインに男性ランナーと女性ランナーがついたとする。どちらも同じだけ練習を積み、能力も甲乙つけがたい。二人はヨーイドンで走り出し、並走を続ける。沿道の観衆は、男性ランナーに「がんばれー」と声援を送り続ける。ところが女性ランナーには「そんなに無理するな」とか「もう十分。最後まで走らなくていいよ」と声をかけるのである。

女性に対する接し方を改めて考えさせてくれる一冊である。

【楽天ブックス】「リーン・イン」

「Designing with Data」Rochelle King/Elizabeth F Churchill/Caitlin Tan

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Spotify、Netflixなどなど、IT業界の著名な企業が、ABテストなどの調査を利用してサービスのデザインを発展させる方法について書いている。

本書ではDataを利用した開発手法を3つに分類している。

Data Aware
Data Informed
Data Driven

Data Drivenは取得したデータを信用してデザインを行うのに対して、Data Awareは参考程度に利用するといった意味である。いずれの方法も取得したデータを利用するが、そのデータの重要視具合が異なるのである。僕自身Data Driven Designという言葉を、「データに忠実にデザインする」という意味に受け取っていたが、かならずしもそうとは限らないのである。

さてABテストの利便性はわかっても、数あるテストしたい項目は、コンテンツやサービスの方向性などの大きな項目から、ボタンの色や文言などの細かい項目まで多岐にわたる。本書では第3章からそんな大量の知りたい項目を体系立てて行っていく手法について説明している。覚えておきたいのは、目的からテストまでを5階層にわけた考え方。

Goal
Problem/Opportunity Area
Hypothesis
Test
Result

そして、探索と評価、グローバルとローカルの2つの軸にテストの内容をプロットする考え方である。

Exploration-Evaluation
Local-Global

デザイナーのなかには、直感やセンスなど経験で培っていた部分を大切にしていて、データによってデザインするという考え方に抵抗を持つ人も多いだろう。しかし、本書で描かれている手法は、まったくそんなデザイナーの創造性を否定しているわけではない。むしろ、データという実際のユーザーの反応にしっかりと目を向けることで、デザイナーの持つ経験や創造性をさらに効果的に発揮させることができると言っている。

なかなか一度読んだだけで実践するのは難しいだろう。今後実践のなかで何度でも読み返したい。

「Molly’s Game」Molly Bloom

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ロサンゼルスでウェイトレスとして働き始めたMollyはやがて、Readonという男性に雑用として雇われる。Mollyを自身がReadonが主催しているポーカーを手伝うこととなり、Mollyは大富豪たちの世界へと足を踏み入れていく。
Molly’s Gameという同名の映画を見て、もっと詳しいことを知りたくなり本書を手に取った。ギャンブルのことはほとんど知識がなかったため、テキサスホールデムというルールや、コール、ベット、レイズ、フォールドの意味など、本書で書かれているギャンブル用語は知らないことばかりであった。そんななか驚いたのが、本書の中でも大きなターニングポイントとして描かれている、手数料の話である。州によって法律が異なるらしいが、手数料をとらなければ違法とはならないのだという。Mollyは実際、自身の主宰するポーカーでは手数料を一切とらず、参加者からのチップによって大きな利益を上げるのである。
やがてMollyはニューヨークへと場所を移し、さらに大きな利益を上げるのである。数年前には考えられないような豪華な生活と、誰もが羨むようなスターたちとともに過ごしながらも、虚しさを感じるMollyの葛藤が興味深い。その一方で、人生も含めて、大きなリスクをとることから離れられない、Mollyのお客となったギャンブル依存症のスターたちの生き方も面白い。
普通の生活をしているかぎり見ることのできない世界を、同じように数年前まで田舎者だったMollyの目線で見せてくれる。

「最強の営業法則」ジョー・ジラード

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
世界一の営業マンと呼ばれる著者がその営業手法を語る。
ジョー・ジラードという名前を知らなかったが、なぜか営業という仕事についている人が毎日どのように考えて仕事をしているのか知りたくなり、本書を手に取った。本書に書かれていることは、決して営業職に就いていない人には役に立たない内容ばかりではない。なぜなら、結局、営業の能力というのは、人と繋がり、人に好かれる能力なのである。つまり、人生におけるさまざまな場面で応用が利く能力なのだ。
本書の核となる考え方を一つ挙げるならば、著者が自らの名前を載せて「ジラードの250の法則」と呼んでいる法則である。簡単に言うと、どんな人でも250人程度の知り合いがおり、1人の顧客の気分を害せば、その噂は250人に広まることを覚悟しなければならない、というものである。もちろんこれは、いい方向にも考えられることで、人にいい印象を与えれば、それはやがて250人に伝わるということである。今はインターネットの拡散力も手伝って250どころではないかもしれない。
その他にも、本書ではいろんな営業手法や考え方を紹介している。実は本書はすでに40年も前に執筆された本ということで、インターネットを活用する方法などはもちろん含まれていないが、通常の郵便のように見せかけて人の記憶に残るという郵便による営業手法は、メールなどでも使えそうな方法で、機会があれば実践してみたいと思った。
【楽天ブックス】「最強の営業法則」

「おもかげ」浅田次郎

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
定年を迎えた竹脇正一(たけわきまさかず)はその帰り道に倒れて病院に運び込まれた。昏睡状態になった竹脇(たけわき)に対して、妻や友人、看護師などがそれぞれの立場とそれぞれの視点から竹脇(たけわき)を語る。
周囲の人々が、竹脇(たけわき)を見つめると同時に、竹脇(たけわき)自身も夢のなかで旅をするのである。その旅のなかで竹脇(たけわき)は一人の女性と出会い、それぞれの思いを少しずつ打ち明けていく。
なかなか大きな展開もないので時間がない時に読むとちょっとじれるかもしれないが、最後はそれなりに最後はほっこり感動できる展開。また、夢の中で竹脇(たけわき)は何度も地下鉄に乗るので、昭和の地下鉄の発展に興味がある人には楽しめるかもしれない。
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「Lost Symbol」Dan Brown

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
偽りの電話によってワシントンに呼び出されたRobert Langdonはそこで、友人であるSolomonの切断された腕を見つける。犯人と名乗る Mal’akhの電話によると、Solomonを救うためにLangdonはMason’s Pyramidを見つけなければならないのだという。
話の流れは前作「The Da Vinci Code」と非常によく似ている。「The Da Vinci Code」をすでに読んだ読者にとっては、扱っている内容と、舞台が異なるだけで、物語のスピード感や展開にあまり新鮮さは感じられないだろう。物語を通じて明らかになるアメリカの首都ワシントンD.C.の謎に興味がある人にとっては、これ以上のエンターテイメントはないのではないだろうか。
個人的には、すでにDan Brownがてがけた続編として「Inferno」や「Origin」があるにもかかわらず、あまり物語としての大きな新鮮さは期待できないのではないかとの印象を受けた。続編を読むか読まないかは現時点ではなんとも言えないところである。

「僕がアップルで学んだこと」松井博

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Windowsに押されて停滞していた時代と、iPhoneによって世界一の企業へと返り咲いた時代の両方を
経験した著者が、理想の職場と、仕事に対する姿勢について語る。
アップルに返り咲いたスティーブ・ジョブスが行なった改善は、一般的に言われる「割れ窓理論」というもので、細かいことまで徹底的に管理することで会社の文化を改善していくというものである。本書ではそんなジョブスの改革を現場にいた著者の視点から語っている。
また、後半では「社内政治と賢く付き合う方法」についても語っている。アメリカの企業というと、実力主義という印象を持っていたので、社内政治について書いてあるのは意外だった。
あまり秩序立った描き方がされているわけではなく、どちらかというと著者のアップル在籍時代の思い出、といった印象だが、組織を大きくするなかで活かせそうなヒントが詰まっている気がする。
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「経済ってそういうことだったのか会議」佐藤雅彦/竹中平蔵

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
経済について、だんご3兄弟などで有名ないメディアクリエーターの佐藤雅彦氏が竹中平蔵氏に解説してもらう様子を書籍にした。
今までにはないような説明で、竹中氏が経済を説明するところが面白い。個人的には、アメリカの通貨を利用して自国の通貨を持たないパナマの話や、資生堂にライバル心むき出しに挑むカネボウの話などが印象的だった。
すでに出版から15年以上が経過している本だから、現状と合致しない部分もあるかもしれないが、経済に対する見方を広めてくれるかもしれない。
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