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日本の経済力を強くするために、組織づくりに関わる経営者などにおすすめしたい本

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ただ美しいものを作れるだけじゃなく、一歩上のデザイナーになりたいデザイナーが読むべき本

英語読書初心者向け

英語は簡単だけど面白い、そんな面白さと英語の易しさのバランスの良いものを厳選

英語でしか読めないおすすめ

英語で読む以上、英語でしか読めない本を読みたい。現在和訳版がない本のなかでぜひ読んでほしい本。

「November 9」Colleen Hoover

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
2年前の11月9日に父の家に滞在中に、大やけどを負って女優のキャリアを失ったFallonは今まさに新たな人生に踏み出そうとしていた。そんなとき、Benという火傷の跡のの残る顔を気にしないで好きになってくれる男性と出会う。

出会った瞬間に恋に落ちたFallonとBenだったが、Fallonがブロードウェイを目指して翌日からニューヨークに引っ越すこととなっていた。Fallonの母の助言、23歳になるまでは他人に振り回されずに自分を見つける、という信念から、お互いが23歳になるまで、毎年11月9日に同じ場所で1度だけ会うことを約束するのである。物語は1年おきの11月9日の二人の様子を描くことで展開していく。

FallonとBenの視点で交互に描かれていく。序盤は出会いを中心に描かれる。火傷を負って女優としてのキャリアを諦めざるを得なかったにも関わらず、新しい道を踏み出そうとしているFallonと、またそれを後押ししようとするBenのそれぞれの人生を語る言葉に印象的である。

You'll never be able to find yourself, if you're lost in someone else.
人に夢中になっているうちは、自分を理解することはできない。
If people are laughing at you, it means you're putting yourself out there to be laugh about. Not enough people have the courage to even take that step.
人があなたを笑っているということは、自ら笑われる場所に立っていることで、そんな勇気を持った人は多くはない。
Loving someone means accepting all the things and people that person loves, too.
人を愛するということは、その人が愛するすべてを受け入れることです。

後半は、よりBenの視点から二人の出会いが描かれ、前半に散りばめられた伏線が回収されていく。少しずつBen自身のそれまでの苦悩の人生が明らかになっていく。

She knew I would be the one to find her. She knew what this would do to me and still do it…
俺が見つけるってわかっていただろう。それが俺にとってどういうことか、それを知っててなお決行したんだ…

なんといっても20代ですでに一生抱えていかなければならない傷を抱えた二人の物語なので、前向きに生きるための強さを与えてくれる。常にFallonとBenの視点で交互に物語を展開させながらも、感情表現の重点がFallonから少しずつBenに移っていくという物語展開の美しさも感じられる。軽く読み始められるが後半に進むにしたがって深みや生きる強さなどを感じさせてくれる作品である。

「独裁力」川淵三郎

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

Jリーグの創設に関わっただけでなく、日本バスケットボール界の問題まで解決した著者が、その考え方を語る。

先日読んだ「日本のスポーツビジネスが世界に通用しない本当の理由」で、その「リーダーは独裁者でいい」という考え方に惹かれ、組織を動かすためのヒントが得られることを期待して手に取った。

前半は、日本バスケットボール界の問題やそれに関わり始めた過程と、そのなかでやったことなどが描かれている。正直バスケットボール界にはあまり関心がなかったが、どのスポーツでも同じようなことが起こっているのだと感じた。つまり、みんなそのスポーツを盛り上げようとしているのだが、その指向性の違いから混乱が生じたり諍いが生じて結果的にそのスポーツの発展を阻害しているのだ。

そして後半の「リーダーは独裁者たれ」という章で、リーダーたる考え方や、影響を与えた出来事、もしくはお手本となる人物やその行動を語っている。そのなかで、ハンス・オフトジーコイビチャ・オシム岡田武史など、数々の日本代表監督についても語っている。著者も最初からリーダーシップを持っていたわけではなく、たくさんの人との出会いから学んで身につけていったものだということがわかる。

印象的だったのは次の項目である。

  • リーダーには理論武装が必要
  • インパクトのある言葉で「発信力」を持たせる
  • リーダーは人に好かれなくていい
  • ノイジー・マイノリティーに引きずられるな
  • 私利私欲がない独裁者であれ

特に発信力については、あまり今まで意識して取り組んでこなかったことなので、ぜひ今後の活動として考えてみたいと思った。改めてリーダー像というものを考え直すきっかけとなった。

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「The Alchemist」Paulo Coelho

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

スペインのアンダルシアで羊飼いをして過ごしていたSantiagoは、ある日夢に出てきたエジプトに宝を探しに旅に出かける。

Santiagoはある日不思議な夢をみる、夢を読む占い師の言葉によればエジプトに行けば宝物が手に入るという。Santiagoは迷いながらもその夢を追うことを決意する。

そして、エジプトを目指す中でSantiagoはさまざまな障害や人との出会いを体験するのである。その過程で人生の本質をついたような言葉が散りばめられている。

At a certain point in our lives, we lose control of what's happening to us and our lives become controlled by fate. That's the world's greatest lie.
人生のある地点で、私たちは人生のコントロールを失い、運命にコントロールされるようになる。これは世の中でもっとも大きな嘘だ。
When someone makes a decision, he is really diving into a strong current that will carry him to places he had never dreamed of when he first made the decision.
人は決断をした時、その時には夢にも思ってもみなかった場所へたどり着く流れのなかに飛び込んでいるのだ。
There is only one thing that makes dream impossible to achieve: the fear of failure.
夢を不可能にしているの唯一のことは失敗への恐れである。

深みを感じさせる物語、人生に迷った時、夢を諦めそうな時に読むといいかもしれない。

和訳版はこちら


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「The Room on the Roof 」Ruskin Bond

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
インドのDehraで養父の元で立派な英国人になるために厳しく育てられたRustyはある日耐えかねて家を飛び出す。そんなRustyを描く。

家を飛び出したRustyはわずかなつながりと英語の能力を頼りに、英語の家庭教師の立場と食事と部屋を確保する。Rustyはさらにその生徒Kishenの母親Meenaに恋をしてしまう。

インドのイギリス人コミュニティで生きるRustyの様子を描いているので、インドのバザールや食事の様子も面白いが、その地域で生活しながらも地域の人を下に見ているイギリス人のものの見方も新鮮である。インドでは、青い目と金髪のRustyは目立つ存在で、さらに家出したことで、外見も立場も所属のないことによるRustyは悩むのである。また、Dehraというインドの都市にイギリス人コミュニティがあったことは初めて知った。

正直、高い評価の印象が先行しすぎたせいか、若干期待はずれ感は否めないが、深みを感じる作品ではある。タイミングが異なればまたもう少し違った感じ方ができたかもしれない。

「日本のスポーツビジネスが世界に通用しない本当の理由」葦原一正

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
スポーツビジネスコンサルタントの著者が日本のスポーツビジネスを成功させるための考えを語る。

サッカーなどのスポーツを眼にする機会が多い中で、スポーツという、人間の生存に必要不可欠とはいえない分野をビジネスにするのは想像以上に難しいだろう。そこにビジネスを軌道に乗せるヒントがあるのではないかと思って手に取った。

本書ではスポーツビジネスに必要なものを次の5つに分けて解説している。

  • Governance
  • Professional
  • Arena
  • Global
  • Engagement

である。

興味深いのはGovernanceの章である。Governanceとはつまり意思決定のプロセスのことで、それを明確にすることが重要性を説いている。そして、スポーツなだけに強いチームを作ることに捉われがちだが、著者は「勝利と経営は別物」と語る。

動員数は大事な要素の1つではあるが、それがすべてではなく、もっと大事なものが存在する。

次のProfessionalの章ではプロの定義や著者が出会ってきたプロとしてのお手本のような振る舞いを挙げている。プロリーグの定義という基本的なことすら自分がわかってないことに気づかされた。

Arenaの章ではチームの専用のアリーナやスタジアムを保有することのメリットを語っている。スタジアムもそのスポーツ専用のスタジアムと、維持費の回収を考えて、他の用途にも使えるようにしたスタジアムでは、ビジネスとしてスポーツを展開する上ではいろいろ異なることがあることがわかった。スタジアムやアリーナの構造や席の配置も、何を目的に応じて考え抜かれたデザインであることを感じた。

全体的に著者はバスケットボールリーグに大きく関わってきたが、Jリーグやプロ野球など、より認知されている例を交えて解説している点がありがたい。その過程で、必ずしもJリーグのように昇降格がある開放型モデルが必ずしも良いとはいえないことも知った。開放型は年俸の高騰化を招き経営に負担を与える。つまりプロ野球のような閉鎖型モデルにもリーグ運営目線で考えるとメリットがあるのである。

普段、なにげなく見ているスポーツの裏に、多くの知らない事情が溢れていることに気づかされた。そんななか特に印象的だったのは、Jリーグの創設だけでなくBリーグにも関わった川淵三郎の言葉である。

リーダーは時に独裁者でいい。自らが率いる組織を正しく発展させるための理念を持ち、そのための手段が私利私欲によるものでなければ、独裁的に権限を発動させてもいい。

これは僕自身、スポーツに限らず、組織などを見て感じる悩みに見事に答えている。合意ばかりを重視してスピードが遅くなったり当たり障りのない決断しかできない組織は決して大きなことを成し遂げることはできない。独裁的な権限を与えることも考えてみるべきだろう。

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「ブランディングデザインの教科書」西澤明洋

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ブランディングデザイナーの著者がブランディングデザインについて語る。

最近BXデザイナーという言葉が広がりを見せている。BXとはブランドエクスペリエンスのことで、つまりブランド体験をデザインする事である。これまでデザイナーが包括してきた領域が、より専門性を持って捉えられるようになったのである。これは世の中がその分野により高いレベルを求めるようになった証拠でもある。僕自身もデザイナーとしてこの分野の知識や経験を積み上げる一つの流れとして本書にたどり着いた。

多くのブランディング関連の書籍や授業と同じように、本書もブランディングとは何か、という説明から入っている。本書では

ブランディング=差異化

としている。正直これは、僕の思うブランディングの本質の捉え方とは若干異なっていたのだが、その次のマーケティングと比較して説明した表現のほうがしっくりきた。それは、

マーケティング ≒ 売るゲーム
ブランディング ≒ 伝言ゲーム

というものである。これこそまさにブランディングの重要な側面を表していると言える。人の心にどのような印象を刷り込むか、そしてそれによってどうやって人の間を浸透させるか、その部分をデザインすることこそブランディングなのだろう。

また、本書ではブランディングに必要なものとして次の3つを挙げている点である。

トップの熱い思い
良いモノ(サービス)
コミュニケーションチーム

特に一つ目は常々感じる事で、どれほど必要性を訴えても、トップの熱い思いがなければブランディングは進まないのである。

また本書では、ブランディングデザインを3つの階層で実施することの重要性を説いている。

マネジメントのデザイン
コミュニケーションのデザイン
コンテンツのデザイン

コミュニケーションとコンテンツの重要性は誰でも思いつくが、マネジメントも含めて考えている点が新鮮である。つまり、ブランディングの成功には、販路変更やビジネス戦略の刷新なども含めて考える必要があるのだ。

また、後半ではフォーカスRPCDという独自の手法で、実際にブランディングデザインの進め方を語っている。Resarch, Plan, Check, Doであり広義のデザインを日常的に行なっている人にとっては、新鮮な内容ではないかもしれないが、改めて、ブランディングデザインの流れを整理するよい機会となるだろう。

全体的には、僕自身が思うブランディングの考えと若干異なるところはあれど、良いところや伝えやすい表現などはぜひ使わせてもらおうと思った。

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「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?」原田曜平

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Z世代について解説する。

Z世代とは年齢でいうと現在(本書の出版は2020年)25歳より下の世代のことである。混同しやすいのがゆとり世代であるが、ゆとり世代はガラケー第一世代、つまり思春期に携帯電話を持ち始めた最初の世代である。一方Z世代は、スマホ第一世代である。

mixiなどのSNSに振り回されたゆとり世代は「mixi八分」「KY」などの言葉からも想像できるように、出る杭にならないように同調圧力を強く感じているのだそうだ。一方で、LINEやインスタグラム、ブロック機能など、より洗練されたSNS時代に育ったZ世代は、限られた人とだけ繋がって、そのなかで自分をアピールする、同調思考、発信意識が強いという。

インスタグラムのストーリーズなどのように一定時間で消えてしまうものが普及したのはゆとり世代からZ世代に移るに当たって当然の流れと言えるだろう。また、ゆとり世代の少子化からさらに少子化が進んでいるので、大事に育てられ、その結果自意識が強く、いじりが通用しない傾向があるというから上の世代は気をつけなければいけない。

上の世代の僕らから見て、結局どうい風に接すればいいのか、どのようなサービスや商品を提供すればZ世代に受けるのか、というところが気になるところだろうが、その他の傾向として印象的だったのはは、ジェンダーレス意識の高さ、やらせに敏感という2点だろう。

LGBTQへの意識や美しい男性グループなどを見ながら育ったためにジェンダーレスの考え方が進んでいるのだ。「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」などという発言をしてしまえば一気に信頼を失うかもしれない。

またSNS時代に育ったためにやらせに非常に敏感で、美しすぎる写真や構図はやらせと認識し、むしろどこかにミスや崩れがあったほうが真実として認識する傾向があるという。

Z世代だけでなくゆとり世代についても把握するよい機会となった。さっそく下の世代に接するときの行動を見直したいと思った。

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「シリコンバレー・アドベンチャー ザ・起業物語」ジェリー・カプラン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

シリコンバレー・アドベンチャー ザ・起業物語


ペン型のコンピューターのアイデアを思いついた、起業して実際に製品を作ることを決意する。

先日読んだ「社長失格 ぼくの会社がつぶれた理由」でその著者が、失敗したことを本に遺すきっかけとなったのが本書ということで、たどり着いた。

著者はペン・コンピューターを実現するためにGOという会社を立ち上げる。しかしすぐにIBM、アップルやマイクロソフト、AT&Tなどの名だたるIT起業が探りを入れたり、そのアイデアから利益を得ようと近づいてくるのである。

登場人物が多く、法律的な話も多く入ってくるのでなかなか細かいやりとりまではわからないが、当時のIT業界の勢力図はわかるだろう。IBMはすでに動きの鈍い大企業になっていたことが読み取れる。アップルは残念ながらスティーブ・ジョブズのいない期間なので、ジョン・スカリーの記述が多いが、それでもアップルは、当時から良いものを良いとする企業だということがわかる。また、ビル・ゲイツのマイクロソフトは、当時から、著作権に引っかからない範囲で良いものを模倣し、強い企業を作っていくというスタイルだったことが伝わってくる。

中盤からは「1兆ドルコーチ」の本でも有名なビル・キャンベルがやがてペン・コンピューターのCEOになる。本書から垣間見えるわずかなその言動からも、ビル・キャンベルが情熱的で熱いリーダーだったことがわかる。

資金調達だけでなく、契約書の細かい一字一句のすり合わせなど、経営者はこんなにも多くの事柄に対応しなければならないのかと改めて驚かされた。それでも、こんな風にすべてを捧げても惜しくないと思えるような、情熱を注げる仕事に人生を費やすことを幸せだろうと感じた。

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「The Sun Is Also a Star」Nicola Yoon

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
アメリカの移民2世韓国人青年のDanielと不法滞在中のジャマイカ人女性のNatasha出会いを描く。

Natashaは、アメリカで俳優になる夢を追いかける父についてきて、観光ビザでそのままアメリカに不法滞在で生活していた。しかし、父が飲酒運転でつかまったことからジャマイカへ帰国をしなければならなくなる。Natashaは弁護士をあたってアメリカに留まる方法を探し続ける。一方で、Danielは両親の勧めで医者になるために、イェール大学の面接を受けようとしている。なりたくもない医者になるという葛藤を抱えながら面接に向かう際、Natashaに一目惚れするのである。

DanielとNatashaの出会いの1日を描く。Danielは運命を信じる一方で、Natashaはどちらかというと現実主義者であり、そんな二人の考え方の違いと、それを反映するように、少しずつ二人の家族の人間関係や歴史が見えてくるのが面白い。その過程で、韓国とジャマイカという国と、その家族がアメリカで生活することの現実が見えてくる。

アメリカ移民の話は本書に限らずよく耳にする。移民一世は子供の将来のためにと、母国を離れ慣れない土地に移り住み、その結果、人がやりたがらない仕事をやって生計を立てなければならない。一方、その子供の移民二世は、親が自分たちのために苦労して生きてきたことを見ているため、親の期待を裏切る生き方ができない。それが子供の心に葛藤をうむのである。

Natashaの不法滞在者という形は今回初めて触れたので印象的だった。見つかったら即強制送還というわけではないという点も、今回初めて知った。確かに、子供から見れば親についてくるしか選択肢がなかったなかでアメリカに留まる選択肢を与えたくなる心情も理解できるが、一方で、そんなことをしていたらアメリカは人口が増え続け、治安をまもるのも大変だろうと感じた。

全体的には、1日で恋に落ちる若者2人を描いているので、非現実的すぎるという批判もありそうである。映画化されたようなので心情描写が表現しにくい映像の方はなおさらただの非現実な恋愛物語になっている可能性が高いだろう。ただ、個人的には、上に挙げたように、移民二世、不法滞在者という普段触れることのない人生を体験できたのが新鮮で楽しめた。

「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」坪田信貴

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

学年ビリのさやかが慶應大学に合格するまでを描く。

ビリギャルとして映画にもなった有名な本書だが、あれだけ有名になるにはそれなりに学ぶものがあるのだろうと思い手に取った

物語は偏差値30以下、学年ビリだったさやかが、塾にやってきて塾講師の著者と出会ったことから始まる。塾講師である著者が、さやかと真摯に向き合った結果、さやかは学びの面白さに気づき慶應大学を目指し始めるのである。そして、以降はさやかの成績が少しずつ上がっていく様子を描いていく。その過程で学びのテクニックや、暖かい友達や家族なども紹介している

印象的だったのは塾の先生という存在である。僕自身は学習塾というものを利用したことがなく、どちらかというと問題数をこなす習慣をつけるためのものだと思っていた。しかし、子供と向き合って、そのやる気を引き出す優れた先生もいるのだと知った。

全体的には、周囲の人間の暖かさが際立つ物語である。先生の受験に対する技術や、教えることに向き合う真摯な姿勢はもちろんだが、もっとも印象的だったのは母親の子供を信じる姿勢である。子供を信じて向き合うことがどれほど大切か、改めて感じさせられた。

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「社長失格 ぼくの会社がつぶれた理由」板倉雄一郎

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ふと思いついたアイデアから立ち上げた会社が、やがて資金難から倒産するまでを語る。

僕自身スタートアップに社員として務めており、資金調達など企業の拡大するにあたっての難しさが少しずつわかってくるなかで、その辺りをもっと知りたいと思い本書にたどり着いた。本書の舞台は、1990年代とかなり前の話で、文化や法律もいろいろ異なるだろうが、それでも学べることをはあるだろう。

本書の面白いところは、倒産したあとの書いている点である。多くの成功物語や起業物語とは異なり、著者は本書を書きながら、やり方や考え方にどこか倒産の原因があったのだろう、という前提で書いているという点である。企業の成功物語が創業者のやっているユニークな行動全てが成功の原因と見えてくるのと同じように、失敗物語は行動全てが失敗の原因のように見えてくるから面白い。

序盤は、自らのアイデアから周囲の賞賛を受け、一気に多くの融資を集めて大きな動きとなっていくハイパーネットの様子が描かれるが、中盤以降で少しずつ風向きが変わっていく。

多くの銀行が融資してくれるから安心というわけではなく、銀行は他の銀行と同じ行動をするので、一つの銀行が手を引けば、他の銀行も一斉に手を引き始めるのである。そして、ハイパーネットが資金調達に苦しむなかで、少しずつ鍵となる社員の離反が起こってくる。お金の問題だけだったにも関わらず、制作、社員のモチベーション管理など、さまざまな問題が浮かび上がっていく。

こうやって起業家目線で見てみると、お金が集まった企業には多くの企業がハイエナのように集まってきて、多くの企業が少しでも有利な契約をしようとしてくるのがわかる。にもかかわらずそれに対応する起業家の方はそのような状況に対応するのは初めてだったりするのである。

最終的に、本書で著者自身の分析でも語られているように、倒産した理由は一つではないだろう。例えば、銀行間にできあがったベンチャーへの投資熱の加熱と、引き締めに向かうタイミングに悪く重なってしまった、融資先選びに失敗した、社員のモチベーションの維持を怠った、などであり、改めて起業というのは難しいのだと思い知った。

世の中には成功物語の本はたくさんあるが、失敗物語の本はほとんどなく、しかし実際には人間は失敗からの方が学ぶものが多い。起業というのは安易に失敗できるものでもないだけに、起業を考えている人には必読の一冊と言えるだろう。

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「史上最強の人生戦略マニュアル」フィリップ・マグロー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人生を好転させる方法を体系的に説明している。

序盤で本書が多くのページを割いて説明しているのは次の3点である。

  • 不平や愚痴で時間を無駄に費やさない
  • 行動を変えれば人生は変わる
  • 自分の求めるものがわからなければ、求める人生にはたどり着けない

こうやって書き連ねてみれば当たり前のことばかりなのだが、確かに世の中にはこれができてない人がなんと多いことか、逆にできている人にとっては、行動を起こさない人が不思議で仕方がないだろう。

あなたが手に入れるのは、最高でも自分が求めるものなのである。

最後の章では、より詳細に自分の求めるものを見極め、行動を起こす方法を説明している。普段、現状に愚痴や不平ばかり言って何もしない人でも、本書のとおり行動すれば間違いなく人生は好転するだろう。(ただ、そういう人はおそらく行動しない…)

僕自身は行動をさっさと起こすほうだと認識しているが、それでも改めて自分の現状を振り返る機会となった。不便だと思いながらも受け入れているものがないだろうか、実はもっと改善したいと無意識に感じているものはないだろうか、そんなことを改めて考えてみたい。

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「人生がときめく片付けの魔法」近藤麻理恵

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
一度習えば、二度と散らからないという整理収納法について語る。

こんまりとして日本だけでなく海外でも有名な著者であるが、その著書に触れたことがなかったのでこれを機に読んでみようと思った。

端的に言えば本書を通じて著者が言っているのは

ときめかないものは捨てる

である。僕自身比較的ものはさっさと捨てるほうではあるが、それでも捨てるのが難しいと感じるのは、人からもらったものである。特にその人の手書きのメッセージなど書いてあると、どんなに小さな紙切れだろうと捨てるのが難しい。しかし、それについても本書のこんなアドバイスが効きそうである。

プレゼントはそのものより、気持ちを届けるモノです。
だから、「受け取った瞬間のときめきをくれて、ありがとう」といって捨ててあげればよいのです。

また、僕自身は服をたたむことは無駄な時間だと考える人間だが、本書では感謝の言葉をかけながらたたんで重ねるのではなくたてることを推奨している。正直、感謝の言葉をかけることの意味はよくわからないが、服をたてることの意味はわかったので、さっそく実践していこうと思った。

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「自分探しと楽しさについて」森博嗣

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
作家であり工学博士である著者が自分探しについて思うところを語る。

著者森博嗣は「すべてがFになる」や「スカイ・クロラ」など、むしろ理系作家としての印象が強かったのだが、そんな人がどんなことを書いているのだろうと気になって本書を読むに至った。

著者自身数時間で本書を書き上げた、と言っているように、特に計画もなく独り言を書き連ねたような印象である。

印象的だったのは、抽象化の重要性を説いている点である。人生を楽しめない人は、誰かがあるものを楽しんでいるのを見るとそれとまったく同じことをしようとする。その結果、その対象は競争率が上がり、他人を蹴落とさないと手に入れることのできないものになる。一方で抽象化が得意な人は、何かが楽しかった時に、どの要素を自分が楽しんでいるのかを見極めて、その要素を備えていて自分にアクセスがしやすいもので楽しみを感じることができるというのである。

内容が濃いとは言えないが、もし人生が退屈で悩んでいるなら読んでみるといいかもしれない。僕自身はむしろ合間合間で触れる著者自身の趣味が楽しそうだなと思った。

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「Bebel」R. F. Kuang

オススメ度 ★★★★☆ 4/5中国で両親を失った少年はイギリスに連れて行かれRobin Swiftと名乗り語学を学ぶこととなった。やがてRobinはOxford大学のBabelと呼ばれる場所でその語学力を活かしていくこととなる。

時代は1800年代、読み始めは、空想世界なのか現実の歴史小説なのかわからなかったが、異なる言語のなかに存在し、意味は異なるが由来を同じくする言葉を刻むと力を持つSilverという物質の存在が空想世界のようである。

Robinはオックスフォード大学で、Remy、Letty、Victoirという同じように言語に情熱を注ぐ友人たちと出会い学問に熱中していく。Letty以外の3人は、Robinは中国、Remyはインド、Victoirはハイチの出身と、いずれも海外からその語学力ゆえにイギリスにやってきた生徒である。しかし、それぞれ自らの能力が結局イギリスの植民地支配への繁栄をもたらすことを知るにつけて、思い悩むこととなる。そんななか、Robinはイギリスの支配に抵抗するHermes Societyという秘密団体の窃盗を手伝うこととなるのである。

なにより面白いのは、そのSilverにうまく力を発揮させるために、言語間の類似語が大量に紹介されている点である。ラテン語やフランス語だけでなく中国語や日本語まで出てくるので、言語学習が好きな人にはたまらないだろう。また、Hilary Termなどオックスフォード大学独自の文化と思えるものに触れられる点も面白い。調べてみると、名門大学のいくつかは季節に独特の名前をつけているようだ。

「なぜ日本からGAFAは生まれないのか」山根節、牟田陽子

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
GAFAつまりGoogle, Facebook, Apple, Amazonを日本の企業と比較し、その違いを分析している。

海外にはYコンビネーターを代表とする、スタートアップに積極的に投資する仕組みがある。もし日本にもそのような仕組みを作ったら、メルカリのような企業がたくさん日本からも生まれるようになるのだろうか。実際には文化の違いなど、別の問題もあると感じており、他の人はどのように考えているのか知りたくなって本書にたどり着いた。

本書ではGoogle, Facebook, Apple, Amazonの現状やその発展の中のターニングポイントを説明した上で、日本の類似企業、Appleはソニーと、GoogleをNTTドコモと、Facebookを任天堂と、Amazonを楽天と比較している。

GAFAのいずれの企業についても過去何冊か本を読んだことがあったので、どの物語もまったく新しく知ったというわけではなかったが、改めて各企業を見直す機会となった。驚いたのはマークザッカーバーグの考え方である。映画ソーシャルネットワークによってどちらかというといたずら好きな男性というイメージが強かったのだが、本書を読んでそのイメージが少し変わった。Facebookという大企業の中で世界の動きや抵抗や世論と向き合いながらも、悩みながら成長している様子が伝わってくる。

19歳でフェイスブックを始め、社会人経験もなかった自分にとって、会社を経営する中で起こってきた色々な問題を全て咀嚼することは不可能でした。私にとってのこの15年間は、そういう問題1つ1つに対して、もっと責任を取れるように努力してきた歴史だと言えます。

毎回感じるのは創業者の持ち続けている強い信念である。GAFAの各企業はその成長の過程で、何度も莫大な金額で売却できる機会がありながらも、走業社たちは、自らの手で、その信念に則って成長させることを選んだのである。日本で同じようなことがあったら、その創業者はそのお金に目がくらまずに、自ら苦難の道を選ぶことができるだろうか。そう考えると日本とアメリカの違いはシステムだけでなく、信念の違いなのかもしれないと感じた。

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「Velvet was the Night」Silvia Moreno-Garcia

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1971年のメキシコでHawksの一員として働くElvisと秘書として週刊誌を読むことだけが楽しみの女性Maiteの2人の男女の人生を描く。

ElvisはEl Magoという男に拾われ、Hawksの一員として学生運動を鎮圧することを仕事としている。しかし、仲のいい同僚のGazpachoが銃弾に倒れて組織から抜けたことでグループのリーダーとなり今まで知らなかった様々な事柄に触れ、少しずつ自分の行動や立場を考えるようになる。そんななかある女性の張り込みを任される。

一方Maiteは秘書として働きながら、政治情勢の話題で盛り上がる同僚たちをは距離を起きながら、過去の恋愛を引きずって週刊誌の恋愛漫画だけを楽しみに生きている。Maiteは小遣い稼ぎのために週末ペットシッターをしていたが、客の一人が猫の餌やりとMaiteに任せたまま失踪してしまってから、その退屈な人生が少しずつ変化が起きる。

そんなメキシコの学生運動が盛んな時代に、異なる世界で生きていたElvisとMaiteの世界は少しずつ近づいていくのである。やがてElvisは話したこともないMaiteにどこか親近感を覚えていく。

物語展開としてものすごい斬新というわけではなかったが、やはりメキシコの学生運動、特にDirty War(汚い戦争)など、その動乱の時代を描写している点が新鮮である。メキシコの歴史などほとんど触れたことがなかったので、キューバ革命の後にこのような動乱の時代があったことを初めて知った。手の届く範囲でもう少し調べてみたいと思った。また、ElvisもMaiteも音楽が好きなため、当時のメキシコの音楽が何度も登場するのが面白い。こちらもいくつかさっそく聞いて当時の雰囲気を味わってみたいと思った。

メキシコにも学生運動の発端は、アメリカの共産主義運動を封じ込める動きから起こっていたことを知った。やはり日本にいて普通に生活していると、アメリカの悪い歴史部分が見えにくいのかもしれないと感じた。英語はどちらかというと欧米文化を伝える一方、南米文化には弱いので、もっとスペイン語の本なども読むべきかもしれないと感じた。

「1分で話せ」伊藤洋一

1分で話せ

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
短くシンプルに伝える方法を語る。

人は人の80%の話を聞いていないとして、意思を伝え、人を動かすために1分で話すことの重要性を説いている。そんななか話が伝わらなくなる4つのパターンが印象的である。

「プロセス」を話す
気を遣いすぎる
自分の意見とは違うことを言う
笑いを入れる

確かに僕自身の周囲でよく見るのは、「気を遣いすぎる」である。人を傷つけまいと一生懸命オブラートに包むから何を欲しいのだかわからなくなるのである。また、人を動かすのは「頭の中に生まれたイメージ」であり、そのために2つの手法があると言う。

ビジュアルなイメージを直接的に描いてもらう
聞き手をそこにあてはめていく、聞き手にそのイメージの中にはいっていってもらう

自分はどちらかというと直接的に物を言いすぎる傾向があって、よく「言い方が悪い」と言われる。しかし、むしろ人に思いをしっかり伝え、動かすためにはその方向で正しいと思えるようになった。ビジュアルのイメージを喚起する方法は心がけていきたいと思った。

伝え方でヒントになる箇所はあったが、全体としては内容の薄さを感じてしまった。後半に進むにしたがって前の章で語ったことの繰り返しで、最後の章はほとんど時間の無駄だった。

【楽天ブックス】「1分で話せ」

「The Monk Who Sold His Ferrari」Robin Sharma

The Monk Who Sold His Ferrari

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
心筋梗塞をきっかけに輝かしい法律家の経歴と私財を捨ててインドに旅立った友人が、若返って帰ってきてヒマラヤで得た豊かな人生のための教訓を語る。

すべてを捨ててヒマラヤに行った友人という話が印象的だったため序盤から興味津々である。ヒマラヤでしあわせにに長生きをする人々の秘訣を教わって帰ってきたJulianは話し始める。灯台のある美しい庭に関取がいる、不思議な逸話から、徐々にその奇妙な話が意図するところを説明していく。

まとめてしまうと、本書で語っている豊かな人生を生きる鍵はは次の7つである。

Master Your Mind
Follow The Purpose
Practice Kaizen
Live With Discipline
Respect Your Time
Selflessly Serve Others
Embrace the Present

つい先日「アファメーション」を読んだばかりであるが、それだけでなく「嫌われる勇気」など、本書で語られていることは、形や順番は異なれど、どれも多くの場所で語られることばかりである。それでも、語り方が異なればまた伝わり方や感じ方が違うもので、今回も改めて自分の生き方の純度をあげるきっかけとなった。

言葉の重要性、周囲で起きたことに対する自分の反応のコントロール、そして人や社会に尽くすこと、この3点は常に忘れないようにしたい。また、そのほかにも、人に伝えたい言葉であふれていた。

There are no mistakes in life, only lessons. There is no such thing as a negative experience, only opportunities to grow, learn and advance along the road of self-mastery. From struggle comes strength. Even pain can be a wonderful teacher.
No matter what happens to you in your life, you alone have the capacity to choose your response to it.
Your I can is more important than your IQ.
Don't pick up the phone every time it rings. It is there for your convenience, not the convenience of others.

世の中にはすでに本書で書かれていることができている人も多いだろう。しかし、そんな人でも何度もその考え方を忘れないために同じ考えに触れ、その純度を上げていくべきなのだろう。

「アファメーション」ルー・タイス

アファメーション

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人生を好転させる5つの法則を語る。

たびたび良書として名前が挙がってくるため、「アファメーション」という言葉から、おおよその内容の想像はできるのもかかわらず、自分の人生の密度をさらにあげるために本書を読むに至った。

本書は次の5つのステップを順番に語っている。

ステップ1 ビジョン、使命、価値観、動機、態度を明らかにする。
ステップ2 創造的な思考、ポジティブなセルフトークを取り入れる。
ステップ3 ターゲットを定義し、目標の刷り込みを行う。
ステップ4 行動を起こし、方向を正す。
ステップ5 人を育て、組織を改善する。

人生のすべては自分の選択であり、行きたい場所を明確にして、それを言葉にすることで実現に近づく、これは間違いない。また、この考えは、昨年読んだおすすめの本「自動的に夢がかなっていくブレインプログラミング」と非常に似ており、結局、豊かな理想の人生を達成するための誰もが認める方法ということだろう。

そういう意味では、考え方としてはすでに何度か触れたものだったので、大きな驚きはなかったが、表現の仕方、説明の仕方のなかに、いくつか新しいと思えるものがあり、この考え方の重要性を改めて再認識できた気がする。なかでも、自分のネガティブな考え方によって束縛され、不幸になっている人を端的に表した次の言葉が印象的だった。

見てごらん、鍵は君のポケットの中にあるよ。君はただ鍵を開けて、自由になればいいんだ。

後半は目標設定の必要性やそれに関わる逸話を多く書いており、また個人だけではなくグループへの適用などにも触れており、必要以上に長く感じた。個人的に人生を好転させたくて本書を読もうと考えているなら、上にも書いたように「自動的に夢がかなっていくブレインプログラミング」の方が端的でわかりやすく、また楽しく読めるだろう。

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