「ストーリー・セラー」有川浩

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
小説家である妻と、その作品に惚れ込んだ夫の物語。
特別印象的な内容というわけではなかったが、女性の小説家を主人公に据えているということで、著者自身の体験が反映されておりかなりの部分が現実に近い形でえがいているんだろうと感じられた。
物語全体がSideAとSideBの大きく2編に分かれており「イニシエーション・ラブ」を連想させる。ひょっとしたら僕が読み取ることができなかった裏の意図が込められているのかもしれない。
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「塩の街」有川浩

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
塩害と呼ばれる災害が地球に広がり、多くの人が塩と化して亡くなった。そんななか出会った秋庭(あきば)と両親を失った真奈(まな)の物語。
塩害によって秩序を失った世界で生きる2人の様子が描かれる。なぜ「塩害」なのかという部分には触れられていないので、洪水や地震のようにもう少し実際に起こるような災害にしても著者が訴えたいものは訴えられたような気もする。
物語はそんな災害のなかで知り合った秋庭(あきば)と真奈(まな)が少しずつ絆を深めていくという流れである。著者有川浩の初期の作品ということで、物語自体に強い個性のようなものは感じられない。よくある物語の一つといった印象である。
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「阪急電車」有川浩

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
関西圏の私鉄グループ阪急の路線の今津線で繰り広げられる人々のドラマを描く。
阪急電車はドラマを描く舞台を電車や駅に限定しただけにすぎない。電車のなかには通勤、通学など、送り迎えなど様々なドラマが繰り広げられる。本書が描くのはそんななかでも強く生きようとしている女性たちに焦点をあてているように感じる。
本書が扱う10人ほどの女性のなかでも特に印象的なのは、婚約者を同僚に奪われてその相手の結婚式に復讐を決意して参加する翔子(しょうこ)の生き方であるが、そのほかにも女子高生悦子(えつこ)と年上の馬鹿な彼氏の話や、ランドセルを背負った誇り高き少女の話など、魅力的な登場人物があふれている。
ローカル線ののんびりとした雰囲気を、強い女性たちの信念で味付した見事な一冊。
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「空の中」有川浩

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
地上20,000メートルで航空機と自衛隊機が何かにぶつかって爆発した。調査するためにその空域に向かった光稀(みき)と高巳(たかみ)はそこで人類が発生する以前より人知れず漂っていた知的生命体と出会う。
序盤は言葉も人類の文化も知らない知的生命体との出会いに終始する。光稀(みき)と高巳(たかみ)の掛け合いがいい味を出している。女性でありながら優れた動体視力を備えた航空自衛隊パイロットの光稀(みき)からは千里眼シリーズの岬美由紀(みさきみゆき)を連想せずにはいられない。
そんな地上2万メートルに現れた生命体との遭遇と平行して、小さな知的生命体と出会った四国に住む斉木瞬(さいきしゅん)とその友人の佳枝(かえ)のエピソードも進む。中学生という多感な時期の様子が描かれていて、周囲の大人たちが思っている以上に、人との間に複雑な駆け引きをしている思春期の様子が巧くが描かれている。
しかし、残念ながら本作品中もっとも多くのページを費やされている、「白鯨(はくげい)」と呼ばれたその知的生命体と人類の間に発生する誤解や共存のための話し合いなどは、個人的には面白くもなんともない。、現実に存在する生き物からヒントを得たわけでもなくほぼ100%著者の想像の生き物であるから、その言動には大して興味をかきたてる要素もなく、その間、何度本を閉じたくなったかわからない。
結局、本作品の中でもっとも印象的だったのは、瞬(しゅん)の近所にすむ宮じいのしごく当たり前ともいえる言葉。

間違うたことは間違ごうたと認めるしかないがよね。辛うても、ああ、自分は間違うたにゃあと思わんとしょうがないがよ。皆、そうして生きちょらぁね。

いろいろな要素が詰まっているといえば聞こえはいいが、僕にいわせれば作者の訴えたいことがひどくあいまいで、バランスさえも考慮せずに思いつくままに書いた作品といった印象を受けてしまった。


ハーマン・メルヴィル
アメリカの作家(Wikipedia「ハーマン・メルヴィル」
参考サイト
イオンクラフト(リフター)

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