「金閣寺」三島由紀夫

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
幼いことから吃ることをコンプレックスに生きる少年溝口(みぞぐち)が、金閣寺の美しさにとりつかれながれ生きていく様子を描く。

実際に起こった金閣寺の放火事件を題材とした作品。溝口(みぞぐち)が金閣寺の住職を期待されて成長していくなかで、その葛藤をひたすら描いている。近所に住む女性や友人の鶴川(つるかわ)、柏木(かしわぎ)たちとの間に起きる出来事が少しずつ少年の心に影響を与えていく。そして、少しずつ金閣寺の住職との溝が深まっていくのである。

なぜ溝口は金閣寺に火をつけたのか。その理由の解釈は読者に委ねられている。1回読んだだけではわからないものなのかもしれない。

現在は使われていないような古い言葉を多用しているのでその点も読みにくくさせている。純文学というとこんなものかもしれないが、物語よりも文章の紡ぎ方に興味を持つと楽しめるのかもしれない。

三島由紀夫作品はまた気が向いた時にトライしてみようと思う。
 
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「潮騒」三島由紀夫

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人口1400人の小島で漁師として働く18歳の新治(しんじ)はある日見知らぬ少女と出会い、恋に落ちる。
三島由紀夫というとその作品よりもその壮絶な人生の印象が強く、今まで作品自体を読む機会はなかった。そんななか、本作品は三島由紀夫作品のなかでも異色で読みやすいという評判を聞いて手に取った。
物語全体としては十代の新治(しんじ)と初江(はつえ)の純愛物語とまとめることができるが、もっとも印象的なのはその舞台となった小島の風景の描写である。実際に伊勢湾に存在する神島を舞台としており、島の名前以外の多くは実際に存在する地名で、伊良湖水道や伊勢湾の記述もある。そして、物語中で描かれているその島の人々は、島ゆえに非常に閉鎖的だが、普段つながりの希薄な都会で過ごしているであろう多くの読者にとっては、魅力的な暖かさを感じさせてくれるのではないだろうか。
新治(しんじ)と初江(はつえ)の恋愛からは、地位もお金も気にせずに恋に落ちることのできる若さが感じられる。また新治(しんじ)の母や初江(はつえ)の父など、多くの人間がその恋愛をより強固なものにするために一役買う点が面白い。昨今はコミュニティのなかで恋愛することを嫌う傾向があると聞くが、必ずしもデメリットばかりではないとも感じた。
残念ながら本書について文学的な評価をするほどの知識はないが、他の三島作品にも触れてみたいと思った。
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