「NETFLIX コンテンツ帝国の野望」ジーナ・キーティング

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Netflixの創業から発展を描いていく。

今でこそユーザーの一人として楽しませてもらっているNetflix。元々はDVDの宅配レンタルとして始まったという漠然とした知識はあったが、アイデアとしてそこまで斬新とは思えない内容から始まったNetflixがどのような考えと施策でここまでの企業に成長をしたか知りたくて本書にたどり着いた。

創業者のランドルフとヘイスティングスによって試行錯誤しながら少しずつ規模を拡大していくなかで、もっとも物語として魅力できなのは、店舗によるレンタル大手のブロックバスターとの、熾烈な主導権争いでろう。既存店舗からオンラインへ消費者が移っていく中、Netflixに遅れてオンラインレンタルに踏み切ったブロックバスターが猛烈な追い上げを見せるのである。

本書はNeflixと同じぐらい、ブロックバスターのCEOであるアンティオコを中心として多くの主要人物の様子を描いている。ブロックバスターはやがて引退したアンティオコのあとを引き継いだキーズの愚策によって凋落するが、Netflisの発展は、ブロックバスターの存在なくしては語れないだろう。

後半の山場はユーザーにおすすめする映画の精度をあげるためにNetflixが100万ドルの賞金をかけて実施したアルゴリズムのコンテストである。最初はアルゴリズムに自信のある人々が世界中から参加して順位を競っていたが、やがて、すぐれたチームどうした融合してさらにいいものを作るようになる。

全身全霊をかけて自分の信じるものにかける生き方が本当に羨ましい。Netflixが、他のスタートアップと違うところは、創業メンバーの多くが、すでに社会人経験をある程度している人間だということだ。つまり、僕らも今からでもできるとうことである。そんな勇気をもらえる一冊。

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「ティム・クック アップルをさらなる高みへと押し上げた天才」リーアンダー・ケイニー

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
2011年にスティーブ・ジョブスがなくなって、多くの人がアップルは衰退していくと思ったことだろう。しかし実際にはその後CEOの座に就いたティム・クックによってアップルは世界初の一兆ドルの企業となった。ジョブスとは多くの面で異なるCEOはどのようにしてアップルを進化させたのかに迫る。

正直この本に出会うまで、ジョブスの後のアップルのCEOを知らなかった。もちろん、名前を聞いたことはあったのしてもすぐに思い出せるほど認識していなかった。しかし、実際にはジョブスの死後アップルはさらに発展したと知って、どのようにティム・クックがアップルを導いたのかを知りたくなって本書を手に取った。

本書でもっとも興味深いのは、ティム・クックのものの考え方である。

世界を我々が発見したときよりも良い場所にして後に残す

これはティム・クックが繰り返し引き合いに出し、今やアップルという企業自体のものの考え方にもなっている言葉である。実際、アップルはジョブスの死後、一気に環境や自分たちの関係会社のケアや、慈善団体への寄付など、世の中に良い行いをする方向へ大きく舵をきったのである。また、ティム・クックは同性愛者であることを公開しており、それゆえにジェンダーマイノリティでや、アジア系、メキシコ系などの少数派に対する理解が強い。それも企業としての強みになっているのだろう。

本書のクライマックスは、サンバーナーディーノで14人の死者を出した狙撃事件の容疑者のiPhoneのロックの解除を巡ってFBIと争った場面である。悲劇的な事件を起こした容疑者の捜査という正義を理由に、iPhoneのロック解除の権限を求めたFBIに対して、それによって引き起こされるユーザー情報の危険性を懸念してアップルは拒否するのである。

必ずしも正しいことは、多くの人の支持を集めるわけではない。それでもアップルの決断は、やがて理解され多くの人の支持を集めるのである。

ティム・クックによって、すばらしい製品を生み出していたアップルが、さらに人格的にも優れた企業となったのだと感じた。

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「ミセス・ケネディ 私だけが知る大統領夫人の素顔」クリント・ヒル

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ケネディの暗殺といえばもはや知らないことがいないほどの大事件。そのとき隣に座っていたケネディ夫人は僕自身にとってはそれほど有名な人物ではなかったのだが、フィリピン人の英語の先生が、「私のお手本となる人」としてダイアナ妃とケネディ夫人を挙げたので興味を抱いた。
本書はケネディが1960年に大統領に就任したときから、ケネディ夫人のシークレット・サービスつまりボディガードとして働いた男性クリント・ヒルによって書かれている。クリント・ヒルはあの暗殺の瞬間夫人を守るために後ろから車に飛び乗った男性なので覚えている人もいるのではないだろうか。そんな常に身辺にいる男性から描かれたからこそ、ジャクリーン・ケネディの素顔が見えてくる。
1960年にケネディが大統領に就任した時、ケネディ夫人はまだ31歳でアメリカの歴史上もっとも若いファーストレディだったという、この事実を聞いただけで僕自身が生まれる前のできごとであるにもかかわらず当時の熱狂が想像出来る。
さて、そんな若いファーストレディだったからには、結構稚拙なこともしたのではないかと思っていたのだが、本書を読み進めてみると、ずっと芯を持った人間だったということが伝わって来る。まずそれを感じさせたのはホワイトハウスに住み始めてからホワイトハウスのなかの公開されている部屋の改修に動いた行動力である。

ホワイトハウスはすべてのアメリカ国民のものよ。この国で一番素晴らしい家でなくては

そしてもっとも印象的だったのは、隣で夫を暗殺された直後に、地に染まったスーツを着ているケネディ夫人に着替えを促した著者に対しての言葉である。

自分が何をしたのか、犯人に見せつけましょう。

自立した女性がお手本にしたくなる理由がしっかり伝わってきた。本書の大部分はケネディ暗殺までの3年間を描いているが、その後のケネディ夫人の人生の選択についてももっと知りたいと思った。
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