「これからのディープラーニングビジネス」南野充則

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ディープラーニンの簡単の説明と、ディープラーニングが応用できる分野について説明している。

序盤では簡単にニューラルネットワーク、損失関数、勾配降下法などを含むディープラーニングの仕組みを説明している。オートエンコーダーや勾配消失、LSTM、画像生成モデルGANおよびDCGANについては本書で初見だったのだが、表面的な説明にとどまっていあので、もう少し詳しく知りたいと思った。

中盤にこうは、実際にディープラーニングが応用されている、もしくは応用されるであろう分野を順を追って紹介している。不良品の検品や、自動運転などはすでに知られていることだが、本書ではキャラクター生成や、お弁当の自動盛り付けも応用できるとしている。ディープラーニングに生半可かじった僕程度の知識だと想像もつかないような分野にディープラーニングが応用できることがわかった。

最後は、ディープラーニングを導入にあたって気をつけることなどとともに、今後の未来についても触れている。印象的だっったのはディープラーニングの応用範囲が広まっても、一流の技術を持った人間へのニーズは減らないだろうということ。

ディープラーニングについて簡単にまとめてはいるが、専門的な言葉もちりばめられており、ディープラーニングの最初のとっかかりにちょうどいいのではないだろうか。

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「人間失格」太宰治

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
自らの本心を偽って、人を笑わせながら生きる葉蔵の成長していく様子を描く。

さすがにここまでタイトルが有名な作品を読んだことがないというのもどうかと思って今回読むに至った。

漫画家を目指しながら、お酒と女に溺れ、少しずつ堕落していく。そして、やがて脳病院に入院させられ、自らもはや自分は人間でない、人間失格である。と思い至るまでを描いている。

物語として面白いかと問われれば、それほどではない。人によってはこの葉蔵の弱い生き方に、共感する部分もあるかもしれないが、僕にとってはそれほどではなかった。なぜこの作品がここまで名を残しているのか、という考察という行為を含めれば多少興味深い部分もある。やはり太宰治という作家の自殺の直前の物語という文脈も手伝って本書はここまで有名なのではないかと感じた。機会があれば「晩年」「斜陽」なども手に取ってみたいと思った。

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「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」加藤陽子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
明治以来四つの対外戦争を戦った日本を、当時の大国の思惑や人々の考えを説明しながら授業を行った内容をまとめている。

日本の歴史というと、第二次大戦前は悪、戦争の後の戦後復興は善という風に受け取られている。語られている。しかし、実際にはそのように簡単に分けられるものではなく、戦争に突き進んでいった当時もいろんな考えの人がいたのだろう。そんな、歴史の授業では数ページで終わってしまう出来事に対して、もう少し深く理解したいと思って本書にたどりついた。

本書は日清戦争以後の、日本の国内の様子、重要人物たちの考えや駆け引き、そしてイギリスやアメリカ、ロシア、中国などの当時の思惑などを詳細に説明している。

正直、第二次世界大戦以前の歴史については、曖昧にしか覚えていなかったのだが、本書で改めてその前後関係を感じることができた。そして、後半は第二次世界大戦についてである。もっとも印象的だったのは、日本の奇襲攻撃を予想できたにも関わらずなぜアメリカは真珠湾に軍艦を停泊させていたのか、というところ。である。

歴史の理解が深まったというよりも、歴史家というのは、残された資料からここまで詳細に過去に起こったことを明らかにするということに驚かされた。歴史家という生き方もなかなか悪くないかもしれない。

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「[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61」中村和正

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
デザインで人を動かすために利用できる手法を紹介している。

デザインの言語化能力、および提案力が向上することを期待して本書にたどり着いた。すでに知っているものや、知っているけれど呼び方を知らなかったもの、初めて聞いたものなどあり、どれもしっかり覚えてデザイン業務に活かしていきたいと思った。

マジカルナンバー
人が覚えていられる情報の数は4±1

ジャム効果
ジャムを6種類にした場合の購入率が30%だったのに対し24種類にすると3%になったということから選択肢が多いと購入率が低くなることを示した事例

カリギュラ効果
障壁が高いほどやる気が出る心理

バイヤーズリモース
購入後に必ず訪れる不安のこと。この不安を取り除くには先輩購入者の姿を見せたり、サンクスレターを送るという手法がある

ザイアンスの法則
繰り返すことで高まる信頼と高感度

テンション・リダクション 緊張状態が消滅したあとの注意が欠落した状態のこと。大きな買い物をしたあとに、ついでにもう一つオススメするのがこれを利用した方法。「色違いをもう一色」や「よく一緒に購入されている商品」などがこれにあたる

ツィガルニック効果
完了できなかったタスクのほうが、完了したタスクよりもよく覚えている傾向にあるという理論

カクテルパーテイ効果
騒がしいなかでも自分の名前や、興味のある話だけ集中して聞くことができる現象。「ようこそ、〇〇さん」のように、サイト上にユーザーの名前を含めるのがこれにあたる。

バンドワゴン効果
「みんなと同じ」が安心する心理。「ダウンロード数〇〇」や「ユーザー数〇〇人突破」がこれを利用したものである。

スノッブ効果
バンドワゴン効果とは反対の心理で、他人がもっているものとは同じものは欲しくないという心理。「初回限定」「〇〇県限定」がそれにあたる。

ウェブレン効果 値段が高いほど喜ばれること。ブランドなど「高いものを持っている」という見せびらかし意欲がそれにあたる。このような商品は安くしてしまうと逆に売れなくなる。

バーナム効果
曖昧な言葉を使って自分のことを言っているように感じる現象。「何をやっても英語を話せないあなたに」「楽しいことは好きな人」「意外とへこみやすいが、すぐに立ち直ることができる人」など、受け取る人の誰にでもあてはまると思われるような曖昧な言葉外使うことで自分のことを言っているように感じさせることができる。

ベビーフェイス効果
丸顔や大きな目を見ると、無邪気、無垢という印象を抱き、警戒感が薄れる心理。トップページに掲載する人物写真などがそれにあたる。

ディドロ効果
揃えたくなる心理。シリーズなど商品を同じ種類のセットにして販売することで、この効果を利用して販売を拡大することができる。

シャルパンティエ錯覚
数字よりもイメージに左右される心理。「鉄10kgと綿10kgはどちらが重い」などのように、じっくり考えればわかることだが印象が異なり、印象に左右されることが多い。

ピーク・エンドの法則
経験した記憶は、良かれ悪かれそのピークと、最後の体験で記憶されるということ。

ウィンザー効果
第三者から間接的に情報が伝わることで、信頼性が増す心理。クチコミやレビューなどがこれにあたる。

目標勾配仮説
ゴールが見えるとやる気が加速する心理。10個のスタンプカードよりも12個で最初から2つ押してあるスタンプカードの方が完了率が高いのがこちらを利用した施策。

組織規模でデザインをするためには、ただ単に綺麗なデザインを作れるだけでは不十分で、社長やプロダクトオーナーなどの意思決定権者に対してデザインを言語化して納得させることが必要である。そのために使用できる言葉が本書にはあふれていた。

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「人を動かすマーケティングの新戦略 「行動デザイン」の教科書」國田圭作

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
モノをどれだけ改良してもすでに、モノだけで売れる時代は終わり、これからは行動をデザインすることが必要だとして、その手法を説明している。

さまざまな行動をさせる方法を説明しているが、例えば、人を動かすために人間は金銭的コストばかりを考えるが、実際には金銭的コストを含む5つのコストを考えなければならない、ということである。

金銭的コスト
肉体的コスト
時間的コスト
頭脳的コスト
精神的コスト

それ以外にも、レーンチェンジとフレーム理論を利用して解決方法を導き出す方法を説明している。そして、後半は具体的に行動をデザインするための6つのステップを順を追って説明している。

1.どれだけ動かすのか
2.誰を動かすのか
3.いつ、どこで動かすのか
4.何で動かすのか/なぜ動くのか
5.どうやって動かすのか
6.本当に動いたのか

漠然と企画を考えて漠然と機能をリリースするだけで実際にその効果を確認していないケースが多々あるので、このように順を追って目的と成果を明確にするという手法はぜひ真似したいと思った。ステップ2の「誰を動かすのか」において、ターゲットを行動量や行動パターンでセグメントすることを推奨している。一方で、最近は行動パターンが多様化しているので、単純に人間の属性だけで分類する手法に対しては疑問視している。

また、ステップ4では、人の行動を操作するために知っておくといい、行動を加速させる方法と行動ブレーキを緩和する方法を紹介している。

行動アクセルを加速する
・急かされると、人は動く
・対決させると、人は動く
・食べ物にすると、人は動く
・限定されると、人は動く
・対比があると、人は動く
・帰属意識を刺激されると、人は動く
・挑発すると、人は動く
・選択させると、人は動く
・サイズを変えると、人は動く
行動ブレーキを緩和する
・お膳立てされると、人は動く
・お墨付きがあると、人は動く
・現場が来てくれると、人は動く
・口実があると、人は動く
・ファッションで、人は動く
・体が動くと、人は動く
・名前をつけると、人は動く
・本気が伝わると、人は動く
・子供ごころで、人は動く

全体的に、フレーム理論やレーンチェンジの部分などわかりにくい部分も多かったが、気になる部分は別で学んでみたいと思った。読みやすい本とは言えないが、役に立ちそうな考え方に出会うことができたのでその辺はしっかり覚えておきたいと思った。

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「問題解決に効く「行為のデザイン」思考法」村田智明

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

理想のデザインとは外観の美しさだけを突き詰めたものではなく、「行為がスムーズに美しくふるまわれるためにどうあるべきか」を追求したもので、それを「行為のデザイン」と読んでいる。

そして、その「行為のデザイン」のために次の6つのインターフェースに注目することの重要性を説いている。

人と人
人とモノ
人と情報
モノと情報
モノとモノ
情報と情報

そして、行為のカードという手法を用いて、さまざまなユーザー体験を想像し、不便を感じるバグを見つけることを勧めている。8つのバグ、2つのミニマライズそして3つの美しさである。

矛盾のバグ
迷いのバグ
混乱のバグ
負環のバグ
退化のバグ
精神的圧迫のバグ
記憶のバグ
手順のバグ
形のミニマライズ
意味のミニマライズ
造形の美しさ
行為の美しさ
考え方の美しさ

いずれも例を交えて説明している。

そして最後の章では行為のデザインをするためのワークショップを紹介している。内容としてはデザインスプリントと呼ばれる手法に似ているが、時間のとりかたなどが若干異なるようだ。読みやすさやわかりやすさはあまり感じないが、いろんな考え方を提供してくれる点はありがたいと感じた。

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「人気実況者てらこのはじめての初めてのポーカーテキサスホールデムで勝つ」寺崎美保子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
最近ポーカーの本を読み漁っており、そんななかの一冊である。

本を開いた一番最初の冒頭で「わたしはそんな大したポーカープレイヤーではありません」と宣言しているように戦術の話はほとんど書かれていない。序盤は、ほかのポーカーの書籍と同様にテキサスホールデムのルール説明に終始する。その後は確率の話が多少あっただけで、戦術に関することはほとんど書かれていないが1点考え方として覚えておきたいと思ったことが

合計が20以上か否かを目安にアクションを

である。

後半では、日本や海外で気軽にポーカーを楽しめる場所やカジノを紹介している。ほかのポーカー書籍と比較した時に、本書が際立つ点はこの部分だと感じた。

【楽天ブックス】「人気実況者てらこのはじめての初めてのポーカーテキサスホールデムで勝つ」

「ゼロから作るDeep Leanrning Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装」斎藤康毅

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
最近流行りのディープラーニングについて深く理解したいと思って本書を手に取った。

パーセプトロンの考え方から実施のニューラルネットワークの考え方、そして実際の学習方法まで丁寧に解説している。数学の知識としては微分と行列の考え方がわかっていればある程度ついていけるのではないだろうか。GitHubからソースコードをダウンロードして実際に動作を確認して理解を深められる点がありがたい。デバッグモードで実行して途中の数値を確認することで理解を深めることができた。

ディープラーニングについての感想は、思っていたほど万能なものではなく学習というフェーズが鍵になることがわかり、全体的にまだまだ伸びしろのある分野だと感じた。誤差逆伝播法や畳み込みニューラルネットワークの内容についてはしっかり理解したとは言い難く理解を深めるには繰り返し読む必要性を感じた。とりあえず大事なことは繰り返し出てくるという前提で続編に進もうと思った。

【楽天ブックス】「ゼロから作るDeepLeanrning Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装」

「ゼロから勝てるポーカー」けむ。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
テキサスホールデムの魅力を知人に語られ、ちょっとやってみたところあまり勝てないので、どのように考えれば勝てるのかを知りたくて本書にたどりついた。

序盤はテキサスホールデムのルールの説明に終始するが、中盤から戦術の話になっていくる。今後意識したい内容がたくさん書かれていた。まず、プレースタイルをタイトかルース、そしてアグレッシブかパッシブで分類する話である。

私が初心者に強くおすすめしたいのが、タイトアグレッシブです。

そして、適切なベット額、レイズ額もいつも悩みがちなので考える根拠を与えてくれたのはありがたい。

適切なレイズ額 直前に賭けられた額の3倍
適切なベット額 ポットにあるチップの50%〜70%ぐらい

そのほかにも初心者がやりそうなプレーとなぜそれをやらないほうがいいかについて丁寧に説明している。

リンプインはしないようにする
スロープレーをない
ドンクベットはやらないように気をつけよう

それもやっていたことばかりだったのでしっかり覚えておきたいと思った。そして最後の章では実戦形式で相手の手をどのように推測するかを解説している。ポーカーを始めたばかりの人は学べることがたくさんあるだろう。

【楽天ブックス】「ゼロから勝てるポーカー」

「君が夏を走らせる」瀬尾まいこ

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
高校生の大田は結婚して子供を産んだ先輩に一歳の娘鈴香(すずか)の子守のバイトを頼まれる。

最初は仕方なく鈴香(すずか)の子守をしていた大田も少しずつ子守に慣れてきて、やがて少しずつ鈴香(すずか)に愛情を感じ始め、また親に対する考え方も変わっていく様子を描いている。

「あと少し、もう少し」の続編という位置付けだが、共通しているのは大田を含む一部の登場人物だけで、物語の雰囲気もかなり異なる。子供との愛情を描いた話ではあるが、正直訴えたいポイントがわからずにあまり楽しめたとは言えない。大田の更生の物語か親子の愛情の物語のどちらかに倒した方が物語として分かりやすかったのではないだろうか。テーマが中途半端な印象を受けた。

【楽天ブックス】「君が夏を走らせる」

「脳にまかせる勉強法」池田義博

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
40代半ばから記憶力を伸ばすことに情熱を注ぎ、世界記憶力グランドマスターの称号を手にした著者が、さまざまな記憶の方法を語る。

「ゴロあわせ」や「ストーリーにして覚える」など、さまざまな記憶のための方法を説明しており、そのなかには、経験から自然とやっていたものもあれば、意識してやっていないものもあった。なかでも面白かったのは「1分間ライティング」という方法である。学んでいることに対して、とにかく知っていることを紙に1分間書き出すという手法である。これのいいところは単に自分の理解を確認するだけでなく、脳に学ぶ必要性を感じさせることだという。

序盤でも、勉強の時は音楽やインターネットとの接続を絶って、脳を学ぶモードにすることが大事と言っているが、そのような考えは持っていなかったのでぜひ実行したいと思った。

なにより、著者が記憶力の向上を始めたのは40代半ばという。歳を取っても記憶力が挙げられるという事実は、多くの人の励みになるだろう。
 
【楽天ブックス】「脳にまかせる勉強法」

「金閣寺」三島由紀夫

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
幼いことから吃ることをコンプレックスに生きる少年溝口(みぞぐち)が、金閣寺の美しさにとりつかれながれ生きていく様子を描く。

実際に起こった金閣寺の放火事件を題材とした作品。溝口(みぞぐち)が金閣寺の住職を期待されて成長していくなかで、その葛藤をひたすら描いている。近所に住む女性や友人の鶴川(つるかわ)、柏木(かしわぎ)たちとの間に起きる出来事が少しずつ少年の心に影響を与えていく。そして、少しずつ金閣寺の住職との溝が深まっていくのである。

なぜ溝口は金閣寺に火をつけたのか。その理由の解釈は読者に委ねられている。1回読んだだけではわからないものなのかもしれない。

現在は使われていないような古い言葉を多用しているのでその点も読みにくくさせている。純文学というとこんなものかもしれないが、物語よりも文章の紡ぎ方に興味を持つと楽しめるのかもしれない。

三島由紀夫作品はまた気が向いた時にトライしてみようと思う。
 
【楽天ブックス】「金閣寺」

「「ひらがな」で話す技術」西任暁子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
FMラジオのDJとして長年話し方にこだわってきた著者が話す技術を語る。

まず、人は話すときにひらがなで話す、としている。つまり、聞いている人はひらがなとして音を聞いてそれを頭の中で、漢字や意味に変換するのである。したがって、漢字で意味の通るが音としては他にも意味を持つ言葉(例えば「視覚」「死角」「四角」「視覚」など)は話し言葉としてはわかりにくいのだという。わかりやすくためには次のようなことを心がけるといいとしている。

  • 丸い言葉を使う
  • 句読点をつけて話す
  • 言葉の粒の大きさを変える

言われてみれば当たり前のことだが、あまり意識してこなかったことに気づいた。硬い言葉は少し頭がよく聞こえると思うのか意図的に硬い言葉を使っているような人も世の中にはたくさんいる。しかし、それで伝わりやすいかというとそんなことはない。紙面上ではスペースを節約するために使われている硬い言葉が、話し言葉でも同じようにわかりやすく使えるわけではないのである。

そのほかにも間の使い方声の重要性についてなども語っており、自分の話し方でもいろいろ見習いたいと思うことに出会うことができた。
 

【楽天ブックス】「「ひらがな」で話す技術」

「転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方」moto

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
転職を利用して自分の市場価値を上げる方法を説明している。

著者は4度の転職を経てサラリーマンとしての年収は1,000万円を超え、副業として4,000万円を超えているというから驚きである。

本書で著者は転職で収入を上げる方法として

「年収の高い業界」または「年収の高い職種」にずらす

という方法を繰り返し述べている。自分の業界や職種にこだわりがない場合はぜひやってみるといいだろう。しかし、サラリーマンとしての収入はどれほど転職をうまく繰り返しても1,000万程度が限度なのではないだろうか。むしろ本書で興味をもったのは、著者の副業の方法である。

どうやら著者は転職経験自体をブログにして大きな収入を得ているという。僕自身すでに8回の転職をしているので転職経験は豊富だが、それをコンテンツにしようという考えはなかったので、ここに大きなニーズがあるというのが驚きだった。(考えてみれば当たり前ではある)。誰にでも他のひとが体験したことのないような体験はあるのではないだろうか。自身のレアな体験を、Twitter等のSNSを通じてコンテンツにするというのは誰にでもできるのかもしれない。

改めて自分の体験を棚卸ししたくなる一冊。

【楽天ブックス】「転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方」

「始めよう。瞑想」宝彩有菜

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
瞑想の方法を説明している。

コロナ下でリモートワークが重なったためか、眠りが浅いと感じることが多くなり、瞑想という手法に思い至り本書にたどりついた。

本書では簡単な瞑想の方法を解説したあとに、少しずつ良い心の持ち方をするための考え方や手法を紹介している。瞑想の効果として、

理解力がアップする
集中力がアップする
記憶力がアップする
判断力がアップする
洞察力がアップする
発想力が豊かになる
企画力がアップする
交渉力がアップする

としている。特に驚いたのは記憶力の部分で瞑想を極めると、幼少期の記憶まで取り戻すことができるというのである。

後半は、心の持ち方に対する考え方をいくつか紹介している。印象的だったのは「欲の4要素」「愛の4要素」という考え方である。欲の4要素とは、「得る(欲)」「保つ(執着)」「比べる(比較)」「もっと(不満)」であり、愛の4要素とは「与える(愛)」「自由・放つ(笑い)」「認める(大肯定)」「足る(感謝)」としており、欲を感じたらそれを抑制するのではなく、愛の方向に進むことで改善することを勧めている。

予想していたよりはるかに深い内容だった。なかなか書かれているような瞑想の境地には達しないが、考え方として学ぶ部分があった。

【楽天ブックス】「始めよう。瞑想」

「何者」朝井リョウ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第148回直木35賞受賞作品。

就職活動に悩む4人の大学生を描いている。

ルームシェアをする拓人(たくと)、光太郎(こうたろう)と、たまたまそのアパートの上の階に住んでいた理香(りか)とその留学友達瑞月(みづき)は、エントリーシートなどの作成とともに就職活動をしていた。それぞれの就職活動の進捗状況を伺いながら、強がりながらも、すこしずつそれぞれの行動に本性が滲み出てくる。そんななか、それぞれが、TwitterやInstagramを発信しており、そこで強がったり、人を見下したりしている様子が描かれるのである。

実際の就職活動がここまで陰鬱としたものかどうかは疑わしいし、ここまで今のこの世代の人たちがSNSに縛られているとは思えないが、誰もが本書で描かれているようなん、強がっている自信家の外向けの顔と、思い悩む弱いうち向けの顔、他人を思う優しい顔、などを使い分けているのかもしれない。

朝井リョウの作品は今まで2作品読んだが、どこか薄っぺらい印象を持っていたが、人の二面性を描いていて、一皮むけた感じがする。人を冷めた目で見る拓人(たくと)や、不器用にも就職活動を突き進む理香(りか)、そして就職活動をしている人々を「没個性」と語って夢に逃げる理香(りか)の恋人の隆良(たかよし)など、誰もが、いずれかの行動に共感を覚えるのではないだろうか。

若い作家の作品は、あるとき突然進化するが、朝井リョウにとって本書がそれにあたるように感じた。この先の作品も読んでみたいと思った。

【楽天ブックス】「何者」

「NETFLIX コンテンツ帝国の野望」ジーナ・キーティング

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Netflixの創業から発展を描いていく。

今でこそユーザーの一人として楽しませてもらっているNetflix。元々はDVDの宅配レンタルとして始まったという漠然とした知識はあったが、アイデアとしてそこまで斬新とは思えない内容から始まったNetflixがどのような考えと施策でここまでの企業に成長をしたか知りたくて本書にたどり着いた。

創業者のランドルフとヘイスティングスによって試行錯誤しながら少しずつ規模を拡大していくなかで、もっとも物語として魅力できなのは、店舗によるレンタル大手のブロックバスターとの、熾烈な主導権争いでろう。既存店舗からオンラインへ消費者が移っていく中、Netflixに遅れてオンラインレンタルに踏み切ったブロックバスターが猛烈な追い上げを見せるのである。

本書はNeflixと同じぐらい、ブロックバスターのCEOであるアンティオコを中心として多くの主要人物の様子を描いている。ブロックバスターはやがて引退したアンティオコのあとを引き継いだキーズの愚策によって凋落するが、Netflisの発展は、ブロックバスターの存在なくしては語れないだろう。

後半の山場はユーザーにおすすめする映画の精度をあげるためにNetflixが100万ドルの賞金をかけて実施したアルゴリズムのコンテストである。最初はアルゴリズムに自信のある人々が世界中から参加して順位を競っていたが、やがて、すぐれたチームどうした融合してさらにいいものを作るようになる。

全身全霊をかけて自分の信じるものにかける生き方が本当に羨ましい。Netflixが、他のスタートアップと違うところは、創業メンバーの多くが、すでに社会人経験をある程度している人間だということだ。つまり、僕らも今からでもできるとうことである。そんな勇気をもらえる一冊。

【楽天ブックス】「NETFLIX コンテンツ帝国の野望」

「マツダがBMWを超える日 クールジャパンからプレミアムジャパン・ブランド戦略へ」山崎明

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
品質はいいのに「安くていいもの」しか作れない日本の企業を嘆き、BMWやロレックスなどを例に、ブランドの育て方を語っている。

高級なブランドを作ろうと思ったら何をすればいいだろう。高品質なものを高く売ることから始めたらいいだろうか。おそらく高級なブランドを作るために考えなければならないのは、品質と値段だけではないのだ。ブランドが確立されれば、品質によらず商品が高く売れる。本書は自動車ブランドを中心い多くの例を交えながら、ブランドを語っている。

序盤では、海外のブランドに焦点をあて、それらがどのようにブランドを確立していったかを説明している。例えば、BMWは50年ほど前までは高級と呼ばれるレベルではなかったが、「運転を楽しむ」という個性を追求した結果、今ではメルセデスと並ぶブランドに成長している。そのほかにもロレックスやポルシェ、フォルクスワーゲンのブランド戦略を説明している。

中盤以降は、日本のメーカーに目を向けて、なぜブランド価値が上がらないかを説明している。トヨタがレクサスブランドを別に作りながら、やっていることが変わらないため、結局レクサスはトヨタと同じ大衆車という認識を持たれてしまっている。ブランドの価値を理解して、買収してもブランドの名を残すフォルクスワーゲンなどの海外ブランドと比較して、買収するとともに自社名に変更してしまうソニーなど(コニカミノルタ買収の件)日本企業をブランドの理解が乏しいと嘆いているのである。

そんななか、最後にマツダについて、唯一日本で海外ブランドと渡り合えるポテンシャルを持っていると推している。最近多方面でマツダへの注目の高さを耳にするので、今後にぜひ期待したい。

本書を読んで、海外の有名な自動車ブランドの多くが、実はフォルクスワーゲンの傘下に入っていることに驚かされた。ベントレーもブガッティもランボルギーニも現在はフォルクスワーゲンなんだという。この驚きがまさに、フォルクスワーゲンのブランド戦略がうまくいっている証拠と言えるだろう。ブランドを作るために大切なことがたくさん詰まっている一冊。

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「今すぐ本を出しなさい ビジネスを成長させる出版入門」水野俊哉

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
本を出版することをマーケティングと位置付けて、その方法を語る。

自分の考えを多くの人に届けるにはどのような方法があるだろうか。ブログやYouTubeなど選択肢がある中、出版という方法にも興味を持って、その進め方が知りたくて本書にたどり着いた。

本を出しても、それほど利益にならないことは多くの人がなんとなく感じていることではないだろうか。しかし、本を出すことにはマーケティングとして大きな意味がある。本書では、これまでのマーケティング手法が少しずつ通用しなくなった中、本を出すことのマーケティングとしての意味を語り、その手法を語っているのだ。

まず必要なことは、本を出す目的を明確にすることである。

テレビ・政界進出型
情報商材を売る・セミナーをする
副業から独立への道
趣味のブログ→夢の書籍化→人生の思い出作り
企画持ち込み→仕事の依頼→大ベストセラーを書くぞ
どうしても書きたいこと、伝えたいことがある

また、出版の3つのタイプを説明している。

商業出版
自費出版
カスタム出版

である。それぞれメリットもあればデメリットもあるので、出版の際はぜひ適切な選択をするのがいいだろう。

そして、最大の難関として出版社への企画の通し方について、多くのページを割いて説明している。大事なのは、テーマ選びと出版社の傾向の把握だという。人気のあるテーマとして本書では次のカテゴリを推している。

お金儲け
モテ・恋愛
結婚
自己実現
勉強法・読書術
時間術
開運方法

だれでも一つか二つ、語れることがあるのではないだろうか。

後半は、優れた目次の書き方や、作った本のプロモーションの手法について書いている。自分で買い占めてランキング上位に食い込む方法などは、倫理的にきになる人もいるかもしれないが、(個人的には許容範囲)出版した際は参考にしたいと思った。

全体的に、本書を読んで出版というものへのイメージがかなり見えてきた気がする。

【楽天ブックス】「今すぐ本を出しなさい ビジネスを成長させる出版入門」

「もういちど生まれる」朝井リョウ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大学生を中心とした複数の登場人物を扱った物語。

汐梨(しおり)、ひーちゃん、風人、尾関、ダンサーのハル、椿と梢の双子の姉妹、翔太、佐倉結実子、渡辺新、ナツ先輩。10代後半の大人になる途中の若者たちの悩みが描かれている。夢や恋や嫉妬や兄弟愛などである。

特に大きな学びがあるわけではないが、独特の雰囲気を持っているので、好きな人はいるのではないだろうか。朝井リョウの作品は本作品で二作目だが、いまいち魅了されるほどには至っていない。登場人物と同じ悩みを共有できる10代や20代に受けているのかもしれない。

個人的には登場人物の名前の美しさが印象に残った。

【楽天ブックス】「もういちど生まれる」