オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
劇団四季の「ウィキッド」を観劇してから、オズの物語のファンである。本書は言うまでもなく「ウィキッド」の原作。後に「ウィキッド」としてオズの魔法使いでは悪の化身「西の魔女」とされる生まれながら緑の肌を持つElphabaの生涯を描く。
序盤はGlindaとElphabaの嫉妬や恋愛や意地など、どこにでもありそうな女性の成長の様子を微笑ましく描かれている。緑の肌をして社交的ではないElphabaだったが、Glindaと同じ部屋になったことで、次第にGlindaと仲良くなって行くのだ。しかし、月日が経つに従って、2人は人生の選択を迫られて行く。
おそらく本書で描かれているのは、多くの人が「オズ」という言葉から想像するよりもはるかに政治的な世界だろう。エメラルドシティを中心としたオズの国では動物たちが人間と同じように、話し、多くの職業に就き社会を構成する一部となっていたが、やがて、動物達は言葉を喋らず家畜として暮らすべき、という政策が広まる事になる。そんな政策に反対するElphabaは心を同じくするたちとともに抵抗しようとする。Elphabaの妹NessaroseもやがてともにGlindaやElphabaと過ごす事になる。物に執着しないElphabaだが、父が、妹のNessaroseだけに与えた靴にこだわりを持つ。
そして月日とともに、Glinda、Nessarose、Elphabaは別の道へ進むこととなる。父からの愛を求めたElphabaが混乱するオズの世界に翻弄されながら、やがて西の魔女になっていくのだ。やがてDrothyという名の女性がやってくる。一緒に飛んできた家でNessaroseを押しつぶすして殺す事になったDrothyはElphabaがこだわりつづけた靴をはいてエメラルドシティに向かうのである。
残念ながらハッピーエンドとは言えないが、オズの物語に深みを増してくれるだろう。