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オススメ度 ★★★★☆ 4/5
プロ野球選手からスカウトに転向した久米純哉(くめじゅんや)はスカウトの伝説的な存在である先輩の堂神(どうがみ)とチームとしてスカウトとしての生き方を学んでいく。
先日読んだ同著者の「ミッドナイト・ジャーナル」が報道についてのこれまで知らなかった視点をもたらしてくれたので、著者の他の作品も読んでみたいと思いこちらに辿り着いた。タイトルからスカウトの生き方を扱った作品だとはわかるので、映画にもなった「マネーボール」のような話を想像していたりもしたが、実際にはもっと古く泥臭い人間同士の駆け引きを描いている。
スカウトの目的はドラフトでいい選手を獲得すること、と一般の人は思いがちであるし、実際その通りである。しかし本書を読むと、その先まで考えて自分達のチームが強くなること、少しでも優勝に近づくことを考えて選択をするスカウトがいることがわかる。例えば、選手の実力よりも同じ大学の後輩との人脈を考慮して獲得したり、故障持ちとわかっている選手を情報操作でライバルチームにドラフト一位で獲得させる、などである。
本書はスカウト1年目の久米純哉(くめじゅんや)がスカウトとして成長していく様子を描くと共に、純哉(じゅんや)の上司であり、スカウト界でも有名な堂神(どうがみ)の予想もつかないスカウトの手法を描いていく。
スカウトという普通に生きていると関わることのない世界を、見事に描いた作品。他にも著者の作品を見ると面白そうなタイトルのものが並んでいるのでぜひ引き続き読んでみたいと思った。
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