「電通巨大利権 東京五輪で搾取される国民」本間龍

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
東京オリンピックを中心に、日本のメディアに強い影響力を持つ電通の問題を語る。

東京オリンピックの開会式が電通のせいで貧相なものになったという声があったし、先日行われた東京都知事選挙でも候補者に対するメディアの対応への違いは電通の影響によるものと指摘する声もあった。日本の社会への電通の影響を知りたくなって本書にたどり着いた。

本書では現在の日本の総広告費に対する電通の割合などの数値的な部分から、オリンピックに関わるさまざまな電通の影響によって起こった出来事を語る。

興味深いのは、他国の広告業界と日本を比較している点である。日本のようにここまで一つの広告会社が大きくなっている例は海外にはなく、その理由として次の2つを挙げている。

  • 一業種多社
  • メディア購入と制作部門の同居

一業種多社とは、海外では同じ業界の異なる会社の広告を一つの広告代理店が担当することはできない。例えばトヨタを担当していたら同じ自動車業界のホンダや日産は担当できないのだが、現在電通や博報堂は、同じ業種のなかでも複数のスポンサーを抱えているのだという。

また、電通はコネ入社が非常に多い会社という。それによってそれぞれの社員の立場も実力だけでは測れない難しい関係になっていることも本書を読んで初めて知った。

たとえ縁故入社の新人社員の年俸が1千万円だとしても、その見返りとして数億〜数十億円の広告費を獲得出来れば十分元が取れるのだから、縁故入社組は体のいい「人質」とも称されている。

改めて、地上波を中心に世の中の出来事を捉えている人は、電通の意図を受けた各メディアに洗脳されているのだと感じたし、地上波のみから情報を取得することの危険性を再認識した。

また、政治と広告業界を理解すると、日本の仕組みがかなり理解できる気がした。

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「女帝 小池百合子」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
都知事である小池百合子の子供時代から現在に至るまでを描く。

先日終わった都知事選の過程で都政についてもっと知りたくなって本書にたどり着いた。

本書では小池百合子の家庭環境から、学生時代、そしてエジプト滞在期間などを含めて現在に至るまでを詳細に描いている。その成長過程の中から、小池の容姿に対するコンプレックスと複雑な家庭環境の中で育ったが故に、少しでも人より上に立ちたいという強い意志が感じられる。

中盤以降は政治家になって主張や所属政党を臨機応変に変更しながら政治の世界を駆け登っていく様子が描かれている。正直ここ20年ほどの政治の細かい動きを把握していなかったが、そのなかで小池百合子がどのような役割をしたのかが見えてきた。

面白いのは、エジプト滞在時代のルームメイトの証言を多数引用している点だろう。そのルームメイトは当時、小池の乏しいアラビア語でカイロ大学に入学、卒業しようとしている浅はかな考えに驚きながらも年下の小池を応援していたという。しかし今、ま小池政治家になってしまったことによって、日本に対する危機感や、自分が当時厳しく指摘しなかった自分の責任として罪悪感まで抱えているのだという。

あまり期待していなかったが面白かった。もちろん本書の情報をすべて鵜呑みにするわけにはいかないが、実名を出している部分や調べればすぐにわかる部分も多いので、かなりの部分が真実なのだろう。改めてこんな人間に都知事をやらせておいて、さらに一時期は総理大臣になりそうな可能性まであったということで、日本は大丈夫なのかと不安になったし、こんな人間に利用されて切り捨てられ続けている日本の著名な政治家たちにも改めて失望した。

一方で、野心以外に信念も能力もないにもかかわらず、それをしっかり自分で理解してひたすら機会と立場を利用し、嘘で塗り固めながらも日本を代表する政治家まで上り詰めた小池百合子という女性に対して敬意さえ抱いてしまった。

その上で改めて考えてしまう。権力争いやパフォーマンスばかり気にかけている人ではなく、本当に能力がある人が政治を担うにはどんなシステムにすべきなのだろう。

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「東京終了 現職都知事に消された政策ぜんぶ書く」舛添要一

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
前都知事である舛添要一氏が現職や都政について語る。

2024年の都知事選が結果としては小池百合子氏の再選となった。国政というものは法律を作ったり整備したりするという印象で想像しやすいが、法律に関与しない地方自治体レベルの都政や県政についても詳しく知りたくなって本書にたどり着いた。

タイトルからもわかるように本書は前都知事となる舛添要一氏が現職を批判するような形をとっている。現職である小池都知事に対しては全体的にはパフォーマンスを重視して、内容の薄い政策にお金を費やすという意見である。

そんななか並行して舛添氏がと指定として実現しようと努めていたこと、意識していたことなどが語られる。都政というものが漠然としてではあるがわかるだろう。印象的だったのは、家と同じように住む人や文化の変化に応じて、都市も30年周期でリニューアルが必要、という考え方である。確かに以前は人気の街だった渋谷や原宿が違った印象を与えるようになるのを見ると、コンセプトを持って都市をリニューアルしていることが伝わってくる。

著者は、長年作家など行政経験の乏しい都知事が続いたために職員の意識が低下したことを嘆いている。改めてどんな人間が都知事にふさわしいのだろうと考えさせられた。1人の人間があらゆる知識を持っていることはありえないので、都知事に求めるものはむしろリーダーシップとコンセプトメーカーなのかもしれない。

全体的に主観的な意見が目立つが、現職の都知事を完全批判するようなタイトルの割には控えめな印象を受けた。本書は前都知事が現職を見た形で描かれているので、現実を少しでも偏見なく見つめるために、現職都知事の側から描いた都政についても読んでみたいと思った。

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「28歳で政治家になる方法」田村亮

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
選挙戦術研究科と名乗る著者が政治家になる方法を語る。

最近残りの人生を考えて、もう少し人生を楽しむために何をしようかと考えたときに、政治家も面白そうと思っている。そんなわけでより現実的に政治家ってどんなものだろうと知りたくなって、本書に辿り着いた。

序盤は、政治家のメリットや面白さ、そして、誰もが政治に関わっているということを説いている。限られた人しかなれないという印象の政治家という職業も、実際には全ての人に開けているという意味では他の職業よりもずっと公平で、また、全ての人が少なからず政治に関わっているという意味では身近な職業だと気づくだろう。

序盤では現実の数値とともに政治家の実態を見せてくれるので、政治家という職業も結構面白そうだと感じるだろう。

中盤以降はより具体的なプランを語っている。本書では繰り返し市議会議員を狙うことを勧めている。そして市議会議員のなかでも当選しやすい選挙区の探し方を具体的に説明している。つまり出馬する地域を選べば、当選するのは一般的に思われているほど難しくないということである。もちろん、本書では当選をより確実にするために心がけることやるべきことを書いている。

興味深いのは落選する人としてあげている次の4つのタイプである。

  • 選挙と政治を区別していない人
  • すぐにブレる人
  • 高齢者層をあなどっている人
  • 頭のいい人

一つ目の「選挙と政治を区別していない人」というのは、いろんな分野で似たようなことが言えるが非常に面白い。つまり、選挙は当選するためのベストを尽くし、政治は当選してから考えろ、ということなのだろう。

後半からは実際に立候補した後にやるべき行動を、さらに具体的に説明している。実際にやるべきことがより具体的にイメージできることだろう。

本書を読んで、政治家になることは難しくないし、面白そうだと思った。とはいえすぐに次のステップとして市議会議員に立候補は飛躍しすぎだが、選挙の手伝いなど、もう少し深く関わって近くで政治というものを感じてみたいと思った。

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「マーガレット・サッチャー 政治を変えた「鉄の女」」冨田浩司

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
イギリスの政治家サッチャー時代について描く。

先日読んだ「シャギー・ベイン」がサッチャー政権時代の物語だったことで、当時のイギリスの様子や当時の政治の様子を知りたくて本書にたどり着いた。

本書ではサッチャーが首相になる経緯から、その政権において取り組んだこと、そして退任までを順を追って説明している。

印象的だったのはフォークランド戦争である。サッカーW杯などでイングランドとアルゼンチンが対決する際必ず持ち上がる出来事であるが、どのような経緯で発生したことなのかは知らなかった。本書を読んで、フォークランド戦争のアルゼンチン側の思惑や、イギリス側の民意などを理解すると、日本と韓国の間の竹島問題やロシアとの北方領土問題でも似たようなことは起こりうると感じた。

サッチャーという人物については、思っていた以上に感情的に物事に取り組んだ人物だという印象が強くなった。そんなサッチャーの政治家らしからぬ人間性が、当時の行き詰まっていたイギリスの政治に良い方向に作用したのだろう。

外交の専門家は、本能的に外交というものを、異なる主張についてどこかで折り合いをみつけるプロセスだと考えがちである。…サッチャーの交渉スタイルはこのような外交専門家の「職業病」とは無縁で、…いわば「玉砕型」と呼べるものであった。

また、サッチャーを含む当時の政治家たちの駆け引きや政策を知るにつれて、政治という仕事においても新たな視点をもたらしてくれた。

政治指導者には、時として、政策的には正しくても、政治的に機能しない選択肢を捨て、政策的には不十分でも、政治的に実現可能な選択肢を選ぶ懐の深さが求められる。

これまで政治家の本はバラック・オバマやジョージ・W・ブッシュなどアメリカ大統領に関するものしか読んだことがなかったが、他の政治家の考え方にも触れてみたいと思った。

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「経済ってそういうことだったのか会議」佐藤雅彦/竹中平蔵

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
経済について、だんご3兄弟などで有名ないメディアクリエーターの佐藤雅彦氏が竹中平蔵氏に解説してもらう様子を書籍にした。
今までにはないような説明で、竹中氏が経済を説明するところが面白い。個人的には、アメリカの通貨を利用して自国の通貨を持たないパナマの話や、資生堂にライバル心むき出しに挑むカネボウの話などが印象的だった。
すでに出版から15年以上が経過している本だから、現状と合致しない部分もあるかもしれないが、経済に対する見方を広めてくれるかもしれない。
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「No.1エコノミストが書いた世界一わかりやすい為替の本」上野泰也

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

漠然とFXで投資をするなかで、FXの持つリスクを正しく理解したいと思って本書を手に取った。
序盤は、「円高」などの言葉の意味もわからないような初心者にも理解できるような、噛み砕いた為替の説明から入り、中盤からは、どのようなできごとが為替に影響を与えるか、などより詳細な為替の動きについて説明している。
僕のようにFX投資するために必要な最低限の知識を持ちながらも、1段階知識のレベルをあげたいという人にちょうどいい。特に後半の2つの章「ドル以外の通貨の実力は?」と「為替相場の動きの法則と読み方・考え方」はまさに知りたかったことで、しかもその知りたかったことを細かくなりすぎない粒度で説明してくれている点がありがい。
世界一わかりやすいかは疑問だが、僕にとっては目的を十分に満たす内容だった。
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「傍若無人なアメリカ経済 アメリカの中央銀行・FRBの正体」中島精成

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
経済にあまり詳しいわけではないが、やはり株価の動きや為替の動きを毎日眺めるうちに、もう少し深く知りたいと思い本書を手に取った。
リーマンショック、バブルの崩壊、プラザ合意、変動相場制、住専ん問題、山一証券など、それぞれの出来事やそれぞれの言葉の意味はなんとなく理解しているつもりでいたが、本書は、それらを大きな流れの中で説明しているため、経済に疎い僕にとっても面白く飽きずに読むことができた。
例えば、アメリカの双子の赤字(貿易赤字、財政赤字が並存すること)を発端とし、プラザ合意、ルーブル合意からドイツ、日本ともに内需を拡大することを求められ、その圧力ゆえに金融引き締め政策が遅れバブルへと突き進んでいく、という流れや、アメリカのITバブルの崩壊後の金融緩和がサブプライムローン問題、リーマンショックへと進んで行く流れである。
実際に著者が言いたかったのはタイトルにもあるように、どれほど世界がアメリカの経済に振り回されているか、ということなのだろうが、自分にとっては今まで点としてしか理解できていなかった経済の大きな出来事が線として繋がって見えてきた点の方が印象的だった。
なかなかすべて理解できたとは言えないが、非常に読みやすく経済に詳しくない人でも興味を持って読み進めることができるのではないだろうか。同じ著者の書いた経済の本をもっと読んでみたいと思った。
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「IMF(国際通貨基金)使命と誤算」大田英明

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
IMFについて語る。
誰もが一度は耳にしたことがあるであろうIMFという組織。ところが実際その目的は何でどのような活動をしているかというとほとんどの人は知らないのではないだろうか。本書ではその発足の経緯と役割や実例について示している。簡単に書かれているとはされているが、僕も含めて外交や経済のある程度の知識がないとすべてを理解するのは難しいだろう。
個人的にはIMFや国際機関の役割の重要性を漠然と理解させてくれるとともに、経済的分野においてもっと知識を深めたいという良い刺激を与えてくれた。

外貨準備
中央銀行あるいは中央政府等の金融当局が外貨を保持すること。保持している外貨の量を外貨準備高(がいかじゅんびだか)という。(Wikipedia「外貨準備」
金融自由化
金融業において、金利、業務分野、金融商品、店舗などの、それまで政府によって制限されていた事柄の制限が廃止されて自由になることをいう。(Wikipedia「金融自由化」
資本自由化
国際資本取引に対する制限を緩和,撤廃することで,広義には資本の流入,流出の両面についての自由化をいうが,狭義には外国資本の流入,特に外国企業の進出を自由に認めることをいう。(コトバンク「資本自由化」
世界銀行
各国の中央政府または同政府から債務保証を受けた機関に対し融資を行う国際機関。当初は国際復興開発銀行を指したが、1960年に設立された国際開発協会とあわせて世界銀行と呼ぶ。(Wikipedia「世界銀行」

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「変わる世界、立ち後れる日本」ビル・エモット

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
世界のなかで日本が向かうべき方向を示してくれる。
5年ほど前に書かれた本ということで、やや現状にそぐわない部分もあったが、日本を中心に現状と未来への提言を書いている。正直、なかなかすべてを理解したとは言い難く、読んでいるうちに自分の知識の乏しさを思い知ることになった。本書で触れられている言葉の意味をもっとしっかり理解しておきたいと思った。例えばGATT、IMF、WTOなどのそれぞれの発足の経緯やその活動内容。変動為替性と固定為替性のメリット、デメリットなどである。
個人的にはサービス業と製造業という分類に対して疑問を呈している著者の姿勢が印象的だった。

しかし実際のところ、この二つはお互いに深く関連している。つまり、製造業にとって不可欠なデザインや最先端の技術革新は、どちらもサービス業である。

もう少し経済についても知識を深めるべきだと思わされた。
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「ヤバい経済学」スティーブン・D・レヴィット/スティーブン・J・ダブナー

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
1990年代の後半のアメリカ。誰もが犯罪の増加を予想する中、殺人率は5年間で50%以上も減少した。多くの人がその理由を語り始めたという。銃規制、好景気、取り締まりなど、しかしどれも直接的な理由ではない。犯罪が激減した理由はその20年以上前のあるできごとにあったのだ。
わずか数ページで心を引きつけられた。経済学と聞くと、どこか退屈な数学と経済の話のように感じるかもしれないが本書で書かれているのはいずれも身近で興味深い話ばかりである。大相撲の八百長はなぜ起こるのか。なぜギャングは麻薬を売るのか。子供の名前はどうやって決まるのか。こんな興味深い内容を、数値やインセンティブの考え方を用いて、今までになかった視点で説明する。
個人的には冒頭のアメリカの犯罪率の話だけでなく、お金を渡したら献血が減った話や、保育園で迎えにくる母親の遅刻に罰金を与えたらなぜか遅刻が増えた話などが印象的だった。お金を使って物事を重い通りに運びたいならそこで与えるお金の量は常に意識しなければならないのだろう。
なんだか世の中の仕組みが今まで以上に見えてくるような気にさせてくれる一冊。
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「決断できない日本」ケビン・メア

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
対日政策30年のキャリアを持つ著者が、日米関係や日本人について語る。
タイトルだけ読むと、その内容が日本人に批判的な内容で構成されているような、印象を与えてしまうかもしれないが、著者自身日本人の妻を持ち、日本を愛しているゆえに、決して日本人が読んで不愉快になるような内容ではない。僕は知らなかったのだが、著者自身は東北大震災前に、彼の発言が物議を醸し出したという事でひょっとしたら知っている人の方が多いのかもしれない。
さて、本書の内容は、普段あまり触れる事のできないような客観的な視点にたって日米関係を語っているように思える。なぜなら、著者は、日本人でないから日本の文化やメディアに過剰に毒される事もなく、かといってアメリカに住むアメリカ人のように日本に対して妙な偏見を抱いてもいないのだ。沖縄基地問題や、日本の政権交代による影響。そして東北大震災、政治に常に関心があるひとしかわからないような内容ではなく、むしろ僕のような政治に疎い人間にも分かりやすく、そして好奇心を刺激してくれる内容になっている。
特に沖縄基地問題についてはまた今までと違った視点から見つめる事ができるようになるだろう。

振り出しに戻っただけならまだましでしょう。県外移設を持ち出した民主党政権によって、せっかくの辺野古移設合意は推進力をほぼ失ってしまったのかもしれません。沖縄のため、と言いながら、沖縄県民の感情をいいように玩(もてあそ)んだだけです。

改めて言うが、本作品は決して日本人を非難している訳ではない。締めくくりとして著者は書いている。日本人という我慢強く規律のある国民はもっとよい指導力に恵まれるべきだ、と。

思いやり予算
防衛省予算に計上されている在日米軍駐留経費負担の通称である。在日米軍の駐留経費における日本側の負担のうち、日米地位協定及び、在日米軍駐留経費負担特別協定[1]を根拠に支出されている。ニュースや討論番組等報道関係でしばしば「日本側負担駐留経費=思いやり予算」のように扱われることがあるが後述のように「思いやり予算」とは在日米軍駐留経費の日本側負担のうちの全部ではなく一部を示すものであり用語の意義としては誤用である。Wikipedia「思いやり予算」
キジムナー
沖縄諸島周辺で伝承されてきた伝説上の生物、妖怪で、樹木(一般的にガジュマルの古木であることが多い)の精霊。 沖縄県を代表する精霊ということで、これをデフォルメしたデザインの民芸品や衣類なども数多く販売されている。(Wikipedia「キジムナー」

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「サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉」春山昇華

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
2007年の夏、サブプライムローンを初めとする住宅ローンへの不安から起こった金融危機。本書は「サブプライム」という言葉でひとくくりにされている問題を、住宅バブル、略奪的貸付、金融技術、世界の余剰資金という複数の視点から見つめ解説する。
理系の僕は正直言って経済には疎く、なかなかこの手の内容が理解できない。本書を手に取ったのも数日前に読んだマイケル・ルイスの「世紀の空売り」の細かい金融商品の仕組みが理解できなかったからである。本書も8割も理解できれば上出来かな、と思っていたのだが、非常に読みやすくわかりやすい。著者があとがきで「学生にもわかるような解説書にするという難題」と書いているとおり、経済の知識が未熟な人にも十分に理解できるような内容になっている。
興味深かったのが、サブプライム問題を理解するためにはアメリカという国の背景を理解する必要があるという説明のなかで、日本や欧州は消費者が冷遇されているが、アメリカは消費者が優遇されているという点である。アメリカでは借金をして豊かな生活をする文化が日本よりもはるかに染み付いているゆえに、金融商品がさまざまなニーズにこたえる形で発達しているのである。それ以外にもアフガン戦争やカードローンなどをサブプライム問題をここまで深刻にした要素としてあげている。
また、本書ではサブプライム問題の解説とともに、今後の世界の姿を描いている。今までアメリカが輸入超過で貿易赤字を生むことで、世界の景気を支えていた、それゆえに今後は世界の景気を支えるためにはアメリカに変わる貿易赤字大国が必要、というのはひょっとしたら経済に詳しい人には常識なのかもしれないが、僕にとっては非常に新鮮だった。
今まで見えなかった世界の動きが少し見えるようになった気がする。

国際決済銀行
通貨価値および金融システムの安定を中央銀行が追求することを支援するために、そうした分野についての国際協力を推進し、また、中央銀行の銀行として機能することを目的としている組織。1930年に第一次世界大戦で敗戦したドイツの賠償金支払いを取り扱う機関として設立された。本部はスイスのバーゼル。(Wikipedia「国際決済銀行」

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「Beフラット」中村安希

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
著者が多くの政治家たちをインタビューし、その会話のなかで疑問に思ったことなどを素直につづる。
「インパラの朝」の旅行記の女性ならではの独特かつ素直な視点と、深く考えて生きている様子に好感を抱いて、本作品にも同様のものを期待して手にとったのだが、読み始めてすぐ実は旅行記ではないと気づき、読むのをやめようかとも思ったのだが、読み進めるうちに本作品も悪くないと思い始めた。
政治関連の本というとどうしても、漠然とした政策や理念の羅列になってしまって何一つ具体的なことが見えてこないのだが、本書ではそんな僕らが思っていることを著者が代弁してくれる。わからないことをはっきりと「わからない」と言ってくれる著者の姿勢が新鮮である。政治家の説明だけ聞くと正論に聞こえるけど、なんだかそれは正論過ぎて実現しそうにない、と言ってくれるところもなんだかほっとする。
そして、日本の状況をアメリカや北欧など、著者の海外での経験と照らし合わせて比較して見せてくれる。著者は別に「ああすべき」とか「こうすべき」と語っているわけではないが、「どうすればいいんだろう?」と読者が素直に考えてしまうような、少し敬遠したくなるような政治や政策を近くに運んできてくれるようなそんな一冊である。
政治や政策を熟知している人には別に薦められるような内容でもないが、イマイチ政治に関心がない、という人は読んでみるといいのではないだろうか。
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