オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ブランディングデザイナーの著者がブランディングデザインについて語る。
最近BXデザイナーという言葉が広がりを見せている。BXとはブランドエクスペリエンスのことで、つまりブランド体験をデザインする事である。これまでデザイナーが包括してきた領域が、より専門性を持って捉えられるようになったのである。これは世の中がその分野により高いレベルを求めるようになった証拠でもある。僕自身もデザイナーとしてこの分野の知識や経験を積み上げる一つの流れとして本書にたどり着いた。
多くのブランディング関連の書籍や授業と同じように、本書もブランディングとは何か、という説明から入っている。本書では
ブランディング=差異化
としている。正直これは、僕の思うブランディングの本質の捉え方とは若干異なっていたのだが、その次のマーケティングと比較して説明した表現のほうがしっくりきた。それは、
マーケティング ≒ 売るゲーム
ブランディング ≒ 伝言ゲーム
というものである。これこそまさにブランディングの重要な側面を表していると言える。人の心にどのような印象を刷り込むか、そしてそれによってどうやって人の間を浸透させるか、その部分をデザインすることこそブランディングなのだろう。
また、本書ではブランディングに必要なものとして次の3つを挙げている点である。
トップの熱い思い
良いモノ(サービス)
コミュニケーションチーム
特に一つ目は常々感じる事で、どれほど必要性を訴えても、トップの熱い思いがなければブランディングは進まないのである。
また本書では、ブランディングデザインを3つの階層で実施することの重要性を説いている。
マネジメントのデザイン
コミュニケーションのデザイン
コンテンツのデザイン
コミュニケーションとコンテンツの重要性は誰でも思いつくが、マネジメントも含めて考えている点が新鮮である。つまり、ブランディングの成功には、販路変更やビジネス戦略の刷新なども含めて考える必要があるのだ。
また、後半ではフォーカスRPCDという独自の手法で、実際にブランディングデザインの進め方を語っている。Resarch, Plan, Check, Doであり広義のデザインを日常的に行なっている人にとっては、新鮮な内容ではないかもしれないが、改めて、ブランディングデザインの流れを整理するよい機会となるだろう。
全体的には、僕自身が思うブランディングの考えと若干異なるところはあれど、良いところや伝えやすい表現などはぜひ使わせてもらおうと思った。
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