「誘拐児」翔田寛

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第54回江戸川乱歩賞受賞作品。
終戦翌年に誘拐事件が発生し、5歳の男の子は戻ってこなかった。そして15年後とある殺人事件が起きる。また時を同じくして、母親をなくした、良雄(よしお)は5歳より前の記憶がないことに気づく。
きっかけとなる事件が戦後に発生したということで、戦後の混乱の様子が描かれている。本作品はそんな混乱に便乗した事件を発端としている。物語中の主な舞台となっている時代も、戦後の混乱の15年後ということで、とても今「現代」と言えるような時代ではないだろう。パソコンも携帯も普及していなかった時代の物語である。
江戸川乱歩賞ということで期待したのだがよくある小説という印象であまり個性が感じられない。著者はいろいろ考え抜いて本作品を作り上げたのだろうが、残念ながら1ヶ月もすれば読んだことすら忘れてしまうだろう。

ノモンハン事件
1939年(昭和14年)5月から同年9月にかけて、満州国とモンゴル人民共和国の間の国境線をめぐって発生した日ソ両軍の国境紛争事件。(Wikipedia「ノモンハン事件」
大政翼賛会
1940年(昭和15年)10月12日から1945年(昭和20年)6月13日まで存在していた公事結社。国粋主義的勢力から社会主義的勢力までをも取り込んだ左右合同の組織である。(Wikipedia「大政翼賛会」

【楽天ブックス】「誘拐児」

「九月が永遠に続けば」沼田まほかる

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第5回ホラーサスペンス大賞受賞作品。
息子である高校生の文彦が失踪してから、佐知子(さちこ)の周囲で不幸なことが連続するようになる。文彦の行方を捜しながら、佐知子(さちこ)はその因果関係に疑いを持つ。
まず人間関係を把握する必要がある。佐知子(さちこ)の元夫雄一郎(ゆういちろう)との間に文彦(ふみひこ)という息子がいて、雄一郎は精神課の医師であり、そこの患者であった亜沙実(あさみ)と結婚して現在1人の娘冬子(ふゆこ)がいる。
そんな中で、本書の際立っている部分は、亜沙実(あさみ)とその娘、冬子(ふゆこ)の存在感だろう。繰り返し強姦されるという経験から精神を病む亜沙実(あさみ)。周囲の人間は「なぜ彼女ばかりが?」と疑問に思い、その理由については本作品ではまったく触れられていないのだが、なにか読者を納得させるものがある。
きっとそれは、誰もがそうやってただそこにいるだけで男性を性的に惹きつけるような魅力を持った女性の存在を信じているからだろう。そして同様にその娘、女子高校生冬子(ふゆこ)もまた異彩を放っている。
なにより佐知子の別れた夫で精神科意思である雄一郎と、その現在の妻で度重なる不幸ゆえに精神に異常をきたした亜沙実(あさみ)の不思議な関係は何か異世界観のようなものを感じさせる。
全体的漂う空気は非常に異色で際立っているものの、今ひとつ「よくある小説」の域から抜け出しきれていない気がする。次回作に期待する。
【楽天ブックス】「九月が永遠に続けば」

「クドリャフカの順番」米澤穂信

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
伝統の文化祭。手違いで作りすぎた文集を売るために古典部の4人は思考錯誤する。その一方で学内で起きている連続盗難事件。そんな文化祭の3日間を描く。
古典部の物語の第3弾である。例によって物語の舞台も、そこで発生する問題も、登場人物たちの悩みも、読んでいるものの気持ちを落ち込ませるほどのものではない、という気楽な物語。お馴染みの古典部の4人を中心に物語は進む。省エネがポリシーの折木奉太郎(おれきほうたろう)、お嬢様の千反田える。漫研と古典部を掛け持ちする伊原麻耶花(いはらまやか)。楽しいことにはなんでも首をつっこみたがる里志(さとし)である。前2作と異なるのは、本作品は4人に等しく視点が移り、今まであまりその心情が表現されていなかった麻耶花(まやか)や里志(さとし)の人間性がしっかり描かれている点だろう。
特に麻耶花(まやか)が、彼女の所属するもうひとつの部活、漫画研究会において、その性格ゆえに意見の異なる女生徒と衝突するのは、比較的印象的に残るシーンである。
さて、米澤穂信作品といえば、つねに「ミステリー」について考えさえる要素を備えていて、本作品でもそういった部分がある。文化祭中に発生した盗難事件が50音順に部活をターゲットに進んでいるということで、奉太郎(ほうたろう)、里志(さとし)はアガサクリスティの「ABC殺人事件」を重要なヒントとしてあげるのだ。もちろんその本を読んでなくても本作品を楽しむのに問題ないと思うが、アガサクリスティの名作ぐらいは目を通しておくべきなのかも、と思わされてしまう。
のんびり読める1冊。古典部の前2作より完成度が高い印象を受けた。

ホイール・オブ・フォーチュン
タロットの大アルカナに属するカードの1枚。カード番号は「10」。(Wikipedia「運命の輪」

【楽天ブックス】「クドリャフカの順番」

「チヨ子」宮部みゆき

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
幻覚や幽霊のような不可思議な出来事に絡めた5編の物語を収録した短編集。
短編集ということで、それぞれの物語は短く、とてもお腹いっぱいになる、というようなものではないが、ところどころに宮部みゆきらしさのようなものが感じられる。どこにでもありそうな物語のなかに不思議な出来事を盛り込んでいるため、宮部みゆきが超能力者を扱っていたような、そんな不思議な期待感を感じさせる。

何かを大切にした思い出。
何かを大好きになった思い出。
人は、それに守られて生きるのだ。それがなければ、悲しいぐらい簡単に、悪いものにくっつかれてしまうのだ。

個人的には4つめの物語「いしまくら」が好きだ。父と娘で、公園で殺された女性について調べる物語。その事件を発端として広まった、幽霊が出るといううわさ話。それは世の中の人々の不安と出来事を端的に説明しているようにも感じられる。
なにかの出来事に対して、誰かが行う動機付け。原因と状況をみて、「きっと彼女はこう感じたんだろう」。宮部みゆきの行う動機付けは僕らが思う、さらに一歩上をいく。
わずかであるが久しぶりにそんな空気に触れさせてもらった。しかし、やはり宮部みゆきにはこの世界観で長編を書いてほしい。
【楽天ブックス】「チヨ子」

「ピース」 樋口有介

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
埼玉の秩父で起こった連続猟奇殺人事件。犯人の目的は何なのか。被害者に繋がりはあるのか。
最近書店で平積みになっている本作品。物語は秩父にある一つの「ラザロ」というスナックを中心に進む。埼玉の奥地にあるスナックに集まってきた人々。若い大学生もいれば、熟年のカメラマンやピアニストもいる。みんなそれぞれ過去を明らかにしないまま、週に何度かそのスナックに集い、顔と名前だけは知っている関係になる。そんななかで周囲でおこった殺人事件。物語は必ずしも事件解決に勤める刑事たちに集中する訳でもなく、また、そのスナックに集まった人たちは必ずしもそんな殺人事件に明確な恐怖をいだくわけでもなく、そのまま疲れた日々を送り続ける。
猟奇殺人事件という本来スリリングな展開になるであろう題材でありながら、田舎町のゆっくりとした時間の経ち方を感じさせる。ハリウッド映画というよりもフランス映画。そういった意味では個性を感じさせる作品。読者は途中になって考えるだろう。そもそもタイトルとなっている「ピース」の意味とは?と。
個人的にはむしろ秩父という土地に非常に興味を抱いてしまった。機会があればのんびり訪れてそのゆっくりした時間の経過を楽しみたいものである。
【楽天ブックス】「ピース」

「もしもし、運命の人ですか。」 穂村弘

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
44歳になる著者が自信の経験などもふまえて男女の恋愛観を語る。
様々なエピソードやいろんなシチュエーションを想定して、この場合男はどうするべきか?こいういうとき女性はどう思っているのか、など、いろんな視点から男女の恋愛を見つめる。正直、イマイチぴんとこない話もたくさんあるのだが、なぜかぐさっと突き刺さるような話もちらほら。たまたま著者が男だからそう感じるのかもしれないが、恋愛においては女性は何倍も上手なのだなと、思ってしまう。
なるほど、そうか、女性に瓶を渡されたらそれはなにがなんでも力づくで開けなければいけないのか・・・・。気になるのは女性が本書を読んだらどのように感じるのか、ということ。
【楽天ブックス】「もしもし、運命の人ですか。」

「謎解きはディナーのあとで」東川篤哉

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2011年本屋大勝受賞作品。
国立署の女性刑事宝生麗子(ほうしょうれいこ)は宝生グループのお嬢様。それを知るものは警察署内の一握りのみ。そんな彼女が関わることとなったいくつかの事件を描く。
本作品で面白いのは言うまでもなくその警部でありお嬢様という主人公の特異な設定だろう。さらに、麗子(れいこ)の上司である風祭(かざまつり)警部も同じくお金持ちの出身というありえない設定。そして、鍵となるのは宝生家の執事影山(かげやま)の存在、謎めいたこの執事はたぐいまれなる推理能力を発揮する。それゆえに育ちだけがよくて頭の足りない麗子(れいこ)、風祭(かざまつり)警部の2人が解決できない事件を、話を聞いただけでことごとく解決してしまうのである。読んでて癖になるのはそのお嬢様としてのプライドの高い麗子(れいこ)と、執事のわりにときどき見せる麗子に対する蔑んだ影山(かげやま)の態度。

「どう、影山?なにか思いつくことある?どんな些細なことでもいいのよ」
「では、率直に思うところを述べさせていただきます。失礼ながらお嬢様ーーこの程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか。」
「・・・・・・・・、クビよ、クビ!このあたしが執事に馬鹿にされるなんてあり得ない!」

本書では6つの事件が扱われているが、今回はどんなやりとりになるのか、と楽しみになってしまうだろう。現実感などまったくないが、独特のテンポで楽しく読ませてくれる。
【楽天ブックス】「謎解きはディナーのあとで」

「グーグル秘録 完全なる破壊」ケン・オーレッタ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリン。スタンフォードの大学院で出会った2人がGoogleを起こしてから、これまでの進化の過程を描く。
アップルのスティーブ・ジョブスや、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグに比べるとはるかにメディアに顔を出すことの少ないGoogle創業者の2人。そんな2人の生い立ちや出会いなどから時系列に、Googleの成長の過程と、周囲の反応などを描いている。
僕の印象では、ラリー・ページもサーゲイ・ブリンも非常に知的でストイックなイメージだったのだが本書を読むと、実はずいぶんその印象と異なることがわかる。2人はむしろ何かに夢中になって周囲が眼に入らない少年のようである。2人が繰り返し口にしたというこんな言葉が印象的である。

「不可能という言葉に、健全な疑いを持とう」

さてそんな子供のような2人でも、そのアイデアとエンジニアとしての発想に未来を感じた人々が集まることによって、Googleという企業は大きくなっていくのだ。実際には僕らが思っているほど、世界を変えるのに必ずしもリーダーシップは必要ないし、幅広い知識も必要ないということなのだろうか。Googleの成長の過程では、知識や技術が必要であればそれを持った人が加わってくるように見える。
さて、面白いのはGoogleの成長だけでなく、Googleの成長とその無料でサービスを提供してしまう手法によって、慌てふためく既存メディアの対応である。訴訟を起こす企業、新しい波に乗ろうとする企業などさまざまであり、そこには今ある利益を守ろうとするためにイノベーションを起こせない大企業の弱点がはっきり浮かび上がる。
向かうところ敵なしに見えるGoogleだが、本書ではGoogleの弱点として、たびたび人々の感情に鈍感な点を挙げている。例えば大容量のGmailにはメールを永遠に蓄えられる余裕があるため、削除機能は必要ないと主張し、人には消したいメールがあるという感情に気づかないし、YouTubeの広告枠を売りながら、動画によっては広告主はそのこに広告を表示したくないという感情に気づかないのだ。
多くの企業がGoogleによって苦しめられるなか、一般ユーザーはその恩恵に享受している。しかし、僕らもその行く末を楽観視していいのだろうか。本書を読み進めるなかで僕はそんな著者からの問いかけを何度も感じた。

これから見極めるべきは、ネットという新たな流通システムが、コンテンツ・プロバイダーに十分な対価をもたらすほどの収入を生むかどうかだ。

流通が簡略化され仲介業者がいなくなればコストは抑えられる。しかしそれによって、そのコンテンツの製作者はそれに見合う利益を得られるだろうか。長期的に見れば、今の流れは将来的にコンテンツの品質の低下を招く恐れがあるのである。今からそんな事態を回避する動きをするべきなのかもしれない。
【楽天ブックス】「グーグル秘録 完全なる破壊」

「アマルフィ」真保裕一

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
イタリアで9歳の少女が誘拐された。身代金の受け渡し場所として指定されたのはアマルフィ。外交官の黒田(くろだ)は邦人保護として少女の母親に付き添うこととなる。
数年前に豪華キャストで映画化された作品。著者真保裕一のファンとしてその物語を味わいたいという思いからあえて映画は見ずに本作品に触れることとなった。
物語は真保裕一作品のなかでは珍しく海外、イタリアを舞台としている。外交官の黒田(くろだ)目線で物語を展開させることにより、日本とイタリアとの文化の違いがところどころに描かれる。また、外交官視点により、「滞在先での自国民の保護」という役割を担いながらも、現実にそのとおりにできない事情が見えてくる。
普段の真保裕一作品のような深みや物語の訴えたいテーマのようなものが見えてこない。最終的に世界の紛争に結びついているとは言え、どうも跡付け感が漂ってしまう。後記によると、どうやら本書は映画のプロットを小説化したもので、小説が先にあってそれが認められて映画化されたものではないということである。
残念ながらもともとの真保裕一ファンにとっては期待に沿える内容とは言えないだろう。

カラビニエリ
イタリアの国家憲兵。(Wikipedia「カラビニエリ」

【楽天ブックス】「アマルフィ」

「風の中のマリア」百田尚樹

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
30日生きることのないオオスズメバチの物語。マリアは飛ぶのが速く「疾風のマリア」と呼ばれる。
百田尚樹は僕にとって注目の著者であるため、内容など確認せずに手にとったのだが、それにしてもハチの物語とは。読み始めてそれに気づいた後は、むしろこのハチをどのようにして200ページを越す物語に仕上げたのか、とそちらに俄然興味を抱いた。
序盤は巣のなかでワーカーという餌を捕獲する役割を担う一人のマリアの狩りの様子を描きながら、オオスズメバチの生態を説明している。30日という短い生涯ということで1日1日と上の立場になって、毎日戻らない仲間のハチたちの情報によって、自分も近いうちに命が尽き果てることを意識して狩を続ける。
周囲の昆虫と話すことにより一生餌を捕獲し続け、恋もせず子供も生まないということに疑問を持ち始めるあたりは、短い一生のなかに人並みの悩みを与えて、人生の縮図のようで面白い。
物語を楽しみながら、女王蜂による集中産卵の意味が見えてくる点も興味深い。昆虫にしゃべらせて擬人化させてしまっている時点で、小説としては難しい部類の構成になったと思うが及第点は十分に与える内容と言えよう。
むしろ本書を読んでさらに興味を持ったのが著者が今後どのような作品を手がけるのかということ。「永遠の0」で戦争を描き「ボックス」でさわやかなスポーツ物語。「輝く夜」でラブストーリーを描いたと思ったら今回は昆虫の話。まだまだ新しい方向から物語が生まれそうである。
さて、僕がハチ関連の本を読むことなど数年に一度だと思うが、意図せず連続してしまった(「ハチはなぜ大量死したのか?」)この偶然も面白い。本作品にもミツバチの話は出てくるのであわせて読んでみるのも面白いかもしれない。
【楽天ブックス】「風の中のマリア」

「ハチはなぜ大量死したのか」ローワン・ジェイコブセン

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2006年から各地で報告されたミツバチの失踪事件。本書はそんななぞ名が事件の原因を探ることでハチや自然、その進化を語る。
なんという魅力的なタイトルなのだろう。この本を手に取る人の多くは、むしろ農業や昆虫に興味ある人間よりもミステリーファンなのかもしれない。僕自身もタイトルと最初のプロローグで一気に心を掴まれてしまった一人である。

2007年の春までに、実に北半球のミツバチの四分の一が失踪したのである。

序盤は、ミツバチの習性について説明している。コロニーと呼ばれる蜂のグループにおける、女王蜂や採餌蜂、貯蜜蜂の役割などである。それによってミツバチのコロニーがどれほどシステム化されたものだか理解できるだろう。
同時に、世の中の植物の多くが、蜂の助けを借りて受粉することによって果実をつけること。蜜蜂が消えたら、僕らの食卓に毎朝並んでいるものの多くが消えてしまうことを強調することで、本書が扱っている内容の重要性を訴えている。
さてCCDと呼ばれる蜂の失踪。その原因は新種のウィルスなのかダニなのか、それとも農薬なのか、携帯電話の普及に原因があるのか。信憑性のある説から荒唐無稽なものまで、各地であげられた報告やその矛盾点を説明し、また、その過程で過去に起こった、ウィルスやダニ、農薬に起因する事件を取り上げている。
話が時系列に進まないのでお世辞にも読みやすいとは言えない。そして物語が後半へと進むにしたがって不安になったのは。「なぜ大量死したのか?」の回答は本作品に最終的に書かれるのか?ということ。そう、残念ながら本作品にその答えはない。というよりも現実世界でもその原因未だわかっていないのだ。
ミステリーではなく現実の話なのだからそういう可能性があることを考慮すべきだったのだろうが、個人的にはがっくり来た。罪なのは本書のタイトルだろう。原書のタイトルは「The Collapse of the Honey Bee」の方が内容にはるかに合致している気がする。僕と同じような思いをする日本の読者は多いに違いない。本書は蜂の失踪事件をきっかけに、自然への人間の接し方について再度深く考えさせる方向へ意図された内容なのである。
最初からそういう目線で見れば、本書は非常に面白い。最終的に本書が訴えているのは「回復力」の重要性である。自然界で動物や昆虫が大量に死ぬのは理由があり、やがてその耐性を持ったものが生き残って種は強くなっていく。それを人間が下手に手助けすれば弱いまま種が残り、いつかそのしっぺ返しを食らう時が来るのである。自然界のバランスを保とうとする「回復力」の範囲内の変化であれば介入せずに見守ることも重要なのだと説いているのだ。

人は芋虫なしに蝶だけを欲しがるが、そういうわけにはいかないのだ。

本書を通じてミツバチのすばらしさを知るだろう。著者も書いているが、僕も本書を読んでミツバチを飼いたくなってしまった。
【楽天ブックス】「ハチはなぜ大量死したのか」

「疑心 隠蔽捜査3」今野敏

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大森署の署長を務める竜崎伸也はアメリカ大統領来日の際、方面警備本部の本部長に任命される。
「隠蔽捜査」シリーズの第3弾である。このシリーズはいずれも竜崎伸也(りゅうざきしんや)という有能なエリート警察官を描いている点が、多くの警察物語と大きく異なる点である。
一切の不正を行わないだけでなく、キャリアでありながら、その立場に溺れて部下に不必要な指示を与えたりせず、常に事件解決、防止のための合理的な決断をし、それを実行する点が僕ら読者の持つ「キャリア」のイメージと大きく異なり、本シリーズの魅力となっている。
しかし、本作品では、補佐役として方面本部に参加してきた魅力的な女性キャリア畠山美奈子(はたけやまみなこ)に恋愛感情を抱いてしまい、竜崎(りゅうざき)の持つ倫理観と、それと相反する感情の葛藤のなかで、本部長という重要な役目をこなさなければならない、という過去2作品とはやや異なった展開になっている。
例によってテンポのいい迅速な展開で非常に読みやすい。このシリーズの魅力は、最終的に竜崎の見せてくれる芯の通った決断と合理的な判断が、しっかりと問題を解決してくれるという、その爽快感だろう。前2作に比べるとややその個性が薄れてしまった気もするが、一気読みさせてくれる展開力は健在である。
【楽天ブックス】「疑心 隠蔽捜査3」

「知らないと恥をかく世界の大問題」池上彰

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ジャーナリスト池上彰が世界の現状をわかりやすく語る。
「知らないと恥をかく」とタイトルにあるが、こういう本を読んでいると周知している時点ですでに多少恥を晒している気もする。正直言って割と経済や政治に疎い自覚はあるから本書を手に取ったのだ。
扱っている内容は、世界ではリーマンショックや各地の紛争、アメリカ一極集中の崩壊、そして日本国内の問題などであるが、少し読み進めると、本当に表面的な説明だけで、さらに詳しく知りたい人にとっては物足りない内容だと気づくが、世界で起きている多くの諸問題に対して興味を持つきっかけとして、本書は有用といえるのではないか。
たとえば、サブプライムローン問題などは、その問題の引き起こした出来事の大きさ故に多くのメデイアで説明されつくされたものではあるが、各国の低金利が原油価格の引き上げの大きな要因となっている問題などは正直まったく知らなかったことなので、なんとも恥ずかしい驚きであった。世の中をしっかり理解するためには一度しっかり経済学などを勉強すべきなのかも、と感じてしまう。
本書を読み終えたからといって「知らない」ことが「知っている」になるわけでは決してない。読み終えたあとも、世の中はわからないことだらけだという印象は大して変わらないが少しはハードルを下げてくれたような気がする。

パクスブリタニカ
イギリス帝国の最盛期である19世紀半ばごろから20世紀初頭までの期間を表した言葉。特に「世界の工場」と呼ばれた1850年頃から1870年頃までを指すことも多い。イギリスはこの時期、産業革命による卓抜した経済力と軍事力を背景に、自由貿易や植民地化を情勢に応じて使い分け覇権国家として栄えた。(Wikipedia「パクス・ブリタニカ」
ブレトンウッズ協定
第二次世界大戦末期の1944年7月、アメリカ合衆国のニューハンプシャー州ブレトン・ウッズで開かれた連合国通貨金融会議(45ヵ国参加)で締結され1945年に発効した国際金融機構についての協定である。(Wikipedia「ブレトンウッズ協定」

【楽天ブックス】「知らないと恥をかく世界の大問題」

「本田にパスの36%を集中せよ ザックJAPANvs.岡田ジャパンのデ-タ解析」森本美行

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ワールドカップやアジアカップなど、日本代表の主要な試合を詳細なデータで解説する。
つい先日「マネーボール」という本を読んだ。その本はメジャーリーグで選手への年俸総額は下から数えたほうが早いにもかかわらず毎年地区優勝を争うアスレチックスがどのようにデータを分析しどのような尺度で選手を評価しているかを興味深く解説したものである。それを読み終えたとき「同じことがサッカーでもできないものか?」という感想を抱いたのだが、その「マネーボール」のサッカー版がまさに本書であり、本書でも「マネーボール」について言及されておりそれなりに影響を受けたことが窺える。
サッカーは野球よりデータの取り方が複雑になるようだが、本書ではいくつかの尺度を用いて解説している。詳細なデータを見ると、僕らが試合を見た印象のいくつかはデータと矛盾していることがわかる。

スペイン代表はほぼ全ての試合をボールポゼッション率で圧倒してきた。当然スペインの攻撃はパスを華麗に繋いでシュートまでいくと思うだろう。データで言えば相手ボールを奪ってからシュートまでの時間は多くかかっていると思われるだろう。しかし、相手ボールを奪ってから16秒以内にシュートを打ったのが6番目に多いチームだった。
Jリーグ2010年のトラッキングデータで瞬間的に最も速く走った選手のランキング表を作ってみた。Jリーグの中で誰が最も早い選手なのだろうか?
答えはおそらくサッカーに詳しい人であれば名前を挙げる事が殆どないと思われる鹿島アントラーズの小笠原満男選手だ。

試合の中で試合をコントロールするゲームキャプテンも、ピッチの外から冷静に分析して指示を出す監督もこの印象に左右される。だからこそ客観的なデータが重要になってくるのだろう。
日本代表の主要な試合のデータをいろんな角度で見ることで、たとえば岡田ジャパンとザックジャパンの考え方の違いなど、またひとつサッカーを楽しむ視点が増えた気がする。ただ、どうしても上でも述べた「マネー・ボール」と比較してしまうのだが、そのデータ解析を面白くわかりやすく説明しているとはいい難く、データ、解説、データ、解説という単調な繰り返しで終わってしまっている点が残念である。サッカーを知っていて、日本代表の試合をある程度見ている人にしか楽しめない内容になっているような印象を受けた。
【楽天ブックス】「本田にパスの36%を集中せよ ザックJAPAN vs.岡田ジャパンのデ-タ解析」

「オバマも救えないアメリカ」林壮一

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2008年、そのスピーチに未来の希望を感じ、オバマ大統領は選ばれた。その後アメリカの貧困層にはどんな変化があったのか。著者が実際にアメリカの貧困層の人々たちに接してその声を届ける。
「すべてのアメリカンに大学教育を受けさせる」「国民全員に医療保険を与える」。弱者を思いやる発言に胸を打たれ、多くの人が、彼なら本当に世の中を変えるかもしれない、と将来への希望を見たのだろう。期待が大きかっただけにその失望も大きいのだ。本書のなかに描かれる人々の声は、失望と、期待しすぎた自分への憤りが見える。

私はあなたに投票した。でも、もう本当に疲れきっているの。一体、何がCHANGEしたのかしら?あなたには本当に失望しています

本書のなかで貧困層の現状を訴える過程で、いくつか議論を巻き起こした事件が取り上げられる。()いまだ根強く残る人種差別と貧困ゆえに高まる犯罪率。日本と同じ先進国でありながら、最下層にここまで差があること、生まれてから努力しても変えようのない状況に人生の不公平を感じてしまう。
大統領が変わることに将来の希望を見た彼らの声を聞くと、アメリカという国で、大統領選挙があれほど国民の関心を引く理由がよくわかる。僕ら日本人がアメリカ人と比べて政治に関心がないのは、ある意味、それが僕らの人生を左右するほどの影響をもたらさないためだろう。それは幸せなことだとも言えるかもしれない。どんな無能な人間が総理大臣になろうと政治によって命の危機を感じることはないだろう。
多くの声をまとめているだけで、著者の考えがあまり介入していない点に好感が持てる。おそらく、本書を読んで、いくつかの貧困にあえぐアメリカ人が口にしているように「オバマは口だけだ」と思う読者もいれば、「そう簡単に改善できないぐらいひどい国にブッシュはしてしまったのだ」とオバマ大統領への期待の目で見続ける読者もいるだろう。貧困層の現状を伝えるだけでそれによる判断は読者に委ねているのである。

オスカー・グラント
サンフランシスコとベイエリアの各地をつなぐ公営高速鉄道システム「BART(Bay Area Rapid Transit)」の駅で、内でけんかをしているとの通報に応じて駆けつけた鉄道警察官らに電車から降ろされ、地面に押さえつけられた状態で撃たれ、死亡した。事件の様子は、通行人が携帯電話で撮影しており、動画がインターネットやテレビで広く放映された。(AFPBB News
アマドゥ・ディアロ
ニューヨーク市に住んでいた23歳のギニア人の移民。1999年2月4日に、ニューヨーク市警察に勤める4人の白人警官から、合計で41発の銃弾を受けて射殺された。 4人の警官は解雇され起訴されたが、その全員が裁判で無罪となった。(Wikipedia「アマドゥ・ディアロ」
ジェニファー・ハドソン
アメリカ合衆国の歌手、女優。(Wikipedia「ジェニファー・ハドソン」

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「ほかならぬ人へ」白石一文

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第142回直木賞受賞作品。
本作品は2つの物語で構成されている。1つ目は宇津木明生(うつぎあきお)という、名家に生まれながらも才能豊かな2人の兄にコンプレックスを抱きながら生きてきた男の物語。2つ目は結婚を目前に控えたOLみはるの物語である。
どちらの物語にも、生きていくことの目的や意義や、幸せの形や、そういった答えのないもの(もしくは各自答えの異なるもの)に対する疑問を読者のなかにじわじわと染みこませてくるような世界観を漂わせている。
たとえば1つ目の物語では宇津木明生(うつぎあきお)の周囲には叶わぬ恋に突き進む2人女性がいて、恋愛についての考えを語る。

みんな徹底的に探してないだけだよ。ベストの相手を見つけた人は全員そういう証拠を手に入れてるんだ。

年をとろうとも、結婚しようともベストな相手を見つけることが人生の目標…、そんな考え方にどきっとさせられてしまう。
そして2つめの物語も結婚を目前にもほかの男性と関係をもちながらゆれる女性を描く。

足元の地面が固まれば固まるほど、その硬い地面をほじくり返したい衝動に駆られるのはなぜだろう?

目的を達成することが幸せなのか、目的を達成できないから幸せなのか。安定しているから幸せなのか、安定していないから幸せなのか。長生きすることが幸せなのか、もっと生きたいと思って死ぬから幸せなのか…。
残念なのは2つの物語に関連性があまり見出せなかった点だろう。過去にもいい作品がありながら(特に「私という運命について」は傑作)本作品で初めて直木賞を受賞したということでいままでとは違う何かを期待したのだが、そういう意味での新しさは残念ながら感じられなかった。
【楽天ブックス】「ほかならぬ人」

「愚者のエンドロール」米澤穂信

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
古典部の高校生4人が2年生が作りかけたミステリーを見せられ、その続きの脚本の製作に手を貸すよう依頼される…。
「氷菓」に続く古典部シリーズの第2弾である。筆者米澤穂信の作品にいくつか触れるとわかることだが、ミステリーに対してかなりの強い思い入れがあるようだ。(特に「インシテミル」のなかでミステリーに対する言及が多かった)そして、そのミステリーにおける暗黙のルールを強調しながらも、そのルールの枠からどうにかして逸脱しようと終始試みているように感じられる。
本作品で興味深いのはその舞台設定だろう。折木ホータロー、千反田えるを含む古典部4人は素人によって途中まで映像化されて放り出されたミステリーを見せられ、続きがどうなるのか考えるよう依頼されるのだ。
つまりそれは、単純に目の前で起きた殺人事件の謎を解くのとは実はかなり異なる。彼らは常に、映像のなかで得られた手がかりのほかに「実は脚本を担当した人は、この窓が空きにくい事実を見逃していたかも?」とか「脚本担当がこの建物を下見したときは冬でここはもっと草が少なかったかも」という、そのミステリーの作成のなかで生じた見落としや誤りをつねに想定しながら、推理を進めていかなければならないのだ。
そんななか、ホータローは「これが真実」と提出される案を論破していく。では、真実は?というよりも真実として描かれるはずだった映像の脚本は?物語の出来不出来にかかわらず、この奇妙さはかなり新鮮である。結末よりもこの奇妙な設定にずいぶん魅力を感じてしまう。
全体的には前作同様、力を抜いてのんびり読める作品である。
【楽天ブックス】「愚者のエンドロール」

「The Cold Moon」Jeffery Deaver

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Lincoln Rhymeシリーズの第7弾。2つの殺人現場には古風な時計が置かれていた。Rhymeと犯人、通称Watchmakerとの知恵比べが始まる。
犯罪の現場にわずかに残された微粒子から犯人につながる手がかりを見つけけだして犯人を追い詰める流れは本シリーズに共通し、本作品でも例外ではない。
そんなシリーズの中で、本作品で新しいのは、Amelia Sachsが自らRhymeとは別の犯罪捜査にも専念している点だろう。しかし、それはやがて同じく警察官だったSachsの父の過去へと繋がって行く。
また、本作品は、会話中の相手のしぐさや表情からその真偽を読むスペシャリスト、Katheryn Danceが登場し、Rhymeとの2人の主役級が登場する稀有な物語とも言える。証拠しか信じないRhymeは次第にKatherynを認め、その能力を頼るようになる。
前作「The Twelfth Card」でルーキーとして登場したRon Pulunskiが失敗しRhymeにしかられたりしながらも次第に成長していく姿も物語を面白くさせている。
一方で犯人の追跡劇は一転二転三転と引っくり返る。現場に置かれた時計は何を意味するのか。なぜこの人々が被害者として選ばれたのか。ややいろいろな要素を詰め込みすぎた感がある。そして、本作品に関してはその終わり方も少し異質である。賛否両論あるのではないだろうか。

Red Stripe
ジャマイカのビール(Wikipedia「Red Stripe」

「佐藤可士和のクリエイティブシンキング」佐藤可士和

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本を代表するアートディレクター/クリエイティブディレクター佐藤可士和がそのクリエイティブな考え方や日々の心構えを語る。
全体的に書かれている内容は特に目新しいことではなく、実際、世の中の多くのクリエイターや、むしろクリエイターにかぎらず、クライアントと協力して何かを作り上げなければならない仕事に就いている人の多くが意識していることだろう。しかし、著者のようにそれなりの実績を社会で持っている人間が語ると説得力を持ってくる。むしろ社会に出たばかりの人向けに書かれた内容のような印象を受けた。
その考え方の説明の過程で例としてだされるクリエイティブワークはそれなりに興味を持って読み進めることができた。個人的にはそちらの過去の事例に焦点をあてて、「過去の事例とその裏の努力」というような視点の内容であればもっと楽しめただろう、と思った。
文字が大きめで、ページ数もその厚さほどないので、この内容であれば新書で出版して欲しいところである。
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「心を整える 。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣」長谷部誠

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本代表長谷部誠(はせべまこと)。華麗なパスを送るわけでも強烈なシュートを放つわけでもないのに日本代表の主将まで登りつめた男。その視点からサッカーに対する考え方や日々の生活を語る。
なんとも 日本人らしいサッカー選手。読み始めて、いやむしろ読み始める前から長谷部に対して僕の持っている印象はそんなだった。そもそも「日本人らしい選手」とはどんな選手だろう。たとえばマラドーナのように海外ではサッカーさえうまければ認めてもらえる国もあるが、日本はそうではない。中田英寿、宮本恒靖などがいい例だろう。
サッカーだけが上手くても決して驕り高ぶることなく、サッカーどころかスポーツに限らずすべてに目を向けて、勤勉すぎるまでに向上させる。僕の思う「日本人らしいサッカー選手」とはまさにそんなイメージである。そして多くの「日本人らしいサッカー選手」のなかでも、長谷部に対しては、テレビ出演のときの応対やその風貌からか、特に謙虚なイメージを持っていた。
本書を読み始めてもそんな彼に対するイメージは崩れることなく、むしろより強固に固まっていった。本書のなかで彼がなんども強調しているのは、一人の時間の大切さ、読書の大切さ、常にフラットでいることの大切さである。半分も読まないうちに、ものすごく僕自身の考え方をと共通する部分があると感じた。遅刻に対する考え方などまさに寸分たがわず同じ。

遅刻というのは、まわりにとっても、自分にとっても何もプラスを生み出さない。まず、遅刻というのは相手の時間を奪うことにつながる。

僕より7歳も年下の人間と考えが共通することを喜んでいいのかよくわからないが、日本代表にまでなるほどの男と共通する部分が多い、と前向きに受け取ろうと思う。全体的に特に新しい考え方はほとんどなかったが、多くのことを再確認させてもらった気がする。ちなみに「これも自分と同じだ」と思った考え方のなかで特に驚いたのがこんな考え方である。実は本書を読むまで自分でも意識してなかったのだが。

僕は何が起こっても心が乱れないように、普段から常に「最悪の状況」を想定しておく習慣があるということだ。

長谷部の言葉を僕自身の感覚で補足すると、常に「最悪の状況」と「最高の状況」を想像しておく、ということになるだろう。そうすることによってすべてが予想の範囲におさまり、決して動じることなく常に冷静に最高の決断ができる。実は結構なこれによって、リアクションが薄かったり冷淡に見られたりすることもあるのだが、とにかく僕にとっては非常に理解できる感覚である。
終盤ではワールドカップや、優勝したアジアカップについても語っている。

一度は心が折れそうになった。けれど、まわりのチームメイトを見て、そしてベンチで手を叩いて励まそうとしてくれている仲間を見たら、こいつらとだったら試合をひっくり返せるんじゃないかと思った。

若干サッカーや試合に関するエピソードが少なく、普段の生活や日々の心がけ、といった内容に重点が置かれているため、多くの人が楽しめるだろう。全体を通して、僕にとっては共感できることばかりで、一つ一つの言葉がやけにしっくりくる。しかし、逆に、女性や無秩序に生きることに重みをおく人間が読んだらどんな感想を抱くのだろう。
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