オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
地上20,000メートルで航空機と自衛隊機が何かにぶつかって爆発した。調査するためにその空域に向かった光稀(みき)と高巳(たかみ)はそこで人類が発生する以前より人知れず漂っていた知的生命体と出会う。
序盤は言葉も人類の文化も知らない知的生命体との出会いに終始する。光稀(みき)と高巳(たかみ)の掛け合いがいい味を出している。女性でありながら優れた動体視力を備えた航空自衛隊パイロットの光稀(みき)からは千里眼シリーズの岬美由紀(みさきみゆき)を連想せずにはいられない。
そんな地上2万メートルに現れた生命体との遭遇と平行して、小さな知的生命体と出会った四国に住む斉木瞬(さいきしゅん)とその友人の佳枝(かえ)のエピソードも進む。中学生という多感な時期の様子が描かれていて、周囲の大人たちが思っている以上に、人との間に複雑な駆け引きをしている思春期の様子が巧くが描かれている。
しかし、残念ながら本作品中もっとも多くのページを費やされている、「白鯨(はくげい)」と呼ばれたその知的生命体と人類の間に発生する誤解や共存のための話し合いなどは、個人的には面白くもなんともない。、現実に存在する生き物からヒントを得たわけでもなくほぼ100%著者の想像の生き物であるから、その言動には大して興味をかきたてる要素もなく、その間、何度本を閉じたくなったかわからない。
結局、本作品の中でもっとも印象的だったのは、瞬(しゅん)の近所にすむ宮じいのしごく当たり前ともいえる言葉。
いろいろな要素が詰まっているといえば聞こえはいいが、僕にいわせれば作者の訴えたいことがひどくあいまいで、バランスさえも考慮せずに思いつくままに書いた作品といった印象を受けてしまった。
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