「博報堂デザインのブランディング」永井一史

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
長年ブランディングに関わってきた著者がその考え方を語る。

前半は著者のブランディングの考えを語り、後半はこれまで著者が手がけてきた事例を紹介している。

僕自身もデザイナーとしてブランディングに関わることはあるが、その過程で、言葉が定着していないために聞き手に伝わりやすい言葉選びに悩むことがある。そのため、本書のように他のブランディングに関わる方がどのような言葉を使っているのかが気になるところである。

本書では一般的にはブランドコンセプトと呼ばれることが多いブランドの核となる考えを「思い」と呼んでいる。そして、コンセプトデザイン、ビジュアルデザインと呼ぶことが多い、二つのデザインのカテゴリを思考のデザインカタチのデザインと呼んでいる。どれも結局受け手に伝わりやすいかどうかで場合によって使い分けるべきだろう。

また、デザインにおいて適切な情報のインプットが必要なのはよく知られたことであるが、著者はそのインプットを5つに分類している点が印象的である。

  • 歴史性 ブランドのオリジンにさかのぼる
  • 機能性 何の仕事、どんな商品かを考える
  • 文化性 どんな豊かさやライフスタイルを提案できるかを考える
  • 社会性 ブランドがどう社会に役立つのかを考える
  • 関係性 ブランドと生活者の関係性を考える。

漠然とインプットを探すと視点が曖昧になりがちだが、こうして整理されるとしっかり網羅できる点が良さそうである。このインプットのぶんらうい方法は早速取り入れたいと思った。

後半は事例説明ではあるが、伊右衛門、表参道ヒルズなど誰でも知っている有名ブランドが溢れているのは圧倒される。知識としてブランディングの手法を知っているだけでは叶わない実績のインパクトと大企業でブランディングに関わるメリットをあらためて感じた。

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