「JavaScript:The Good Parts」ダグラス・クロフォード

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ここ数年で一気に需要が高まっているJavaScript。しかしそれは多くのプログラマーを悩ませる仕様が詰まっている。JavaScriptの性質を知り尽くした著者が、JavaScriptで「良いパーツ」を作るための方法をまとめている。
若干僕のJavaScriptの知識レベルには早すぎたという印象もあり、理解できない箇所も多々あったが、いいJavaScriptを書くためにやったほうがいいことと、やらないほうがいいことはいくつか知る事ができたし、なによりも本書によって癖のあるJavaScriptという言語に魅力を感じてしまった。
おそらく本書によってJavaScriptという言語の不完全さを知って嫌いになる人もいるだろうが、僕のように逆にその深さに魅了されてしまう人もいるだろう。本書には、もう少し知識を貯えてきてからまた戻ってきたいと思った。
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「UI is Communication: How to Design Intuitive, User Centered Interfaces by Focusing on Effective Communication」Everett N McKay

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
UIについて語る。
タイトルも示しているように、本書がひたすら繰り返すのは、UIはコミュニケーションである、ということである。例えば、新宿駅で本屋の場所をたずねたときに、ニューヨークの本屋を紹介するというのは普通のコミュニケーションであればありえないことだが、世の中の多くのサイトはそのようなことを平然と行っているのだ。
同様に同じ事を繰り返したずねるのも普通のコミュニケーションであれば失礼で、相手を深井に感じさせることである。しかし、僕らは何度もメールアドレスを入力する事があるし、同じエラーメッセージが何度も表示される事がある。また、興味深いのは言葉の使い方である。「You failed….」(あなたは失敗した)のようにユーザーを避難する言葉ではなく「Something went wrong.」(異常が発生しました)のようにシステム側に問題があることを示唆する言葉を使うべきだというのである。
なぜこのようなことが起きるかというと、UIデザインは未だにシステム目線で行われているからなのだ。それを表すのに次のような印象的な言い方をしている。

すべてのUI要素はそこにあるべきだからそこにあるのであって、単に物理的にはまるからそこにあるのではない。僕らはUI要素でテトリスをやっているわけではないのだ。

上記のような内容を、徹底的に実際のサイトやアプリを例にとって解説してくれる。本書は世の中のすべての物の見方を変えてくれるだろう。UIデザインに関わる人は必読の一冊。

「新しいアナリティクスの教科書」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Webにおけるデータ分析の考え方を語る。
企業のデータ分析に対する取り組みを本書は4つのステージに分けている。

幼年期…ページビューの増減を観測
少年期…データをもとにサイトを改善
青年期…全社的な改善の取り組みに
成人期…分析が企業として根付く

技術の進歩によってデータ分析に力を入れる企業は増えてきたとはいえ、まだまだ幼年期や少年期どころかそれ以前の企業も多いことだろう。本書は、そんなこれからデータ分析に取りかかろうとしている企業だけではなく、すでにデータを集めてはいるが、それをどのように活用したらいいかわからない、といった少年期や青年期の企業にとっても役に立ちそうな考え方が詰まっている。
個人的に印象的だったのが、すべてのページをトラフィックと指標(滞在時間や遷移率)という2つの指標からマトリックス化して、次のように対応する考えである。

・トラフィックが多く、指標も高い
…強みを伸ばす形で改善する
・トラフィックが少なく、指標が高い
…ほかのページから大きく誘導するなどするとともに「表示する」を改善する
・トラフィックが多く、指標が低い
…「見る」「操作」するを意識した改善が有効。


・ラフィック少なく、指標も低い
…簡単には改善の効果が見込めないので放置する。
またABテストについても軽く触れられていて、これから取り組んでみたいことについて全体の概要をつかむのに非常に役に立った。
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「スマートフォンのためのUIデザイン」池田拓司

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2013年に発行された本という事でiOS7のフラットデザインの流れは反映されてはいないがiOSアプリとAndroidアプリの基本的な違いや、アプリの様々な名称や呼び方の違いなどが網羅されている。特に新しい知識を与えてくれるわけではないが、UIについていくつかの気付きを与えてくれる。
本書だけでUIの十分な知識を得るということはないが、助けにはなるだろう。
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「統計学が最強の学問である」西内啓

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
現代の統計学の重要性を説く。
実際には19世紀の中程にはその重要性を認識されていたにも関わらず、それを実現するためのツールが整ったのは最近である。コンピューターやインターネットが発展したことによって、多くのデータの収集や分析が個人レベルでも可能になった今、統計学はもっとも先見性のある分野と言えるだろう。
一般的な数学教育を受けた人ならば、序盤の平均や中央値を利用してデータを解説する部分には特に新しさを感じないだろう。基本的な統計に関する考え方から入っているが、むしろ本書の興味深い点は、統計学をどうやって実際の方針の決定に使用するか、という統計学の応用のためのヒントが書かれている点だろう。
著者は言う。取得したデータの結果によって何をするかを決めないと、取得するべきデータの粒度が決まらないのだと。どんなデータもサンプル数を多くする事によって精度をあげることはできるが、その先の行動を決めなければ、どれほど高い精度のデータが必要なのかを決めることができずに、無駄に情報集めや分析の時間を消費する事になるのである。現在多くの企業がそうやって無駄にデータ分析にコストをかけているのだという。
本書で述べられているように、データ分析を行動を決めるための指針と考えると、「標準誤差」という考え方の重要性がわかってくる。残念ながら、本書に書かれているその計算式だけではその背後にある考え方を理解できなかったが、その重要性は十分に伝わってくる。
後半はかなり素人の僕には難しくなってしまったし、実際には紙と鉛筆で実際に計算しながらでないと理解できない物なのだろう。本書中で出てきた「回帰分析」「t検定」「標準誤差」などの新しい言葉はしっかり理解したいと思った。
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「ウィキペディア・レボリューション 世界最大の百科事典はいかにして生まれたか」アンドリュー・リー

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
何かを調べるときにはすでに欠かせない存在となったウィキペディア。そんなウィキペディアの創世から、多くの問題点について語る。
ウィキペディアについて語るとき、誰もが自由に編集できるというアイデアゆえに安定して大きくなってきたと思うかもしれないが、ここまで大きくなるまでに多くの障害を乗り越えてきたのである、そしてまた、現在も多くの問題を抱えている。
僕自身はウィキペディアには何でも載せていいものと思っていたから、本書で「削除主義者」という言葉に初めて出会って驚いた。「削除主義者」とはウィキペディアには特筆性のある記事だけを掲載すべきという考えで、それに対して、ネットという媒体故に物理的制限がないのだから何でも掲載してしまえという考え方の人を「包摂(ほうせつ)主義者」というのだそうだ。確かに、本当にどうでもいい記事まで好き勝手に誰でもつくっていたらウィキペディアの百科事典としての使いやすさは損なわれてしまうかもしれない。
また、日本語版しか利用しない僕らがあまり陥る事のない、言語の問題も面白い。本書ではポテトチップスの項目を例に挙げて説明している。アメリカでは「potate chip」だがイギリスでは「crisp」というのだそうだ。名前については冒頭で「potate chipまたはcrispは…」とだきょうしたが、記事のなかで「風味」を意味する単語を「flavored」とアメリカ英語にするか「flavoured」とイギリス英語にするかでもめたあげく、結局どちらでも共通のスペルで同じ意味を持つ「seasoned」という単語で決着したという。
その他にも興味深い内容であふれている。誰もが知っているウィキペディアなだけに話題としても知っているとおおいに役に立つ。また、善意によるコンテンツの発展の難しさも思い知るだろう。
【楽天ブックス】「ウィキペディア・レボリューション 世界最大の百科事典はいかにして生まれたか」

「強いチームはオフィスを捨てる」ジェイソン・フリード/デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
インターネット上に様々なツールが出そろった今、僕らが働いているオフィスは本当に必要だろうか。確かに、実際に顔を合わせた方がインターネットを利用してチャットやビデオ会議をするよりもいいことはあるだろう、しかしそのメリットは、毎日満員電車に揺られて同じ場所に来るという労力に見合うものだろうか。また、僕らは同じ場所で働くことのデメリットをしっかり認識しているだろうか。リモートワークを実現するアメリカの企業、37シグナルズがその働き方を語る。
リモートワークの良さを語るだけではなく、現状のオフィスで働くことのデメリットを多く挙げている点が面白い。確かに、僕らは集中して仕事をしたいとき、平日のオフィスで仕事をしたりなんかしない。わざと人のいなくなった残業時間や休日を選んだりしているのが実情だ。なぜならオフィスではいろんな人が重要だろうと重要でなかろうと話しかけてくるため、長い間集中して作業する事ができないのだ。
オフィスワークの支持者達は、きっと見ていないと社員が働かなくなることを恐れているのだろう。そしてそれは、リモートワークが普及しない大きな理由の一つなのだ。しかし、本書ではそれを、「そもそも監視していなければ働かない社員を雇うな」と一蹴する。オフィスでもFacebookやYoutubeを見ている人はたくさんいるのだ。本書で書かれていることは誰もが経験からうなずける事ばかり、考えれば考えるほどいまのオフィスワークがばからしく見えてくる。
リモートワークを利用して、国境をまたいだオフィスを必要としない企業を作りたいと思わせてくれる。また、本書で紹介されているインターネットツールも参考になる。今後の働き方を考えるうえで抑えておきたい。
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「たのしいインフォグラフィック入門」櫻田潤

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
スマートフォンが一般普及して誰もがその場でインターネットに接続でき、調べる事ができるということになった。つまりそれは情報を記憶していることは重要ではなくなってきているということ、むしろ重要なのは情報をどのように伝えるか、効果的な情報の伝達方法である。そのような理由から、今後ますます情報の効果的な伝達手段であるインフォグラフィックは注目されていくだろう。
本書はそんな情報の視覚化をピクトグラムとインフォグラフィックで分けて説明している。前半部分は特に印象的な説明はなかったが、後半になると覚えておきたい考え方がいくつか出てきた。特に12の図解タイプ(サテライト型、ベン図、蜂の巣型、ツリー型、マトリクス型、2軸マップ型、テーブル型、チャート型、プロセス型、サイクル型、ピラミッド型、ドーナツ型)は図表を作るときには常に意識できるようにしておきたい。
また終盤では実際に著者がインフォグラフィックを制作する過程が描かれており、どのような考え方を経てすぐれたインフォグラフィックが作られるのかがよくわかるだろう。本書では良いインフォグラフィックの条件として次の5つを挙げている。

1.意味のある視覚要素を用いること
2.簡潔で、親しみやすく、わかりやすいこと
3.インパクトを与え、目を惹くこと
4.内容に価値があり、資料として保存しておきたいこと
5.見た人に考えるきっかけを与えること

こちらもぜひ覚えておきたい。さらに、グラフィックツールを使わずにインフォグラフィックを制作できるサイトなども紹介している。1つの制作手法として覚えておきたい。

参考サイト
Piktochart
easel.ly

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「ロングテール 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略」クリス・アンダーソン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
インターネットの普及によって、ニッチ商品の集積が、メガヒットに匹敵する利益を上げる時代がやってきた。本書はそんな「ロングテール」について語る。
ロングテールという言葉を説明するときに必ずといっていいほど一緒に語られるのはオンラインショップamazonだろう。amazonは実際の店舗を持たないからこそ、限られたスペースに何の本を置くべきか、という一般の書店が常に考えなければならない問題に悩まされることがない。その結果amazonでしか販売されないニッチな商品は、それぞれは小さな売り上げでしかないが、全体ではヒット商品に匹敵するほどの利益になるのだ。
これは単にオンラインショップによって販売スペースを考える必要がなくなったからできることではなく、購入者側にもニッチな商品についての情報を得られる手段があってこそ実現できる。過去そのような情報は専門誌や知人からの紹介で得るしかなかったが、専門誌もある程度の専門性までしか扱わないし、ニッチな共通趣味を持つ知人を見つけるのも難しかった。しかし、この点でも、インターネットがSNSやブログなどを通じてその手段を提供してくれるのだ。
この「ロングテール」の減少はもちろん本の販売だけでなく様々な分野で起きているという。働き方や、時間の使い方、服装や住む場所など。ここ数年のCDの販売量やテレビの視聴率を過去と比較すればわかるように、インターネットが実現した多様化によって、「ヒットを狙う」という考え方がすでに機能しない世の中になっているのだ。
僕らは多様化を受け入れる方向に生き方を改めるべきなのだろう。世の中の多くの人や企業がロングテールに適応できていないことを毎日感じている僕の考えをより明確にしてくれる内容だった。
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「世界でもっとも強力な9のアルゴリズム」ジョン・マコーミック

オススメ度 ★★★☆☆
世界的に有名なアルゴリズムについて説明する。
検索エンジンのインデックス方法、ページランクの付け方、公開鍵暗号法、ファイルの圧縮など、もはや人々の生活にとって欠かせないものとなってしまった、アルゴリズムの仕組みをわかりやすく説明してくれる。検索エンジンのインデックス方法やページランクは以前より興味を持っていた内容だったので非常に楽しむ事ができた。公開鍵暗号法はとても面白い内容でそれを扱っている本は本書だけではないのだが、残念ながら本書の説明の仕方がわかりやすいとは思えなかった。本書でいまいちわからなかった方にはサイモン・シンの「暗号解読」という本をお薦めしたい。
画像圧縮の話も面白かったが、終盤はややわかりにくい話になってしまったように思う。序盤がわかりやすく面白かっただけに本の完成度を落としてしまった感じで残念である。
【楽天ブックス】「世界でもっとも強力な9のアルゴリズム」

「アルゴリズムが世界を支配する」クリストファー・スタイナー

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
アルゴリズムについて世の中の実例を交えて紹介する。
25年前証券取引所はディーラーで溢れ返っていた。ところが今では人はほとんどいない。コンピューター・プログラマーのピーターフィーが、プログラムを使って取引をすることを始めてからその方法は世界に広まり、今では世の中の多くの取引がコンピューターによって行われているのだ。
こんな冒頭の今日深い話に一気に引き込まれてしまった。僕らは確かにコンピューターがいろいろな事を行うのを受け入れている。しかし、どの程度のことまでがコンピューターにできて、どの程度の事から先が人間にしかできないのか、それを正確に把握しているだろうか。本書を読むとコンピューターの能力、(つまりアルゴリズム)の可能性を過小評価していたことに気付くだろう。
中盤ではコンピューターがクラシック音楽を作曲する話について触れている。今ではベートーベンやモーツァルトの曲のように人々を感動させる曲をコンピューターが作る事ができるのだという。そんなコンピュータの能力はもちろん興味深いが、むしろ面白いのは、人間はコンピュータが作った曲に感動するが、それはそれが「コンピューターが作った曲」だということを知らない場合なのだという。「これはコンピューターが作った曲」ということを知った途端に「何か情熱が感じられない」と言い出すのが面白い。
本書を読んで感じたのは、アルゴリズムにできないことはなくなるだろうが、アルゴリズムの社会への普及を阻んでいるのは技術ではなく、人々の意識なのだということだ。アルゴリズムやプログラムを深く理解することの必要性を感じた。

参考サイト
http://www.ycombinator.com
アルゴリズムの背後にある高度な数学な世界を議論する世界でもっとも影響力のあるサイト

【楽天ブックス】「アルゴリズムが世界を支配する」

「いちばんやさしいアルゴリズムの本」みわよしこ

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
アルゴリズムについてやさしく解説している。
先日読んだ本「アルゴリズムが世界を支配する」で次のように書いてあった。今後アルゴリズムによってコンピューターが、今人間が行っている大部分の作業を行うようになるだろう、と。きっと今後はプログラム言語と同様にアルゴリズムが重要になってくるのだろう。その基礎を学びたいと思って本書を手に取った。
かなり優しく書こうとしている努力は見えるが、やさしいたとえ話のはずの箇所で妙に専門的な単語がでてきたり、それぞれの章によって想定の読者の知識が統一されていないような印象を受けた。誤字も目立ったので、もう少ししっかり改訂して欲しいと思った。
それでも最後の章にある著者のオススメのアルゴリズム関連本は、さらに深い知識を身につけたい人にとってはありがたい内容である。

読みたくなった本
「プログラマの数学」結城浩
「アルゴリズム・クイックリファレンス」G.T Heineman
「The Art of Computer Programming」D.E. Knuth

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「情報を捨てるセンス選ぶ技術」ノリーナ・ハーツ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
インターネットの普及によって情報が溢れかえるなか、どのように情報を取捨選択していくべきか、著者が語る。
いろんなメディアから様々な情報が発信され、毎日大量にその情報を受け取っているが、常にその情報の正しさに疑いを持っているだろうか。その情報が情報の受け手を意図した方向に導こうとしている可能性を考慮しているだろうか。同じグラフでも縦軸、横軸の取り方一つで見え方は大きく変わるのである。また、今ではどこの通販サイトにも取り入れられているユーザーレビューも、多くのサクラが存在するのである。本書が語ってくれるのは、そんな情報のすべてを鵜呑みにせず、真実を見極める方法である。
人は同じ考えを持つ人と一緒にいようとする傾向があるが、真実を見極めるためには反対意見を言ってくれる人を近くにおいておくべきだ、という考え方は何も情報のあふれる今に限った事ではなくずっと使える考え方のような気がする。
アフガン戦争に向かうブッシュを支持したアメリカ人や、2000年問題を過剰に警戒した世界の人々など、記憶に新しい過去の出来事のなかから、人々が間違った情報に操作された例をいくつか紹介している。真実を見抜く目を育む手助けになるかもしれない。
【楽天ブックス】「情報を捨てるセンス選ぶ技術」

「成功の法則92ヶ条」三木谷浩史

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
楽天を大きくした三木谷浩史氏がその成功の法則について語る。
若干前作の「成功のコンセプト」と重なる部分もあるが、個人的には本書の方が印象的だった。タイトルの通り本書は92の細かい内容に別れているが、そのなかでも印象的だったのは35の「WIN-WIN関係を創造せよ」との83の「ロングテールを理解せよ」である。「WIN-WIN関係の創造」というのは長く生き残るビジネスを行ううえでは必須の考えだが、どうしても忘れてしまいがち、また「ロングテール」というのは今の時代の変化である「多様化」を言い変えた言葉でもあり、あらゆる面において、ロングテールの考えを適用していかないと企業は生き残れないというのである。
毎朝英語を勉強していたことや、海外から情報を取得することの重要性を説くところなど含め、なんか僕とやっていることに共通点があるな、と思った。
【楽天ブックス】「成功の法則92ヶ条」

「Mobile First」Luke Wroblewski

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
スマートフォンの普及によってWebの作り方は大きく変わった。著者はMobile Firstというコンセプトでその考え方を語る。
その考え方は、Mobileという限られたスペースに情報を入れようとするために、不要な情報や要素はすべて削ぎ落とす必要がある。その上で出来上がったMobile用のWebからPC用のWebを作成する際に、本当に役立つものだけを付け加える、という、まさにMobileサイトを中心とした考え方である。
面白いのは、冒頭で著者は言っている。

今までは日本人でもない限り誰もモバイルでWebを閲覧しようなどとはしなかった。

つまり、数年前まで日本はモバイルでのWeb閲覧という分野においては世界でも進んでいたのだ。にもかかわらず、海外のWeb情報サイトではそこらじゅうで目にする「Mobile First」という言葉、日本ではまったく聞かない。すでに世界から遅れをとっているということなのか、それとも単に文化の違いなのか。

「成功のコンセプト」三木谷浩史

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
楽天市場を立ち上げた三木谷浩史がその成功のコンセプトを語る。
成功者というのは、その成功はすべて自分の決断によって達成されたと語りがちだが、実際には幸運にも恵まれているのだ。そういう意味では本書のような成功者の本を読む際には多少傲慢な物言いも覚悟しているのだが、それほど悪い内容ではなかった。
本書で語られている5つのコンセプトのうち、最初の4つはいろんなところで語られることでそれほど新しい物ではないが、5つめのコンセプトとして「スピード!スピード!スピード!」というのは面白い。最近だらだらした会議が多くなってきた僕の会社の重役たちもぜひ本書を読んでスピードの重要性を理解して欲しいと思った。
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「ルポMOOC革命 無料オンライン授業の衝撃」金成隆一

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
インターネットの発展と、スマートフォンの普及に伴い、Coursera、Udacity、Edxといったオンラインで大学の授業を受けられるMOOC(Massive Online Open Courses)プラットフォームが注目されるようになってきた。本書はそんなMOOCを含むオンラインエデュケーションの現状に様々な視点から迫る。
かなり前からオンラインエデュケーションには興味を持っていたが、どこか騒ぎすぎな印象も持っていた。一般の人にはどの程度認知されていて、実際にはどれほど人々の学習環境に根付く可能性があるのかいまいちつかめずにいたのだ。本書ではMOOCsで日常的に授業を受けている人々の感想や境遇を説明し、カーンアカデミーなどのMOOC以外のオンラインエデュケーションについても触れている。
序盤のMOOCで勉強をしている世界の人々のエピソードに触れると、自分が人生をさぼっているような気がしてくる。環境に恵まれない人こそ、オンラインエデュケーションの可能性に敏感なのだろう。環境に恵まれている日本人はいつになったら危機感を感じるのだろう。
後半は日本のオンラインエデュケーションの動きをいくつかのサイトと共に説明している。カーンアカデミーのことを知ったときにどうして日本でももっとこのように、学校の勉強についていけないような子供達を助けるための動きがないのだろうか、と思ったが、すでにそのような動きをしているサイトはいくつもあってそのことに驚かされた。
今後も引き続きオンラインエデュケーションの動向に注目していきたいと思った。
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「フラットデザインの基本ルール」佐藤好彦

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Windows8やiOS6で採用されたフラットデザイン。言葉にすると単に、今までの立体的なデザインからシャドウやグラデーションの少ないデザインへの移行、と認識されてしまうだろう。しかし、本書は世の中がフラットデザインに向かった背景やその原因について説明している。
人々がパソコン上で何ができるか想像できなかった時代は、現実の世界に存在するそのデザインをパソコン上でも再現する事で人々の抵抗感をなくしてきたが、もはやその必要はなくなった、という説明は非常に腑に落ちる物がある。本書を読んで改めて周囲の物を眺めてみると、いろいろ違った点が見えてくる。例えばパソコン上で「保存」を意味するアイコンがいまでもフロッピーディスクだったりするのだが、すでにフロッピーディスクは世の中から消え去って何年も経過しているのだ。
また、本書はフラットデザインの問題点やフラットデザインをするにあたって困難な点についても語っている。デザイナーにとっては、単純にボタンを立体にしてすませることができないため、今まで以上にスペースや色の使い方に慎重になる必要があるだろう。

色の境目やグラデーションというのは、デザイン的な「情報」になってしまう。情報は、意味を背負ってしまうことになる。意味のないところには、情報を巻き散らかさないというのが、フラットデザインに限らず、デザインとして、とても重要なことだ。

フラットデザインについてだけなく、デザインというものについて改めて考えさせてくれる一冊。

参考サイト
Squarespace
Dribble
Behance

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「グーグル・ジャパンで働く11人の英語勉強法」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
グーグル・ジャパンで働く11人の日本人のこれまでの英語勉強方法やその体験をまとめている。
やはりすべての人に共通していたのが、英語を使わなければならない環境に自らの身を置くということだろう。日本の文法中心の英語教育に対して、意見が分かれている点は興味深い。また、各自が語る英語勉強法とあわせて、グーグルという社内環境がさらに羨ましくなってしまった。
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「Think Simpke アップルを生み出す熱狂的哲学」ケン・シーガル

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
スティーブ・ジョブズと12年に渡って一緒に働いてきたクリエイティブディレクターの著者が、アップルやジョブズのエピソードを中心に、シンプルであることの重要性を語る。
スティーブ・ジョブズはいろんな話を聞く過程で、独裁的なイメージを持っていた。しかし、本書のなかで描かれる印象は必ずしもそんなことはなく、むしろ自分の気持ちに素直で、しっかりと人の話に耳を傾けることができる人間だったということがわかる。
印象的だったのは、著者が繰り返し、シンプルであることの難しさを説いている点だろう。今やだれもがアップルの偉業を認めており、そのシンプルを貫くポリシーをまねようとするが、ことごとく失敗している。著者は言うのだ、シンプルは0か100かなのだと。中途半端なシンプルさなら必要ない。実際、本書で著者は、シンプルさを中途半端に採用しようとした多くの企業の失敗例を挙げている。
また、これまでにアップルのやってきたことについて語っているので、いくつか新しいことなども発見できた。過去の有名なCMなどは本書を読んだ後につい見返してしまった。本書ではシンプルさを、アップルを支えている哲学として説明しているが、人生のさまざまな場面にも適用できるような気がした。
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