オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
末期がんを宣告された「僕」の目の前に悪魔が現れた。世界から1つづつ何かを消す代わりに寿命を一日延ばしてくれるという。
主人公の「僕」が死と向き合う物語ではあるが、軽い気持ちで読む事ができる。目の前に現れた悪魔によって「僕」は1つづつ何かが世界から消えていくことを目にすることで、何が本当に大切かを改めて考える事になる。
わかりやすいところだと、第二章の「世界から電話が消えたらなら」である。僕らが学生の頃はまだ携帯電話は出回っていなくて、待ち合わせの場所で電話をして連絡をするということができなかったし、そのせいで結局会えなかったなんて事もあったように思う。それが携帯電話の普及から15年ほどが経過した今、多くの人にとってないと不安になるような存在になってしまった。携帯電話は人を幸せにしたのだろうか。
もう1つ印象的だったのは時計を消す章。そもそも時間とは人間が勝手に決めた感覚に過ぎず、時間がなくなれば1日もなくなるし、時間をつぶす必要もなくなるのだ。時間の概念を考え出した事で人間は幸せになったのだろうか。
「僕」はそうやって世界からいくつかの物を消す決断をしながら自らの過去と向き合っていく。ほのぼのとしたちょっと考えさせられる一冊。
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