「Lead with a Story」Paul Smith

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
人間は規則や心がけを伝えただけではすぐに忘れてしまう。しかし、よくできた物語は人の記憶にしっかり残り、聞いた人はまた別の人に語って聞かせることさえある。だから、本当に伝えたいことを伝えるために、そしてそれを組織の中に浸透させるためには物語として伝えることは非常にいい。

本書はそんな物語の伝え方を、ビジネスシーンで発生しそうな様々なシーンにあわせて紹介している。物語の作り方、語り方だけではなく、印象的な多くの物語に触れることができる。本書を読んだだけで最低でも10個は人に語り伝えられる物語を手に入れられるだろう。

個人的には

– 陪審員のテーブルの話
– 檻の中の猿の話
– 震災中に自動販売機に並んだアメリカ人の話
– グァテマラの交差点で出会った少年の話
– 近づくほど小さくなる巨人の話
– 怪我をしながら完走したマラソンランナーの話

などが印象に残った。

後半では自分自身で物語を作り出す方法を書いている。本書の物語の受け売りだけでなく、オリジナルの物語を今後集めていきたいと思った。

「クリスティアーノ・ロナウド 生きる神話、知られざる素顔」竹澤哲

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
現在メッシと並んで世界最高の選手と言われるクリスティアーノ・ロナウドについて書いている。

偉業を成し遂げたチームの監督やサッカー選手などの話は、挑戦の連続で、どんな話も非常に刺激的で自分自身の人生のヒントとなる部分が多い。今回もそんな刺激を求めて本書を手に取った。

現在、メッシと並んで最高の選手と評価されるクリスティアーノ・ロナウドだが、一般的にはメッシは努力家、ロナウドは才能によって現在の地位に上り詰めたように受け取られているのではないだろうか。僕自身もそれに近い感覚を持っていた。しかし、本書を読むと、ロナウドも練習を怠らない努力家だとわかる。

前半はロナウドの幼少期からマンチェスター・ユナイテッドに入団するまでを描いており、家族の物語として読めるが、後半はチャンピオンズリーグやワールドカップなどの話が多く、サッカーに詳しくない人にはわかりずらいかもしれない。ロナウド自身についてだけでなく、ポルトガルという小さな国の歴史と、小さな国であるがゆえのサッカーにかける国民の思いなども教えてくれるので、2016年のポルトガルのユーロ優勝がどれほど国民が待ち望んだことだったのか知って驚くだろう。

今度はメッシの本も読んで見たいと思った。

【楽天ブックス】「クリスティアーノ・ロナウド 生きる神話、知られざる素顔」

「最短で目標を達成するOKRマネジメント入門」天野勝

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
OKRの導入の方法について説明している。

OKRの本は「OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法」と「Mueasure What Matters」と読んで理解したつもりでいたが、実際に組織に導入しようと思うとなかなかうまくいかない。うまくOKRを導入するためのヒントが見つかるのではないかと思い本書にたどり着いた。

本書は上に挙げた2冊のようにOKRの導入事例は一切書かれていない。そういう意味では、本書だけでOKRを理解するのは難しいだろう。本書で説明している方法は筆者がOKRを導入する中で試行錯誤した結果であり、元々のOKRの考え方に、アジャイルのスクラムの考え方を組み合わせたような形になっている。OKRがどのようなものかを理解したい人は、どこまでがOKRでどこからがカスタマイズしたものなのか区別しずらいだろう。

しかし、すでにOKRの知識を持っている人には、その導入方法についてヒントが見つかるかもしれない。個人的には

チームの境界を決める

といったあたりが、OKRを機能させるためには重要な気がする。他にもOKRに役立ちそうなインターネットサービスなども多数紹介されている。より実践的なOKRの本と言えるだろう。

【楽天ブックス】「最短で目標を達成するOKRマネジメント入門」

「エンジェル投資家」ジェイソン・カラカニス

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ウーバーへの投資などに関わり、シリコンバレーのエンジェル投資家として成功した著者ジェイソン・カラカニスがその投資の技術や情熱、そして投資の倫理について語る。

エンジェル投資という普通の人がなかなか馴染みのない世界、さらに言えば、人生においてその技術を活かすことがあるのかどうかすらわからない話なので、なぜそんな本を手に取ったのだろう、と思うかもしれない。しかし、考え方を変えれば、スタートアップなどの企業が成功するためには資金調達は避けて通れず、そこに資金を投じてくれる人たちの考え方を理解することは決して無駄ではない。まさに本書を手に取ったのは自分自身が今後もスタートアップで働いていくだろうと思っているからである。

本書はシリコンバレーでの投資についてかからており、著者自身もアメリカのなかでもシリコンバレーがもっともエンジェル投資に向いている、と書いている。つまり、日本はまだまだ法律的、環境的など様々な面で追いついてないのだろう。

興味深いのは、著者が、投資すべき企業を判断する際には、そのサービスよりも創業者の人柄を重視するといこと。なぜなら、スタートアップが続かない理由の大部分が、実は僕らが思うような「資金が尽きること」ではなく、「創業者のモチベーションが尽きること」だからだそうだ。僕らがスタートアップの創業者に対して持つイメージは、大金を稼いでいることかもしれないが、実際にお金を稼ごうと思ったら、スタートアップを創業するよりも大企業に勤めた方が何倍も楽で、そんな周囲の誘惑に惑わされず自ら立ち上げたサービスを大きくするために長く情熱を注げる人間を見極めることが大切なのだという。

著者は、次の4つの質問を、創業者を見極めるための最初の質問として使っている。

この創業者はなぜこのビジネスを選んだのか?
この創業者はどこまで本気なのか?
この創業者がこのビジネスで成功するチャンスはどれくらいかーー人生ではどうか?
成功したときの収益や私へのリターンはどのくらいか?

年間何十件ものスタートアップの創業者とのミーティングを重ねる著者が、短時間で創業者の人柄を判断するためにとたどり着いた質問である。必ずしもエンジェル投資家だけでなく、転職先を探しているような人も、この質問は役にたつかもしれない。

全体的には、やはり異なる世界の出来事という感は最後まで拭えなかったが、ソーシャルレンディングなど、上場企業以外への投資が少しずつ一般へ広がる中、機会があれば本書で書いてあることを実行してみたいと思った。

【楽天ブックス】「エンジェル投資家」

「Design Leadership」Richard Banifield

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
デザインのチームを機能させるための考え方を、多くの成功しているデザイン企業から紹介している。

この先、デザイナーとして組織に関わる中でチームを率いることが増えると考え、本書にたどり着いた。本書でで紹介されている多くの方法は、決して著者が「正しい」と考えていることではない。著者がインタビューした多くの企業のリーダーたちの声を紹介しているだけである。その人のこれまでの経験から発せられた意見に過ぎず、決してどんな企業にも当てはまることではないし、なかには相反する意見もふくまれている。それでも、日本のデザイン企業よりもはるかに多様な人材と多様な文化の入り混じったデザインチームを機能させているリーダーたちの声はどれも非常に参考になる。

そんななか最も印象的だったのが、働く場所へのリーダーたちのこだわりである。オフィスのある都市や、オフィスのレイアウトがチームの文化への影響の大きさをどのリーダーも強調するのである。その他にも、採用の際に悩みがちな、「技術で選ぶか、情熱で選ぶか」など発展段階にある組織が遭遇する困難の多くに触れている。

そんななかでも結局、リーダーの役目はこちらの言葉に集約されている気がする。 リーダーの仕事は、自分の意思を押し付けることではなく、創造性が発揮される場所をつくることだ。

また、リーダーとして組織を導く中で、困難に出会ったら読み返したいと思った。

「リーン・イン」シェリル・サンドバーグ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグが女性向けのキャリア形成の方法を語る。

シェリル・サンドバーグのような女性が書いた本ということで、「女性も男性と同等の能力がある」という強い信念を持った生き方を語るのかと想像していたが、実際には、彼女自身のキャリアの過程で、女性であるがゆえに受けた差別や、自分自身が遠慮した結果逃したチャンスなど、常に自分自身の失敗談と向き合い学ん鼻知ったことを女性たちに向けて伝えている。

僕自身、普段から「男女平等」なふるまいをしているつもりではある。しかし、本書で彼女が語る、女性と男性の立場の違い、扱いの違い、振る舞いの違いを知ると、思っていたよりも、はるかにたくさん男女の差は存在するのだとわかる。そのうちのいくつかは、男性側の無神経さからくるものもあるが、「成功した男性は好かれるが成功した女性は嫌われる」という世の中全体が持っている価値観からくるものあり、男女平等という世界の実現にはまだまだ道のりが長いことを思い知らされる。

キャリアはマラソンだと想像してほしい。マラソンのスタートラインに男性ランナーと女性ランナーがついたとする。どちらも同じだけ練習を積み、能力も甲乙つけがたい。二人はヨーイドンで走り出し、並走を続ける。沿道の観衆は、男性ランナーに「がんばれー」と声援を送り続ける。ところが女性ランナーには「そんなに無理するな」とか「もう十分。最後まで走らなくていいよ」と声をかけるのである。

女性に対する接し方を改めて考えさせてくれる一冊である。

【楽天ブックス】「リーン・イン」

「Designing with Data」Rochelle King/Elizabeth F Churchill/Caitlin Tan

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Spotify、Netflixなどなど、IT業界の著名な企業が、ABテストなどの調査を利用してサービスのデザインを発展させる方法について書いている。

本書ではDataを利用した開発手法を3つに分類している。

  • Data Aware
  • Data Informed
  • Data Driven

Data Drivenは取得したデータを信用してデザインを行うのに対して、Data Awareは参考程度に利用するといった意味である。いずれの方法も取得したデータを利用するが、そのデータの重要視具合が異なるのである。僕自身Data Driven Designという言葉を、「データに忠実にデザインする」という意味に受け取っていたが、かならずしもそうとは限らないのである。

さてABテストの利便性はわかっても、数あるテストしたい項目は、コンテンツやサービスの方向性などの大きな項目から、ボタンの色や文言などの細かい項目まで多岐にわたる。本書では第3章からそんな大量の知りたい項目を体系立てて行っていく手法について説明している。覚えておきたいのは、目的からテストまでを5階層にわけた考え方。

  • Goal
  • Problem/Opportunity Area
  • Hypothesis
  • Test
  • Result

そして、探索と評価、グローバルとローカルの2つの軸にテストの内容をプロットする考え方である。

  • Exploration-Evaluation
  • Local-Global

デザイナーのなかには、直感やセンスなど経験で培っていた部分を大切にしていて、データによってデザインするという考え方に抵抗を持つ人も多いだろう。しかし、本書で描かれている手法は、まったくそんなデザイナーの創造性を否定しているわけではない。むしろ、データという実際のユーザーの反応にしっかりと目を向けることで、デザイナーの持つ経験や創造性をさらに効果的に発揮させることができると言っている。

なかなか一度読んだだけで実践するのは難しいだろう。今後実践のなかで何度でも読み返したい。

「僕がアップルで学んだこと」松井博

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Windowsに押されて停滞していた時代と、iPhoneによって世界一の企業へと返り咲いた時代の両方を
経験した著者が、理想の職場と、仕事に対する姿勢について語る。
アップルに返り咲いたスティーブ・ジョブスが行なった改善は、一般的に言われる「割れ窓理論」というもので、細かいことまで徹底的に管理することで会社の文化を改善していくというものである。本書ではそんなジョブスの改革を現場にいた著者の視点から語っている。
また、後半では「社内政治と賢く付き合う方法」についても語っている。アメリカの企業というと、実力主義という印象を持っていたので、社内政治について書いてあるのは意外だった。
あまり秩序立った描き方がされているわけではなく、どちらかというと著者のアップル在籍時代の思い出、といった印象だが、組織を大きくするなかで活かせそうなヒントが詰まっている気がする。
【楽天ブックス】「僕がアップルで学んだこと」

「経済ってそういうことだったのか会議」佐藤雅彦/竹中平蔵

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
経済について、だんご3兄弟などで有名ないメディアクリエーターの佐藤雅彦氏が竹中平蔵氏に解説してもらう様子を書籍にした。
今までにはないような説明で、竹中氏が経済を説明するところが面白い。個人的には、アメリカの通貨を利用して自国の通貨を持たないパナマの話や、資生堂にライバル心むき出しに挑むカネボウの話などが印象的だった。
すでに出版から15年以上が経過している本だから、現状と合致しない部分もあるかもしれないが、経済に対する見方を広めてくれるかもしれない。
【楽天ブックス】「経済ってそういうことだったのか会議」

「シェアリングエコノミー Uber、Airbnbが変えた世界」宮?康二

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
AirbnbやUberに代表される、ユーザー同士が使わないものをシェアするためのプラットフォームの現状を知りたくて本書にたどり着いた。
本書では序盤にシェアリングエコノミーの仕組みと、なぜそれがなぜここ数年普及してきたかを説明して、そして中盤以降では、UberとAirbnbに焦点をあててその発展と現在の状況を語っている。
シェアリングエコノミーというと、「使わなくなったもの、または使っていない状態のものの再利用」という印象がが強く、その普及によって経済は停滞方向へ進むと考えていたが、本書によると、新規需要の創出という期待もできるのだという。

これまでホテルがなく滞在できなかった田舎町でもAirbnbなどを活用すれば、観光客が訪れることができる様になる。

途中で触れているミクロ経済学における市場メカニズムが資源の最適な分配を実現する条件。

1.私的独占や寡占がなく、生産者感やユーザー間の競争が十分にあること
2.取引関係者の間に情報の非対称性がないこと
3.直接の関係者以外の第三者に、大きな不利益ないしは利益を与えないこと

というのも、初めて聴くことで印象的だった。
全体的に人に勧めるほど内容の濃い内容ではなかったが、法律による規制の問題がシェアリングエコノミーの普及に大きく影響しているのだと再確認することができた。今後は規制との関連も踏まえて、シェアリングエコノミーの動向に注意を向けていたいと感じた。
【楽天ブックス】「シェアリングエコノミー Uber、Airbnbが変えた世界」

「プロデューサーシップ 創造する人の条件」山下勝

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
良いプロデューサーとはなんなのか。そんな視点でプロデューサーについて語る。
そもそも「プロデューサー」とはどんな人を指すのか。実は僕らはこの「プロデューサー」という言葉を曖昧なまま使っている。多くの人が一昔前に「プロデューサー」という言葉で共通して持っていたのは小室哲哉のような音楽プロデューサーであろう。本書では「Shall We Dance」などのヒット映画を生み出した映画プロデューサー等を例にとってそのプロデューサー像を説明する。
中盤以降ではプロデューサー型人材の持つ能力や、そんな人材を育むための環境について語っている。
正直、あまりわかりやすい内容とは言えないのだが、ここまでプロデューサーという役割に焦点を絞った書籍は珍しく。企業に利益をもたらすような人材を育てるための環境作りに役立つヒントがたくさんつまっているのではないだろうか。
【楽天ブックス】「プロデューサーシップ 創造する人の条件」

「No.1エコノミストが書いた世界一わかりやすい為替の本」上野泰也

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

漠然とFXで投資をするなかで、FXの持つリスクを正しく理解したいと思って本書を手に取った。
序盤は、「円高」などの言葉の意味もわからないような初心者にも理解できるような、噛み砕いた為替の説明から入り、中盤からは、どのようなできごとが為替に影響を与えるか、などより詳細な為替の動きについて説明している。
僕のようにFX投資するために必要な最低限の知識を持ちながらも、1段階知識のレベルをあげたいという人にちょうどいい。特に後半の2つの章「ドル以外の通貨の実力は?」と「為替相場の動きの法則と読み方・考え方」はまさに知りたかったことで、しかもその知りたかったことを細かくなりすぎない粒度で説明してくれている点がありがい。
世界一わかりやすいかは疑問だが、僕にとっては目的を十分に満たす内容だった。
【楽天ブックス】「No.1エコノミストが書いた世界一わかりやすい為替の本」

「ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた そしたら意外と役だった」堀江貴文

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2年半の刑期のなかで大量の本を読み、そのなかで良いと思ったものを勧めている。
正直このような本だとは思っていないで手にとったのだが、新たにたくさんの読みたい本に出会えた。それぞれの本を紹介する中で著者自身の考え方も書いているが、すでに堀江貴文という人物を知っていて、その著作に何度か触れたことある人にとっては特に新しいものではないだろう。
著者が挙げるリストのなかには有名にもかかわらず、今まで僕が読んでいなかったものなどもあり、これを機会に読んでみたいと思った。

・「グラゼニ」森高夕次
・「JIN 仁」村上もとか
・「東京タワー」リリー・フランキー
・「五体不満足」乙武洋匡
・「A3」森達也
・「こんな僕でも社長になれた」家入一真
・「理系の子」ジュディ・ダットン
・「とんび」重松清

【楽天ブックス】「ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた そしたら意外と役だった」

「ワーク・ルールズ!」ラズロ・ボック

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
グーグルの人事担当者である著者がこれまでのグーグルにおける人事制度のできるまでを語る。

グーグルは世界で最も人気のある企業として認知されているが、実際その文化はどのように作られるのかは正直知らなかった。本書を読むと、ほとんどすべての制度が、データをもとに実験と検証を繰り返しながら少しずつ出来上がったものだとわかる。

本書で題材として上がっている制度のできあがるまでの過程やその背景にある考え方など、どれも非常に興味深い。本書を読むと、どちらかというと組織のなかでレベルの低い人が集まると考えられがちな人事部の仕事も面白そうに思えてくる。また、どんなこともオープンにして、自由に議論が言えるグーグルという環境がうらやましく思えてくるだろう。

「人材は大事」と誰もが言いながらも、グーグルほどその大事さを行動に反映させている組織はないのではないかとも感じた。

たいていの企業は正規分布を使って社員を管理する。...テールは左右対称にはならない。成績の悪い社員は解雇され、さらにひどい人間は入社すらかなわないため、左側のテールが短いからだ。

今後組織づくりに関わるにあたって、もう一度読み直したいと思える一冊。
【楽天ブックス】「ワーク・ルールズ!」

「心と身体のパフォーマンスを最大化する「氣」の力」藤平信一

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
心身統一合気道会長の著者が、氣と、メジャーリーグで行なった氣のトレーニングについて語る。
著者の父であり、心身統一合気道の創設者である藤平光一の「氣の威力」はどちらかというと氣の話以外に藤平光一自身の物語であったが、本書は日常生活にも役立つであろう氣の基本的な部分の実践方法を解説している。また、あわせてメジャーリーグでの氣のトレーニングのエピソードを交えることで、その効果の有用性を伝えている。
合気道の経験のない人は、信じられないような話なのかもしれないが、本書を読めば、メジャーリーグや日本のプロ野球など多くの場所で実績を残した理論であることがわかるだろう。
人生がなかなかうまくいかないと感じている人は、ぜひ一度時間を割いて読んでみるといいだろう。
【楽天ブックス】「心と身体のパフォーマンスを最大化する「氣」の力」

「Interviewing Users」Steve Portigal

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

ユーザーインタビューの方法について書いている。本書は

デザインにおけるインタビューの重要性
インタビューのフレームワーク
インタビューの準備
ただ質問するだけでなく
インタビューの段階
どのように質問するか
インタビューをまとめる
インタビューを最適化する
調査結果でインパクトを与える

の9章からなる。特に学びが多かったのが「How to Ask Questions」の章である。
まずは、沈黙の使い方について書いている。インタビュー中はどうしても沈黙を埋めたくなるが、沈黙を埋めたいというプレッシャーを感じるのはユーザーも同じこと。だからこそ、その沈黙をユーザーに破らせてこそ、貴重な情報が得られるのだという。
また、「相手を正さない」というのも非常にインタビューにおいてやってしまいがちな間違いである。相手の助けたいという高からきたとしても、インタビューが終わってから行うべきなのだという。
例えばユーザーが「こんな機能があったらいいのに」と、すでにある機能について言った時、プロダクトに常に関わっているインタビュアーとしては、「その機能は実はここにあります」と言いたくなるが、一度それをやってしまうと、ユーザーは「ではこんな機能ありますか?」「こうやるにはどうしたらいいんですか?」という流れになってしまい、本来ユーザーの状況を理解するためのインタビューが、出張サポートへと変わってしまうからだという。
結局、インタビュアーが教えるのではなく、ユーザーから彼らの状況や考え方を教わるのが、ユーザーインタビューの目的なのである。そのことを常に念頭においておかなければならないのだろう。
「How to Ask Questions」の章は、今後もインタビューのたびに読み直して、インタビューするメンバーがほかにもいるならぜひ共有したいと思った。

「リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する」中原淳/金井壽宏

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
企業・組織の学習・成長を研究する著者が企業の「学び」について語る。
序盤では、課長という中間管理職の地位の低下について触れ、過去数十年で複雑になってきた中間管理職の業務と求められている高度な能力について説明している。その後中盤からは、どのように組織の進歩を支えていくかについて説明している。
学びというのを考えた時、重要なのは「実践」か「座学」か、で考えがちだが、著者はもっとも大切なのはそのどちらでもなく「内省」だと言う。そして、内省とは別の人間がいて、その人のために自らの行為をアウトプットすることによって効果的に行われるのだと言う。
本書の言葉を借りるなら、僕自身はどちらかというと「経験主義」だったわけだが、確かに自身の過去を振り返って見ると、忙殺されていた時代(実践の時代よりも)よりも、程よい忙しさのなかに自身の行為を振り返る時間があったときのほうが成長した気がする。
今後部下を持ったり、社内の学びの強化に関わることも増えてくると思うが、そんな折はしっかりと「内省」という要素について考えたいと思った。

「一斉講義はすべて忘れさられる運命にある」。教える側は、人は、言えば聞き、聞けば理解し、理解すれば納得し、納得すれば行動するものだと思いがちだが、それはまったくの思い込みでしかない。

【楽天ブックス】「リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する」

「エンジニアリング組織論への招待」広木大地

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
プロジェクトにおいて不確実性をなくしていくための考え方を書いている。
日々アジャイルをベースとしてプロジェクトに関わる中で、さらにより良いマネジメントの方法はないものかとヒントを探して本書にたどり着いた。
読みにくい本ではあるが、いくつものヒントが散りばめられていた。よくある問題の一つとして作業にかかる時間の見積もりの精度があがっていかないという問題があるが、それについて本書では、2点見積もり、3点見積もりといった多点見積もりを紹介している。将来的に多点見積もりの理解も深めたいと思った。
また、印象深かったのがアジャイルとウォーターフォールの比較の話である。よく議論になる話ではあるが、アジャイルはチームマネジメントもその流れのなかに含んでいるため、アジャイルとウォーターフォールはそもそも範囲が異なるので比較すること自体がおかしいとしている。
後半に出てきた7段階の権限移譲は組織において誤解が発生しやすい部分であるので頭のなかにしっかり刻んでおきたいと思った。

命令する
説得する
相談する
合意する
助言する
尋ねる
委任する

である。
正直、期待したほどのインパクトのある内容ではなかったが、それでも新たな学びはあったと感じる。
【楽天ブックス】「エンジニアリング組織論への招待」

「UX Research: Practical Techniques for Designing Better Products」Brad Nunnally, David Farkas

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
UX調査について語る。
例えば、定量調査、定性調査について詳しく説明しているだけでなく、どんなときにその調査方法を用いてどんなときにもちいるべきでないのか、等を説明している。また、調査のやり方だけでなく、調査結果からどのように組織を動かしていくかなど、なかなか他のUX関連の書籍では扱っていない点に触れているのも新鮮である。また、たくさんの調査方法を紹介している。それぞれの手法については概要程度の記述しかなかったが、今まで知らなかったいくつかの方法を知ることができた。それぞれの方法については今後さらに深めていきたいと思った。
また、ところどころに実際にUXリサーチャーのインタビューを交えている点が面白い。海外では「UXリサーチャー」という職種がここまで普及していることに驚かされる。
後半では、リクルーティングや調査のファシリテートの仕方について書いている。ユーザーの表情や姿勢でその発言からは見えない心理を読み取る方法などについても描かれており、なかなか一度読んだだけで実現できそうもないが、UXについてたくさん勉強している人に取っても、新しい発見がたくさんあるのではないだろうか。非常に細かい部分にまで触れているため、組織によっては、ここまで調査に時間や人を避けないというところもあるかもしれないが、知識として持っておいたり、「ここにこの情報がある」と知っておくことはいつか役に立つことだろう。
調査の結果の報告のなかでWord Cloudsで表現している場面があり印象に残った。今まで使ったことのない方向9手法だったので、機会があれば使ってみたいと思った。これからUXリサーチをするなかで読み返したいと思えるほど内容の濃い1冊。

「億を稼ぐ東大卒トレーダーが教えるおひとりさまの「肉食」投資術」村田美夏

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
東大卒のトレーダーとして有名な著者がその投資に対する考え方を語る。
タイトルだけ読むと、株式投資の方法について書かれていそうな印象を受けたが、実際には、時間の使い方や、人間関係の作り方など広い意味での「投資」について書かれている。
やはり特殊な生き方をしている人の考え方は、僕のような一般の考え方(?)を持っている人間からすると斬新である。個人的に印象に残ったのは

友だち5人の平均年収が自分の年収になる

レイヤーの高い人に会いに行こう

である。
どちらも人間関係の考え方であり、人間関係が変わればお金の流れも変わるのは、言われてみれば当たり前ではある。ただ、僕自身あまり普段こういう努力をしていないので、これを期に少し考え方を微調整してみようと思った。
残念ながらそれほどオススメという内容ではないが、保守的な生き方をしている人にとっては、目の覚めるような内容なのかもしれない。
【楽天ブックス】「億を稼ぐ東大卒トレーダーが教えるおひとりさまの「肉食」投資術」