オススメ度 ★★★★☆ 4/5 「直感的なUIが良い」と、多くの人は言うが、そもそも「直感的なUI」とはなんなのか。これまで曖昧に語られてきたデザイン要素を定義し、すぐれたUIを作るための手法を説明している。
まず、本書では直感的なUIのための指標として次の8つの要素を挙げている。
Discoverability
ターゲットユーザーが目的を達成するためのUIを発見できるか
Affordance
ターゲットユーザーに操作可能なUIであり、どのように操作するかが伝わるか
Comprehensibility
ターゲットユーザーがそのUIの意味を理解できるか
Feedback
ターゲットユーザーの現在の状況や操作の結果を正確、明確かつ即座に示せているか
Predictability
ターゲットユーザーが操作する前にその操作の結果を予測できるか
Efficiency
ターゲットユーザーが不要な動作や繰り返しをせずに最優先事項を完了できるか
Forgiveness
ターゲットユーザーの誤操作を防げるか、誤操作による打撃を最小限に抑えているか、誤操作から簡単に復旧できるか
Explorability
ターゲットユーザーがミスをすることや迷うことを恐れずに使えるか
ちなみに、この8つの要素では、これまでに多く語られていた、一貫性(Consistency), 学習可能(Learnability)は次の理由によって除外されている。
一貫性(Consistency)
世の中には良い一貫性と悪い一貫性があることを認識しなければならない。もしあるUIに対して「この一貫性が何かいいことがあるの?」という問いに「一貫していること」としか答えられないなら、それは悪い一貫性である。
学習可能(Learnable)
直感的なUIの目的は、学ぶ必要性さえもなくすことである。
以上の8つの要素はこれからUIを評価する際に常に意識しておきたいと思った。しかし、次のような例外があることも忘れてはならないだろう。
すべてのUIのDiscoverabilityを向上しようとすると、乱雑なUIになる。Discoverabilityはもっとも重要な要素に絞るべき。
過度のComprehensibility, Predictabilityは多くの説明を必要とする。他のUIの8要素を犠牲にしない程度にする。
削除、入力項目のキャンセルなど不可逆な結果をもたらすUIは、Forgivenessを過度に重視する必要はない。
MVPでは、Discoverability, Affordance, Comprehensibility, Predictability以外の項目は除外してリリースし、以降の項目は次のリリースにまわしてもよい。
以上が本書のもっとも焦点をあてて説明している箇所であるが、他にも役に立ちそうな考え方がいくつか含まれていた。
まずは、直感的UIの段階的指標で、
Fully Intuitive Sensible Learnable Guessable Trainable Beyond Hope
その他にもUX達成のための7階層
7.Beauty, visual design, emotion, delight, brand 6.Scenarios, personas, usergoals, value, satisfaction 5.Usability, real user data, conversion, other metrics 4.Design principles, guidelines, patterns, consistency 3.Mechanical usability, business goals 2.Technology, code, UI frameworks 1.Personal opinion, “gut” instinct, “Trust me I’m designer”
というものがあり、こちらは組織の現在のUX達成の立ち位置を測る基準となるだろう。
後半では、Streamlined Cognitive WalkthroughsというUIを評価するための考え方が紹介されている。
1.ユーザーはどのようにしてここですべきことを理解するか? 2.ユーザーが正しい行動をしたら、どのようにそれがわかるか? 3.ユーザーが間違ったことをしたら、どのようにしてそれがわかるか? 4.ユーザーが間違ったことをしたら、どのようにそれを修正できるか
これらは上に挙げた8要素を言い換えたものであるが、組織に広めるためにはこちらの考え方のほうがわかりやすいようにも見える。状況に応じて使い分けていきたい。
全体的に非常に面白く、どの考え方もぜひ組織に取り入れてみたいと思った。取り入れる過程でまた該当部分を読み直したいと思った。