オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「正しいこととは何なのか」。「正しいこと」。生きていれば数え切れないほど耳にするそんな当たり前の言葉に対して、「じゃあ、その「正しいこと」とは何なのか?」と問いかけ、突き詰めていく。
面白いのは本書のなかで、。「正しいのはどちらか?」といういくつもの選択肢が用意されている点だろう。いずれの選択肢も即答できるものではなく、いくつかは一生かかっても答えを出せないであろう問いかけである。もちろん本書でもその問いかけの先で示しているのは答えなどではなく、その答えにたどり着くための道筋である。
そしてその道筋を示す過程で、過去の哲学者など、多くの偉人たちの考え方を紹介している。自由主義者にとってはこちらはこの点で間違っている、功利主義者にとってはこちらが正義になる。…のように。
そして、それらの考え方に触れるうちに、「正しいこと」とは、「自由を尊重するもの」「倫理に従うもの」「世の中の実用性を重視するもの」「最大人数に対する最大の富を目的とするもの」など、人によってさまざまな考え方があることに気づくだろう。
30年も生きていれば誰しも、心の中に答えのない疑問を抱えていたりするのではないだろうか。たとえば、生き物の命は大切なのに、どうして人間は豚や牛を殺して食べるの?とか、買う側も売る側も満足している売春はなんで不法なの?とか。
そんな問いかけに対する答えの出し方のヒントを少しつかめた気がした。