「握る男」原宏一

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
金森信二(かなもりしんじ)は生きていくために寿司職人になることを決意する。しかしそこで出会った年下の男ゲソこと徳武光一郎(とくたけこういちろう)はその才能と努力で彼を一気に追い抜きのし上がっていく。
序盤は寿司職人たちの厳しい生き方が描かれているが、同時に懐かしい昭和の時代を感じる事が出来る。その寿司屋が両国に位置する事から、1985年に現在の場所に両国国技館が完成した事で大きく変わっていくのである。
前半はそんななかで兄弟子の嫉妬やいろいろな人間関係のなかで努力する金森(かなもり)と、次第に頭角を現していくゲソの姿が描かれている。
後半では金森(かなもり)とゲソは社長とその右腕となってバブル時代をのし上がっていくのである。時に過剰ともおもえるゲソの行動や決断は一体どこへ向かっていくのか。
正直もう少し寿司職人の人生に迫った物を期待したのだが、どちらかというと寿司はただ物語に軽く味を添える素材の一つでしかなく、若い2人の成り上がり物語となっている。
タイトルから想像した内容とは若干異なるが、時代背景を反映しているのでそれなりに楽しむ事が出来るだろう。
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