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悲しいとかハラハラするとか怖いとか必要なく、ただただほんわかして、暖かい気持ちを感じたい人におすすめの本

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世界の大きな流れを知りたい人向け

深い物語

いろいろ考えさせられる、深い物語

生き方を考える

人生の密度を上げたい方が読むべき本

学習・進歩

常に向上していたい人が読むべき本

組織を導く人向け

日本の経済力を強くするために、組織づくりに関わる経営者などにおすすめしたい本

デザイン

ただ美しいものを作れるだけじゃなく、一歩上のデザイナーになりたいデザイナーが読むべき本

英語読書初心者向け

英語は簡単だけど面白い、そんな面白さと英語の易しさのバランスの良いものを厳選

英語でしか読めないおすすめ

英語で読む以上、英語でしか読めない本を読みたい。現在和訳版がない本のなかでぜひ読んでほしい本。

「グラフィックの天才たち。」ペン編集部

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
過去の代表的なグラフィックデザインを紹介している。

亀倉雄策(かめくらゆうさく)やポール・ランドなどの有名なグラフィックデザイナーとその作品を、原研哉や佐藤可士和など現代のアートディレクターたちが言葉とともに紹介していく

亀倉雄策(かめくらゆうさく)は実は名前しか知らなかったのだが彼がTDKやNTTのロゴデザインをしたというのは本書を通じて初めて知った。パソコンが世に出ていない時代にどのようにデザインをするのか、インターネットがなかった時代にどのようにアイデアを生み出すか、それだけで想像を超えている。そしてそのロゴが今も変わらずに使われているというのが驚きである。

そんななか、もっとも印象的だったのがランス・ワイマンのメキシコオリンピックのロゴである。オリンピックの五輪と開催年の68を組み合わせたデザインは見事である。

デザインに関して大いに刺激をくれる一冊である。

【楽天ブックス】「グラフィックデザインの天才たち。」

「デザインぺディア」佐藤可士和

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本を代表するアートディレクター佐藤可士和のデザインの考え方をまとめている。

すでに10年以上前の雑誌になるが、古くてもデザインの考え方は何かしら学ぶ部分があるだろうと思い手に取った。それなりにデザインについて熟知しているつもりでも、新たな視点や驚きを得ることができた。

そんななか佐藤可士和が以前言われたという言葉が面白い。

コレ、カッコつけてて、カッコ悪いなあ

どうしてもデザインというとカッコ良いものを作る、と思っている人はまだ多いようだが、実際には目的に応じてカッコ悪さを出すことも必要なのだ。そんなことを如実に表した一言だと感じた。また、これはデザインだけでなく人間においても言えることだと日々の感覚から思った。(カッコつけている奴が一番カッコ悪い)

そのほかにも、パスタのデザイン、レコードジャケットのデザインなど独自の視点でそのデザインの面白さを語る。そしてやがてAppleのデザインのすごさに至る。本書を読むまで、iPod Shuffleの画面をなくすという決断がすごかったという視点がなかったが、確かに組織として考えた時それはAppleという会社にしかできない大きな決断だったのだろう。

後半ではロシア・アバンギャルド、ロシア構成主義、バウハウスにも触れている。バウハウスはデザイン書籍の多くで取り上げられているので特に新鮮さはなかったが、ロシア構成主義、ロシア・アバンギャルドは本書で初めて知ったし、その印象的な写真と文字の使い方は、ぜひ仕事のなかにも機会を見つけて取り入れたら面白そうだと感じた。

冒頭でも語ったが、本書はすでに10年以上前に出版されたもの。しかし、今でも十分に役立つデザイン視点が詰まっていると感じた。

【楽天ブックス】「デザインぺディア」

「二つの祖国」山崎豊子

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
真珠湾攻撃によって日本とアメリカの戦争が始まった。アメリカに住む日系人たちは収容所への移動を強いられる。日本とアメリカの間で翻弄される日系アメリカ人たちを描く。

日系二世の天羽賢治(あもうけんじ)はロサンゼルスにある日本人向けの新聞社で働いていたが、開戦をきっかけに家族とともに強制収容所に収容される。末の弟の勇(いさむ)はそんななか日系人の地位の向上を目指してアメリカ兵として戦争に参加することを決意する。もう一人の弟の忠(ただし)は開戦当時日本で学んでいたために、やがて日本兵としてせんそうにさんかすることになる。そして、賢治(けんじ)自身も自らの日本語能力を活かして戦争に参加し、前線へと送られていく。

戦争中のアメリカに滞在する日系人の複雑な心のうちを描く。あるものは日本に帰国し、またあるものはアメリカへ忠誠を誓うために戦争への参加を志願する。本書のように兄弟で別々の国から戦争に参加したケースが実際にあったかはわからないが、単純に日本とアメリカという国だけでは割り切れない複雑な人間関係があったことは間違いないだろう。

物語の前半はそのように真珠湾攻撃からポツダム宣言および原爆投下の戦争の終結までを描く。そして、後半2冊、日本の敗戦後の東京裁判に費やされる。東條英機を中心とする日本の責任者たちが連合国に裁かれる様子が細かく描かれるのである。

日本語と英語に明るい賢治(けんじ)はその東京裁判に翻訳の正誤をチェックするモニターとして参加する。人の人生にかかわる裁判の過程で、英語と翻訳された日本の微妙なニュアンスの違いに神経をすり減らす賢治(けんじ)の様子に、東京裁判の歴史的重要性だけでなく、むしろ言葉の奥深さを感じさせられる。

只今、肝をmind(精神)と表現しましたが、この場合はもっと強い意味で、will(意思)、intention(意図)、conviction(確信)の方が適役です。

また、真珠湾攻撃にあたって宣戦布告をしないで行った奇襲攻撃である、ということがアメリカ側が戦意向上のために使った話で実際には日本側は真珠湾攻撃に間に合うように最後通告を行っていたこと、11月26日のハルノート自体が実質的な宣戦布告という捉え方があるということなど今回初めて知った。

最後の山場は最終論告と最終弁論である。

被告らは、彼らが自衛のために行動したのであることをしばしば弁明したが、誰一人として日本を攻撃したり、侵略するという脅しを他国から受けたと主張した者はいなかった。

最終論告が自衛のための戦争という主張を否定するのに対して、最終弁論は自衛のための戦争の定義の曖昧さや、その法律の存在に疑問を投げかけるのである。

戦争を犯罪とせず、侵略戦争だけを犯罪として、その計画、準備、開始、実行の行為を犯罪とした場合、それが国際刑法上の原則として容認されるとすれば、侵略戦争と、戦争との限界が明確に示されねばならぬ。

法は共通の義務意識である。刑法はこれを無視すれば罰を受ける義務を伴う共通の義務意識である。政治家はこれまで国際法上の義務に違反すれば、軍法上の刑罰を科せられるという共通の義務意識の下には、その任務を行っていなかったのである。

やがて東京裁判は数人の戦争責任者への判決で幕を閉じる。東條英機を含む戦争の責任者たちが死刑になったことは知識としては知っていたが、このような過程を経て判決が出たことを知って、その問題の複雑さを改めて認識することができた。そもそも裁判とはなんのために行われるべきなのだろう。そんなことを考えさせられた。

これまでも山崎豊子の作品にはいくつか触れており、いずれも膨大な取材に裏打ちされた物語ですばらしいものだったが、本書こそその作家人生の集大成だと感じた。本書はアメリカと日本語という二つの国の間で翻弄される人々を描いているが、日系人をジャップと呼びながらその活躍を感謝したり、勝ったアメリカの人でありながらもアメリカの正義に疑問を投げかける人がいたりと、改めて人は多様なのだと気付かされた。決して所属や国籍から人を判断することはできないのだ。

もっと早く読んでおくべけばよかった。教科書で学んだだけの太平洋戦争のイメージが大きく変わるだろう。

【楽天ブックス】「二つの祖国(一)」「「二つの祖国(二)」「「二つの祖国(三)」「「二つの祖国(四)」

「Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法」ロルフ・ドベリ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
よりよい人生を送るための51の思考法を紹介する。

よりよい人生を送るための考え方を紹介している本は世の中にたくさんあり、本書もそのうちの一つでいくつか他の本にも共通することが含まれていたが、このような本は、似たようなことでも繰り返し触れることで自らの生き方の精度を上げるために役立てるべきなのだろう。

本書では51の章に別れていてぞれぞれの章で1つの思考法とその考え方や例について語っている。51のなかで印象に残ったのが次の4つの思考法である。

大事な決断をするときは十分な選択肢を検討しよう

天職を追い求めるのはやめよう

世界で起きている出来事に責任を感じるのはやめよう

世界を変えるという幻想を捨てよう

1つめは選択肢の中からベストな答えを選び出す秘訣を書いている。秘書問題という100人の秘書を順番に面接していって次の候補者と面接するまでに前の候補者に回答を出さなければいけないとしたときに、100を数学定数e(約2.718)で割った数、つまりこの場合は37人を不採用にしつつ優秀な人間のレベルを把握し、残りの53名の面接で最初に同程度優秀な人を採用するのがもっとも効率が良いのだという。恐らく、だれもが、感覚的にやっていることを数値的に示してくれた点が興味深い。

後半の3つは自分の人生を過大評価し過ぎるのをやめようということである。決して自己批判的になるわけではないが、1人の人間ができることは限られているので、むやみに仕事や人生に大きな意味を求めすぎず、今ある環境で楽しんで生きることこそより良い人生を送るのに大切なのだろう。

【楽天ブックス】「Think clearly」

「壬生義士伝」浅田次郎

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
南部藩を脱藩して新撰組に入隊した吉村貫一郎(よしむらかんいちろう)は大坂・南部藩にやってくる。その人生はどんなものだったのか、新撰組で吉村(よしむら)と同じときを過ごした人々がその人がらを語る。

先日読んだ司馬遼太郎の「燃えよ剣」に続いて新撰組を描いた物語に触れたくなった本書にたどり着いた。

面白いのは新撰組に在籍し生き残った隊士たちの証言によって物語が構成されているところだろう。また、どちらかというと新撰組は土方歳三(ひじかたとしぞう)を中心に最後まで戦い抜いた英雄のような扱いを受けているにも関わらず、本書では、武士になりきれなかった百姓たちが見栄と面子の芝居をしている、と切り捨てている。描く人が異なればまた解釈も異なる。そんなことを改めて感じた。

やがて、様々な生き残りの隊士の証言から少しずつ、吉村貫一郎(よしむらかんいちろう)の生き方が見えてくる。新撰組の物語では土方歳三(ひじかたとしぞう)、沖田総士(おきたそうし)、近藤勇(こんどういさみ)に焦点が当てられることが多いが、そんな時代の影にいきた1人の男の信念に沿った生き方を描いた物語。

それにしても浅田次郎の作品は、史実をベースに見事に物語に仕上げた作品と、そうでない軽めの物語の出来、不出来の差が大きいと常々感じているが、本書は良い方の作品と言えるだろう。

【楽天ブックス】「壬生義士伝(上)」「壬生義士伝(下)」

「After I Do」Taylor Jenkins Reid

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
学生時代に出会いそのまま結婚し数年が経ったLaurenとRyanは結婚生活がうまくいかないことに気づき1年間別々に過ごすことを決意する。

LaurenにはRachelという妹とCharlieという弟がおり、Laurenの良き家族として、その結婚生活を修復しようと努めるのである。やがて、LaurenはRyanのいない寂しさを乗り越え、新たな生き方を初めていく。そして、そんななか、自分たちは本当に結婚生活を続ける意味があるのか考え始めるのである。

そしてそんななか、弟のCharlieなどLaurenの家族にも大きな変化が訪れる。すでに夫を失って長いLaurenの祖母が語る言葉が重い。

Just because you can live without someone doesn’t mean you want to.
誰かがいなくても生きられるからといって、一人で生きたいわけではないのよ。

最初は軽いラブコメディかと思ったが、読み進めるうちに人間関係を続ける上での学びが詰まっていることに気づかされる。

Why is it only the verge of losing something that we se how much we need it?
どうして失う間際まで私たちは大切なものの重要性に気づかないのだろう?

It’s OK to hurt my feelings. It’s OK to embarrass me. As long as you do it from love.
僕を傷つけても大丈夫。僕を辱めても大丈夫。それが愛からくるものであれば。

All the matters in this life is that you try. All that matters is that you open your heart, give everything you have, and keep trying.
人生に大事なのは挑戦すること。心を開いて、全力で努力し続けること。

著者の有名な本は他にもたくさんあるようなのでぜひ読んでみたい。

英語の難易度としてはかなり簡単な域に入ると思う。結婚式の表現(best manやbaby shower)など、知らなかった表現をいくつか学ぶことができた。

「深い河」遠藤周作

「深い河」遠藤周作
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
様々な過去を抱えた人々がインドへ向かう。そんな人々の様子を描く。

生まれ変わるという妻の最期の言葉を信じる磯部(いそべ)、また人を愛することのできない美津子(みつこ)などがそれぞれがそれぞれの目的を持ってインド旅行で一緒になる。やがて一行はインドの文化やガンジス川に対する人々の様子に心を奪われる。あるものはそれに感動し、あるものはその文化を軽蔑するのである。

それぞれの人々の視点を移り変わりながら物語は進むので、誰が絶対的に主人公ということはないが、印象に残ったのは人を愛することができず打算的に生きてきながらも、キリスト教に傾倒していく友人の津川(つがわ)が気になってしかたがない美津子(みつこ)である。美津子(みつこ)の心にやがて少しずつ変化起きるのである。

遠藤周作作品は常にそのテーマにキリスト教が絡んでくるが本書では若干少なく、遠藤周作の代表作として期待値が高かっただけに、終わり方も含めて物足りなさを感じた。

【楽天ブックス】「深い河」

「マチネの終わりに」平野啓一郎

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
クラシックギタリスト蒔野聡史(まきのさとし)とジャーナリスト小峰洋子(こみねようこ)はあるコンサートをきかっけに出会い恋に落ちていく。そんな40代の恋愛を描く。

40代の男女を描くと言う恋愛物語としてはやや年配の人間を主人公としているが、恋愛の始まりの初期に起こりがちなすれ違いや、相手の想いを想像して悩む葛藤が起きることに年齢による違いはないようで、本書でもそんな蒔野(まきの)と洋子(ようこ)の思い悩む様子がそれぞれの視点から描かれている。

また、蒔野(まきの)がクラシックのギタリストであることから、さまざまな曲名や作曲者名が登場するのとあわせて、音楽で生計を立てていく人々の悩みもみて取れる。同じように洋子(ようこ)もバグダッドに赴任する国際ジャーナリストであることから、厳しい戦場の様子が描かれる。

お互いを想いつつ、自らのキャリアや仕事の都合などのさまざまな要因がからんでなかなか会ったり想いを伝えることができない、そんなすれ違いが続いていくのである。そんななか物語の根底には「未来だけでなく過去も変えられる」というテーマがある。

人は、変えらえるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。

印象的なのは洋子(ようこ)が幼い頃一緒に住むことのできなかった父親と再開し別々に生きた理由を訪ねるシーンである。

だから、今よ、間違ってなかったって言えるのは。…今、この瞬間。私の過去を変えてくれた今。…

音楽や戦争に関する描写だけでなく感情表現の細かさなど、ありがちな恋愛小説を、深いテーマを込めてを大きくレベルアップさせた一冊。

【楽天ブックス】「マチネの終わりに」

「キミが働く理由」福島正伸

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
働くことの意味がわからずに、新卒で就職した会社をすぐに退職し、その後さまざまな事業に挑戦した著者が働くことの意味を語る。

働くこのに楽しみを見出せない人向けなのだろう。僕自身今の仕事に不満を持っているわけではないが、何かしら生き方の参考になればと思い手に取った。

著者の経験から25項目の働く上での秘訣を書いているが、もちろんすべての人に必ずしもあてはまるわけではないだろう。また、楽しく幸せに生きるための心構えはすでに多くの人が語っており、本書で言っていることもかなり重複する部分があった。そんななか印象に残った項目を挙げると次の3つである。

お父さんが、「今日も仕事が楽しかったな。明日、仕事に行けると思うと、興奮しちゃうな」と言うと、子どもさんは勉強し始めるのです。
朝起きて人を励ますと、自分が元気になります。朝会社に行ったら、まず元気のない人を探しましょう。そして、その人を励ますのです。
悩んだ時はどうしたらいいかといったら、私は人に会うことだと思います。特に自分が目指している人に会うことです。

特にものすごい印象に残ったと言うわけではないが、生き方、働き方の参考の一冊として読むのは悪くないだろう。

【楽天ブックス】「キミが働く理由」

「星を継ぐもの」ジェイムズ・P・ホーガン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
月面で宇宙服をきた死体が発見された。
その人物は5万年前に死亡しているという。あらゆる分野の専門家達が集まってその真実を解明しようとする。

本書はハントというイギリス人の研究者を中心に物語が進む。理由もわからずアメリカに呼び出されたハントはやがて、チャーリーと呼ばれた種族の死体が発見されたことを知るのである。月で発見されたということからルナニアンと名付けられ、ハントを含む多くの専門家達の知識を結集して、その体や持ち物を分析することで少しずつ今までわからなかった真実が見えてくるのである。

物語はもちろんフィクションであるが、SFというどこか遠い世界の非現実的になりがちな物語を、月という身近な星を舞台で展開する物語で、身近に感じさせてくれる。さらに、科学的な説明や描写によって現実感を伴って描かれており、実際にこのようなことが本当に起こりえるかも、と思わせる面白さがある。

すでに発行は40年以上前の本だが、今でも十分に楽しむことができる。

【楽天ブックス】「星を継ぐもの」

「Dark Places」Gillian Flynn

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1985年3人の姉妹と長男のBen、母親のPattyで牧場を営む家庭が一夜にして3人が惨殺され、兄のBenが犯人として逮捕される。二重数年後の現在、唯一生き残ったLibbyは再び真実に向き合うことになる。

物語はLibbyが意を決して刑務所の兄Benと会うことから始まる。兄Benと会うことで兄の無実を確信し、当時の関係者に話を聞くことで真実に近づいていく。兄Benでなければ、父Runnerなのか、それともBenと恋人の仲に怒り狂った恋人の父親なのか。物語は真実を探ろうとするLibbyの視点と、事件が起こった1985年の7月の、兄Benと母Pattyの様子を描いている。

現在の物語では少しずつLibbyが真実に近づいていき、一方で、1985年の物語では、兄Ben、母Pattyがそれぞれ悩みを抱えながらXデーの夜へと近づいていくのである。携帯電話もインターネットもない時代の、カンザスシティの田舎町で過ごすBenを含む学生たちの様子や、シングルマザーとして牧場を経営しながら4人の子供達を育てる母親の悩みが見えてくる。

無力ながらも母として、どのように子供達を信じ、守るのが正しいのか、そんなことを考えさせられる内容である。

「会議でスマートに見せる100の方法」サラ・クーパー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
会議でスマートに見せる方法をイラストとともに面白おかしく紹介している。

過去たくさん会議に出たことのある人ならどれもみたことのある行動ばかりだろう。

自分がやってみたい、と思うような行動はそんなになかったが(それをやっても会議が無駄に長引くだけなので)、本書を読んで置くと、誰かがこの行動をやっているときに圧倒されないで済むのかもしれない。(「ああ、この人はスマートに見せる方法をやっているだけだな・・・」と。)

特に印象に残ったのは次の3つ。

それがなんであれ「スケールする?」と聞く
「いい質問だ」と言って質問に答えない
「それは正しい質問かな?」と逆質問する。

ただのウケ狙いにしかならないかもしれないが、機会があったら使ってみたい。

【楽天ブックス】「会議でスマートに見せる100の方法」

「やってはいけない勉強法」石井貴士

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
代々木ゼミナール全国模試1位の経験を持つ著者が、勉強法について語る。

100年時代、人間は大学を卒業した後も常に学び続けなければならない。そんな一生勉強を実践する人間の一人として、いい勉強方法があったら常に取り入れ、勉強方法を改善したいと考えているなか、本書にたどりついた。

どちらかというとやってはいけない勉強法というよりも、著者がやった勉強法とやらなかった勉強法のような印象を受けるが、1人の実績がある人間の勉強方法を紹介している本として、参考にできる部分もあるかもしれない。

同意できる部分もあれば同意できない部分もあるが、もっとも印象的だったのは

NG 書いて覚える
OK 目で見て覚える

という点だろう。僕自身記憶というのは五感をフル活用してこそ記憶に定着しやすいと考えていて、目で見ると同時に手の感覚で記憶することができる「書いて覚える」(と同時に声に出して口の感覚と聴覚で覚える)は悪くない方法だと考えていた、しかし著者がいうように確かに書いて覚えるよりも見て覚える方が時間効率が良いのはそのとおりだろう。

しかし効率を言い始めると、例えば著者は

NG 独学でがんばる
OK 先生をつける

NG 通信教育で済ませる
OK 直接、話を聞いて教わる

と書いているが、実際どんなにお金を払ったとしても先生に聞ける時間など限られており、時間効率を考えるとかならずしも同意できないと感じた。勉強方法は合う合わないがあるので、読んだ人が納得できる部分から取り入れればいいだろう。「目で見て覚える」などはぜひ試してみたいと感じた。

【楽天ブックス】「やってはいけない勉強法」

「燃えよ剣」司馬遼太郎

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
新撰組副長土方歳三を中心に幕末の新撰組の様子を描く。

新撰組や副長の土方歳三、沖田総司など、名前と最後の函館の様子や沖田総司が病気で亡くなったことだけは知っていたが、どのようにして新撰組が発足し、どのような動きをしていたかはほどんと知らなかったため、今回ようやく名作である本書に至った。

世の中は、攘夷、倒幕、という考え方で時代が大きく動く中、攘夷を目的とした団体として立ち上がる。幕府の管理下の団体として発足したために、倒幕を目的として動く長州藩と敵対していく。新撰組を大きくしたいという野望と、攘夷、つまり外国人を退けることを目的として立ち上がった親善組なので、少しずつ世の中の流れが幕府から、長州藩、薩摩藩へと移行する中で、幕府の下で動くことが、賊として名を歴史に残すことに繋がりかねないとして葛藤したり離脱したりする隊士たちの様子が面白い。

やがて、近藤勇や沖田総司を失い、土方歳三は北へ北へと戦いの場所を求めて移動し、やがて函館にたどり着き最後の戦いを迎えるのである。

賊名を残したくない。私はお前と違って大義名分を知っている。

土方歳三の生き方に感銘を受けながらも、わずか150年程度前の時代に、離脱をしようとする隊士たちに切腹を命じたり、隊の存続に邪魔になりそうな人々を暗殺したりする、そんな新撰組の秩序維持の方法に時代の移り変わりの速さを感じる。残念ながら薩長同盟や坂本龍馬についての記述はほとんどないので、今度はもう一つの名作「龍馬を行く」などにも触れてみたいと思った。

【楽天ブックス】「燃えよ剣(上)」「燃えよ剣(下)」

「錆びた滑車」若竹七海

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
女性探偵の葉村晶(はむらあきら)は老女の尾行を依頼され、やがてある青沼ミツエとうい女性のアパートに移り住むこととなる。

単純な調査の依頼からやがてアパートに移り住み、そこでミツエの孫のヒロトと出会う。ヒロトは父親と一緒のところおを交通事故に会い、ヒロトは重傷を負い父親は無くなった。事故前後の記憶が失われているヒロトは、なぜその場所に父親と一緒にいたのかを知ろうと晶(あきら)に頼むのである。本書はそんなヒロトの事故前後の謎を解き明かしていくまでの様子を描いている。

葉村晶(はむらあきら)がいろんな場所を移動し、いろんな人に聞きながら少しずつ真実に近づいていく様子を描いていて、実際の探偵業なんてそんなものかもしれないが、山や谷がなく、登場人物もかなり多いので読みにくい。

もう20年以上前になるだろうが、初めて読んだ著者若竹七海の作品「遺品」がインパクトがあっただけにちょっと残念である。とはいえ本書自体それなりの評価を得ているので、葉村晶のシリーズを通して読むとひょっとしたらまた違った印象を持ったのかもしれない。

【楽天ブックス】「錆びた滑車」

「この英語、訳せない!」越前敏弥

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
数々の著名作品を翻訳している翻訳家の著者が、訳すのが難しい英語を解説する。

著者越前敏弥さんの本は本書で3冊目になるが、毎回意味をつかむのが難しい文章を紹介してくれて勉強になる。本書でも日本人には難しかったり、間違えがちな様々な英語表現を紹介している。teenagerは十代ではないなど、知っていることも多々あったが、改めて学んだこともたくさんあった。例えば次の表現。

The room was badly heated.

その部屋は暑すぎるのか寒すぎるのか、なんとネイティブに質問しても意見が分かれるのだという。確かにbadlyの意味の撮り方でどちらにも取れる。このように実際日常的に使われていながら、実際には人によって意味のとり方が異なる単語は日本語にも多くあるような気がしてきた。本書でも紹介されている「カーキ色」などはその代表例だろう。文脈上重要じゃないから誰も意味が正しく取れているかどうかを確認しないのである。

また、Hopefullyの使い方については、僕がときどき英会話で使っている方法は誤用ということを初めて知った。今後は気をつけたい。

いつものように翻訳の難しさと、言語の奥深さを改めて教えてもらった。

【楽天ブックス】「この英語、訳せない!」

「リカーシブル」米澤穂信

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
中学生の越野ハルカは母と弟サトルともに母の故郷へ引っ越してきた。その町ではタマナヒメという未来を予知できる女性の伝説があった。

寂れた地方都市で起きる不思議な物語。ハルカとサトルは子供でありながらも新しい環境、新しい友人に馴染もうとするが、そこには地方都市特有の、外から来た人間に対する敵視と、地元に長く住んでいる人のみが知る暗黙のルールが存在するのであった。

そんななかサトルの不可思議な言動から、少しずつハルカはタマノヒメの伝説に興味を持っていくのである。

中学生の女性が主人公ということで、懐かしい感じがする。特に物語として新鮮な点はなかった。最近の米澤穂信の作品には人間の心の深い部分を描くような鋭さを感じていたのだが、本書はそこまで期待に沿うものではなかった。

【楽天ブックス】「リカーシブル」

「絵でわかる英文法」波瀬篤雄

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
日本人には捉えづらい英単語のイメージを絵でわかりやすく伝えている。

英単語のほとんどは日本語の単語と1対1で対応されるものではない。例えばonなどは「〜の上に」と訳されることが多いが、その理解だけだとどうしてもうまく訳せない時がある。そんな日本語に置き換えることができない英単語をイメージで説明している斬新な内容である。

僕自身すでに大学を卒業してからだけでも15年以上は英語を勉強している身だったが、それでも新鮮な考え方にいくつか出会えた。面白かったのはスイッチをつける意味のturn onという表現。onの流れでの説明だったが、なぜturn onというのかがスイッチの構造をイメージするとすっきりした。

また、日本人が混乱しがちなcomeとgoの使い分けの考え方も新鮮だった。

comeは手に負える
goは手に負えない

としていて、例として挙がっている

  • Where has my eraser gone?
  • Winter has gone.
  • come true
  • come off
  • go hungry
  • go mad

などをみると納得できる。

いままで特に疑問に思わずにただ暗記していたことに気付かされる部分もあった。イメージとして持っておくとより自然に英語の意味を捉えられるようになるかもしれない。どちらかというと手元に置いておいてなんども読み返すべき本なのだろうと思った。

【楽天ブックス】「絵でわかる英文法」

「The Good Daughter」Karin Slaughter

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
CharlieとSamの姉妹は父親の弁護士RustyとかつてNASAに勤めていたこともある賢い母親Gammaと暮らしていた。そんななか、ある日現れた2人の男によって母親を殺され、姉妹は命からがら生き延びる。本書ではそれから26年後の姉妹を描く。

最初の惨劇の印象がすごいが、物語の中心はその惨劇から26年後、再び妹のCharieが事件に巻き込まれたことから始まる。構内の発砲事件により男性と少女が亡くなり、中学生の女の子が拘束されたのである。その弁護を担当することになった父Rustyにより、26年前の事件により深刻な後遺症を持ったまま生きているSamもNewYorkから故郷に戻ることとなる。

一方、父Rustyを手伝いながら故郷で生活していたCharlieは夫のBenとの関係がうまくいかず、浮気をしたりなど不安定な生活を送っている。後遺症に悩むSamは、26年前に自らが犠牲になったせいでCharlieが生き延びたこと、幸せに生きていることを救いとして自らの人生に向き合ってきた。にも関わらず、なかなか幸せな結婚生活をCharlieに苛立つのである。やがて、CharlieとSamは26年前には話すことのできなかった心のうちをぶつけあうこととなる。 Everybody thinks I blame myself for running away. No, blame myself for not running faster. みんな私が逃げた自分自身責めていると思っているけど違うの。早く走れなかった自分を責めているの。

CharlieやSamと接するときに父Rustyの語る言葉が印象的である。

It is a father’s job to love his daughter in the way that she needs to be loved.
娘に合わせて愛するのが父親の務めなんだよ。

There is value in forgiveness.
許すことには価値がある。

やがて物語は26年前の知られざる真実へとつながっていく。

物語全体としては、ChrlieとSamの悲劇によって生み出された悲しい生き方も印象的だが、そんな2人を支えた父と母の異なるタイプの人間像がなによりも印象的である。死んだあともこんな風に思われる親になりたいと思った。悲しい物語ではあるが、同時に地位ちゃ母のありかた、姉妹のありかたを考えさせられる作品。

「反応しない練習」草薙龍瞬

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
すべての悩みを根本的に解決する方法を、「ムダな反応しないこと」としてその考え方を説明する。

幸せに生きるための考え方を書いた本は昨今溢れており、本書もそんななかの一つである。基本的に書かれていることでそれほど新鮮な内容はなかった。とはいえ本書が役に立たないとか読む価値がないとかそういうことではなく、このような物事の考え方は、ただ単に知識として持っているだけで満足するのではなく、繰り返し触れてその精度を上げていくべきなのだろう。

個人的にもっとも印象的だったのは

相手はいつでも「初めて会った人」

という考え方である。人を過去の何度かの振る舞いでこの人はこういう人と判断するのではなく、その人自身も成長している変化しているかもしれない。だからこそ、過去に会ったことある人でも曇りのない目で見るべきだということである。もちろん言うほど簡単ではないが、今後意識していきたいと思った。

上にも書いたことだが、内容としてはよくある種類の生き方の考え方である、「嫌われる勇気」などが有名だろう。しかしこのような考え方は定期的に接して、自らを省みることが重要だと考えると、本書は一定の役割は果たしていると言えるだろう。

【楽天ブックス】「反応しない練習」