「腕のいいデザイナーが必ずやっている仕事のルール125」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
著名なデザイナーの考え方、心がけなどを格言としてまとめている。

僕自身すでにデザイナー歴20年近くになろうとしているが、少しでも学べるものがあれば学びたいと思い、本書を手に取った。文章は少なくて簡単な説明なので、1時間ほどで読めてしまうだろう。個人的に響いたのが次の言葉である。

  • 契約の流れで危険性を測ろう
  • 無駄話で要望を聞き出そう
  • 真似るならコンセプトを真似よ
  • 挨拶もデザイン
  • 仕事を趣味にしない
  • お金の意味を理解しよう

最後の「仕事を趣味にしない」と「お金の意味を理解しよう」はやりがちなことである。イラストを描いていること、デザインをしていることが楽しいから、タダでやってしまう。これは日本では賞賛されるが、海外では正しく値段をつけていない行為とされるのだという。気をつけたい。

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「海の見える理髪店」萩原浩

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第155回直木三十五賞受賞作品。

家族を描いた6つの短編集。

どれも家族愛を描いた作品ではあるが、個人的に印象的だったのが6番目の「成人式」である。中学生の時に交通事故で亡くなった娘、鈴音(すずね)の代わりに、40を過ぎた両親が成人式に出ようと試みる物語である。娘のためにと思いついた出来事が、娘を失った2人の人生に輝きを与えるのである。

優しい物語ではあるが、自分としては若干物足りない。もう少し年を取ってから読むといいのかもしれない。

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「スペイン語のしくみ」岡本信輝

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
スペイン語の基本を説明している。

スペイン語の勉強を日々しているので、手がかりになるものが少しでもあればと思い、本書を手に取った。

印象としては初心者向けの内容で、僕のように5年以上スペイン語を勉強しているような人にとって新しい内容はほとんどなかった。1点新しく知った点として、形容詞の位置によって意味が変わることがあるというものだ。

amigo viejo 年を取った友達
viejo amigo 古い友達
gran hombre 偉大な男
hombre grande 大きな男

スペイン語学習者であっても、初心に戻るために読むのはいいのかもしれない。

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「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」デイヴィッド・ミーアマン・スコット/ブライアン・ハリガン

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ライブ録音を許可し、音楽は無料で聴き放題という手法を40年も前から実践し長く活動してきたバンド、グレイトフル・デッドのマーケティング手法を語る。

40年前のバンドの話でありながらも現在も活かせそうな考え方を多く含んでいる。マーケティングの話やフリーミアムの考え方はすでに世の中にたくさんあるので特に目新しさはなかったが、改めて気をつけたいと思った項目は、

  • 忘れられない名前をつけよう
  • バラエティに富んだチームを作ろう
  • フリーから有料のプレミアムへアップグレードしてもらおう
  • ブランド管理をゆるくしよう

である。

章の合間に、グレイトフル・デッドの手法と比較して、Amazonやグーグルなど現在の成功した企業たちの戦略を紹介している。

全体的に感じたのは、ファンを幸せにすることを最優先にすることが大切だいうことである。何よりも著者の2人がグレイトフル・デッドをどれだけ好きかが伝わってくる。本書を読むと、マーケティングよりもグレイトフル・デッドが知りたくなる。グレイトフル・デッドの曲を聴きたくなる、ライブに行きたくなる。それが本書の狙いなのかもしれない。

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「A Cold Trail」Robert Dugoni

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
シアトルの自宅の建て替えのために故郷のCeder Groveに戻ったTracyは地元の警察署長であるCallowayから1993年になくなったHeather Johansenの殺害事件に関連した未解決の事件の捜査を依頼される。娘のDaniellaのために、誇れる故郷を作ろうとTracyはその真実の解明に乗り出す。

Tracy Crosswhiteシリーズの第7弾である。Danと結婚し娘のDaniellaが生まれた後の最初の物語である。20年以上前に亡くなったHeather Johansenの事件の真実を探っていた記者のKimberlyと元弁護士のMathewが不幸な事故によって相次いで亡くなったのである。事故と片付けるにはあまりにも不可解な死の謎を解くうちにCeder Groveの暗い部分が少しずつ明らかになっていくのである。

序盤は娘を危険に晒すことを不安視して、捜査に参加するTracyに反対するDanだが、少しずつTracyの考え方に理解を示していく。本作品は久しぶりにシアトルではなくCeder Groveを舞台としているため第1弾につづいて、Tracyや妹のSarahの過去とのつながりが描かれる。事件の解明の手がかりを探してSarahの日記を読んだり、捜査のために昔の友人にあったりするのである。昔は若かった友人たちが、40歳を超えてそれぞれ街の中心として生きているというギャップが面白い。ある人は出世しある人は結婚して母となっているのである。明るい未来を語りながらも、やがて平凡な大人へとなっていくのである。

毎回このシリーズには事件解決とは別に、家族や仲間のテーマがあるのが面白い。今回は、娘のDaniellaが生まれたことによる、TracyとDanの生活の変化や考え方の変化が重要なポイントと言えるだろう。DaniellaのベビーシッターとしてTracyの家にやってきたThereseが、アイルランドの文化を持ち込んできた点も面白い。シリーズが進むごとに家族の形態が少しずつ変化しているのも興味深い点だろう。Danilellaが大きくなるに従ってどのような家族になっていくのか注目して続編も読んでいきたい。

「アリス殺し」小林泰三

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大学生の栗栖川亜里(くりすがわあり)は不思議の国のアリスの夢を頻繁に見ていた。ある日、その夢のなかで誰かが死ぬと、現実世界でも身近な誰かが死ぬことに気づくのである。

どのようにして本書を知ったかもう忘れてしまったが、タイトルからもわかるように、不思議の国のアリスを絡めたミステリー。栗栖川亜里(くりすがわあり)が通っている大学で起こった殺人事件を、現実世界と夢のなかでさまざな人や動物と協力しながら解決していくのである。

この夢の中の死が現実世界の死とリンクするという点でこれまでにない物語で新鮮である。現実世界と夢の世界を行ったり来たりしながら、夢の世界のある人物(または動物が)、現実世界の誰にあたるのか、などを駆け引きなどもしながら探って、犯人を突き止めていくのである。

特に学びになることはないが、この奇妙な世界観は一読の価値ありである。著者小林泰三はほかにも「ドロシイ殺し」や「クララ殺し」という物語も描いていると言うことなのでこの奇妙な世界観を味わいたくなったらまたぜひ手に取ってみたい。

【楽天ブックス】「アリス殺し」

「超速読力」斎藤孝

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
多くの本に触れてきた著者が速読の方法について語る。

最近速読に関する本も書店にあふれているが、速読をテーマにした本を読むのが本書が最初である。

速読というと、本のページをすべてを驚くようなスピードで読むものと思っていたが、本書によると重要なパートを見つけてそこを読むとういことである。面白いのは本書ではその目的を「読んだものに対してコメントを言う」としている点である。たしかにどんなに早く読んだとしても、何も語れないほど頭のなかに何も残っていなければそもそも読書した意味がない、ということなのだろう。もちろんそれは、すべてのページをじっくり読んだとしても同じことで、読むために読んだいるのではなく、理解するために読んでいるのである。

目次のみ読むとか、最初と最後と真ん中だけを読むなど、その多くはよくある読書の手法ですでに知っているものだったが、「人格読み」という考え方だけは今まで持ってなかったので新鮮だった。著者の思いを心情的に理解すると、著者の言いたいことを理解しやすいとういのである。

1字1句丁寧に読むことだけが読書ではないと教えてくれた。

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「越前敏弥の日本人なら必ず悪役する英文」越前敏弥

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本人なら必ず誤訳する英文」の続編である。ダ・ヴィンチ・コードなどの作品の翻訳家である著者が翻訳が難しい英文を例にその翻訳の考え方を語る。

前作が意味の捉え方に焦点をあてているのに対して、本書は美しい日本語に変換することに焦点をあてている。僕自身それなりに英語は勉強してきたつもりだが、本書で例としてあげられる誤訳しやすい英文の罠にことごとく引っかかってしまった。その過程で著者の考え方を説明しているが、それを読むと、ただただ翻訳者の考えの深さに驚かされるばかりである。英語のや英語圏の文化だけではなく日本語の言い回しや、言葉の正確な意味についても知らなければならないのである。

そんななかでも、圧倒されたのがこちらの英文。プロ野球のキャッチャーについて語った言葉の最後である。

Too bad he couldn't hit his weight.

どうだろう。こちらは

打率が体重に負けたのは残念だった。

という意味だという。アメリカだと体重も打率と同じように3桁の数字で表される(200ポンド)ので、例えば2割も打てない、という意味なのだ。アメリカの文化を知っていなければまず翻訳できない文である。

後半は、実際のダ・ヴィンチ・コードの翻訳文を、著者の授業を受けた生徒の訳と著者自身の訳を比較しながらそれぞれのポイントを解説している。この辺までくるともはやただの英語学習者には必要のない内容ではあるが、翻訳の深みが感じられるだろう。合間に著者が翻訳者として生計を立てるまでのエピソードも挟まれていて、そちらも面白い。少し英語ができるからと言って翻訳者を目指すという考え方ではとてもついていけない世界だと知った。

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「The Serialist」David Gordon

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2012年このミステリーがすごい!海外編第1位作品。

Harryは、ポルノ小説家でありゴーストライターでもある。さらに時には偽名を語り、SFから吸血鬼まで様々なジャンルを書く売れない小説家なのである。ある日、過去に3人の女性を殺して現在死刑間近の犯罪者Darian Clayから仕事を依頼される。それは彼に手紙を送ってくる女性たちにインタビューしてほしいというものだった。

Harryが売れない小説家であるために、会う人会う人に小説家として尊敬されるどころかむしろ見下されているところが全体を面白くさせているのだろう。その筆頭はHarryのアシスタント兼マネージャー的な役割を担う、高校生のClaireである。元々は彼女の論文を書くバイトをしていたことから知り合ったのが今ではパートナーとして毎日一緒に過ごしているのである。序盤はそんな小説家として日常を面白く描いている。

やがて、HarryはDarian Clayに関わり、それによって、事件の被害者の家族や弁護士や、警察官との関わるようになる。Clayの要望通りに、Clayにファンレターを送ってくる人にインタビューを進める中で、さらに大きな事件に巻き込まれていくのである。

偽名で出した吸血鬼小説が人気があったり、犯罪者であるDarian Clayの考え方に深い理解を示したりする点が面白い。Harryが書いていると思われるSFや吸血鬼物語が挟み込まれ、それが意外と面白いのである。実際に著者David Gordon自身も本作品以外にあまりヒット作と呼べるものがなく、主人公であるHarryに自分自身を重ねているのではないだろうか。そして、そんな自分自身からヒントを得て描いたリアルな二流小説家の表紙が本作品の最高の魅力と言えるだろう。

「文法のおさらいでお悩み解消!スッキリ文章術」時田昌

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
30年以上新聞社で校閲業務に関わってきた著者が読みやすい文章を書くための文章術を語る。

仕事で人の書いた原稿を受け取る機会があり、その文章の不自然さを感じながらも改善の仕方を感覚的にしか説明できず、良い文を書くためのルールを説明できるようになりたいと思い、本書にたどり着いた。

本書では、さまざまな読みにくい例を挙げて、その文を読みやすくする方法をいくつかのポイントを交えながら解説しており、僕自身日本語は結構自信があったのだが、いくつかの項目で、まだまだ曖昧にしていることが多くあることに気づかされた。

意外とやりがちだとおもったのは「述語にかかる品詞はそろえる」という考え方である。

明日の会議の目的は、新会員の紹介と、来年度予算を審議します。

明日の会議の目的は、新会員の紹介と、来年度予算の審議です。

彼の短所は、マナーや常識に欠ける。

彼の短所は、マナーや常識に欠けるところだ。

また、修飾の順序についても次のように説明している。

「句は前、詞は後」、「長い修飾語は前、短い修飾語は後」

普段不自然さを感じて改善しているだろうことだが、「なぜ?」と聞かれると答えられない。このようにはっきりと言語化してくれる点がありがたい。

そして、もっとも仕事のなかでよく見ると思うのが「敬語連結」と表現されるもの

話題のテレビドラマ、ご覧になっていらっしゃいますか?

話題のテレビドラマ、ご覧になっていますか?

尊敬語の「ご〜になる」の形と「いらっしゃる」の形を連結させた、敬意の過剰表現として避けたほうがいいと説明している。

普段外国語の勉強ばかりであまり日本語へ注意が行かないが、こうして改めて見てみるとまだまだ伸びしろがあることに気づかされる。

【楽天ブックス】「文法のおさらいでお悩み解消!スッキリ文章術」

「ファーストラヴ」島本理生

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第159回直木三十五賞受賞作品。

父親を殺した大学生の聖山環菜(ひじりやまかんな)の手記を書くために臨床心理士の真壁由紀(まかべゆき)は、弁護士の迦葉(かしょう)とともにその動機を探る。

少しずつ心を開いていく環菜(かんな)の証言からその異質な、交友関係や家庭環境、そして環菜(かんな)の心の傷が浮かび上がっていく。また、真壁由紀(まかべゆき)自身も、過去に辛い体験をしていて、物語が進むにしたがって、由紀(ゆき)と迦葉(かしょう)の過去の関係が明らかになっていく。

ちいさな習慣が積み重なって、心の中で消えない大きな傷に発展し、ときにそれが大きな事件につながるのである。そんな悲しい物語ではあるが、ラストで環菜(かんな)のしっかりとした考え方が見えるのが救いである。

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「人を操る禁断の文章術」メンタリストDaigo

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
メンタリストDaigoが文章術を説く。

メンタリストDaigoがライターとしてどれほど実績があるのかはわからないが、文章の能力の向上は常に必要なのでコピーライティングの本を漁っていたところ本書にたどり着いた。

もっとも印象的だったのは最初に、文章の力を端的に表現した言葉である。

誰もが納得の美女を作り出すには、文章を使って想像させるしかない。つまり、世界最高の美女をつくれるのは文章だけなのです。

これは本当に小説を読んでいていつも思うことで、小説で「美女」とか「美人」と言われると、それはまぎれもなく美しいのである。そして、ドラマ化等されるとだいたいイメージが違うことにがっかりするのである。

本書ではそのほかにもいい文章を書くためコツをわかりやすくまとめている。例えば「書かない3原則」として次の3つを挙げている。

1.あれこれ書かない
2.きれいに書かない
3.自分で書かない

何よりも人を操ることに重点を置く本書では、人を動かす7つの引き金を次のように説明している。

1.興味
2.ホンネとタテマエ
3.悩み
4.ソン・トク
5.みんな一緒
6.認められたい
7.あなただけの

行動デザインの考え方と共通する部分があり、何事にも共通するのだと感じた。若干コピーライティングの参考書としては不足があるが、毎日の文章のなかになにかしらプラスの変化を与えてくれるかもしれない。

【楽天ブックス】「人を操る禁断の文章術」

「The Sense of an Ending」Julian Barnes

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2011年ブッカー賞受賞作品。イギリス青年だったAnthony Websterの一生を描いた作品。

学生時代に仲のよかったAnthony, Colin, Alex, Adrianの4人組の中で特に頭が良かったのはAdrian Finnである。やがて4人は生涯続く友情を約束しながらも別々の道へ進み、Adrianはその頭脳を活かしてケンブリッジ大学へ進学し、Anthonyの元恋人Veronicaと付き合うこととなるのである。自分の元恋人と親友であるAnthonyが付き合うことに複雑な思いを抱きいていたAnthonyだが、やがてAdrianが自殺したという連絡が届くのだ。

自分たちのヒーローだったAdrianがどうして命を絶ったのか、そんな想いにかられながらも人生は進む。Margaretという妻と結婚して、Susanという娘が生み、やがてMargaretとも良い関係を保ちながらも離婚することとなる。そして離婚して数年経った後、1度しか会ったことのないVeronicaの母からAnthonyに向けて遺産が残されていることから、もう一度40年前の出来と後を考え始め、少しずつその真実に近づいていくのである。

Anthonyの若い時代からは、文学と音楽をエンターテイメントにそこに情熱を注ぐ、60年代のイギリスの男性の生き方が見えてくる。Anthonyの人生をゆっくり描くのかと思ったが、物語中盤ですでに人生の晩年の離婚した状態で、後半はゆっくり人生を振り返り過去のVeronicaやAdrianに思いを巡らす部分に多くページを割いている。人生の晩年を迎え、すでに自分の人生の大きなイベントは終わってしまったAnthonyが、過去を振り返り、人生をより良いものにしようと奮闘する姿が印象的である。

「けっきょく、よはく。 余白を活かしたデザインレイアウトの本」ingectar-e

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
デザイン事務所が余白を活かして洗練されたデザインを作る方法を語る。

様々なデザインテイストをテーマに、初心者がやりがちなNGデザインと、上級者がやる余白を活かしたOKデザインを掲載し、それぞれのポイントを解説している。

本書のようにNGデザインとOKデザインを掲載したデザイン書籍は多数世の中にあるが、どの本においても、NGデザインはNGとはいえデザインとしてひどすぎたり、OKデザインにもツッコミどころ満載だったりすることがある。本書もその点では例外ではない。同時に、わざわざ意図してNGデザインを作らなければならないという、このような本を作ることの難しさを感じた。

デザインを長年やっている人にはあまり参考になる部分がないかもしれないが、5年程度までのデザイナーには学ぶ部分があるだろう。個人的にもっともありがたかったのは、使い勝手の良さそうな英文フォント等を紹介してくれている点である。いずれもAdobe Typekitで使用できるということなので、ぜひフォント名からイメージが湧くようにして、必要なときに使えるようにしたいと思った。

  • Adorn Engraved Regular
  • Province Sans Pro Regular
  • Boucherie Cursive Regular
  • Mrs Eaves All Petite Caps
  • AnnabelleJF Regular
  • Jay Gothic URW Bold
  • ScriptoramaJF Tradeshow
  • AdageScriptJS Regular
  • Serifa Bold
  • Casablanca URW light
  • Grafolita Script Regular
  • Adorn Serif Regular

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「稼げる講師、稼げない講師 どこが違うか」五十嵐康雄

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
研修講師として全国で活躍する著者が、すぐれた講師になるための考え方を語る。

僕自身もZoom経由でデザインを人に教えるようになり、現在のやり方で特に不足を感じているわけではないが、さらに進化できる方法があるのなら取り入れたいと思い、本書にたどりついた。「稼げる講師は」と「稼げない講師は」で退避して説明しているので非常に読みやすく、目次を読めばだいたい言いたいことはわかるのではないだろうか。お金儲けだけが目当てというわけではないが、受講してくれる人に少しでも喜んでもらえるために、不快な思いをさせないために、どのようなこころがけをすべきかいくつかヒントとなることに出会うことができた。

その中でも自分自身も心がけたいと思ったことが次のことである。

  • 稼げる講師は「答え」にたどり着くプロセスを話し、稼げない講師は「答え」だけを教える
  • 稼げる講師はゆずれないことを盛り込んだ契約書をつくり、稼げない講師はお客様の要望通りの契約書をつくる
  • 稼げる講師は会場を動き回って話し、稼げない講師は演台の前から動かずに話す
  • 稼げる講師は受講者の間違えをきちんと指摘し、稼げない講師は受講者の間違えいを指摘しない
  • 稼げる講師は受講者と対話をし、稼げない講師は受講者に一方的に説明する

結局大事なのは、お金を設けることではなく、受講者の成長を助けることなのだと再認識させてもらった。

【楽天ブックス】「稼げる講師、稼げない講師 どこが違うか」

「キョウカンカク」天祢涼

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第43回メフィスト賞受賞作品。女性を無差別に殺して、その死体を焼くという手口で殺人を繰り返すフレイムの事件を解決するために、音を見ることができる共感覚を持つ音宮美夜(おとみやみや)が捜査に乗り出す。

先日読んだ「希望が死んだ夜に」が比較的良かったので、著者の過去の作品を探して本書にたどりついた。

共感覚という事象はすでに一般的に知られるようになったとはいえ、本書のように共感覚を扱った物語は珍しいだろう。フレイムに幼馴染を殺された失意の高校生山紫郎(さんしろう)が、音宮美夜(おとみやみや)と相互の利益のために共に行動することとなり、フレイムに近づいていくのである。

物語の展開として面白いのは、序盤でその人物の発する声の色から、容疑者を絞り込んだことである。その容疑者とは山紫郎(さんしろう)の幼馴染である神崎玲(かんざきれい)であるが動機がない。さまざまな可能性も考慮しながら犯人を絞り込んでいく。本当に神崎玲(かんざきれい)が犯人なのか、それとも共感覚に振り回されて真犯人を見逃しているのか。

音宮美夜(おとみやみや)を主人公とした続編がいくらでも作れそうな感じで気楽に楽しめる一冊。

【楽天ブックス】「キョウカンカク」

「それまでの明日」原寮

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2019年このミステリーがすごい!国内編第1位作品。このミステリーがすごい!の過去の作品を漁っていて本書にたどり着いた。

銀行の支店長を望月皓一(もちづきこういち)という紳士から、赤坂の料亭の女将の私生活を調査するように依頼された沢崎(さわざき)は、その調査の過程で銀行強盗に巻き込まれることとなる。

調査を開始してすぐに沢崎(さわざき)は調査対象である料亭の女将が半年ほど前に亡くなっていることを知る。そして、依頼人である支店長の望月皓一(もちづきこういち)も失踪したことから、沢崎(さわざき)の目的は望月(もちづき)の居場所を突き止めることへとシフトしていく。やがてその捜査は暴力団同士の抗争へとつながっていく。

銀行強盗や、調査対象の料亭の女将という題材がどこか古臭さを感じる。退屈したわけではないが、特に新しさを感じるところはなかった。、どうやら本書には過去の同じ探偵沢崎(さわざき)を主人公とする物語が別にあるようだ。おそらく直木賞受賞作品「私が殺した少女」がそれにあたるのだろう。そちらを先に読んだ方が全体の流れが掴めたり、ひょっとしたら本書ももっと面白く感じたかもしれない。

【楽天ブックス】「それまでの明日」

「毎日ロゴ 無名デザイナーが365日、毎日ロゴをつくり続け有名デザイン賞を受賞したロゴデザイン上達法」石川竜太

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1年間365日ロゴをデザインするということをやった著者が、その356個のロゴ作りから学んだことやその後の実際の仕事の様子を語る。

著者が設けたロゴ作りのルールは、その日が何の日なのか調べ、テーマを選び、ロゴを製作し投稿するまでを30分以内で行うということ。制作に30分しかかけられていないため、ロゴ自体の形などはまだまだ甘い部分も多く、デザインの参考にようなものではない。更に言えば、ロゴとはデザインであり、デザインとは目的を持つものである。そういう意味では、ただ作って投稿するだけのロゴは「デザイン」と呼べるのかは意見が分かれるかもしれない。

そのような批判はあるだろうが、毎日365日、ロゴを作り続けるというのは間違い感心すべきことで、時間制限をしたことで発想力が磨かれたことだろう。そんな発想の方法として次の17の方法を紹介してる

アルファベット←→日本語変換法
文字←→数字変換法
仮名←→漢字変換法
文字の意味を立たせる
文字←→絵変換法
文字と絵を合体する
モチーフを借りる
モチーフを合体する
一枚の絵で表現する
人の顔や形にする
動物のイメージを借りる
記号を使う
色のイメージを借りる
そのものズバリ
回転する、向きを変える
手書きで手作り感を出す
立体的に見せる

アイデアに迷ったら、順番に検討してみるといいかもしれない。後半は実際の仕事でロゴを作成した時の過程や考え方を紹介している。ロゴの考え方で特に新しい発見はなかったが、なにより365日作り続けるという偉業に刺激を受けた。

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「The Testaments」Margaret Atwood

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2019年ブッカー賞受賞作品。

Gileadという国を題材として、そこに関わる女性3人を主に描いている。Gileadでは女性は子供を産む存在として、一部をのぞいて女性たちは読み書きをす学ぶこともできず、家事に関する教育を受けた後、若くして選ばれだ男性との結婚をして子供を産むこととなる。LydiaはGileadの中の女性でトップに君臨する女性で、Gileadの男性の権力者との間で駆け引きをしながら自らの地位を盤石にしていく。また、AgnesはGileadのなかで育つ少女で自分の出自に疑問を持ちながらも優しい母の元に育つが、母が病死したことから少しずつ周囲の出来事に疑問を持つようになる。DaisyはGileadの外で生きる少女で、Gileadの悪い噂を見聞きしながら成長していくが、やがて両親の死をきっかけに大きく人生が動き出す。

1人の女性と2人の少女を中心に描いており、あまりにもリアルに描いているので、Gileadという街が実際に存在していたのではないかと調べてしまったが架空の国の物語である。

本書単独で読んでも十分に面白いが、実際にはこの作品は著者によって20年前に書かれた「The Handmaid’s Tale」の続編ということだそうで、そちらもぜひ読みたいと思った。順を追って読んだ方がさらにいろいろ見えてくることだろう。

「これからのディープラーニングビジネス」南野充則

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ディープラーニンの簡単の説明と、ディープラーニングが応用できる分野について説明している。

序盤では簡単にニューラルネットワーク、損失関数、勾配降下法などを含むディープラーニングの仕組みを説明している。オートエンコーダーや勾配消失、LSTM、画像生成モデルGANおよびDCGANについては本書で初見だったのだが、表面的な説明にとどまっていあので、もう少し詳しく知りたいと思った。

中盤にこうは、実際にディープラーニングが応用されている、もしくは応用されるであろう分野を順を追って紹介している。不良品の検品や、自動運転などはすでに知られていることだが、本書ではキャラクター生成や、お弁当の自動盛り付けも応用できるとしている。ディープラーニングに生半可かじった僕程度の知識だと想像もつかないような分野にディープラーニングが応用できることがわかった。

最後は、ディープラーニングを導入にあたって気をつけることなどとともに、今後の未来についても触れている。印象的だっったのはディープラーニングの応用範囲が広まっても、一流の技術を持った人間へのニーズは減らないだろうということ。

ディープラーニングについて簡単にまとめてはいるが、専門的な言葉もちりばめられており、ディープラーニングの最初のとっかかりにちょうどいいのではないだろうか。

【楽天ブックス】「これからのディープラーニングビジネス」