「リバーサイド・チルドレン」梓崎優(しざきゆう)

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ミサキはカンボジアで仲間とともにゴミをあさって生活をしている。しかし、ストリートチルドレンを嫌う警察官や、ゴミを減らそうとする政府の政策によってそんな生活も脅かされていく。
日本人の少年であるミサキがなぜカンボジアでストリートチルドレンとして生活しているのか。そんな疑問とともに物語が始まる。ゴミを漁って生活するミサキとその仲間たちの様子からカンボジアという国の不安定さが見えてくるだろう。アンコールワットという有名な観光地を持ち、観光客が安心して訪れることができるようになっても、一歩道を入れば貧しい人々がわずかな食べ物のために辛い想いをしているのだ。
そして、物語が後半に進むにつれて、ミサキの過去についても語られる。悲しい理由から家族と離ればなれになったミサキ。そこからは経済格差が生み出す不幸が見えてくる。一方で、カンボジア政府は、観光客を呼び込むためにゴミを減らそうとするため、ミサキ達は新たに生きる道をみつけなければならなくなるのだ。
カンボジアという国の今まで知らなかった現状を見せてくれる一冊。残念ながらハッピーエンドとはいかないが、日本以外の国に対して新たな視点を持たせてくれる。
【楽天ブックス】「リバーサイド・チルドレン」

「チグリスとユーフラテス」新井素子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第20回日本SF大賞受賞作品。
惑星ナインへの移住した人類だったがやがて人口が減っていき、ついに最後の子どもルナだけとなった。孤独のなかルナはコールドスリープについていた人々を起こし始める。
突拍子もない設定で最初はかなり物語に入っていくのに抵抗があったが徐々に著者が伝えようとしていることが伝わってくるような気がする。ルナはコールドスリープをしていた4人の女性を目覚めさせ、彼女達が死ぬまで一緒に過ごすのだが、その4人の価値観がいずれも異なる点が面白い。1人目のマリアは子孫を残すことを人生の目標としていたから、一人残されて孤独に打ち拉がれるルナを見て子供を産む事の是非に心を動かす。3人目の朋実(ともみ)は絵を描く事を生き甲斐にしていた。永遠だと思っていた芸術さえもやがて朽ち果てると知った朋実(ともみ)もまた自分の考えを見直す事になる。
そして最後に起こされた灯(あかり)。彼女は惑星ナインへの移住した最初のメンバーの1人。自分たちのやってきたことが無駄に終わらないためにルナが想いも寄らない行動を起こし始める。
人生とはなんなのか、生きる意義とはなんなのか。改めてそんなことを考えさせてくれるだろう。
【楽天ブックス】「チグリスとユーフラテス(上)」「チグリスとユーフラテス(下)」

「グーグル・ジャパンで働く11人の英語勉強法」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
グーグル・ジャパンで働く11人の日本人のこれまでの英語勉強方法やその体験をまとめている。
やはりすべての人に共通していたのが、英語を使わなければならない環境に自らの身を置くということだろう。日本の文法中心の英語教育に対して、意見が分かれている点は興味深い。また、各自が語る英語勉強法とあわせて、グーグルという社内環境がさらに羨ましくなってしまった。
【楽天ブックス】「グーグル・ジャパンで働く11人の英語勉強法」

「警官の条件」佐々木譲

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
警部に承認した安城和也(あんじょうかずや)は父親同然に慕っていた加賀谷仁(かがやひとし)を覚せい剤所持で警察から追放することに成功する。やがて安城(あんじょう)は班を率いて覚せい剤の取締を担うこととなる。
タイトルから佐々木譲の他の作品、「笑う警官」「警官の血」などとの物語的なつながりがあるかと思ったが、あったとしてもよっぽど繰り返し読んでいる著者にしかわからない程度だろう。物語の主人公が、父親のように慕った警察を売った警部という点も、物語に感情移入しない点なのかもしれない。
佐々木譲の警察物語に期待するスピーディな展開は本作品ではあまり見られず、特に印象に残らない作品になってしまった気がする。
【楽天ブックス】「警官の条件」

「深夜特急(1) 香港・マカオ」沢木耕太郎

デリーからロンドンまで乗り合いバスで行く、そう思い立った沢木耕太郎の旅を描く。
本書で中心と鳴るのは香港とマカオである。著者が少しずつその土地に慣れていく過程が面白い。後半の大部分はマカオのギャンブルの様子を描いている。特にギャンブルを面白いと思っていなかった著者が、少しずつギャンブルの面白さに魅了されていく。ギャンブルにもただお金をかけるだけでなく、店側の思惑やディーラーの技量、他のギャンブラーの様子など、いろいろな楽しみ方があることを教えてくれる。
まだ旅は始まったばかりである。
【楽天ブックス】「深夜特急(1) 香港・マカオ」

「もの食う人びと」辺見庸

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本の豊かな食生活に疑問を持った著者が世界を旅して現地での食生活を味わう。
世界各地の食生活について語っているが、その土地特有の食事だけでなく、その土地の文化や歴史も見えてくる。
バングラディシュで、著者はそうと知らずに残飯を食べる。バングラディシュでは豊かな人々が食べ残した残飯を売買する人々がいるのである。日本人の僕らには信じられない事だろう。また、フィリピンで著者は、戦時中に日本兵に家族を食べられたという人々と出会う。これも日本ではあまり公に語られない事実として、本書を通じて初めて知ったことである。
また、バンコクでは日本向けのペットフードの工場があり、そのペットフードの日本での値段と、その工場で働くタイ人の給料とを比較して、世界の貧富の格差を示してくれる。
従軍慰安婦としての過去に悩む韓国人女性達や、汚染されたチェルノブイリの周辺の村々の様子など、読み終えてみると、むしろ食生活の記述よりも歴史的悲劇や貧しさに焦点があてられている気がするが、いろいろ考えさせられる内容である。
【楽天ブックス】「もの食う人びと」

「ザ・チーム 日本の一番大きな問題を解く」斉藤ウィリアム浩幸

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日系人としてアメリカで成功した著者が、日本にはチームがないことに驚いた。チームの重要性について語る。
チームとグループは違うのだという。チームとはただの人の寄せ集めではなく異なる種類の人が同じ目的を持って集まった物を言う。それは1たす1が2となるのではなく3にも4にもなるようなものなのだと。
本書では著者の成功体験をもとにチームの重要性を訴えるが、どちらかというと著者の過去のエピソードの方が、ザッカーバーグやジョブスの物語のような面白さがあり、チームの話はあまり印象に残らなかった。
【楽天ブックス】「ザ・チーム 日本の一番大きな問題を解く」

「おそろし 三島屋変調百物語事始」宮部みゆき

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
悲しい出来事の既におちかは江戸の叔父夫婦の元で暮らすこととなった。そして叔父伊兵衛(いへい)の計らいで人々の不思議な話を聞く役目を命じられる。
人々の不思議な話を聞く事で、少しずつおちかは自分の過去の出来事と向かい合っていく。おちか自身の話も人々がおちかに聞かせる話も、きっと幼い頃に聞かされていたら怖くて夜トイレに行けなくなっていただろうと思う。物語の巧さには宮部みゆきらしさを感じさせるが、あまり深い心情描写がなかったのが残念である。
とはいえ、続編もあるらしいので、機会があったら読んでみたい。
【楽天ブックス】「おそろし 三島屋変調百物語事始」

「奇跡の職場 新幹線清掃チームの”働く誇り”」矢部輝夫

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
駅のホームに到着してから折り返しで発射するまでのわずか7分間に新幹線の全車両の清掃を終える。そんな清掃会社テッセイの取締経営企画部長である著者が、一般的には敬遠されがちな清掃という仕事を、どのようにして「新幹線劇場」として人々から賞賛されるまでにしたかを語る。
本書のなかで著者が書いているひとつひとつが、実際に他の業種にあてはまるか、読んだ人に役に立つかはわからないが、結局現場で働く人々のモチベーションがもっとも大事なのだと再認識させられる。この例では、それは制服を変更する事だったり、新幹線の入線時にお辞儀をすることだったりするが、モチベーションを上げるための有効な方法は、職場や働く人によって様々なのだろう。
本の内容が濃いかどうかは疑問だが、著者がその仕事に誇りをもっていることが伝わってくる作品。
【楽天ブックス】「奇跡の職場 新幹線清掃チームの”働く誇り”」

「世界から猫が消えたなら」川村元気

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
末期がんを宣告された「僕」の目の前に悪魔が現れた。世界から1つづつ何かを消す代わりに寿命を一日延ばしてくれるという。
主人公の「僕」が死と向き合う物語ではあるが、軽い気持ちで読む事ができる。目の前に現れた悪魔によって「僕」は1つづつ何かが世界から消えていくことを目にすることで、何が本当に大切かを改めて考える事になる。
わかりやすいところだと、第二章の「世界から電話が消えたらなら」である。僕らが学生の頃はまだ携帯電話は出回っていなくて、待ち合わせの場所で電話をして連絡をするということができなかったし、そのせいで結局会えなかったなんて事もあったように思う。それが携帯電話の普及から15年ほどが経過した今、多くの人にとってないと不安になるような存在になってしまった。携帯電話は人を幸せにしたのだろうか。
もう1つ印象的だったのは時計を消す章。そもそも時間とは人間が勝手に決めた感覚に過ぎず、時間がなくなれば1日もなくなるし、時間をつぶす必要もなくなるのだ。時間の概念を考え出した事で人間は幸せになったのだろうか。
「僕」はそうやって世界からいくつかの物を消す決断をしながら自らの過去と向き合っていく。ほのぼのとしたちょっと考えさせられる一冊。
【楽天ブックス】「世界から猫が消えたなら」

「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前」塩野七生

ローマ人の物語。この3冊はユリウス・カエサルが主な登場人物となり、ローマ帝国を一気に拡大させる。カエサルは40代になるまで大した偉業を成し遂げなかった遅咲きの英雄であり、序盤は政治的な内容や多くの人名が登場するためなかなかわかりにくいかもしれない。しかし、後半はカエサルの著書「ガリア戦記」の内容を交えながら、ガリア地方へローマ帝国が拡大していく様子が面白く描かれている。
カエサルだけでなく、ガリア地方の多くの部族を束ねてカエサルに挑んだヴェルチンチェトリックスの勇敢な生き方も印象的である。
実は「ガリア戦記」というタイトルは聞いた事があったのだが、それがユリウス・カエサルによる2000年も前に書かれたものだったとは、本書を読んで初めて知った。読まなければいけない本がまた増えた気がする。
【楽天ブックス】「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前(上)」「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前(中)」「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)」

「優良企業の人事・労務管理 「10の仕組み」で組織は強くなる!」下田直人

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
本来は会社の総務などに勤める人が読む本だとは思うが、最近組織のありかたについて興味があるので読む事にした。
基本的には会社目線で、社員とのトラブルを避けるためにすべきこと、気をつける事として例を交えて説明している。例えば、秘密保持などの誓約書の作成や就業規則や休日の制度などの整備の必要性などである。どれも会社目線ではあるが、一起業の一社員にとっても、会社のルールや規則、いろんな手続きが何のためにあるかを理解するための助けになるだろう。
また、悪い見方にはなるが、本書に書かれていたような事をしっかりやってない会社は、その部分が弱点であり、トラブルが会った際に、従業員にとってつけ込む事のできる場所でもある。
【楽天ブックス】「優良企業の人事・労務管理 「10の仕組み」で組織は強くなる!」

「スタンフォードの自分を変える教室」ケニー・マクゴニカル

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
心理学者である著者が「意思力」について語る。
読み終わって思うのは、本書のタイトルの「スタンフォード」と「教室」がかなり売り上げに貢献しているだろうということ、英語のタイトルの「The Willpower Instinct」が示すように、本書にはスタンフォードも教室もほとんどでてこない。単に意思力の話だと思って問題ない。ただ、タイトルがそうだから内容が読む価値がないというわけではない。
本書では人が何かを決意し、その決意がやがて失敗に終わりやすい理由を示してくれる。そして、それを回避する方法の例も教えてくれる。意思力を必要とする際の例として喫煙やダイエットを取り上げているが、その力はさまざまな場所で応用できるだろう。
僕自身はタバコも吸わないし、ダイエットも必要としないのだが、それでも意思力の弱さを感じる部分はあり、本書を読み終わってから早速いくつかの方法を実践させてもらっている。まだ大して日が経ってないから、成功しているのか失敗しているのかを現段階で判断する事はできないが、本書を読む前よりかは成功に近いような気がする。
【楽天ブックス】「スタンフォードの自分を変える教室」

「伝説なき地」船戸与一

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ベネズエラの荒れ果てた地でレアアースが見つかった。その採掘権で儲けようとするエリゾンド家。一方で、丹波春明(たんばはるあき)と鍛冶司郎(かじしろう)は二千万ドルを求めて危険な旅を続ける。
コロンビア、ベネズエラという麻薬や過激派などがはびこる、政府の支配の及ばない国を舞台にした物語。南米という社会としてはいまだ発展途上の地域の文化や人についての理解には役立つだろう。物語中で触れられている出来事のいくつかは実話に基づくものなのだろう。そのいくつかはとても印象的にも関わらず、聞いたこともないことなので、そのような記述に出会うたびに南米が僕らに日本人にとって地理的にも心理的にも遠い場所なのだと思い知らされる。
残念ながら主要な登場人物はみんな人の死をなんとも思わないような行動を繰り返すので、その行動やふるまいにいい刺激を受ける部分はない。著者船戸与一はどうしてもイランイラク戦争を扱った「砂のクロニクル」の印象が強く、あの世界観に再び触れたくて読み続けている気がする。その点で本作品は期待に応えてくれたとは言えない。もし南米の物語をもっと読みたいという人がいたのなら垣根涼介の「ワイルド・ソウル」をお勧めするだろう。
【楽天ブックス】「伝説なき地(上)」「伝説なき地(下)」

「古本屋開業入門 古本商売ウラオモテ」喜田村拓

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
長年古本屋を営む著者が古本屋の開業について語る。
別に古本屋になろうとしているわけではないが最近流行の「ビブリア古書堂の事件手帖」のシリーズを繰り返し読むうちに、古本屋の内情について知りたくなって本書に出会った。
もちろん本書の主な内容は、古本屋を営む上での心構えや店の構造やインターネットの利用方法などであって、単純に古本業への興味を持って読む人にとっては必要ない内容ばかりではあるが、それでもいろいろ今まで知らなかった事が見えてくる。
例えば、古本屋というのは、普通の本屋とは違って、扱っている本と出て行く本が巧くまわって初めてうまく機能するのだそうだ。そのためには、売る事よりも買い取りなど、本を巧く手に入れる事の方がはるかに重要だと言う。そして、人気のあった本ほど世の中に溢れてしまって古本としては価値が下がるのも当たり前のことではあるが面白い。
本書からはっきりと伝わってくるのは、本当に古本屋というのは本が好きでなければ勤まらない職業だと言う事である。
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「シヴェルニーの食卓」原田マハ

印象派の画家たちを扱った4つの物語。
「楽園のカンヴァス」と同様に、著者原田マハのキュレーターとしての知識を活かした作品。4つの物語はいずれも印象派の画家達を扱っている。クロード・モネ、メアリー・カサット、エドガー・ドガ、ポール・セザンヌ、ゴッホなどである。(この画家達を「印象派」とひとくくりにしてしまうことには議論があるだろうが)。ある程度西洋絵画に興味を持っている人なら誰でも名前ぐらいは聞いた事があるだろうし、どんな絵画なのかすぐに頭に浮かぶかもしれない。
本書が描く4つの物語はいずれもそんな画家達の日常を描いている。そこには絵を見ただけではわからないいろいろなものが見えてくる。ドガの踊り子に対する執着。セザンヌの貧乏生活。女性でありながらもすべてを捨てて画家を目ざしたメアリー・カサット。
今まで絵画に親しんできた人はさらに興味をかきたてられるだろうし、そうじゃない人は美術館に行きたくなるかもしれない。
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「蒼穹の昴」浅田次郎

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
西太后(シータイホウ)の支配する清。貧しい少年春児(チュンル)は幼なじみの文秀(ウェンシウ)とともに都へ向かう。
清朝の末期を描く。偉くなるためには科挙の試験を受けなければならない中国という国で、文秀(ウェンシウ)はそんな過酷な試験に挑もうとする。その一方で文秀(ウェンシウ)の幼なじみの春児(チュンル)は自ら性器を切り取って宦官(かんがん)となり、貧しい生活から脱しようとする。
同じアジアの国の出来事にも関わらず、あまりにも知らない事が多い事に驚かされた。冒頭では、文秀(ウェンシウ)が挑んだ科挙というし試験の過酷さと、虚勢を施す刀子匠(タオズチャン)という職業とその処置の方法に驚かされる。どちらも同じ東アジアの国に長い間文化として根付いていたものなのである。
やがて、文秀(ウェンシウ)は科挙の試験で素晴らしい成績をおさめて地位を向上させていく。また一方で、春児(チュンル)も方法こそ違えど、自らの力で少しずつ都への道を切り開いていくのである。文秀(ウェンシウ)と春児(チュンル)を中心に物語は展開していくが、その過程で西太后(シータイホウ)や、中国を守ろうとする人々の苦悩や駆け引きが見て取れる。また、中国国内だけでなく、中国という大きな土地を巡るイギリスやフランス、日本の利権争いも興味深い。
登場人物が多いので、なかなか本書だけでこの当時中国で起こった事の全体像を理解するのは難しい。どこまでが歴史上実際に存在した人物で、どこまでが物語中の架空の人物や出来事なのかをしっかり理解してもう一度読んでみたいと思った。

科挙
中国で598年?1905年、即ち隋から清の時代まで、約1300年も行われた官僚登用試験。(Wikipedia「科挙」
宦官
去勢を施された官吏。その原義は「神に仕える奴隷」であったが、時代が下るに連れて王の宮廟に仕える者の意味となり、禁中では去勢された者を用いたため、彼らを「宦官」と呼ぶようになった。(Wikipedia「宦官」
李鴻章(り こうしょう、リ・ホンチャン)
中国清代の政治家。字は少荃(しょうせん)。 日清戦争の講和条約である下関条約では清国の欽差大臣(全権大使)となり、調印を行った。(Wikipedia「李鴻章」

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「ビブリア古書堂の事件手帖4 栞子さんと二つの顔」三上延

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ビブリア古書堂シリーズの第4弾。毎回本を絡めた興味深い物語を展開してくれる。今回は江戸川乱歩のコレクターが遺した謎に栞子(しおりこ)と五浦(ごうら)は挑む。
本シリーズは今まで多くの有名な本を扱ってきたが、今回扱う江戸川乱歩シリーズはまさに僕自身が小学生の頃親しんできたシリーズで、物語中で触れられるタイトルの数々に懐かしさを感じてしまった。
また、そんな本に絡めた謎やそれぞれの本や作家が持つ深い歴史だけでなく、栞子(しおりこ)への五浦(ごうら)の想いもまたほのぼのと描かれている。そして、本書で何よりも注目すべきなのは失踪していた栞子(しおりこ)の母、篠川智恵子(しのかわちえこ)が登場する点だろう。栞子(しおりこ)よりもさらに深い本に対する知識と行動力のある智恵子(ちえこ)に対して、栞子(しおりこ)と五浦(ごうら)は謎解きで挑むのである。
まだまだこの先一波乱ありそうな流れである。
【楽天ブックス】「ビブリア古書堂の事件手帖4 栞子さんと二つの顔」

「はじめてのトポロジー つながり方の幾何学」瀬山士郎

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ポアンカレ予想を理解するためにはやはりトポロジーを理解する必要があり、その入門書として手に取った。
トポロジーの考え方では球も立方体も直方体も同じ形として扱われる点は、1度考え方を受け入れれば非常にわかりやすく興味深い。また、メビウスの輪の考え方の延長でクラインの管ができることも理解できた。また、4次元空間の数学的考え方の一端にも触れる事が出来た。
ホモローグやホモトープなど、覚えにくい言葉も多々登場したが、トポロジーの最初の一冊としては悪くないだろう。
【楽天ブックス】「はじめてのトポロジー つながり方の幾何学」

「The Light Between Oceans」M L Stedman

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Tomとその妻Isabelはオーストラリアの無人島で灯台の光を維持することを仕事としていた。ある日その島にボートが流れ着く。そのボートにはすでに息を引き取った男と赤子が乗っていた。
戦争でのつらい経験を引きずって生きていたTomは、人のいない島で灯台の光を管理するという仕事を選ぶ。そんな折に出会ったIsabelと結婚し、2人で家族を作ろうとするがIsabelは3人の子供を流産してしまうのだ。そして、そんな失意の2人のもとに赤子を乗せたボートが流れ着く。
戦争中の自らの行いによって良心の呵責に苦しむTom。そんなTomの過去に対する言動や、自らの正義感や信念を反映した生き方が印象的である。
1920年代を舞台にした物語という事でおそらく今とはかなり異なるのだろうが、灯台を管理するという仕事やその役割、そして灯台そのものについても興味をかき立ててくれる。また、オーストラリアを舞台としている事からその時代の人々の言動に触れるうちに、オーストラリアのこの時代の歴史をほとんど知らない事に気づかされた。