オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
目標達成に必要な考え方や心構えを語る。
著者は都内で繰り返しセミナーを開催しており、その内容の多くも含まれている。基本的には自身が元々もっていた考えに近い物だが、印象的だったのは人生において明確な目的を持つべきという点で、自分の人生にの目標についてもっと具体的にイメージしないといけないと思った。しかし、全体的には世の中には溢れ返っている自己啓発本とあまり変わらない印象を受けた。ベースとなっている「選択理論」の考え方自体は非常に好きなものではあるが、本として強い印象を残すほどではなかった。
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カテゴリー: 趣味/関心事
「断捨離アンになろう! モノを捨てれば福が来る」鈴木淳子
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
「断捨離」という言葉はすでに5年ほど前から聞かれるようになったが、本書はそのブームを作ったなかの1冊。モノを捨てることの効用を語る。
もともと僕自身モノに執着する方ではないが、ここ数年その傾向に一段と拍車がかかった気がする。海外でも「ミニマリスト」「ミニマリズム」という言葉で語られることだが、「断捨離」とは単純に「モノを捨てる」行為ではなくて、自分の周囲にあるモノ、人、時間などを、「本当に自分に必要か?」と改めて問いかける行為であり、その結果として、必要のないと判断したものを捨てることになるのである。
本書に書かれていることは、基本的に僕自身が元々持っていた考え方に似ていて特に目新しい考え方はなかったのだが、いくつか元々の考え方の助けになりそうな表現に出会えた。
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「ロングテール 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略」クリス・アンダーソン
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
インターネットの普及によって、ニッチ商品の集積が、メガヒットに匹敵する利益を上げる時代がやってきた。本書はそんな「ロングテール」について語る。
ロングテールという言葉を説明するときに必ずといっていいほど一緒に語られるのはオンラインショップamazonだろう。amazonは実際の店舗を持たないからこそ、限られたスペースに何の本を置くべきか、という一般の書店が常に考えなければならない問題に悩まされることがない。その結果amazonでしか販売されないニッチな商品は、それぞれは小さな売り上げでしかないが、全体ではヒット商品に匹敵するほどの利益になるのだ。
これは単にオンラインショップによって販売スペースを考える必要がなくなったからできることではなく、購入者側にもニッチな商品についての情報を得られる手段があってこそ実現できる。過去そのような情報は専門誌や知人からの紹介で得るしかなかったが、専門誌もある程度の専門性までしか扱わないし、ニッチな共通趣味を持つ知人を見つけるのも難しかった。しかし、この点でも、インターネットがSNSやブログなどを通じてその手段を提供してくれるのだ。
この「ロングテール」の減少はもちろん本の販売だけでなく様々な分野で起きているという。働き方や、時間の使い方、服装や住む場所など。ここ数年のCDの販売量やテレビの視聴率を過去と比較すればわかるように、インターネットが実現した多様化によって、「ヒットを狙う」という考え方がすでに機能しない世の中になっているのだ。
僕らは多様化を受け入れる方向に生き方を改めるべきなのだろう。世の中の多くの人や企業がロングテールに適応できていないことを毎日感じている僕の考えをより明確にしてくれる内容だった。
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「変わる世界、立ち後れる日本」ビル・エモット
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
世界のなかで日本が向かうべき方向を示してくれる。
5年ほど前に書かれた本ということで、やや現状にそぐわない部分もあったが、日本を中心に現状と未来への提言を書いている。正直、なかなかすべてを理解したとは言い難く、読んでいるうちに自分の知識の乏しさを思い知ることになった。本書で触れられている言葉の意味をもっとしっかり理解しておきたいと思った。例えばGATT、IMF、WTOなどのそれぞれの発足の経緯やその活動内容。変動為替性と固定為替性のメリット、デメリットなどである。
個人的にはサービス業と製造業という分類に対して疑問を呈している著者の姿勢が印象的だった。
もう少し経済についても知識を深めるべきだと思わされた。
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「世界でもっとも強力な9のアルゴリズム」ジョン・マコーミック
オススメ度 ★★★☆☆
世界的に有名なアルゴリズムについて説明する。
検索エンジンのインデックス方法、ページランクの付け方、公開鍵暗号法、ファイルの圧縮など、もはや人々の生活にとって欠かせないものとなってしまった、アルゴリズムの仕組みをわかりやすく説明してくれる。検索エンジンのインデックス方法やページランクは以前より興味を持っていた内容だったので非常に楽しむ事ができた。公開鍵暗号法はとても面白い内容でそれを扱っている本は本書だけではないのだが、残念ながら本書の説明の仕方がわかりやすいとは思えなかった。本書でいまいちわからなかった方にはサイモン・シンの「暗号解読」という本をお薦めしたい。
画像圧縮の話も面白かったが、終盤はややわかりにくい話になってしまったように思う。序盤がわかりやすく面白かっただけに本の完成度を落としてしまった感じで残念である。
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「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以後」塩野七生
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ポンペイウスと敵対したユリウス・カエサルがルビコン川を越える紀元前49年から、カエサルの暗殺の後の紀元前30年までを描く。
「ブルータス、お前もか」というセリフでカエサルがブルータスによって殺されるということを一般的な知識として持っている人は多いだろう。しかしカエサルやブルータスがどのような人物で、どのような経緯でそこに至ったかを知る人は少ないのではないだろうか。
本書を読み終わった時の率直な感想は、「カエサルは偉大な人間だった」ということである。先の時代を見る能力と、人を操る能力を見事に備えていて、それ故に戦いにも政治の能力にも長けていたのである。同時期の他の権力者と比較して抜きん出ているだけでなく、現代においてもこれほど能力のある人にはそうそう出会えるとは思えない。
本書で扱っているのはすべて紀元前の出来事である。僕らはなぜか、「紀元前」と聞くと大昔の印象を持つが、本書で描かれているローマの実情を見ると、すでに社会がある程度出来上がっていたことがわかる。「社会」という言葉は非常に曖昧だが、政治や裁判やコミュニティとするとわかりやすいかもしれない。ちなみに、現在の前の暦であるユリウス暦もカエサルの命によって作られ、その時代ですでに11分程度の誤差しかなく、ユリウス歴は1582年にグレゴリウス暦にとって変わられるまで1500年以上も使われたというから驚きである。
また、もう一人の誰もが聞いた事のある有名な人物としてクレオパトラも登場する。美人としては有名だが、彼女がどのような存在だったのか本書を読むまでまったく知らなかった。
このカエサルの時代はローマのもっとも面白い部分なのではないだろうか。カエサル自身が書いたという「ガリア戦記」もぜひ読んだみたい。
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「A Mind for Numbers」Barbara Oakley
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
効果的に勉強するためにはどうすればいいのか。著者自身も学生時代は数学の能力をまったく伸ばす事が出来なかったが、軍隊に入ってロシア語を学び数学の必要性を感じてその方法に気付く。多くの例とともに効果的に学ぶ方法を語る。
数学や試験や言語だけでなく、学ぶというのは運動や楽器演奏などすべてに適応されるもので人生を生きていくうえで欠かせないもの。しかし、勉強しているけれども成績が上がらない、練習しているけれど上達しない、ということはたびたびある。誰もが1度は、●時間勉強したけどこの時間に意味があったのだろうか。と疑問に思うような時間を経験した事があるだろう。上達しない練習に時間をさくのであればその時間を他の事に費やした方がいいだろう。そういう意味では、人生を豊かに効率に過ごすために方法を本書は教えてくれると言える。
まず印象的なのは、Diffuse ModeとFocus Modeの使い分けである。僕らは勉強するときに「集中する」ことを良いこととしているが、本書では、Diffuse Mode、つまり集中していない状態も同じように効果的に学ぶためには大切だと語る。もちろん集中していない状態が進歩を助けるのは、集中している時間に積み重ねたものがあってこそであるが、それによって集中していない時間にも脳が無意識下で情報を処理し続けるのだという。集中している時間と集中していない時間を適切に配置することで効率的に学ぶことができるのである。
また、「勉強した気になってしまう行動」や、「無駄な勉強」というのにも触れているので、知っておくと非常に役に立つだろう。例えば僕自身も過去やったことがあるのだが、蛍光ペンで教科書の重要な部分を塗っていくという方法。これは手を動かした事によって学んだ気になってしまうが実際にはほとんど効果がないのだそうだ。また、教科書を読んだだけでわかった気になるのもしばしば陥りがちな無駄な勉強法である。多くの教科書はそれぞれの章末に問題をつけているが、多くの人はこの重要性に気付いていない。本書では、必ず自分で問題を解いて自分の理解をテストすることの重要性を強調している。
その他にも、勉強を先延ばししてしまう人がとるべき対策方法や、多くの勉強に適用できそうな記憶方法についても触れている。向上心のある人には多いに役立つ内容と言える。
「アルゴリズムが世界を支配する」クリストファー・スタイナー
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
アルゴリズムについて世の中の実例を交えて紹介する。
25年前証券取引所はディーラーで溢れ返っていた。ところが今では人はほとんどいない。コンピューター・プログラマーのピーターフィーが、プログラムを使って取引をすることを始めてからその方法は世界に広まり、今では世の中の多くの取引がコンピューターによって行われているのだ。
こんな冒頭の今日深い話に一気に引き込まれてしまった。僕らは確かにコンピューターがいろいろな事を行うのを受け入れている。しかし、どの程度のことまでがコンピューターにできて、どの程度の事から先が人間にしかできないのか、それを正確に把握しているだろうか。本書を読むとコンピューターの能力、(つまりアルゴリズム)の可能性を過小評価していたことに気付くだろう。
中盤ではコンピューターがクラシック音楽を作曲する話について触れている。今ではベートーベンやモーツァルトの曲のように人々を感動させる曲をコンピューターが作る事ができるのだという。そんなコンピュータの能力はもちろん興味深いが、むしろ面白いのは、人間はコンピュータが作った曲に感動するが、それはそれが「コンピューターが作った曲」だということを知らない場合なのだという。「これはコンピューターが作った曲」ということを知った途端に「何か情熱が感じられない」と言い出すのが面白い。
本書を読んで感じたのは、アルゴリズムにできないことはなくなるだろうが、アルゴリズムの社会への普及を阻んでいるのは技術ではなく、人々の意識なのだということだ。アルゴリズムやプログラムを深く理解することの必要性を感じた。
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「いちばんやさしいアルゴリズムの本」みわよしこ
オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
アルゴリズムについてやさしく解説している。
先日読んだ本「アルゴリズムが世界を支配する」で次のように書いてあった。今後アルゴリズムによってコンピューターが、今人間が行っている大部分の作業を行うようになるだろう、と。きっと今後はプログラム言語と同様にアルゴリズムが重要になってくるのだろう。その基礎を学びたいと思って本書を手に取った。
かなり優しく書こうとしている努力は見えるが、やさしいたとえ話のはずの箇所で妙に専門的な単語がでてきたり、それぞれの章によって想定の読者の知識が統一されていないような印象を受けた。誤字も目立ったので、もう少ししっかり改訂して欲しいと思った。
それでも最後の章にある著者のオススメのアルゴリズム関連本は、さらに深い知識を身につけたい人にとってはありがたい内容である。
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「三国志(二)」吉川英治
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
三国志の第二弾。董卓(とうたく)が権力を強めていく。
洛陽から長安へと董卓(とうたく)は移動する。王允(おういん)は美しい女性、貂蝉(ちょうせん)に命じて、董卓(とうたく)を討とうとする。
相変わらず人名の多さや、中国の地理に体する無知ゆえに物語にしっかり着いていってない感じもあるが、呂布(りょふ)、劉備(りゅうび)、曹操(そうそう)、孫策(そんさく)などそれぞれの個性が徐々に見えてくる。ようやく読み続けられるかも、と思えてきたが、きっと三国志の物語をしっかりと理解するには小説だけでなくマンガやゲームなど繰り返し触れる必要があるのだろう。
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「三国志(一)」吉川英治
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本の邪馬台国の時代。中国では後漢の霊帝の代。青年劉備(りゅうび)は関羽(かんう)、張飛(ちょうひ)とともに世を救うために旅立つ。
物語としてはこれ以上ないというほどに有名な物語だが、これまで小説に限らずマンガ、アニメ、ゲーム含めて一切触れたことがなかった。それでも長く語り継がれる物語には相応の理由があるということで今回手に取った。
序盤は劉備(りゅうび)を中心としたよくある冒険物語といった印象を受けたが、その後の流れは単純な英雄伝説のようにはいかないらしく、物語の壮大さを感じさせる。
後半に入ると人名や地名などに着いていけない感じがしてきた。そもそも「三国志」の「三国」とは何を指すのかすら未だわかっていないが、頑張って読み進める事にする。
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「Fluent in 3 Months」Benny Lewis
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
多くの言語を話す著者が言語学習の方法や考え方を語る。
著者自身スペインにスペイン語を学びにいって半年以上経過しても何も話せなかったという経験を持つ。そんな著者が今では10言語以上を自在に操るというのだからその内容は言語学習者にとっては有益な物ばかりである。最近書かれた本なので、インターネットやスマートフォンを使って効果的に言語学習をするためのツールや方法がたくさん書かれている。
面白かったのは、インターネットのチャットを利用するという方法。もちろんそれぐらい誰でも思いつくのだが、著者が紹介するのはあえて女性の名前でログインするということ。そうすればいろんな男が話しかけてくる、というのである。これは学ぶ言語によらず世界共通なのだろう。
また、言語学習の方法だけでなく、言語学習者が陥りがちな考え方のワナについてもふれている。そもそも「流暢に話す」の定義は何か。母国語でできないことをその学習言語でやろうとしていないだろうか。「言語が話せる」とはどのレベルのことを言うのか。「訛り」がまったくなくなるのが理想なのか。
そして、多くの言語学習者がそれを諦める際に言う言い訳についても著者は一蹴している。「準備ができたらネイティブと話す」と言っていつまでも一人で勉強している人に対しては「準備ができる日など永遠に来ない」と。
言語学習や異文化交流など、改めてその意味を考えさせてくれる一冊。著者が引用しているいくつかの名言が印象的だった。
「魂を売らずに成功する 伝説のビジネス誌編集長が選んだ飛躍のルール52」アラン・M・ウェバー
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
多くの起業家や偉大なリーダー達と話をした経験を持つ著者が、自分を偽らずに成功をする52のルールについてまとめた。
確かに「成功」という言葉は、金銭的に潤うという意味でとらえられることが多いが、それで本人が幸せになれるかというと、そんなことはないのだろう。特に高いモラルを備えた人間であれば社会の役に立ち、自らの良心に恥じない行動によって報酬を得て初めて「成功」と言えるのではないだろうか。
著者が本書を書く発端もまさにそれである。52のルールに著者自身の経験や見聞きした内容をふまえてわかりやすく説明をする。どれも世の中に存在する多くの企業の社長に聞かせたいことばばかりである。
残念ながら英語を日本語に無理に訳したせいか、どのルールも言葉的に陳腐な響きになってしまっているように感じる。
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「深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン」沢木耕太郎
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
イタリアについた著者はローマ、フィレンツェ、マカオ、マドリート、リスボンを経てロンドンへ向かう。
旅が終わりに近づいていくことで、著者が感じる淋しさがにじみ出てくる。全体としてヨーロッパは先進国であるためアジアや中東の国々に比べて文化や人々の振る舞いのなかに特に大きな目新しさはないのだろう。描かれるないようも、旅全体に対しての著者の感想の方が多いように思う。
そしてやがて最終目的地であるロンドン中央郵便局に向かうのである。
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「3分でダンスが踊れた」中谷彰宏
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ダンスを趣味として楽しむ著者がダンスに対する考え方を語る。
冒頭で著者が書いているように、著者自身は別にダンスの先生の資格を持っているわけではなく生徒の一人だと言う。そんな著者が自身のダンスを通じた経験や考え方を語ってくれるのだが、競技ダンスよりも、パーティでのマナーや技術の向上の仕方に多く触れている点が面白い。姿勢やパートナーとの調和、そしてマナーを語ってくれるので、競技ダンスとしてどうしても技術や体力やスピードに偏ってしまいがちにとってはいろいろ考えさせられる内容が多い。
ダンス経験者には新しい視点を与えくれるだろう。また、ダンス未経験者もひょっとしたら興味をかき立てられてダンスを始めようと思ってくれるかもしれない。
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「珍妃の井戸」浅田次郎
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
列強諸国に侵略された清。そんななかひとりの妃、美しい姫、珍妃(チェンフェイ)が井戸に突き落とされて殺されたという。一体誰がどんな目的で珍妃(チェンフェイ)を殺したのか。日本、ロシア、ドイツ、イギリスの高官が協力してその真実に迫ろうとする。
光緒帝が愛した珍妃(チェンフェイ)が西太后によって殺害されたという実話に基づいているのであるが、そもそもその事実についてさえ中国史に疎い僕は知らなかった。著者はそんな歴史に疎い日本人にも楽しめるようにいくつかの謎を交えながら読者を物語に引き込んでいく。
真実の究明に協力することになった日本、ロシア、ドイツ、イギリスの高官4人は関係者に事実をたずねるのだが、それぞれ異なることを語るので、謎は次第に深まっていく。一体どれが真実なのか。その究明の過程で伝わってくるのは、一つの偉大な国を身勝手な理由から滅ぼした列強諸国への非難である。今、世界の中心にいる国々は過去の自分たちの非道な行いにもしっかり目を向けるべきなのだろう。
「蒼穹の昴」の続編ではあるが、物語の構成は大きく異なる。また「蒼穹の昴」を読んだときにも思った事だが、この物語を楽しむためには、もっと中国史に関する知識を持っている必要があるように感じた。
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「リクルートのDNA 起業家精神とは何か」江副浩正
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
多くの起業家を排出するリクルート。リクルートの創業者である著者がリクルートが成長する過程の出来事や社内の精神について語る。
むしろ著者の自伝的色合いが濃く、「リクルートの歴史」といったタイトルの方がふさわしいような印象を受けた。本書で語られるそのリクルート創業当時のいろんな困難は人間関係の重要さを教えてくれる。実際本書でも第二章で「私が学んだ名起業家の一言」とあるように、著者自身も非常に人とのつながりを大事にしている事が伝わってくる。また、リクルートが世の中に必要とされる物を提供する事を第一に考えた結果、大きくなってきた点も印象的である。
最後の章ではこれまでに失敗した事業も紹介している。失敗から学ぶことの大きさも本書では繰り返し触れられているのである。何か世の中のためになる仕事がしたくなってくる。
【楽天ブックス】「リクルートのDNA 起業家精神とは何か」
「情報を捨てるセンス選ぶ技術」ノリーナ・ハーツ
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
インターネットの普及によって情報が溢れかえるなか、どのように情報を取捨選択していくべきか、著者が語る。
いろんなメディアから様々な情報が発信され、毎日大量にその情報を受け取っているが、常にその情報の正しさに疑いを持っているだろうか。その情報が情報の受け手を意図した方向に導こうとしている可能性を考慮しているだろうか。同じグラフでも縦軸、横軸の取り方一つで見え方は大きく変わるのである。また、今ではどこの通販サイトにも取り入れられているユーザーレビューも、多くのサクラが存在するのである。本書が語ってくれるのは、そんな情報のすべてを鵜呑みにせず、真実を見極める方法である。
人は同じ考えを持つ人と一緒にいようとする傾向があるが、真実を見極めるためには反対意見を言ってくれる人を近くにおいておくべきだ、という考え方は何も情報のあふれる今に限った事ではなくずっと使える考え方のような気がする。
アフガン戦争に向かうブッシュを支持したアメリカ人や、2000年問題を過剰に警戒した世界の人々など、記憶に新しい過去の出来事のなかから、人々が間違った情報に操作された例をいくつか紹介している。真実を見抜く目を育む手助けになるかもしれない。
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「できる上司は「教え方」がうまい」松尾昭仁
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
組織における教えることのメリットやその効果的な方法を説明する。
序盤は教える事の利点を語る。教える側にとっては「自分でやった方が早い」という考えを持つことは多く、その結果、部下を育てる事ができずに組織の効率性を損ねている例が多々あるのだろう。実際には、部下を育てて自分と同じ能力の人間を複数持つ事でこそ組織は効果的に機能するのである。
中盤以降は、教えるために有効な方法を順を追って説明している。ほめる事の重要性や、相手のレベルを見極めることなど、普段から教えることに慣れている人にとっては当たり前のことばかりではあるが、改めて教えることに重要な1つ1つの要素を本書を通じて見直すことができるだろう。
人間のタイプによって教え方を変えるという点が本書でもっとも面白い部分ではないだろうか。部下を「理論派」「行動派」という2つのタイプにわけるだけでなく、「まったくの初心者」「教え方に文句をつける部下」「根拠のない自身がある部下」「すぐにリスクを考えてしまう部下」「自分よりも年上の部下」「自分よりはるかに年下の部下」「本気で学ぶ気が感じられない部下」「頑張り過ぎる部下」と8つのタイプにわけでそれぞれの対処方法を説明している。必ずしも教える側、教えられる側としてだけでなく、人間として成長するためにはどう行動すべきか、という点で考えさせられる部分もあるだろう。
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「わたしはマララ 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女」マララ・ユフザイ
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
パキスタンのスワート地区で育った女性、マララ・ユフザイがタリバンの圧力や不安定な国政のもとでの人々の生活の様子を描く。
2001年の9.11直後はタリバンという言葉を何度も耳にしたが最近はあまり耳にしなくなったように思う。しかしそれは9.11から時間が経って人々の関心が薄れたから、メディアも取り上げる回数が少なくなったというだけなのだろう。本書で描かれるパキスタンの人々の生活の様子は、タリバンの脅威が国内ではその後もずっと続いていたことを教えてくれる。
タリバンは、女性が教育を受けることや肌をさらすことをイスラムの教えに背いているとして強制的にやめさせたり、そのような行いをしている人やそれに貢献している人を殺害したりするのである。著者マララは、そんななか教育の重要性を認識して学校を運営する父親と、強い信念をもった母親のもとで育つ。しかし、タリバンへの恐怖から多くの人は行動を制限され、公に逆らったひとは次々と殺されていくのである。友人や知り合いが殺され、死体が町に放置されるという、僕ら日本人から見れば異常としか思えない出来事が、著者の周囲では日常だったことが伝わってくるだろう。日本という安定した国でしっかりとした教育を受け、自由に外出できるような環境で生きられることの幸せを改めて感じられることだろう。
そして後半はタリバンによって顔に弾丸を受け、生死の境をさまよう様子が描かれている。顔に弾丸を受けてもなお、タリバンの攻撃は私の声を世界に届けることにつながった、と考えることのできるマララの姿勢が印象的である。女性の地位の向上や教育の重要性を語る一方で、十代の女の子らしい振る舞いや想いが文中に散りばめられている点も印象深い。マララのように恵まれない者は、試練を経て強い信念を育む一方、僕らのように恵まれた者はその価値を見失い、信念を持たずにただ悶々と生きているのだ。自らを律したくなる一冊。
【楽天ブックス】「わたしはマララ 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女」