「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」坪田信貴

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

学年ビリのさやかが慶應大学に合格するまでを描く。

ビリギャルとして映画にもなった有名な本書だが、あれだけ有名になるにはそれなりに学ぶものがあるのだろうと思い手に取った

物語は偏差値30以下、学年ビリだったさやかが、塾にやってきて塾講師の著者と出会ったことから始まる。塾講師である著者が、さやかと真摯に向き合った結果、さやかは学びの面白さに気づき慶應大学を目指し始めるのである。そして、以降はさやかの成績が少しずつ上がっていく様子を描いていく。その過程で学びのテクニックや、暖かい友達や家族なども紹介している

印象的だったのは塾の先生という存在である。僕自身は学習塾というものを利用したことがなく、どちらかというと問題数をこなす習慣をつけるためのものだと思っていた。しかし、子供と向き合って、そのやる気を引き出す優れた先生もいるのだと知った。

全体的には、周囲の人間の暖かさが際立つ物語である。先生の受験に対する技術や、教えることに向き合う真摯な姿勢はもちろんだが、もっとも印象的だったのは母親の子供を信じる姿勢である。子供を信じて向き合うことがどれほど大切か、改めて感じさせられた。

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「レンジ 知識の「幅」が最強の武器になる」デイビッド・エプスタイン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

世の中には早くから専門分野を決めてその分野で一流になった人と、いろんな分野を試してから一つの分野にたどり着き遅咲きながら一流になる人がいる。どちらのタイプが今後必要とされ、親として子供を育てる場合どちらのタイプを目指すべきなのか、様々な事象から語る。

本書で語っているのは、個人でも組織でも専門に特化することで起こりうる危険性である。様々な分野が確立され、その分野で研究し議論しその分野のなかで考えることに慣れて過ぎてしまうことで、別の視点に立てば簡単に解決することができるの気付かない、ということが起こるのである。 著者は、専門家と多様な知識を持った人間のバランスこそが、新しい分野を切り開いたり、これまで未解決な問題を解決するのに必要なのだという。

そして、インターネットによる誰でも情報に簡単にアクセスできるようになった今、専門家のニーズは以前より少なくなっていると語っている。

組織だけではなく、個人の技術やモチベーションについても同じことが言える。最近10000時間の法則などがあらゆる場所で語られており、それによって、早期教育への関心が高まっているが、本書の主張はそんな流れを考えすのに良いきっかけになるだろう。

早く分野を決めて取り組めば、たしかに人より先んじてリードすることはできるが、様々な分野を体験しないで決めた分野はモチベーションが保ちづらく、いろんな体験をしてからその分野に参加した人にやがて追い抜かれていくのである。

本書の魅力はその話を展開するなかで引き合いに出されるさまざまな話である。タイガーウッズとフェデラーに始まり、任天堂のゲームウォッチや、スペースシャトルチャレンジャーの話など、興味深い話があふれている。本書の語っている、知識の「幅」の重要性が理解できる人なら、そんな様々な実話や逸話もしっかりと楽しんで、自分の知識の「幅」の一部にしたいと感じるに違いない。

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「やってはいけない勉強法」石井貴士

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
代々木ゼミナール全国模試1位の経験を持つ著者が、勉強法について語る。

100年時代、人間は大学を卒業した後も常に学び続けなければならない。そんな一生勉強を実践する人間の一人として、いい勉強方法があったら常に取り入れ、勉強方法を改善したいと考えているなか、本書にたどりついた。

どちらかというとやってはいけない勉強法というよりも、著者がやった勉強法とやらなかった勉強法のような印象を受けるが、1人の実績がある人間の勉強方法を紹介している本として、参考にできる部分もあるかもしれない。

同意できる部分もあれば同意できない部分もあるが、もっとも印象的だったのは

NG 書いて覚える
OK 目で見て覚える

という点だろう。僕自身記憶というのは五感をフル活用してこそ記憶に定着しやすいと考えていて、目で見ると同時に手の感覚で記憶することができる「書いて覚える」(と同時に声に出して口の感覚と聴覚で覚える)は悪くない方法だと考えていた、しかし著者がいうように確かに書いて覚えるよりも見て覚える方が時間効率が良いのはそのとおりだろう。

しかし効率を言い始めると、例えば著者は

NG 独学でがんばる
OK 先生をつける

NG 通信教育で済ませる
OK 直接、話を聞いて教わる

と書いているが、実際どんなにお金を払ったとしても先生に聞ける時間など限られており、時間効率を考えるとかならずしも同意できないと感じた。勉強方法は合う合わないがあるので、読んだ人が納得できる部分から取り入れればいいだろう。「目で見て覚える」などはぜひ試してみたいと感じた。

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「脳にまかせる勉強法」池田義博

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
40代半ばから記憶力を伸ばすことに情熱を注ぎ、世界記憶力グランドマスターの称号を手にした著者が、さまざまな記憶の方法を語る。

「ゴロあわせ」や「ストーリーにして覚える」など、さまざまな記憶のための方法を説明しており、そのなかには、経験から自然とやっていたものもあれば、意識してやっていないものもあった。なかでも面白かったのは「1分間ライティング」という方法である。学んでいることに対して、とにかく知っていることを紙に1分間書き出すという手法である。これのいいところは単に自分の理解を確認するだけでなく、脳に学ぶ必要性を感じさせることだという。

序盤でも、勉強の時は音楽やインターネットとの接続を絶って、脳を学ぶモードにすることが大事と言っているが、そのような考えは持っていなかったのでぜひ実行したいと思った。

なにより、著者が記憶力の向上を始めたのは40代半ばという。歳を取っても記憶力が挙げられるという事実は、多くの人の励みになるだろう。
 
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「みかづき」森絵都

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
昭和36年、小学校の用務員室で勉強についていけない子供達に勉強を教えていた大島吾郎(おおしまごろう)の元へ、生徒の母、赤坂千明(あかさかちあき)がやってくる。学習塾を一緒に作るためであった。戦後から平成まで、千葉で始まった学習塾の物語である。

物語は、大島吾郎(おおしまごろう)が赤坂千明(あかさかちあき)立ち上げた八千代塾が、時代の波に乗って大きくなる様子。そして、大島家の
家族の様子が描かれている。教え方や、補習塾と進学塾の方針の争い、学習塾の生き残りをかけたいやがらせ工作や合併など、今まで漠然としか知らなかった塾業界の様子がよくわかるだろう。

今でこそ学習塾の存在は当たり前で、むしろ塾に行ってない人のほうが珍しい時代だが、昭和30年代40年代は、塾に行っている生徒は白い目で見られたという、それが少しずつ変化し、平成に入ると塾に通ってない生徒の方が珍しい存在となっていく。また一方で、企業としての塾と、行政としての教育委員会の関係も少しずつ変化していくのである。

本書では、教育は常にどこかが足りないと感じながらも、それを補おうと努力するぐらいがちょうどいいと言っている。

欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むものかもしれない

描かれている時代も長く、登場人物も多く読み応えがある。教育に関心がある人にはぜひ読んでほしい一冊である。

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「GRIT やり抜く力」 アンジェラ・ダックワース

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
人間の成功は才能よりもやり抜く力「GRIT」にかかっているという。そんなGRITについて研究した著者がGRITについて語る。

最近そこらじゅうで語られているように、才能よりも努力を褒めるべきというのは本書でも同じである。1万時間の法則や、意図的な練習の仕方にも触れているが、教育に関する本をすでに多く読んでいる人にとってはあまり目新しい情報は無いかもしれない。

個人的にもっとも印象に残ったのは、著者であり2人の女の子の母である著者が自分たちの考えを紹介した「おとなも子どもも「やり抜く力」が身につく4つのルール」である。

(1)家族全員(パパもママも)、ひとつはハードなことに挑戦しなければならない。
(2)やめてもよい
ただしやめるには条件があり、シーズンが終わるまで、たとえば授業料をすでに払った期間が終わるなど、区切りのよい時期がくるまでやめてはならない。始めたことは最後までやり通すべきであり、最低もある程度の期間は、一生懸命取り組む必要がある。言い換えれば、きょう先生に怒鳴られたから、競争で負けたから、明日は朝練があって寝坊できないのがつらいから、などという理由でやめてはならない。 (3)「ハードなこと」は自分で選ぶ (4)新しいことでも、いまやっていることでも構わないが、最低でもひとつのことを2年間は続けなければならない。

とくに(2)のやめてもよい、というのはぜひ参考にしたいと思った。もちろん無理強いするのを正しいと思っていたわけではないが、いつでもやめていいというのも「GRIT」を育てられないだろうと感じていたため、本書の指標はすっと納得できると感じた。

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「取り残される日本の教育 わが子のために親が知っておくべきこと」尾木直樹

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
教育評論家の著者が、現在の日本の教育の問題点を語る。
どの話も面白かったが、印象的だったものをいくつか挙げると次のような内容である。

競争が生むのは格差だけ

こちらはフィンランドの教育を例に挙げて説明している。フィンランドでは通知表を生徒にわたすことはなく、評価も、他社と比較した相対評価ではなく、絶対評価なのだという。また、驚いたのは、大学進学にかかる費用を家計がメインで担っている国が実は多くないということ。日本、韓国、イギリスが大学進学の費用の50%以上を家計が担っているのに対して、ヨーロッパの大部分では30%以下の国が多いのだという。家計の負担率が高ければ高いほど、家庭の収入がそのまま進学に反映することとなり、教育格差が世代を超えて引き継がれることにつながるだろう。

「ゆとり」は間違いではなかった

こちらも非常に興味深く、著者は、大谷翔平や羽生結弦などのゆとり教育の世代の著名人をを例に出して、ゆとり教育が必ずしも失敗ではなかった、と主張する。確かに振り返ってみると判断が早すぎた可能性はあり、メディアがゆとり教育を早々に失敗扱いした結果、そのような考え方が定着してしまったようにも思える。教育というものを本気になって変えて行くためには、正しい政策をするたけでなく、テレビや新聞などのメディアとの協力も必要なのだと感じた。
後半では、子供の教育だけでなく、大人の教育にまでその範囲を広げて考えを書いている。そのなかで「30歳以上の成人の通学率」のグラフが示されている。日本はわずか1.6%と非常に低いのが驚きであった。日本は成人してから学習することに対して、社会のサポートが少ないんだと感じた。100年時代が語られる今、大学を一度卒業したのちの学ぶ機会の少なさは、日本の競争力を維持する上で大きな課題なのだろう。
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「反転授業」ジョナサン・バーグマン、アーロン・サムズ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
講義を録画した動画を事前に見てきて、授業中は生徒たちが学んだことを確認するために費やす「反転授業」について書いている。
5年前、YouTubeを利用して講義を公開して有名になったカーンアカデミーに興味を持った際に「反転授業」という言葉を知った。反転授業が効果があることは当時も想像はついたが、生徒に事前に講義の動画を見せるというのは難しいのではないかと感じていた。その後「反転授業」がどのように発展したのかを知りたくて本書を手に取った。
本書はただ単に「反転授業」の説明だけにとどまらず、どのようにそれを学校の授業に取り入れるかまで丁寧に説明している。著者の2人が本当に世の中の教育を変えたいのだという思いが伝わってくる。
後半では「完全習得学習」という考え方に触れている。完全習得学習とはその名の通り、生徒一人一人が異なるペースで学習し、理解度が一定の基準に達するまで行うという学習である。その効果は認められていたが教師の負担が大きいことからこれまで広まらなかった。興味深いのは、著者の2人が、動画を利用した反転授業によって「反転型完全習得学習」を目指している点である。

「GRIT(グリット) 平凡でも一流になれる「やり抜く力」」リンダ・キャプライン・セイラー/ロビン・コヴィル

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

成功する人とそうでない人の差はなんなのか。それは社会的知性(SQ)でもなければ、知能指数(IQ)でもなくでも、GRITという呼ばれる力なのだという。本書はそんな成功するための力「GRIT」について語っている。
序盤ではこれまで考えられていたIQの重要性を否定してからGRITに語っていく。GRITとは度胸(Guts)、復元力(Resillience)、自発性(Initiative)、執念(Tenacity)という4つの力で、多くの実例を交えて説明している。
まず印象的だったのは「夢を捨てされ」の章である。僕らは「夢を持つこと」はいいことだと教わってきた。それは確かに目標に向かう原動力となり得るのだが、夢を語ってばかりで実際にその1歩を踏み出さない人も多くいるのだという。夢想している暇があったら「今日できることをする」という考え方が重要なのだという。
また、拒絶されても立ち直る力を身につけるために、ある男性が行なったリジェクションセラピーの話も面白かった。投資家からの資金提要を断られたことがショックだった彼は立ち直る力を身につけるために、100日間連続で人に断られることを目標にしたのだ。断られるための無茶な要望にもかかわらず、受け入れてくれた人がいたことから、男性は自分の望みを叶えるためには拒絶を恐れずに、頼んでみることが重要なのだと知るのである。拒絶は人間の否定ではなく、ただ単にあなたの要求が相手の求めているものにマッチしなかったというだけなのだ。
終盤の「期限は無限」の章で紹介されていた、92歳の時にアルファベットを学び始め、98歳のときにベストセラーを書いた男性の話は、多くの読者へ、将来への希望を与えてくれるだろう。
多くの例は触れられているものの、実際にどのような方法をとればGRITが身に付けられるのかはわかりにくい。それでも「忍耐力」、「楽観主義」、「固定思考」よりも「成長思考」と、いくつかの鍵となる考え方を知れば今後の生き方のヒントとなるのではないだろうか。何よりもいい話に溢れているので一読の価値ありである。
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「一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる」ムーギー・キム/ミセス・パンプキン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

子育てに関する書籍の多くが、研究結果や著者の体験談を語っているのに対して、本書は実際にいい人生を送っていると思われる子供たちにその親の育て方をアンケートして、その回答をもとに良い育て方はこうあるべきだ、と語っている。
多くの大人になった子供立ちの、自分の親の子育てに関する感想を読むと、子育ての大切さと難しさを改めて感じるが、同時に子育てのヒントとなりそうな多く考え方に出会うことができた。なかでも印象的だったのが

「人に迷惑をかけるな」より「役に立て」

である。確かに「人に迷惑をかけるな」と考えると、人に全く迷惑をかけないで生きるというのはできないので、すべての行動が消極的になってしまう。それに対して「役に立て」と考えると、迷惑をかけてもそれ以上に役に立っていれば認められるという考えが育めるのだろう。
もう一つ、頭に常においておきたいと思った考え方は

子どもは親の真似をする

である。
これは多くの親には耳の痛い話なのかもしれない。勉強しろと言いながら自分が勉強しない親や、本を読めといいながら、自分が本を読まない親など世の中にたくさんいることだろう。幸運なことに、僕自身は勉強も運動も毎日継続して行うことが好きなので、そういう姿を見せてあげたいと思った。
これまでにも子育てや教育に関する本をいくつか読んでみたが本書が一番印象的だった。子育ての中でもっとも難しそうに感じるのは、自由のなかにどれだけ的確な情報と選択肢を提供するかということ。また単純に学問や運動の能力の向上だけでなく、自ら考えそれを実行する計画力や意志の強さをどのように育むかということである。
大人になった子供たちの感想に、「もっと選択肢を見せて欲しかった」とか「もっと厳しく接して欲しかった」という含まれているという点である。大人が思っているほど子供は、優しいだけを求めているのではないということに気づく。本書で出会った考え方をしっかりと取り入れて今後も試行錯誤していきたいと思った。
「ずば抜けて活躍できる」かどうかはわからないが、本書が目指しているのは、単純に学歴などの表面的な幸せではなく、子供自身が大人になっても幸せを感じる育て方だと感じた。これから子供を育てるという人にはぜひ読んでほしいと思った一冊。
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「イエール+東大、国立医学部に2人息子を合格させた母が考える究極の育て方」小成富貴子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
長男をイェール大と東大に、次男を国立大学医学部に合格させた母親が、その教育方法について語る。
僕自身の関心が向いているせいか、最近この手の教育方法を語った書籍が多いように感じる。このような本を読む時、気をつけなければならないのは、結果が良かったからと言って、その過程で行ったことのすべてがその成功に結びついているとは限らないということだ。
そんななかで、本書を読んでぜひ真似したいと思ったことは、「謝罪と感謝の際に理由をつけさせる」というものと「机ではなくリビングで勉強させる」というものである。ただただ「ありがとうと言いなさい」では考える力や表現力は育まれずただ機会的に「ありがとう」を繰り返すだけになってしまうだろう。またリビングで勉強することで、小学生の頃には子供にとってすぐに質問しフィードバックを受けることのできる環境となるし、中学生や高校生になればそれが適度な親子のコミュニケーションの機会になるのだろう。
また、家族会議を開いて、旅行先をみんなで決めながら歴史を学ぶという点も非常に面白いと思った。
その一方で、漫画やゲームやテレビを見せないという方針は、本当に正しい選択なのか疑問である。難関大学への合格というのが人生のゴールであれば問題ないかもしれないが、変化の激しい世の中に対応しどのような状況においても優れた能力を発揮できる人間を育てるのであれば、様々なものに早いうちから触れておく方がいいように個人的には感じた。
どの方法も大学合格のための方法としては納得感のあるものばかりだが、両親ともに多くの時間と情熱を注ぐ覚悟があってこそできることだと感じた。
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「ザ・ギフティッド 14歳でカナダのトップ大学に合格した天才児の勉強法 」大川翔

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
タイトルにあるように14歳でカナダのトップ大学に合格した大川翔が自分の勉強やこれまでの学校や家庭での過ごし方について語る。
経歴だけを見ると、このような偉業は才能のある特別な人間にしかできないものと思うかもしれないが、本書を読んでみるとそんなことはないとわかる。
まず、日本にはない飛び級というものがカナダには存在するのである。日本でも授業中に授業のスピードが遅くて退屈しているような人間を見た覚えがあるだろう。日本ではそのような人間は、他の生徒にあわせてゆっくりと進むしかないが、カナダではそのような生徒は飛び級という選択ができるのである。それによって大川翔くんは常に「ほどよいがんばり」を求められる環境に置かれたのである。本人のレベルよりも高すぎる環境は諦めを生む一方で、低い環境は「慢心」を生むのだろう。そういう意味では翔くんも日本の学校では慢心に溺れた「小学校のとき頭が良かった」生徒になったかもしれない。
もう一つ驚いたのは、何よりも弁護士である母親が勉強する能力と方法を熟知しており、それを翔くんに対してもしっかり実践したことである。それによって翔くん自身も効率的な勉強方法を身につけて行ったのである。
例えば、何かを達成するために必要なことは、その能力を伸ばすだけではなく、何をどこまでやればいいのかという分析である。試験のようなものの場合、実力を上げることはもちろん重要だが、同じように重要なのは、必要以上に時間をかけて他の分野や強化にかける時間が減ってしまうことである。
本書では翔くんがスピーチコンテストで優勝する様子が描かれているが、その過程はまさに分析と必要な技能のマスターに集中しており、目的達成のための理想形である。僕ら大人がそれを今語ることができることにそれほど驚きはないが、それを14歳の時点ですでにマスターしているということは人生のなかで大きな利益になるだろう。
本書を読んで思ったのは、14歳の天才時はしっかりと両親が計画して子育てを行えば、育てることができるということである。
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「情熱教室のふたり 学力格差とたたかう学校「KIPP」の物語」ジェイ・マシューズ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
「ナレッジ・イズ・パワー・プログラム(KIPP)」はマイケル・ファインバーグとデヴィッド・レヴィンによって1994年に設立された教育プログラムである。低所得者層の子供達が中心でありながらも目覚ましい成果をあげているKIPPができるまでの様子を、情熱的な2人の教師に焦点をあてて描いている。
最初は、教育への強い情熱を持ちながらも教室の生徒達を静かにさせることさえできなかったファインバーグとレヴィンだったが、やがてボールというカリスマ教師に出会ってその手法を学び、少しずつ自分達の教育スタイルを確立して行く。そしてやがて2人は「KIPP」という教育プログラムを立ち上げる事を決意するのである。
KIPPの特長として印象的だったのが、「教師の誓い」「保護者の誓い」「生徒の誓い」である。そこには教師、保護者、生徒たちが守るべきことが箇条書きに書かれており、3者が協力することが優れた教育を行うためには必要なのだろう。また、勉強しようとする他の生徒達を守るために、授業中に他の生徒を妨害するような生徒に対しては断固とした姿勢で対応する姿も印象的である。この姿勢は授業という場に限らず、共通の目的を持ったすべての組織に有効なように感じた。
ファインバーグとレヴィンは、KIPPを大きくする過程で、多くの障害を乗り越えて行く。時には周囲から非難されるような強引な手法を用いながらも、理想の教育のために突き進んでいくのである。その強引さは、保守的な教育界を変えるためには正攻法では難しいことを教えてくれる。様々な種類の人々が住むアメリカの教育を帰ることは日本よりはるかに難しそうに見えるが、彼らが様々な困難を克服しながらKIPPを軌道に乗せて行く様子は教育にはまだまだ可能性があると感じさせてくれるだろう。
母親や生徒達の視点で描かれている場面もいくつか挟まれており、最初は手に負えないかった生徒が、優秀な卒業生になる姿は涙を誘う。教育にもまだまだ改善の可能性があるのだと感じさせてくれる。

チャータースクール
アメリカ合衆国で1990年代から増えつつある新しい学校の試みで、チャーター(Charter)と呼ばれる特別認可、あるいは達成目標契約により認可された学校である。(Wikipedia「チャータースクール」
参考サイト
Teach For America

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「成功する子失敗する子」ポール・タフ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
世の中には成功する子と失敗する子がいる。自分の子供を成功させたくて、お金をかけて教育を施したり、厳しくしつけたりする親がいるが、果たしてそれは正しいのだろうか。
まず誤解しないで頂きたいのは、本書で言う「成功」とは、いい大学に入ったり、いい成績を取ったり、という「短期的な成功」ではないという点である。逆境のもくじけず、物事に挑戦するこころを常に持ち、それによって人生を幸せに生きることが本書の言う「成功」なのである。
まず本書が紹介しているのが、子供時代の逆境によるストレスと成人してからの人生のネガティブな結果には明らかな相関関係である。ストレスが発達段階の体や脳にダメージを与えるのというのである。しかし、一方で親の愛情によってそのストレスは軽減することもできるのだという。つまり、不幸な境遇や貧しい家庭に育っても、親が愛情を注いで育てることで将来成功をする心を持った子供は育てることができるのである。
そしていくつかの教育機関と人に焦点を当てている。そのうちの一つがKIPPアカデミーである。KIPPアカデミーは革命的な教育で低所得層の子供達の成績を向上させ多くのメディアにも取り上げられたにもかかわらず、卒業生のうち大学を卒業した者はわずか21%だった。「一体卒業生達が大学を卒業するために何が必要だったのか」KIPPの創立者であるレヴィンは成績以外の生徒達に必要な者を探し始めるのである。
後半ではチェスの強豪であるIS318の生徒達とチェスの指導者スピーゲルのやり取りを紹介している。スピーゲルが試合に負けた生徒達に必ず試合の後、自分の駒の動かし方と向き合わせて検証させているシーンが印象的である。負けと向き合い、困難と向き合うことの一つの答えだろう。また同時に、チェスだけに打ち込むことが本当に子供達にとって幸せかどうかはわからないとしているスピーゲルの態度も興味深い。
結局本書はどんな育て方が正しいとか、どんな人生が幸せであるとか書いてはいない。貧困問題など現在アメリカ社会が抱える問題を指摘して締めくくっている。
多くのことを考えさせる1冊。機会があれば定期的に読み返したい。

KIPPアカデミー
The Knowledge is Power Program (KIPP) is a nationwide network of free open-enrollment college-preparatory schools in under-resourced communities throughout the United States.(Wikipedia「Knowledge Is Power Program」)
関連書籍
「オプティミストはなぜ成功するのか」
「ちいさなことへのこだわり」(未邦訳)「Sweating the Small Stuff」
「情熱教室のふたり」ダイヤモンド社
「特権の代償」(未邦訳)「The Price of Privilege」
「過食にさようなら」デイヴィッド・ケスラー
「ゴールラインを超える」(未邦訳)「Crossing the Finish Line」
「本物の教育」(未邦訳)「Real Education」
「ここに子供はいない」(未邦訳)「There are No Children Here」
「野蛮なる不平等」(未邦訳)「Savage Inequalities」

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「蘇る教室」菊池省三/吉崎エイジーニョ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
「学級方向立て直し請負人」という異名を持つ菊池省三の教育方針を、元生徒である著者が描く。
学級崩壊はなぜ起きるのか。序盤は現状の教育の現場と、菊池が立ち直らせた生徒達、立て直したクラスについてのエピソードとその方法について描いている。
まず印象的なのは本書のなかで「ほめ言葉のシャワー」と呼ばれる取り組みである。「ほめ言葉のシャワー」とは毎日帰りのホームルームで、その日の日直がみんなの前に立ち、生徒がそれぞれその人のいいところを褒めるのだ。いい行動を褒められる事で、引っ込み思案な生徒も、自分の存在価値を認識するのである。そして、普段素行の悪い生徒も、自分にもいいことができるということを学ぶのだそうだ。
その描写を見て思ったのは、両親に褒められることのない生徒というのが決して少なくないという点だろう。「ほめ言葉のシャワー」という取り組みによって変われる生徒がたくさんいるのは、その裏返しなのだ。
僕自身が比較的いい育てられ方をしたために、そのような状況で育てられる環境というのが想像しにくいのだが、教育というものを突き詰めるためには、多くの子供達がどのような環境で育てられているかを理解するのは大切だと思った。
菊池が生徒たちに教えようとするものの多くは、一生通じるような考え方ばかりである。

「怒る」と「叱る」の違い
怒るとは、「自分中心の感情で相手に接すること」。叱るとは、「相手の存在を認め成長を願って強く意見すること」。
「群れ」と「集団」の違い
個人が自分らしさを発揮して自立しているグループが「集団」。個人の考えよりもその場のなんとなく流れる空気、特にマイナスの空気が勝るのが「群れ」。

本書は教育に関する内容について書かれているが、大人になって誰もが一人前と認めて、自分を叱ってくれないと思う人は、菊池が生徒達に教えようとしていることに感じるものがあるだろう。

一生懸命だと知恵が出る、中途半端だと愚痴が出る、いい加減だと言い訳が出る

【楽天ブックス】「蘇る教室」

「「学力」の経済学」中室牧子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本の教育のあるべき姿について、データを元に説明していく。
例えば、「本を与えれば成績がよくなる」とか「ゲームをさせると成績が下がる」とか、世の中でよく言われることを科学的に説明しようと試みていく。その過程で、日本の教育がどれほど証拠もなしに、先入観によって構築されているかに気付かされるだろう。
また、著者はそれ以外にも教育システムの向上のために多くの内容に触れているが、なかでも印象的だったのは計る事のできない「非認知能力」つまり「やりぬく力」の重要性である。教育に関心のある多くの人が中学や高校での教育の重要だと思う一方で、本当に人生を変えるほど重要なのは、小学校に入るまでに培われた自らを律する「やりぬく力」だというのである。「自制心」とも呼ばれるこの力は、若い頃のしつけや部活などの活動を通じで培われていくものだそうだ。
目の前の定期試験で数点を上げるために、部活や生徒会、社会貢献活動をやめさせたりすることには身長であるべきかもしれません。学力をわずかに上げるために、長い目でみて子どもたちを助けてくれるであろう「非認知能力」を培う貴重な機会を奪ってしまうことになりかねないからです。
また、後半で著者が語っている、教員免許の弊害についての考え方も新鮮で面白かった。教育に対して新たな考え方をもたらしてくれる一冊である。
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「究極の鍛錬 天才はこうしてつくられる」ジョフ・コルヴァン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
タイガーウッズもモーツァルトのように、世の中に「天才」として語られる人たちは決して生まれながらにして天才だった訳ではなく、それに見合う努力をしてきた。それではそんな「天才」を作りあげる方法、つまり「究極の鍛錬」はどのようにして成し遂げられるのだろうか。
生まれつきの才能というのが過大評価されるなかで、本書では「天才」と呼ばれるまでに一つの分野でたぐいまれなる能力を伸ばす方法についていくつかの例を交えながら説明する。その方法「究極の鍛錬」に必要な要素として以下の要素を挙げている。

(1)しばしば教師の手を借り、実績向上のため特別に考案されている。
(2)何度も繰り返すことができる。
(3)結果に関し継続的にフィードバックを受けることができる。
(4)精神的にはとてもつらい。
(5)あまりおもしろくもない。

基本的には「天才」は努力によって作られるという内容なので、「自分には才能がない」と諦めていた人にとっても希望を持てる内容と言えるだろう。また、身体能力に依存するスポーツや音楽の分野ではかなり若い時期に始める必要があるとはいえ、ビジネスなどの分野では年齢に関わらず一生能力を伸ばすことができるという点も僕らの将来を明るくしてくれる。
しかし、本書は興味深いことにこんな警告も与えている。「究極の鍛錬」によって「天才」と言われるほどの技術を身につけるためには、人間関係などの人生における多くのものを犠牲にし、しばしば周囲の怒りを買う事も多いのだという。そこまでしてそれほどの能力を身につける事が果たして幸せな人生と呼べるのだろうか。
また、忘れてはならないのが、本書は決して「生まれつきの才能」の存在を完全否定しているわけではないのだということ。例えば体格のように「究極の鍛錬」においてもどうしようもない要素が技術を左右することは往々にしてあるのだという。「究極の鍛錬」によってある分野における能力を伸ばすために多くの時間を費やそうとしても、その分野で「天才」になるために必要な「生まれつきの才能」が欠けているかもしれないという可能性は考慮する必要があり、もしかしたら、成し遂げる事のできないことのための「究極の鍛錬」によって人生を無駄に費やす事になるかもしれないのだ。そのリスクを冒してでも自分をひたすら信じて「究極の鍛錬」をすることができるのだろうか。
自分自身の仕事の時間や趣味の時間の過ごし方を改めて考えさせてくれる1冊。僕は常に「究極の鍛錬」ができる環境に身を置いているだろうか。
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「A Mind for Numbers」Barbara Oakley

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
効果的に勉強するためにはどうすればいいのか。著者自身も学生時代は数学の能力をまったく伸ばす事が出来なかったが、軍隊に入ってロシア語を学び数学の必要性を感じてその方法に気付く。多くの例とともに効果的に学ぶ方法を語る。

数学や試験や言語だけでなく、学ぶというのは運動や楽器演奏などすべてに適応されるもので人生を生きていくうえで欠かせないもの。しかし、勉強しているけれども成績が上がらない、練習しているけれど上達しない、ということはたびたびある。誰もが1度は、●時間勉強したけどこの時間に意味があったのだろうか。と疑問に思うような時間を経験した事があるだろう。上達しない練習に時間をさくのであればその時間を他の事に費やした方がいいだろう。そういう意味では、人生を豊かに効率に過ごすために方法を本書は教えてくれると言える。

まず印象的なのは、Diffuse ModeFocus Modeの使い分けである。僕らは勉強するときに「集中する」ことを良いこととしているが、本書では、Diffuse Mode、つまり集中していない状態も同じように効果的に学ぶためには大切だと語る。もちろん集中していない状態が進歩を助けるのは、集中している時間に積み重ねたものがあってこそであるが、それによって集中していない時間にも脳が無意識下で情報を処理し続けるのだという。集中している時間と集中していない時間を適切に配置することで効率的に学ぶことができるのである。

また、「勉強した気になってしまう行動」や、「無駄な勉強」というのにも触れているので、知っておくと非常に役に立つだろう。例えば僕自身も過去やったことがあるのだが、蛍光ペンで教科書の重要な部分を塗っていくという方法。これは手を動かした事によって学んだ気になってしまうが実際にはほとんど効果がないのだそうだ。また、教科書を読んだだけでわかった気になるのもしばしば陥りがちな無駄な勉強法である。多くの教科書はそれぞれの章末に問題をつけているが、多くの人はこの重要性に気付いていない。本書では、必ず自分で問題を解いて自分の理解をテストすることの重要性を強調している。

その他にも、勉強を先延ばししてしまう人がとるべき対策方法や、多くの勉強に適用できそうな記憶方法についても触れている。向上心のある人には多いに役立つ内容と言える。

「ルポMOOC革命 無料オンライン授業の衝撃」金成隆一

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
インターネットの発展と、スマートフォンの普及に伴い、Coursera、Udacity、Edxといったオンラインで大学の授業を受けられるMOOC(Massive Online Open Courses)プラットフォームが注目されるようになってきた。本書はそんなMOOCを含むオンラインエデュケーションの現状に様々な視点から迫る。
かなり前からオンラインエデュケーションには興味を持っていたが、どこか騒ぎすぎな印象も持っていた。一般の人にはどの程度認知されていて、実際にはどれほど人々の学習環境に根付く可能性があるのかいまいちつかめずにいたのだ。本書ではMOOCsで日常的に授業を受けている人々の感想や境遇を説明し、カーンアカデミーなどのMOOC以外のオンラインエデュケーションについても触れている。
序盤のMOOCで勉強をしている世界の人々のエピソードに触れると、自分が人生をさぼっているような気がしてくる。環境に恵まれない人こそ、オンラインエデュケーションの可能性に敏感なのだろう。環境に恵まれている日本人はいつになったら危機感を感じるのだろう。
後半は日本のオンラインエデュケーションの動きをいくつかのサイトと共に説明している。カーンアカデミーのことを知ったときにどうして日本でももっとこのように、学校の勉強についていけないような子供達を助けるための動きがないのだろうか、と思ったが、すでにそのような動きをしているサイトはいくつもあってそのことに驚かされた。
今後も引き続きオンラインエデュケーションの動向に注目していきたいと思った。
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「ヤバい経済学」スティーブン・D・レヴィット/スティーブン・J・ダブナー

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
1990年代の後半のアメリカ。誰もが犯罪の増加を予想する中、殺人率は5年間で50%以上も減少した。多くの人がその理由を語り始めたという。銃規制、好景気、取り締まりなど、しかしどれも直接的な理由ではない。犯罪が激減した理由はその20年以上前のあるできごとにあったのだ。
わずか数ページで心を引きつけられた。経済学と聞くと、どこか退屈な数学と経済の話のように感じるかもしれないが本書で書かれているのはいずれも身近で興味深い話ばかりである。大相撲の八百長はなぜ起こるのか。なぜギャングは麻薬を売るのか。子供の名前はどうやって決まるのか。こんな興味深い内容を、数値やインセンティブの考え方を用いて、今までになかった視点で説明する。
個人的には冒頭のアメリカの犯罪率の話だけでなく、お金を渡したら献血が減った話や、保育園で迎えにくる母親の遅刻に罰金を与えたらなぜか遅刻が増えた話などが印象的だった。お金を使って物事を重い通りに運びたいならそこで与えるお金の量は常に意識しなければならないのだろう。
なんだか世の中の仕組みが今まで以上に見えてくるような気にさせてくれる一冊。
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