「Dark Places」Gillian Flynn

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1985年3人の姉妹と長男のBen、母親のPattyで牧場を営む家庭が一夜にして3人が惨殺され、兄のBenが犯人として逮捕される。二重数年後の現在、唯一生き残ったLibbyは再び真実に向き合うことになる。

物語はLibbyが意を決して刑務所の兄Benと会うことから始まる。兄Benと会うことで兄の無実を確信し、当時の関係者に話を聞くことで真実に近づいていく。兄Benでなければ、父Runnerなのか、それともBenと恋人の仲に怒り狂った恋人の父親なのか。物語は真実を探ろうとするLibbyの視点と、事件が起こった1985年の7月の、兄Benと母Pattyの様子を描いている。

現在の物語では少しずつLibbyが真実に近づいていき、一方で、1985年の物語では、兄Ben、母Pattyがそれぞれ悩みを抱えながらXデーの夜へと近づいていくのである。携帯電話もインターネットもない時代の、カンザスシティの田舎町で過ごすBenを含む学生たちの様子や、シングルマザーとして牧場を経営しながら4人の子供達を育てる母親の悩みが見えてくる。

無力ながらも母として、どのように子供達を信じ、守るのが正しいのか、そんなことを考えさせられる内容である。

「Sharp Objects」Gillian Flynn

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
シカゴでリポーターを仕事としているCamilleは生まれ故郷の町Wind Gapで少女Annの殺人事件が起こったことを知り、スクープのために故郷に戻り、そこで数年ぶりに母Adoraと妹Ammaと再開する。

生まれ故郷に戻って調査を開始した直後に、行方不明になっていた少女Natalieの遺体が発見される。犯人は町の人間なのかそれとも外からやってきた人間なのか。なぜ被害者の歯を抜くのか。目撃情報を集めるために町を歩く中で、過去の同級生や知り合いと再開していくなかで今まで知らなかったことが明らかになっていく。

また、母と再会し、その生まれた家で過ごすことになったことで、少しずつ歪んだ家族の様子も見えてくる。Camilleは以前妹Marianを病気で失っており、母Adoraとともにその悲劇を経験しているのである。そんな悲しみを経験したからなのか、心を病んだCamilleは尖った刃物などで自らの体に文字を刻み込むことで心の安らぎを得ることを習慣としているのである。そして、そのような家と母の下で生活しているからか、異なる父から生まれた妹のAmmaも荒んだ生き方をしていく。

殺人事件の解決の物語ではあるが、心に深い傷を抱えた人たちの悲しい家族の物語でもある。Gillian Flynnという著者はよく聞くが本書で初めて触れた。ほかの有名作品もチェックしたいと思った。