「もういちど生まれる」朝井リョウ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大学生を中心とした複数の登場人物を扱った物語。

汐梨(しおり)、ひーちゃん、風人、尾関、ダンサーのハル、椿と梢の双子の姉妹、翔太、佐倉結実子、渡辺新、ナツ先輩。10代後半の大人になる途中の若者たちの悩みが描かれている。夢や恋や嫉妬や兄弟愛などである。

特に大きな学びがあるわけではないが、独特の雰囲気を持っているので、好きな人はいるのではないだろうか。朝井リョウの作品は本作品で二作目だが、いまいち魅了されるほどには至っていない。登場人物と同じ悩みを共有できる10代や20代に受けているのかもしれない。

個人的には登場人物の名前の美しさが印象に残った。

【楽天ブックス】「もういちど生まれる」

「小さな野心を燃料にして、人生を最高傑作にする方法」はあちゅう/村上萌

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
作家のはあちゅうとライフスタイルプロデューサーという肩書きで活躍する村上萌の2人の著者が、現在の一般的に成功していると言われる状態にたどり着くまでの紆余曲折の人生を交互に語っている。

年齢が、10歳ほど年下ということもあり、生きているなかで経験する文化が若干異なるのと、男性と女性という違いゆえの考え方の違いもある。。それでも、僕自身の心がけとの共通点もあり、また、女性ならではという考えかたの新鮮に感じる部分もあった。そして、見習いたいと思える心がけにもいくつか出会えた。

お土産は必要な分+2買う
花を欠かさない

成功している人たちも、いろいろ悩みながら付与曲折を経て、努力をするだけでなく、人とのつながりに恵まれ、目の前の機会に勇気を持って飛び込むなどしながら、現在の地位にたどり着いているとわかるだろう。むしろ大学を卒業して、人生に悩んでいる女性が読むともっといいのではないかと思った。

【楽天ブックス】「小さな野心を燃料にして、人生を最高傑作にする方法」

「読書する人だけがたどり着ける場所」斎藤孝

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
読書時間ゼロの大学生が過半数を超えたという。そんな現状を嘆いて、著者は読書の効用を進めている。もちろん、大学生が何も読まないわけではないしいろんな情報には触れているのだろう。しかし、専門バカになるのではなく、深い人間になるために、インターネットで必要な情報に触れるだけでなく、読書をするべきだと主張しているのだ。

そんな主張の中で、最近のものから古典からまでさまざまな書籍を紹介している。僕自身も年間100冊以上の本を読み、読むたびにこのようにアウトプットをしているので、たくさん読んできた気でいるが、「人間失格」「カラマーゾフの兄弟」「マクベス」「金閣寺」など、タイトルは知っているほどの有名作品でありながらも、まだまだ読んでない本がたくさんあることに気づかされた。

また、著者は本を理解するための方法をいくつか紹介している。

感情をのせて読む

本のポップを書いてみよう

好きな文章を3つ選ぶ

好きな文章は、小説においてはよくやっているが、他の2つの方法もトライしてみたいと思った。そして、本書で、紹介されている本はぜひ読んでみたいと思った。読書に刺激を与えてくれる一冊。

「ホモ・デウス」ユヴァル・ノア・ハラリ
「E=mc2」デイヴィッド・ボダニス
「金閣寺」三島由紀夫

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「三つ編み」レティシア・コロンバニ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
カナダのサラ、インドのスミタ、イタリアのジュリア、世界の異なる場所で女性として困難に立ち向かう3人の女性たちを描く。フランスで85万部を突破したベストセラーである。

インドのスミタは他人の糞便を手で拾い集める生活を送っていた。自分自身のカーストの低さゆえの生活を娘のラリータにはさせたくなく、娘に読み書きを学ばせることにする。

カナダのサラは弁護士として誰もが羨むような生活をしていたが、あるときガンであると診断される。常に他人を蹴落として上に上がる文化のある弁護士事務所で、その診断を隠して治療を受けようとする。

イタリアのシチリアのジュリアは、かつら工場を運営していた父が交通事故に遭い、工場を維持しなければならなくなった。

3人それぞれが程度の差こそあれ、女性ゆえの差別や息苦しさのなかで生きている。インドのカースト制度は信じられないような者だし、先進国であるカナダでも、女性ゆえにキャリアを積み上げるためには、男性のように働き続けなければならない。そして、シチリアでも、家族のために親の決めた相手と結婚しなければならない、というようなことが今も起きているのである。

そんな3人の女性が少しずつ一つの方向に向かっていく。決してハッピーエンドではないが、女性の生き方の難しさに無頓着な人間はこの一冊で何か学ぶ部分があるかもしれない。

【楽天ブックス】「三つ編み」

「モダン」原田マハ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ニューヨーク近代美術館MoMAに関連する5つの物語を収録している。

アンドリュー・ワイエスの作品展を開こうとした、日本の美術館とMoMAのやりとりを描いた作品。そして、MoMAの警備員が幽霊に出会う物語が印象に残った。アンドリュー・ワイエスという画家は名前しか知らなかったが、調べてみると確かに見たことがある絵で、その絵の裏側にある物語を知ることができた。また、警備員を主人公にした物語からは、警備員という普通なら誰も目を向けない存在に対する著者の優しさを感じた。著者の体験が色濃く反映されているように感じた。

そして、最後のMoMAに勤める日本人女性を扱った物語は、原田マハ自身を題材にしているのではないだろうか。全体的にMoMAという美術館のすばらしさを訴えており、MoMAの創始者であるアルフレッド・バー・ジュニアという人の行き方や、MoMAの歴史に興味を持った。

【楽天ブックス】「モダン」

「雑談の一流、二流、三流」桐生稔

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
雑談の一流になるための方法をまとめている。オリラジの中田敦彦がYouTube大学で勧めていたのでたどり着いた。

雑談力の本もいくつか読んでいるので似たような話ばかりではあるが、それでも改めて意識したいと思えることに出会えた。

一流は、挨拶にツープラスする
一流は、踏襲話法で話をつなげる
一流は、ほめポイント+ワンポイントで話を膨らませる
一流は、Before → Afterをほめる
一流は、相手に腹を向ける
一流は、教えを乞う
一流は、見えなくなるまで感謝を伝える

こうやって、印象に残った内容を整理してみると、コミュニケーションの達人と崇める妻が、よくやっていることだと気づいた。僕自身も、普段からこころがけてみたいと思った。

【楽天ブックス】「雑談の一流、二流、三流」

「ノンデザイナーズ・タイプブック」Robin Williams

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
非デザイナー向けのデザイン書籍として有名なノンデザイナーズ・デザインブックのタイプ版である。正直、「ノンデザイナーズ」と謳っているわりには内容はデザイナーでも知らない人が多いのではないかというような内容で、むしろフォントや文字組をしっかり勉強してこなかったデザイナーこそ読むべき内容である。

常日頃書体には興味を持っているので知っている内容も多かったが、初めて知ったこともあった。

Garamondは優れた書体だが、小さい表示にはCaslonやTimesのほうが適していること。

短い行の長さの時に両端揃えを使うのは避けた方がよく、両端揃えにするためには活字サイズのポイント数の2倍の数のパイカ以上にすべきだということ。(つまり12pointの文字なら両端揃えにするために24パイカの行の長さが必要。)

日本語訳とはいえ内容は英語の文字組みに関することなので、日本のデザイナーにとってどこまで役にたつかわからないが、デザイナーとして知っておいて損はないだろう。

【楽天ブックス】「ノンデザイナーズ・タイプブック」

「君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部」武田彩乃

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
家庭の都合で埼玉県の田舎に引っ越した舞奈(まいな)が、川でカヌーをしている恵梨香(えりか)に出会い、高校のカヌー部に入部することを決意することから始まるカヌーを題材とした青春物語。

カヌーを題材とした物語というのに今まで触れたことがなかったので興味を持った。僕自身スキューバダイビングやパラグライダーなどの自然を相手にしたスポーツは体験したことがあり、そこにはほかのスポーツにはない魅力を感じる。忙しくなるとなかなかできなくなるが物語としてだけでも体験できるのはありがたい。

話の流れ自体は、マラソンやボクシングなどのスポーツを題材とした、よくある高校生の青春物語と特に大きな変わりはない。つまりスポーツに出会った初心者の主人公が少しずつその世界に入れ込んでいる様子を描いている。本書の魅力は繰り返しになるがそれがカヌーだということである。

物語は、舞奈(まいな)視点と、カヌー部を創設した、2年生の希衣(きい)視点が交互に進んでいく。少しずつカヌーにのめり込んでいく舞奈(まいな)と、地元の期待を背負いながらも少しずつ思うような成績をあげられなくなってきた希衣(きい)と千帆(ちほ)の葛藤を描く。そんな希衣(きい)と千帆(ちほ)の元に、恵梨香(えりか)という大きな才能が現れたことで少しずつながとろカヌー部は動いていくのである。

まだまだ続編がありそうな流れである。大きな学びがあるわけではないが、ときどき触れたい気分がすっきりするような雰囲気の小説である。なんてったってカヌーのような自然を相手にしたスポーツをやりたくさせてくれる。

【楽天ブックス】「君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部」

「Agile Software Development」Peter Oliver

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Agile開発の基本的な考え方を説明している。

スタートアップで仕事をしていると、基本的にAgileに則った進め方になるが、常に進め方に課題はあり、そのヒントとなるような内容があればと思い本書を手に取った。

最初はAgileの説明から入り、ScrumとKanbanという二つのAgileの考え方をわかりやすく説明している。

Scrumの基本を、

透明性(Transparency)
調査(Inspection)
適応(Adaptation)

とし、Scrumの三つの役割、つまりScrum Master、Product Owner、Cross Functional Teamを説明している。一方でKanbanの6つの哲学を

Visualization
Limiting work in progress
Flow management
Making policies explicit
Using feedback loops
Collaborative or experimental evolution

としてそれぞれを説明している。

どちらかというと今までScrumを中心とした体制のもとで仕事をしてきたが、部分的にKanban方式を採用した方がうまくいくことも多いので、Kanbanの考え方をもう少し取り入れてみたいと思った。

やはりページ数が限られているので、それほど印象的な内容はなかったが、Agileの進め方について簡単に理解したい人にはちょうどいいのではないだろうか。

「ほったらかしFX」投資家 学くん

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
FXにおけるスワップ収入のメリットを語る。実際著者は半年間のスワップだけで100万円以上の利益を得たというのである。(ただし著者は540万円を投資していたというから、一般の人にとってはそう気軽にまねできる話ではない。)

かれこれFXの投資を始めて3年ほどになるが、今のところ毎年100万以上の利益をだしており、その投資方法が比較的ほったらかしだったため、その投資方法の精度を磨きたいと思って本書にたどりついた。

著者はスワップポイントによる利益がFXの魅力としており、なかでもユーロドル売りとポンドドル売りをスワップポイントの高さゆえに進めている。

残念ながらすぐにスワップポイント表を調べてみたが、どうやら著者が本書を書いた時とはかなりスワップポイントが変わっているようだ。本書をあまりに鵜呑みにしないように気をつけた方がいいだろう。

あまり今までスワップポイントを意識してこなかったが、スワップポイントに目を向けるきっかけになった。今回オンラインでのみ読むことのできる書籍を始めて購入してみたが、予想以上の内容の薄さ、ページ数の薄さに驚いてしまった。

【楽天ブックス】「ほったらかしFX」

「オブジェクト指向UIデザイン 使いやすいソフトウェアの原理」ソシオメディア株式会社、上野学、藤井幸多

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
オブジェクト指向UIデザインという、世の中のアプリケーションを使いやすくする手法を紹介している。オブジェクト指向に対して、世の中のタスクを中心に設計されたアプリケーションをタスク指向と呼び、業務系アプリケーションに多い、タスク指向のソフトウェアを、オブジェクト指向へ作り変えるための考え方を、多数のワークショップを交えて説明している。

確かに業務系のアプリケーションであればまだまだタスク指向のものも多いのかもしれないが、一般的なUIデザイナーならば自然とオブジェクト指向でアプリを作るのが自然であり、内容自体に特に目新しさは感じなかった。オブジェクト指向UIデザインという新しいデザイン用語を生み出して、読みにくいほど文字量を多くして語っている割には、デザイン初心者向けの内容に違和感に感じ、本書自体のターゲットがしっかり定まっていないか印象を受けた。ただ、「タスク指向」「オブジェクト指向」という言葉でアプリを語りはじめたことは、デザインの言語化において一つの功績と言えるだろう。

中盤はひたすら、世の中のタスク指向アプリケーションをオブジェクト指向へと作り変えるワークショップが並んでおり、内容の薄うさを感じた。もっとページ数も減らせたし面白い内容にできただろう。デザインを語りながら本書のように内容の構成にデザイン力が行かせていない本は残念である。

印象的だったのはオブジェクト指向よりもむしろ最後の最後に触れられていた、モードとモードレスという考え方である。モードがなければアプリは使いやすいとして、一つの例として、パワーポイントの図形ツールと、Keynoteの図形ツールの違いを語っている。モードレスという考え方は今までなんとなくしか持っていなかったので、しっかり意識していきたいと思った。

【楽天ブックス】「オブジェクト指向UIデザイン 使いやすいソフトウェアの原理」

「ガッツリ稼いで図太く生き残る!FX」水上紀行

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1980年代からインターバンク市場の為替ディーラーとして活躍した著者がFXについて語る。序盤こそFXの説明だったが、途中からは為替ディーラー同士の駆け引きや、為替ディーラー時代の思い出などが焦点となってしまった。それはそれで興味深く読ませてもらったが、それがFXの個人投資にどれだけ役立つかというとほとんどないだろう。また、取引に関しては、デイトレードやスキャルピングトレードなど短期のやりとりを中心に書いているので、長期でFXを考えている人にはあまり役に立たないのではないだろうか。

本書で個人のFXトレーダーに役立ちそうに感じたことは、トレンド相場とレンジ相場の違い、レンジ相場の3つのステージでであるが、こちらもデイトレーダー向けの内容である。長期のトレーダーに役立ちそうなことは第3章の「相場シーズンの違いをふまえる」である。シーズンによってある程度傾向があるのだという。

6月末の欧米金融機関の中間決算は、1年の中でも相場に別格の影響を与えるイベントのひとつです
10月15日前後には、ファンドの45日ルールに絡んだ値動きがある

この2つの時期はしっかり頭に叩き込んでおきたいと思った。この時期の前に利益を確定しておく方がいいのだろう。

為替ディーラーの仕事に興味がある人は楽しめると思うが、個人投資家向けのFXの情報としてはかなりの上級者向けの内容となっている。

【楽天ブックス】「ガッツリ稼いで図太く生き残る!FX」

「インターフェースデザインのお約束」Will Grant


オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
世の中のインターフェースデザインの良くないところをあげて、より良いUIを提案するシリーズの一冊である。タイトルが「インターフェースデザインの心理学」から「お約束」になったからといって特に構成に大きな違いはない。デザイナーであれば、著者がどのようなUIに憤りを感じるかを、なんとなく知っておくだけでも今後妙なUIを作らないためにも役立つのではないだろうか。

今回印象に残ったもの、知らなかったもの、または普段あまり意識をしていなかったものとしては次の項目である。

まだ先があることは省略記号で表せ

英語ページではlog inではなくsign inを使え

英語ページではregisterよりsign upのほうがしっくり来る

無限スクロールはフィードコンテンツ限定に

「既存ファイルを複製して編集」のフローを用意せよ

UI要素を必須、容易、可能の3種類に分けよ

「まだ先があることは省略記号で表せ」はわかりにくいが、メニューなどの表記の仕方の話で、例えば「保存」というメニューがあった時にそのメニューを選択するとすぐに保存が実行される場合は「保存」として、選択した後に別のウィンドウ(例えば、ファイル名を入力させるウィンドウ)などが表示され保存までに別のステップがある場合は「保存…」と表記することを言っている。これは今回初めて知ったのだが、たしかにMacのメニューにもそのような表記が使われているのである。

例によって、実装の工数は一切考えずに言いたいことを言っているので、すべてを簡単にできるとは言い難いが、記憶にとどめておいて、改善できるところは改善していきたいと感じた。

【楽天ブックス】「インターフェースデザインのお約束」

「超一流の雑談力」安田正

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
雑談をあらゆる人間関係の入り口と説明し、その手法を語っている。雑談の始め方、話題の選び方、聞き方などをそれぞれ詳細に説明している。

多くの男性がそうであるように、僕自身はあまり沈黙が苦にならないのだが、一緒にいる相手がときどき気詰まりに感じているような気配は感じたりする。どこかで雑談は人間関係を円滑にするための手段、という話を耳にし、多少なりとも技術を磨いておけたらと感じ、本書にたどり着いた。

印象に残ったのは、聞き方の説明で、本書では

なるほどですね、そうですね、は「話を聞いていない人」の反応

と切り捨てており。理想のあいづちの「さしすせそ」をあげている

さ さすがですね。
し 知らなかったです。
す 素敵ですね
せ センスがいいですね。
そ それはすごいですね。

また、話し手が自然と話し出してしまう質問として、

何か特別なことをされているんですか?

もあげている。

どれも今日から実現できそうなことばかりである。

最後の章では人間のタイプ別の雑談の進め方を説明しており、すでに雑談力に自信のある人はぜひ使いこなしてもらいたい。全体的に非常にわかりやすくまとまっており、今日からやってみたいと思える内容があふれていた。。

【楽天ブックス】「人生が変わる「超一流の雑談力」

「東の海神 西の滄海」小野不由美

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
十二国記の第4弾、東の(えん)の国の物語。

長い間前王の元で圧政に苦しんだ雁の国に、新しい王として期待されながらも、政務をほったらかしの尚隆(しょうりゅう)とその周囲の人々を描く。そんななか、東の(えん)の国の麒麟である六太(ろくた)が東の(えん)の国の州である元州に誘拐される。元州の反乱を抑え込もうとするなかで、すこしずつ、六太と尚隆(しょうりゅう)が王になるまでが明らかになる。

序盤は状況が見えずに読みにくかったが中盤以降は一気に読むことができた。ファンタジーにも関わらず、日本の歴史とも関連づけられていて、事実に基づいた歴史小説を読んでいるような印象を受けた。

【楽天ブックス】「東の海神 西の滄海」

「劇場化社会 誰もが主役になれる時代で頭角を現す方法」櫻井秀勲

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
80歳を超えて、今もなお複数のオンラインサロンを運営する著者が現代において「舞台に上がる」ことの重要性を語る。

オンラインサロンの運営方法が知りたくて、オンラインサロンの運営者である著者の本書に出会った。

とりとめもなく、著者の思うところを書いているが、いいたいのは「舞台に上がる」、つまり僕の理解したところでは、会社などの後ろ盾を持たずに自分自身で表に出て勝負するということである。100年時代の現代、一つの会社で一生を終えることももはやなくなり、一つの職種だけで生きていくことも難しくなる中で、自分の技術だけでなく、どのようじ自分を売っていくかが重要だと説明している。

たしかに、自分の経験からも感じることだが、技術力だけで年収1000万円を超えるのは、一部の有名企業に所属している人を除いては非常に難しく、持っている技術だけの価値では不十分で、どのようにして人間としての価値をわかってくれる人を増やすかが鍵だと感じる。

オンラインサロンなどのを作ってみたいと感じたし、なによりも80歳を超えてなおエネルギッシュに活動し、このような現代的な考え方ができる著者におどろかされた。

【楽天ブックス】「劇場化社会 誰もが主役になれる時代で頭角を現す方法」

「ターゲットから発想する文字のデザイン」デザインノート編集部

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
文字をデザインする20の方法を説明した上で、実際のメイキングのプロセスと、ターゲットに応じた文字デザインの使い分けを説明している。

まず冒頭にある文字ので事案の20の方法はいずれも特に目新しいものではなかったが、デザインに詰まったときに見直したいと思った。

異なるフォントを使う
大小をつける。
メリハリをつける。
動きをつける。
重ねる。
傾ける。
ゆがめる。
エッジ効果
付け足す
枠に入れる
文字のトリミング
コミック風
手書き風
罫線をあしらう
罫線で囲む
かざり罫で囲む
色で強調する
質感をつける
メタリックな表現
写真を入れ込む

後半の実際のメイキングの様子は、多くのデザイナーに参考になることだろう。本書で使用している多くのフォントがよく見るフォントばかりだったので、綺麗なタイトルをデザインするのに必ずしも特殊なフォントが必要ないことがわかるだろう。

【楽天ブックス】「ターゲットから発想する文字のデザイン」

「盤上に散る」塩田武士

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
なくなった母の持ち物を整理していた明日香(あすか)は母から林鋭生(はやしえいせい)という男に宛てられた手紙と林鋭生(はやしえいせい)に関する新聞記事を見つける。母の手紙をを届けるために林鋭生(はやしえいせい)という男を探すことにし、やがて林鋭生(はやしえいせい)は賭け将棋で生きる真剣師であることを知る。

明日香はやがて、同じく林鋭生(はやしえいせい)を探すリーゼントの男性達也(たつや)と行動を共にすることとなる。いろんな将棋関係者に話を聞きながら、林鋭生(はやしえいせい)に近づいていく。そして、達也を使って鋭生(えいせい)を探す刑事の市松(いちまつ)もまた、鋭生(えいせい)を見つけなければならない深い理由を抱えており、少しずつ真実の明らかになっていく。

真剣師という生き方や、将棋の駒も作りがすごければ芸術となることを本書を読んで初めて知った。登場人物が多くて途中やや中だるみするが、謎が溶けていく後半は一気に読ませてくれる。真剣師という、プロの世界とはまた違った世界で将棋に命をかける人々を描いた作品。将棋がやりたくなっただけでなく、将棋の駒という芸術に関心を関心を抱かせてくれた。

著者塩田武士は本作品で初めて触れたが、どうやらほかにも将棋を題材とした作品を書いているようだ。ぜひ他の作品も呼んてみたいと思った。

【楽天ブックス】「盤上に散る」

「Where the Crawdads Sing」Delia Owens

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2021年本屋大賞翻訳小説部門受賞作品。ノースカロライナ州の湿地帯に暮らすKyaの家族は、父のアルコール依存症と暴力の前に一人、また一人と家を出て行って、最後にはKyaと父の二人だけになった。やがて父も家に戻らなくなり、Kyaは一人で野生の生き物とともに生きていくこととなった。

狼少年など、幼い子供が文明と離れて生きていく物語はあるが、この物語のKyaの場合、幼い頃は両親がいたために言葉を話すこともでき、また、人間の文化から遠く離れて生きているわけではないので、ボートの燃料を買うためにとった貝を近所のお店で売ったりして生ききているのである。両親がいないために、学校のなじむこともできずに、やがて人々から「Marsh Girl」と蔑んで呼ばれ、様々なうわさが飛び交うこととなる。

前半は、Kyaの家族がいなくなったあとに一人で生きる様子を描いている。Kyaの様子だけでなく、その近隣で見られる、鳥や植物の描写が非常に細かく、物語の展開以外にも新たな視点を与えてくれるだろう。

十代後半になると、そんな不思議な存在に魅力を感じる男性たちと恋愛関係に陥る。教育や街の生活と離れて生きていくKyaの物語。後半はそんなときに起こった一つの事件を描いている。

一人の女性を中心として自然を描いたあまり類を見ない作品。物語の展開として面白いとは言えないかもしれないが一読の価値はありである。

「風の海 迷宮の岸」小野不由美

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
十二国記の戴(たい)の国の麒麟として生まれながらも、天変地異に巻き込まれ、日本で普通の男の子として生活していた泰麒(たいき)が、十二国に帰還し、すこしずつ麒麟としての生活に慣れ、力を発揮していく様子を描いている。

ここまで「魔性の子」「月の影 影の海」を読んでいる中で、少しずつ見えてきた十二国の仕組みが、今回は、麒麟という種族の目線で明らかになっていく。十二国における麒麟の役割とは、それぞれの国の王を選ぶことである。泰麒(たいき)は戴の国の麒麟なので戴王を決めることがその役割である。自らの能力に疑問を持ちながらも、王を選ぶという大きな役割の前に葛藤する様子が描かれる。

少しずつ十二国のドラマが本編に入っていく感じを受けるが、まだまだ、「十二国記」全体の感想を語るには早すぎるようだ。続けて読み進めていきたい。

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