「世界最先端の研究が教える すごい心理学」内藤誼人

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
興味深い心理学調査とその結果について語る。

個人的に印象的だったのは「デキる人は軽いカバンを持つ」の話。この煽るようなタイトルが気に入らないが、身に覚えがあるのと、最近カバンが重いなと感じるので早速かばんの中身を見直したいと思った。

正直、どの心理学調査もそれなりに興味深くはあったが、読書を日常的にしている人なら聞いたことあるような話ばかりだろう。本全体としてエピソードの選択の順番も選択基準も著者のコメントも含め、まったくコンセプトが感じられない、ただの寄せ集めになってしまったのが残念である。タイトルの「すごい」も、売るためにこういうタイトルをつけることはわかっていても、内容とのギャップで失望感を増しているだけに感じた。

煽るようなタイトルと内容の薄さを考えると、この著者の本はもう読まないほうがいいなと思った。

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「スマホ脳」アンデシュ・ハンセン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
スマートFONを日常的に使うことの危険性について語る。

全体的に過去の人類の進化の過程とともに、なぜ人が現代病と呼ばれるストレス、うつ、依存症に陥るかを説明している。そして中盤以降は、スマホ、ブルーライト、SNSが人間にもたらす悪影響ををデータと共に説明していく。

もっとも印象的だったのは「シリコンバレーは罪悪感でいっぱい」の章である。そこではフェイスブックのいいね機能を開発した人物が、自分が発明によって世界中にSNS中毒を生み出したことに罪悪感を感じていることや、iPadの生みの親であるスティーブ・ジョブスはiPadを自分の子供には使わせなかったという事実が語られている。

たしかに、僕自身もサービスの開発に関わる仕事をしているが、常に焦点となるのは、ユーザーの幸せではなく、どうやって繰り返しサービスを利用する人を増やすか、である。つまり世の中の多くの企業が、ユーザーの依存を作り出すためにサービスの改善を繰り返しているのである。

そんななか、印象的だったのは著者が繰り返し語る次の言葉である

新しいテクノロジーに適応すればいいと考える人もいるが、私は違うと思う。人間がテクノロジーに順応するのではなく、テクノロジーが私たちに順応すべきなのだ。

企業が短期的な成功を数字を見て判断する限り、ユーザーの幸せよりリピートに焦点を当てるのは必然であり、それによって世界中に依存症が作られ続けるのである。幸せにフォーカスした企業が成功するためにはどんな社会の改善が必要なのだろうか、と考えさせられた。

最終的には「運動脳」と同様に運動を進めている。僕自身はスマホやSNSに依存しているとは思わないが、子供を持つ親として、子供に依存しない生活習慣を身につけさせることの必要性を考えさせられた。

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「精神科医が教える 幸せの授業 お金・仕事・人間関係・健康 すべてうまくいく」樺沢紫苑


オススメ度 ★★★★☆ 4/5
精神科医である著者が幸せについて語る。

僕自身、幸せを感じていないわけではないが、さらに幸せの純度を上げたいと思い、本書を読むことにした。

本書では、脳内の幸せを感じる幸福物質として、ドーパミン、セロトニン、オキシトシンの3つを挙げ、それぞれ、成功、健康、つながりに強く関連づいていると説明している。そして、この3つの幸せをもたらす要素は必ずしも並列ではなく、健康、つながり、成功の順に積み上げるべきとしている。

そんななか印象的だったのは、ドーパミン的幸福は長くは続かないとしている点である。つまり成功は幸福には繋がるもの、持続的な幸せを求めるなら、健康とつながりをもっと重視すべきだということである。成功を追い求めた結果虚しさを感じる男性にありがちな人生がしっかりと説明されていると感じる。

後半は、それぞれの幸せの要素を手に入れるためのアドバイスを語っている。どの説明も自分の体験と一致しており、今まで漠然と感じていたものを言語化してもらったという印象である。人生で迷った時に読み直すといいだろう。

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「人生がときめく片付けの魔法」近藤麻理恵

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
一度習えば、二度と散らからないという整理収納法について語る。

こんまりとして日本だけでなく海外でも有名な著者であるが、その著書に触れたことがなかったのでこれを機に読んでみようと思った。

端的に言えば本書を通じて著者が言っているのは

ときめかないものは捨てる

である。僕自身比較的ものはさっさと捨てるほうではあるが、それでも捨てるのが難しいと感じるのは、人からもらったものである。特にその人の手書きのメッセージなど書いてあると、どんなに小さな紙切れだろうと捨てるのが難しい。しかし、それについても本書のこんなアドバイスが効きそうである。

プレゼントはそのものより、気持ちを届けるモノです。
だから、「受け取った瞬間のときめきをくれて、ありがとう」といって捨ててあげればよいのです。

また、僕自身は服をたたむことは無駄な時間だと考える人間だが、本書では感謝の言葉をかけながらたたんで重ねるのではなくたてることを推奨している。正直、感謝の言葉をかけることの意味はよくわからないが、服をたてることの意味はわかったので、さっそく実践していこうと思った。

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「スタンフォード式疲れない体」山田知生

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
スタンフォード大学のトレーナーである著者が疲れない体づくりを語る。

スタンフォード大学は学業で有名な印象があったが、本書によるとスポーツでも長年目覚ましい成績をあげているという。本書はそんなスタンフォード大学で実践されている疲れの予防法について語っており、僕自身最近マッサージやストレッチなどコンディションづくりや体のケアに対して関心が高まっており、本書にたどり着いた。

まず、自らのコンディションを知ることの重要性を説いている。脈拍を定期的に測ることに「疲れ」を具体的な数値として計測できるようになるというのである。

そして、本書でもっとも印象的だったのはIAP呼吸法である。それはIntra Abdominal Pressureの略で「腹圧呼吸」とも書いており、簡単に言うと

息を吸うときも吐くときも、お腹の中の圧力を高めてお腹周りを固くする呼吸法

である。つまり、腹式呼吸とも異なり、これによって体幹が安定し正しい姿勢になり、無駄な動きがなくなるというのである。どちらかというと腹式呼吸が理想の呼吸という印象を持っていたためIAP呼吸法の考え方は新鮮だった。

ダメージ療法として「アイス・ヒート」メソッドも紹介している。簡単にいうと怪我をして24時間までは冷やし、24時間以降は温めるという方法で、注意しなければならないのは、怪我をした翌日だろうと24時間経つまでは冷やすということである。

終盤d根は睡眠と食事の重要性について語っている。睡眠は最低でも7時間、週末も平日も同じ時間に寝ることを勧めている。食事については、他の書籍でも触れていることと特に大きな違いはなく、日本人は炭水化物を摂りすぎなので、タンパク質の割合を増やすことを意識しなければならないという。ただ、本書でも言っているように、食事は厳しくしすぎると続かないので、できる範囲で徐々に習慣づけていきたい。

呼吸法、脈拍の定期的な測定、アイス・ヒートメソッドは早速取り入れていきたいと思った。

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「直感と論理をつなぐ思考」佐宗邦威

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
PDCAによる改善の流れは今後ますます自動化され、正解がないものに取り組む直感的な発想法がより必要になるという。本書では直感的な考え方の必要性とそれを生み出す手法を語る。

本書ではこれから社会が向き合う2つの危機をオートメーションの波とVUCAの霧としている。VUCAとはVolattility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)である。そしてそんななか、論理的、戦略的思考ではいずれ限界がくると説いている。つまり、ゲームに勝つことよりも、ゲームを作り出すことこそた重要なのだという。「自分モード」から「他人モード」、「1→∞」から「0→1」、「Vision-Driven」とから「Issue-Driven」など様々な言い回しを使っているが言っていることは基本的に同じである。

「いかに答えを探すか」ではなく、「そもそも答えなどない」という前提で動くことが、大半の人・組織に求められるようになったわけだ。

そして、後半では「0→1で発想する様々な手法を紹介している。プロトタイピングメソッドによって早く作って早めに失敗することの重要性や、広く全体を見る鳥の目と狭く集中して物事を見つめる虫の目を使い分ける方法や、「画像」と「言葉」を往復する思考法を紹介している。

なかでも手書きと絵の重要性を説いている点が印象的である。どんなにアプリなどのデジタルツールが進歩したとしてもアプリの立ち上げまでの時間を考えると、すぐに開けてかけるノートとペンにはかなわないと著者は主張するのである。

僕自身もすでにコンセプトが出来上がっているものを作り上げるよりも、コンセプト自体を創造することに価値があると考えているので、本書で行っていることには共感する。アイデアの出し方についても、僕自身デザイナーとして、デザイン案を構築する中で、言葉とイメージを往復しながらアイデアを少しずつ固めていく手法をよく使う。本書で書かれている内容は、その手法の効果を裏付ける形となった。

ツールについては、iPadのApplePencilの登場でかなりアナログの感覚をデジテルツールでも再現できるようになったと感じているが、確かにアクセスや、アプリを開くまでの時間を考えると、本書で言っているようなこともあるのかもしれないと感じた。ノートを一冊常に持ち歩くように習慣づけることは間違い無く良いことだろう。さっそく素敵なノートを一冊購入しようと思った。

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「税金を払うやつはバカ!」大村大次郎

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
国税局で10年間働いてきた著者が税金について語る。

昨今、自身の収入が少しずつではあるが増えてきたせいか、税金を意識する機会が多くなった。そんななか少しでも節税ができればと本書にたどり着いた。

面白いのは、国税局で働いてきた経歴を持ちながらも、税金をできるかぎり払わないことを推奨している点である。本書では個人事業主から会社員まで、支払う税金を少なくするための様々な方法を説明している。また、あわせて、日本の税金の制度のよくない点も説明している。

残念ながら会社員の僕がすぐに適用で起用できそうな方法は、せいぜい医療費控除に適用できる出費を知っただけで大きなものはなかった。むしろ節税の方法よりも、税金の制度について新たな視点をもたらしてくれた。例えば、消費税が公平な制度ではない、というのはよく耳にするが、消費税が格差社会を作るとまでは思っておらず、本書を読むまでしっかり理解していなかった。また、同様に消費税が非正規雇用を増やすことに貢献しているという視点も新鮮だった。

節税対策としてすぐに行動できる内容は少なかったが、税制度に対して新たな視点をもたらしてくれた。

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「みるみる理解できる相対性理論」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ホモ・サピエンス、つまり人類の進化の歴史を詳細に説明する。

先日「Project Hail Mary」という久しぶりに面白いSFに出会い、相対性理論を理解したいと思って、本書にたどり着いた。

光速に近い速度で宇宙旅行をした結果、2者の経験した時間が異なるというよくSFで使われる事象がある。その理由とどれぐらいの速度でどれぐらい時間が変わるのかを漠然としてでも理解することが目的の一つだったが、本書によって実は簡単な三平方の定理で計算することができると理解できた。難しいことを理解するには、それを発見した人の思考の過程を追うのが受け入れやすく、本書はそういう点でこれまでいくつか試した相対性理論関連の書籍のなかではもっとも理解しやすかった。

一方で、今更言うまでもないことかもしれないが、これを解明したアインシュタインの頭の構造に改めて驚かされた。

しかし、特殊相対性理論はまだしも、一般相対性理論はやはりまだ理解が難しく、特に

質量が空間を曲げ、空間の曲がりが重力を引き起こす

という点が、結果としては理解できても、どのようにしてその結論に至ったのかが受け入れがたく、引き続き機会を見つけて理解を試みたいと思った。

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「サピエンス全史」ユヴァル・ノア・ハラリ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ホモ・サピエンス、つまり人類の進化の歴史を詳細に説明する。

人類の進化の歴史を詳細に説明するなかで、ホモ・サピエンスが現代のように地球の支配者となった主な要因について説明している。

例えば初期の大きな変化は農業革命である。農業革命によって、狩猟から農耕へと移ったことにより、人々は定住化し、住居を持ち、その住居や土地に愛着を持つようになったという。著者は本当にそれが良かったかどうかについては疑問を投げかけているが、種としての進歩の過程で、その中の一個体、または特定の集団が、狩猟と農耕の生活の違いを比較して良い方を選択するということができないと結論づけている点が面白い。

もっとも興味深かったのは、ホモ・サピエンスの想像上の秩序によって一緒に行動することができるという特性であり、その特性によって、ホモ・サピエンスは他の種を圧倒することができたという主張である。例えば、チンパンジーやクジラなどの哺乳類も、どこに天敵がいるなどの簡単な会話はかわすことができるが、一般的なコミュニケーションで行動を共にできるのはせいぜい150個体程度の集団であり、それ以上の個体数、1万、10万という個体が共通の目的を持って行動するためには、宗教や神話など想像上の秩序を共通認識として持つ必要があるというのである。

キリスト教やアメリカの独立宣言など例をあげればきりがないほどさまざまな形でホモ・サピエンスはそれをこれまでにやってきて、今この時点でも様々な想像上の秩序に依存した関係のなかで生きていることは間違いのない事実である。

悲しいことに、多くの絶滅が、ホモ・サピエンスがその大陸に到達した時期と重なっているという。これはホモ・サピエンスの一個体として真実として受け入れるしか無いだろう。

学生時代に歴史の授業で学んだより時から、20年以上経って、現在はるかに多くのホモ・サピエンスの歴史が判明されていることに驚かされた。このような本でも読まない限りなかなか目を向ける機会のない分野なので、新たに知ったことがたくさんあった。ただ、前回読んだ「21Lesson」でも感じたことだが、若干冗長な語りが多く全体的に読みにくい。読もうと思った時にはある程度の覚悟が必要である。まだ未読の「ホモデウス」も名前はよく聞く作品なのでぜひ読みたいとは思っているが、しばらく間を置きたいと思った。

【楽天ブックス】「サピエンス全史(上)」「サピエンス全史(下)」

「Getting to Yes: Negotiating Agreement Without Giving In」Roger Fisher

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
世の中には交渉が溢れている。そんな交渉をうまく進めるための考え方を語る。

交渉が重要だと気付いたのは30代になってからである。転職時の給料の交渉などはうまくいくかいかないかでその後の数年間の自分の人生に大きく影響を与えるし、毎日の同僚との会話で締め切りや誰が担当を決めるのも交渉である。以前、オンラインコースで交渉を学んでその重要性を知り、さらに深めたいと思い本書にたどり着いた。

本書の面白いところは、よくある交渉術のような、前もってポジションを決めて臨む交渉(例えば「私は5000円以上のお金を絶対払わない」のように)の姿勢を否定しており、むしろ相手と自分自身の相互に利益をもたらす着地点を見つけることを推奨している。そして、そのために踏むべきステップと、そのために陥りやすい罠と回避方法を例を交えて細かく説明している。

本書の基本的な考えは次のものである。

Seperate the People from the Problem
人と問題を別に考える

Focus on Interests, Not Positions
自分の立ち位置に固執しないで利益を考える

Invent Options for Mutual Gain
相互の利益になる新たな選択肢を考える

Insist on Using Objective Criteria
客観的な指標を用いることを主張する

本書の核となる考え方は前半に詰まっており、後半は、交渉相手が相互利益に向かう交渉に乗ってこなかった場合などの進め方など、うまく進まない場合の対処方法について書いている。こちらは問題にぶつかったときにさらに読み返すべきだろう。

以前に受けた交渉術コースはどちらかというとポジションにこだわっており、人間関係を軽視しがちな印象を受けたので、本書の両者の利益を考える姿勢は新鮮で、取り組みやすいと感じた。僕自身すでにやっている部分も多いが、こうして言語化して整理して並べてもらうとさらに考えやすく受け入れやすい。なかでも、客観的な指標を用いるという考え方は考えたこともなかったので次回から心がけてみたいと思った。

「ブレインメンタル強化大全」樺沢紫苑

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

精神科医の著者が、睡眠、食事、運動の人生のおける重要性と、より良い睡眠、食事、運動の仕方を語る。

著者自身多くの本を読んでいるようで、それぞれについて様々な研究結果を引用している。どこかで聞いたような話や、別の本で読んだ話も多く、「〜のようだ」「〜の研究もあります」など、自分自身は読んだだけで実験したわけでもなく、ただ著者自身が気に入った情報を切り貼りしただけという印象が拭えない。

著者自身かなりの健康マニアだということがひしひしと伝わってくるが、人間何かを信じ始めると欲しい情報ばかりが見えてくるもの。そんな傾向を警戒した上で、話半分に本書を読むのがちょうどいいかもしれない。

参考文献が末尾にしっかり書かれているので、興味を持った分野はオリジナルの本を読むのがいいだろう。

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「超訳 ニーチェの言葉」フリードヒ・ニーチェ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ドイツの哲学者ニーチェの言葉をまとめている。

ニーチェという哲学者の名前は、おそらく多くの人が聞いたことぐらいはあるだろう。僕自身もそんなニーチェを名前だけ知っている一人だったが、今回同僚から薦められたこともあり、いい機会だと思って入りやすそうな本書にたどり着いた。

本書は1ページに満たないニーチェの短文を集めたもの。人間のあるべき生き方や愛や成長や心構えを語っている。何よりも驚いたのは、その一つ一つの考え方が現代でもまったく違和感なく伝わってくるというもの。「ニーチェって最近の人だったっけ?」と途中でニーチェが確かに100年以上前に生きた人であることを確認してしまったぐらい、まるで現代の人々を見て語っているような表現が多いのに驚かされた。

いくつか印象的だったもののタイトルだけ挙げると次のような内容である。

  • 脱皮して生きていく
  • 組織をはみ出す人
  • 所有の奴隷
  • そのままの相手を愛する
  • 愛と尊敬は同時にはもらえない
  • 読むべき書物
  • 真の教育者は解放する

タイトルを聞いただけでも現代の人間が見つめ直さなければならないものに合致しているのがわかるのではないだろうか。

ひょっとしたら人間関係に悩んでいる人、成長に悩んでいる人、愛に悩んでいる人は読んでみると何か気づきがあるかもしれない。

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「ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質」ナシーム・ニコラス・タレブ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
黒い白鳥と呼んでいる不確実な出来事について、それとどのように向き合っていけばいいのかを語る。

本書で黒い白鳥と呼んでいる事象は次のようなことを3つの特徴を備えている事象のことである。

1.以上であること。つまり過去に照らせば、そんなことが起きるかも知れないとはっきり示すものは何もなく、普通に考えられる範囲の外側にあること。
2.とても大きな衝撃があること。
3.以上であるにもかかわらず、私たち人間は、生まれついての性質で、それが起こってから適当な説明をでっち上げて、筋道をつけたり、予測が可能だったことにしてしまったりすること。

そして、そのような黒い白鳥が起きる可能性を、「拡張不可能な月並みの国」と「拡張可能な果ての国」と、世の中を大きく2つに分けて説明している。

果ての国は格差が大きい。データ一つが集計量や全体に、圧倒的に大きな影響を及ぼす。

月並みの国風のランダム性なら、一つの出来事にすぎないのに全体の流れを左右するような黒い白鳥が起こって驚かされることはありえない。

今の世の中では、果ての国に属する事象のほうがはるかに多く、だからこそ黒い白鳥が現れるのだという。そして、残念ながら著者は終始、予測というのは限界があり、黒い白鳥は予測できないと強調している。

本書の大部分は予測できないことを説明する話が繰り返されていく。そんななかでも面白かったのが、物言わぬ証拠の問題についての話である。「ビギナーズ・ラック」や「水泳選手の肉体」の話は、世の中が物言わぬ証拠を軽視するせいで、世の中を正しく見ることのできないわかりやすい逸話である。

インターネットの普及やアウトソーシングなど、グローバリゼーションによって果ての国の領域は今後さらに広がっていくだろう。そんな現代において本書が語る不果実性にどのように備えるかは間違いなく大きな鍵となる。そんなことを改めて感ん替えさせてくれた。

ただ、言っていることの重要性はわかるのだが、話が難しくなりすぎていて、もう少し単純にして読みやすく説明できないいものかと感じてしまった。世の中の本書に対する評価は非常に高いのだが、必ずしも人にはお勧めできないと感じた。

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「ファクトフルネス」ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
世界のことを知らなすぎる世間に懸念を抱いて、世界をありのままに見る方法を伝える。

2019年にもっとも話題になったといっていい本書。ようやく読むに至った。

本書では冒頭で印象的なクイズを読者に出し、現在の世の中の状況を説明する。世間の人々が世の中をただしく理解することのできない次の10の本能について説明する。

  • 分断本能
  • ネガティブ本能
  • 直線本能
  • 恐怖本能
  • 過大視本能
  • パターン化本能
  • 宿命本能
  • 単純化本能
  • 犯人探し本能
  • 焦り本能

簡単に総括してしまうと、僕らが思っているほど世界は悲観的ではないし、むしろ確実によくなっているということである。なかでも、もっとも印象的だったのは、これまで当然のように使ってきた「途上国」と「先進国」という世界を2つにグループ分けしてしまう言葉は、もはや世界の現状認識としては合ってないというもの。本書では次の4つのレベルに分けて世界の国を説明している。

  • レベル1…1日あたりの収入が1ドル
  • レベル2…1日あたりの収入が4ドル
  • レベル3…1日あたりの収入が16ドル
  • レベル4…1日あたりの収入が32ドル

また、レベルが同じ人たちは地域や宗教によらず似たような生活をしていることが多いのだという。

本書の狙い通り、世の中を見る目をもたらしてくれる一冊。何よりも本書を読んだことで世の中が少しずつよくなっていることを知れたのが嬉しい。父親の思いを、息子とその妻が書籍にした家族の魂を感じさせる本である。

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「フラット化する世界 普及版」トーマス・フリードマン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
インドや中国の現状を元にフラット化していく世界について語る。

アメリカ企業によるアウトソーシングによって栄えるインドのバンガロールをきっかけとして、世界のフラット化について語る。国や地域だけでなく、YouTubeやウォルマート、グーグル、UPS、アパッチ、デルなどのサービスや有名企業などがどのようによってフラット化を進めたり、フラット化を利用しているかについて説明する。

そして著者はそんなフラット化が進む世界において、祖国アメリカの未来を嘆くのである。アメリカ国内の教育、成功願望、予算、インフラなど様々な面で、フラット化が進む世界において十分な備えができていないというのである。

決して読みやすい本ではないが、世界の見方に新たな視点をもたらせてくれる。フラット化(というより均一化だが)する世界のことを、例えば、賃金が安い方へ安い方へとインターネットの力を最大限に利用して仕事が流れていく、と説明してしまえば、なにを今更当然のことを、となるであろうが、本書はその世界のフラット化の様子を様々な興味深い事実とあわせて説明するから非常に説得力があり重い。

そんななか、もっとも印象的だったのは、インドとパキスタンの紛争がフラット化のせいで深刻な事態になることを避けられたという出来事と、著者が考えるフラット化による平和へ貢献、そして9.11が起こったことについての著者による考察である。

世界におけるアラブ・イスラム世界を見ると、さまざまな面で地球上のほかの地域より遅れているのが目に留まる。…若いアラブ・イスラム教徒は自問せざるをえない。われわれの宗教は、信仰、政治、経済まですべてを網羅する優れた教えであるはずなのに、なぜ異教徒のほうがずっといい暮らしをしているのか?

かつてイスラム教徒が支配していたキリスト教国スペインの現在のGDPが、アラブ諸国すべて合わせたより大きいとは何事か。…ビン・ラディンは侮辱されたと感じた。

9.11同時多発テロにまつわる国民感情を、ブッシュ大統領が破廉恥にも政治目的に悪用したことは、歴史がいずれ明らかにしてくれるだろう。

有名な本ですでに出版から10年以上が経っているが、素晴らしい本だと感じた。ベルリンの壁の崩壊や9.11の航空機作戦など、本書で触れられているフラット化の大きな出来事について、もっと知りたいと感じた。

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「新装版 話を聞かない男、地図が読めない女」アラン・ピーズ/バーバラ・ピーズ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
男と女の違いを面白おかしく説明する。

タイトルのインパクトで名前だけは聞いたことあったが読んでいなかった本書。先日「自動的に夢がかなっていくブレイン・プログラミング」という同じ著者夫婦による素晴らしい本に触れたことにより、この本が生まれた時の話なども書かれていたため、せっかくなんで読んでみようと思い手に取った。

本書は新装版となっているが、本書のオリジナルが出版されたのは20年近く前になる。本書の当時の人気もあって、おそらく本書で書かれているようなことはその後多くのその後のメディアが似たようなことを語り、そのいくつかばすでに一般的な考え方になってしまったのだろう。残念ながら今読むと特に目新しさは感じなかった。

もっとも印象的だったのは、世の中、性別、人種を問わず人々を平等に扱おうという風潮だったため、このような男女の違いについた本を出すのは当時新しかったということ。今は平等よりも個性の尊重の方に重みが置かれていると感じるので、20年の間にたしかに時代は変わったなと感じた。

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「メモの魔力」前田裕二

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
メモをとることを繰り返してきた著者が、そのメモの取り方とその効果について語る。

僕らがメモと聞くと、見たり聞いたりしたことを書き残すことのように考えるが、著者はメモの目的を「記録」ではなく「知的生産」としており、次の3つの要素で構成している。

  • ファクト
  • 抽象化
  • 転用

実際に起きたことをファクトとし、それを他のことに適用できるように抽象化する。そして、最後は転用として、自分にアクションを書くのである。そして、抽象化については、What型、How型、Why型の3つの型を説明している。

世の中で見聞きしたすべての出来事に対して、このサイクルを繰り返しているのだとしたら、著者の言うように、知的生産力が向上するのは納得である。

また、夢を書き出すことでそれが叶いやすくなるというRAS(網様体賦活系)の働きについても説明している。RASについては最近読んだ「自動的に夢がかなっていくブレイン・プログラミング」の方で同じようなことより具体的に書かれているので、興味がある人はそちらも読むといいだろう。

後半では自己分析の重要性について書いている。確かに自分が何が好きで、何を大切にしているかを理解している人の方が、人生を脇道に逸れる可能性は低いだろう。

もちろん、ここまでメモに時間をかけることは時間がかかることだし、その執着的とも言える行為によって遠ざける人間関係もあるかもしれないが、早速できる範囲で始めてみたいと思った。

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「脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方」ジョン J. レイティ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
運動がどれだけより良い人生を送るために重要か、実験などの結果を交えながら説明する。

スポーツを日常的にしている人は感覚的にスポーツが心にも良いことはわかっているだろう。本書はそんななんとなくな良さをさまざまな研究結果を交えてわかりやすく解説している。

簡単に言うと運動は健康だけでなく、成績の向上、不安やストレスの解消、うつや加齢による認知症棟にも効果があるのだと言う。きになるのはどれぐらいの運動をするのがいいのかということだが、本書によると、心拍数が最大心拍数(220から年齢を引いた数が理論上の最大心拍数)の60%から70%を保ってを30分程度運動を行うのが良いとしている。それを週に5日というのが最低ラインということである。

どちらかというと、体育の授業などのこれまでの運動の機会にのなかで、自分は運動神経が鈍いと認識して運動を習慣化しなかった人こそ読むべきなのだろう。運動が得意不得意に関係なく、運動をするということは人生を豊かにするのである。

僕自身も現在はスカッシュや競技ダンス(社交ダンスの本気版)をできている。しかし、この先怪我や機会の喪失などでそれらのスポーツが習慣的にできなくなったときに、最低限良い人生を維持するために、本書で書いてあったことを考えて再び習慣にする運動を選びたいと思った。

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「会議でスマートに見せる100の方法」サラ・クーパー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
会議でスマートに見せる方法をイラストとともに面白おかしく紹介している。

過去たくさん会議に出たことのある人ならどれもみたことのある行動ばかりだろう。

自分がやってみたい、と思うような行動はそんなになかったが(それをやっても会議が無駄に長引くだけなので)、本書を読んで置くと、誰かがこの行動をやっているときに圧倒されないで済むのかもしれない。(「ああ、この人はスマートに見せる方法をやっているだけだな・・・」と。)

特に印象に残ったのは次の3つ。

それがなんであれ「スケールする?」と聞く
「いい質問だ」と言って質問に答えない
「それは正しい質問かな?」と逆質問する。

ただのウケ狙いにしかならないかもしれないが、機会があったら使ってみたい。

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「「山奥ニート」やってます。」石井あらた

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
和歌山の山奥で15人のニートが集まって共同生活をしているという。特にそれぞれ何をするわけでもなく1万8,000円の生活費で自由に暮らしている。そんな山奥ニートの創業時メンバーの著者がその暮らしぶりを語る。

序盤は現在の山奥ニートの生活の様子、中盤では、現在の状態に到るまでの過程と、そして最後に現在の山奥ニートそれぞれへのインタビューと今後の展望を語っている。印象的だっったのは、山奥ニートという共同生活が出来上がるにあたってのきっかけとなった「共生舎」というNPOとその代表である山本さんという存在である。彼らは、過疎集落の古民家にニートやひきこもりを集めるという計画をしたいたのである。

残念ながら山本さんは著者と知り合ってすぐに亡くなってしまったが、社会をよくしようと損得も関係なく活動している人がいることが知れていい刺激になった。

また、最後の限界集落について語った考え方も印象的だった。「便利な場所」というのは時代によって変わるんだという。今は駅や国道に近い場所が便利な場所とされているが、100年も遡れば、たくさんの作物が獲れる場所が便利だったのだろう。そうやって考えると、コロナ禍でリモートワークが常識となり、通勤が必要と亡くなったら、どこが便利になるのだろう。

いろいろ幸せな生き方というものについて考えさせてくれる一冊。

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