オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
スペインで祖父母と生活していたElenaに、祖父は病床と死の直前に本当の母親がメキシコに住んでいることを伝える。Elenaは母親や兄と手紙のやり取りをしたのち二人に会いにメキシコへ向かう。
母親や兄がElenaに会うことを拒んでいたにもかかわらず、Elenaはメキシコの生まれ故郷を訪れることを決意する。しかし、母親の住所となっていた場所を訪れた際に、その場所の主であるAntonioの部下たちに監禁されてしまうのである。兄だと思っていた男は、Antonioの父親を殺害して逃走中なのだという。
AntonioはElenaが潔白であるということを知るうちに少しずつElenaに惹かれていく。一方で、すでにスペインに家族のいないElenaもAntonioに心を開いていく。そんな中、生まれ育ったメキシコに滞在したことで少しずつElenaに悪夢と共に、幼い頃の記憶が蘇っていく。
正直、裕福な権力者の元に生まれたAntonioの傲慢で嫉妬深い考え方が受け付けない。登場人物を考えるときに完璧な人間よりも共感できる人間にするというのは基本的なことだろうが、本書のAntonioはその裕福な過程環境だけではなく、その傲慢さなどの人間性も含めて全く共感できない。ElenaがAntonioに向ける言葉の数々は真理に違いないのだが、母親が共感力の乏しい小学生の子供に語っているようなやりとりに感じてしまった。
あくまでも著者の描写力の問題で、実際にメキシコの男たちの考え方がここまで共感力に乏しいとは思いたくない。
スペイン語慣用句 estar de paso ついでに立ち寄る hacer memoria 思い出そうとする montar el cólera 激怒する con uñas y dientes 必死に cielo y tierra あらゆる場所を、徹底的に alta hora 深夜 bella durmiente 眠れる森の美女 a cal y canto 厳重に de golpe 突然に ponerse el mundo por montera 世間の反応を気にしない restar importancia 軽視する a juego con … …と合った、…と調和した