「All the Light We Cannot See」Anthony Doerr

「All the Light We Cannot See」Anthony Doerr
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
第二次世界大戦下、フランスで生きる目の見えない少女Marie-Laureと、ドイツで妹とともに生きる少年Werner Pfenningを描く。

パリの美術館で働く父のもとで過ごす、目の見えない少女と、ドイツで妹ともに貧しい生活を送りながら、ある日見つけたラジオに魅了される少年を交互に描く。過去と今を行ったり来たりしながら物語は進む。

Marie-Laureの父は目の見えない娘のために、自分たちが住んでいる地域の詳細な模型を作って娘に覚えさせる。やがてそれによってMarie-Laureは外に出歩くことができるようになる。やがて戦争が始まり、パリから海岸近くの街に住むk親戚のもとへと避難する。その際、父親は一つの宝石を預かるのである。持っているものは死なない代わりに、その周囲の人が不幸になるという宝石である。父親はその宝石が本物かどうかを疑問に思いながらも託されたものとして大切に扱う。

一方でWernerは妹のJuttaとともに他の孤児たちとともに生活するなか、ラジオに魅了され、分解、組み立てを繰り返しながらその技術を伸ばし、やがてその技術を必要とするドイツ軍の前線へと派遣される。ドイツ軍の行いを知らずに自らの技術が評価されたことを喜ぶWernerと、禁止されているラジオでドイツ軍の行いを知って疑問に思う妹Juttaは少しずつ距離を置いていく。

Is it right to do something only because everyone else is doing it?
みんながやっているかという理由だけでするのは正しいの?

また、ドイツ人将校Von Rumlpelは少しずつ体に不調をきたすなか、戦乱に乗じて噂を聞いた命を永らえさせるその宝石を見つけようと務める。やがて、少しずつMarie-Laureへと近づいていく。宝石の奇跡を信じるVon Rumlpelは父の教えに従って行動するのである。

See obstacles as inspirations.
障害を良い刺激として見るようにしなさい。

不可思議な宝石Sea of Flames、目の見えない少女、ラジオの好きな少年、やがてそれぞれの人生が近づいていく。

第二次世界大戦のヨーロッパの様子を描いた作品は、どちらかというとアメリカ視点のものに出会う機会が多いので、本書のように、ドイツ人、フランス人目線で描かれたものは新鮮である。戦時下の情報統制の中必死で生きる少年少女を描いた優しい物語。