オススメ度 ★★★★☆ 4/5
産業医の著者が組織の病を取り除く方法を解説する。
過去所属していた会社で、最初はみんな楽しげに働いていたのに、数年経つとほとんどすべての人がギスギスしているという状態があった、そんな組織の雰囲気改善のヒントがあるのではないかと思い本書に辿り着いた。
本書では会社が取り組むべき個人活性を次の3つの要素で捉えている。
- 働きがい
- 働きやすさ
- 心身コンディション
そして、離職を次の3につに分類して、必ずしもすべての離職が悪いわけではないと強調している。
- 積極的離職
- 消極的離職
- 離脱
そもそも離職よりも深刻な状態として、「消極的定着」の存在を挙げている。つまり転職するほどの能力がないので転職できないが、会社の不満を言い続けて会社に留まる人間のことである。
また、本書では会社の人材を5つのカテゴリーに分けて考えている。
- ハイポテンシャル人材
- 立ち上がり人材
- 優秀人材
- 普通人材
- ぶら下がり人材
印象的だったのは、優秀人材の扱いである。優秀人材はどちらにせよ転職していくのは避けられないので、優秀人材の離職を防ぐためにコストを無闇にかけることは薦めていない。会社として優先すべきはハイポテンシャルな人材なのである。
最後に、定着スコアと従業員満足度を指標として、組織の状態を4つに分けて説明している。
- パラダイス 定着スコアも従業員満足度も高い
- ステップ 定着スコアは低いが、従業員満足度は高い
- ぶらさがり 定着スコアは高いが、従業員満足度は低い
- 荒野 定着スコアも従業員満足度も低い
必ずしもパラダイスだけが正解というわけではなく、組織によってはステップ型を目指すという方向性もありだろう。
組織を作りかたを、人材や離職のパターンなどの指標をともに体系的にまとめているので、組織づくりの指標となるだろう。
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