「ルワンダの大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記」レヴェリアン・ルラングァ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1994年の4月から7月にかけて総計100万人のツチ族が同じルワンダに住むフツ族によって殺された。幸運にもその虐殺のなかで生き残った青年ルラングァがその様子とその後を語る。
ルワンダの虐殺といえば、アウシュビッツなどと並び世界史において「ジェノサイド」という言葉を用いられる数少ない例の一つ。「ルワンダの涙」「ホテル・ルワンダ」などでもそのエピソードは知られている。
本書ではそんな1994年の大虐殺のまさにその「迫りくる死」を描いている。目の前で多くの知り合いが殺され、そして妹や母までもが無残に殺されていくのである。信じ難いのは当時公共のラジオ放送が人々にツチ族を殺すように呼びかけていたことである。

「僕はまだ八歳なんですが、もうツチ族を殺してもいいんですか?」
「かわいらしい質問だね!誰でもやっていいんだよ!」

最初は、生き残ったのはどこかに隠れていて運良く見つからなかったからだろう、と思っていたのだが、実際には、肩を砕かれ、鼻を削ぎ落とされ、左手を失ってその苦しさのあまり「殺してくれ」と叫んでいたから、逆に殺されなかったのである。「殺さないでくれ」と叫んでいたらきっと殺されていただろう。
そして、その虐殺の後についても描かれている。スイスの慈善団体の助けで生き延びた彼は、その後またルワンダに戻って、自らの腕を切り落とした男と再会するのである。自らを生死のふちに追い込み、親や妹達を殺した殺人鬼が普通に日常を送っていることに耐えられないルラングァ。終盤はその心のうちを描いている。読んでいて感じるのは、僕とほとんど変わらない年齢にも関わらず人生の苦難の多くを経験してしまった彼の荒んだ心のうちである。
全体的に文章から強い怒りを感じ、冷静に分析されて描かれた内容とはいえないが、その狂気の様子を知るひとつの手がかりにはなるだろう。
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「クラウド化する世界 ビジネスモデル構築の大転換」ニコラス・G・カー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Googleのサービスに見られるように、世の中はクラウドというスタイルへと移行しつつある。本書の序盤はそんな「クラウド」について、過去にクラウド化された物を例にとって初心者にもわかりやすく説明している。
その例に使用されているのが、「電力」である。発電機が発明されて、電気にガスよりも多くの利点があると世の中が認識すると、すぐにお金のある企業は発電機を買って電気を利用し始めるが、やがて「電力」はおのおのの企業や家庭がその敷地内で発電するものではなく、現在の「発電所」と呼ばれるような、ひとつの場所で多くの電力を発電し必要とされる場所に送られることが一般的になっていった。
この電力の進化の流れは、現在の「クラウド」と呼ばれるものと同じ流れであり、そう考えると「クラウド」という言葉こそインターネット向けに使われ始めたものではあるが、その進化の流れは決して特別新しいものではないことがわかる。遠距離に送ることができて、その送るインフラが整備されていれば、それはひとつの場所で大量に生産するほうが効率的で、利用者にとっても余計な知識や維持費が不要になるのである。
そんなクラウドの流れを説明するとともに、中盤以降ではセールスフォースなど現在あるクラウドサービスについて解説し、終盤にかけてはクラウド化が人に及ぼす影響に対して疑問を投げかけている。

インターネットで入手できる豊富な情報は、過激主義を抑えるのではなく、むしろ拡大するかもしれない。人間は自分の見解を裏付ける情報を得ると、自分の考えこそが正しく、自分とはことなる考えを持つ人は間違っているのだと、確信してしまう。
我々が技術を作り上げるのと同じくらい確実に、技術も我々を形成する。

翻訳のせいか若干読みにくく、また全体的に著者が言いたいことや本全体としての焦点が「Google」なのか「インターネット」なのか「クラウド」なのか、はっきりしないと感じる部分もあるが今のインターネットの流れを把握するには非常にわかりやすい内容である。
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「グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた」辻野晃一郎

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ソニーでVAIO、スゴ録などを生み出し、その後グーグル日本代表取締役を務めた著者がソニーと、グーグルについて語る。
タイトルにグーグルの名前があるが、内容の大部分は著者のソニー時代のエピソードで占められている。入社当時、すでに立派な企業であったソニーはすでに大企業病に陥っており、過去の人々が築き上げた栄光にすがって努力をしない人々がいた。本書のなかで語られるエピソードからは、そんな組織のなかで著者が悪戦苦闘する様子が伝わってくる。

「まあ、ソニーだからなぁ。出せば売れるんだよ」
こういう連中が偉そうな顔をしてふんぞり返り、過去の栄光にすがって何もしないからソニーはどんどん駄目になっていくんだ。

第七章では「ウォークマンがiPodに負けた日」としてAppleのiPodとiTunesについても語っている。著者が言うにはインターネットで最初に音楽配信をやったのはソニーだったということ。にもかかわらず、人々の音楽の楽しみ方の変化についていけなかったゆえにアップルとの差は開く一方。すでにいろんなメディアで語られたアップルの成功物語であるが、それをソニーの内部という違った目線から語られるので新鮮である。

当時の旧ウォークマン部隊の人達は、iPod対抗を議論するときに、依然として「音質の良さ」とか「バッテリーの持ち時間」、果ては「ウォータープルーフ(防水加工)」などの話を主題として持ち出してくるので唖然とした。
新商品発表会でスピーチをする直前、スタッフが入手してきたiPod nanoが手元に届いた。彼等の新製品を一目見た瞬間に、私は敗北を悟った。

最後に、自らの体験を振り返って、これから日本の企業がどうあるべきかを語る部分が非常に印象的である。異なるタイプの世界的な企業に勤めた経験がある著者が語るからこそ非常に重みを持って響いてくる。

まず日本でうまくいったら次はアジア、そして欧米、といったような順次拡大の発想をするのではなく、最初からいきなりグローバルマーケットに打って出る、といった大胆なアプローチを考えて欲しいものだ。それが世界に貢献する日本を取り戻す未来に繋がる唯一の道であると思う。

今のこの変化の激しい時代を生きることを大変と思う人もいるだろうが、むしろ、様々な生活を楽しむことのできる貴重な時代に生きている、と前向きに受け取ることもできる。著者が締めくくったそんな内容のエピローグにはなんか元気をもらえた気がした。
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「ブラバン」津原泰水

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
友人の結婚式の演奏のために高校時代の吹奏楽部を再結成することになった。25年の時を経て再びあつまる人々の物語。
コントラバスを担当していた他平等(たひらひとし)によって物語は語られ、25年前の高校生活の様子と、現代のメンバーを集める様子が描かれる。残念ながら少し時代のずれている僕にはあまり共感できなかったのだが80年代の音楽シーンの変遷をしっかり描いているようで、その時代に同じように音楽に青春をかけた読者にとっては響くないようになっているのではないだろうか。
希望に満ちた10代と希望の薄れた25年後、幸せをつかんだものとそうでないもの。25年という時間によって、人生の暗と明を同時に表現しようとしているようにも感じられる。

人類史上一人でもいるだろうか。まともな知性に恵まれながら、十代の夢はすべて叶ったと高笑いできる大人はいるだろうか。十代の自分を振り返る大人の視線は手厳しく、今の自分を見つめる十代の頃の視線は残酷だ。

非常に登場人物が多く、語り手が25年前と現在の状況を交互に織り交ぜて語るためになかなか時代の区別がつきにくく非常に読みずらい。爽快な青春物語を期待しただけに、なかなか伝わってこない物語に結構ストレスを感じてしまった。

デニス・ブレイン
イギリスのフレンチ・ホルン奏者である。死後の今に至るも世界中で最も卓越したホルン奏者のひとりとして知られる。(Wikipedia「デニス・ブレイン」

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「泣いた日」阿部勇樹

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本代表阿部勇樹について、幼少時代のことクラブでのこと、日本代表でのことなどを、阿部勇樹本人や、家族、そしてオシム監督が語る。
タイトルにあるように、本作品は阿部勇樹の涙もろさをテーマとして構成されており、実際に本書を読んだ印象は、サッカー選手としては本当に阿部勇樹は繊細であるということ。それでもそんな彼が日本代表まで上り詰めることができる日本のサッカー界はなかなか悪くないのだろう。
阿部勇樹本人が語る章では、ジェフ時代に出会ったオシム監督とのことについて非常に多くページが割かれていて、阿部がオシム監督から受けた影響の大きさが見て取れる。
後半には父や妻の視点で阿部勇樹が語られ、どれも等身大の阿部勇樹を見せてくれる。
一方で、日本代表にクラブチームなどにおける試合などにはほとんど触れていないため、むしろサッカーファン向けの内容とは言えないのかも知れない。
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「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」ランス・アームストロング

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
アメリカ人の自転車選手ランス・アームストロングの半生。自転車選手として頭角を現す過程と、睾丸癌により死の淵に立たされてから再び復活するまでを描く。
「マイヨ・ジョーヌ」とは、世界最高峰自転車レース、ツールドフランスでトップの選手が着ることを義務づけられたウェアのこと。とはいえ本書は自転車選手の生涯というよりも、著者自身が強調しているように癌という病気から復活した一人の人間の物語と言う側面が強い。
本書のなかでは病気に限らず、自転車レースがメジャーではないアメリカという国で育った故に、ランスが直面することになった困難が描かれている。その困難を克服する彼の信念は培ったのは、その周囲の人々によるところが大きい。特に、ランスの母が彼に接する様子は非常に印象的である。女手一つで息子を育てながら、常にランスの考えを支持し、決して彼のやることを否定せず、常に挑戦することを求め続けたのである。

母はただ、誠実に努力すれば物事は変わり、愛は救いをもたらす、ということを知っていただけだ。「障害をチャンスに変えなさい。マイナスをプラスにするのよ」と言うとき、母はいつも自分のことを言っていたのだ。僕を産むという決心をしたこと、そして僕を育てたそのことを。

そして、睾丸癌の告知。生死の縁に立たされたことのある多くの人同様、それまでやや傲慢だったランスの考えが次第にではあるが大きく変わっていくのがわかる。

恐怖とはどういうものか、僕は知っていると思っていた。自分が癌だと聞かされる前は。本物の恐怖、それはまぎれもない、まるで体中の血が逆流するような感覚とともにやってきた。
どうして自分が?どうして他の人ではなく自分が?でも僕は、化学療法センターで僕の隣に座っている人より、価値があるわけでもなんでもないのだ。

そして終盤は妻、キークとの出会いと、失意の日々から抜け出してツールドフランスで優勝するまでが描かれている。キークもランスの母と同様、非常に洗練されて思慮深い女性として描かれていて、母とキークだけでなく、ランスが多くの理解者にめぐまれていたということが全体を通じての印象である。
著者ランス自身が、その闘病生活を振り返って、「それまで言われた言葉のなかでもっともすばらしい言葉」として看護婦がランスに言った言葉がある。

いつかここでのことは、あなたの想像の産物だったと思える日が来るように祈っているわ。もう私は、あなたの残りの人生には存在しないの。ここを去ったら、二度とあなたに会うことはないよう願っているわ。そして、こう思ってほしいのよ。『インディアナの看護婦って誰だっけ?あれは夢の中だったのかな』

「明日死ぬとしたら」という問いは、生きている時間の大切さを考える上でよく投げかけられるものではあるが、なかなかそういう風に生きられるものではない。人は怠けるし、現状に甘んじてやるべきことを、いつでもできること、と思ってしまう。本書で描かれているランスの人生はまさに、そんな怠けた心に活を入れてくる。僕はやるべきことをやっているか。やりたいことをやっているか、と。たまたま自転車レースについて調べて本書を知ったが、読み終えて思うのは、本書はもっと多くの人に知られて、もっと多くの人に読まれるべき価値のある本だということ。
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「凍土の密約」今野敏

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ロシアに精通した公安捜査官倉島(くらしま)の物語の第3弾。都内で発生した殺人事件の捜査に加わるように倉島(くらしま)は理由も告げられずに指示される。
「曙光の街」「白夜街道」に続く第3弾である。前2作品は元KGB諜報員ヴィクトルと倉島(くらしま)の双方に焦点をあてた物語だったが、本作品では残念ながらヴィクトルは名前として出てくるだけで姿を現さない。そのためシリーズのなかではかなり地味な展開になっている。
さて、都内で発生した殺人事件で、明らかにプロの仕業と思われる遺体を目の当たりにし、倉島(くらしま)はそのロシア絡みの情報網から一人のロシア人、アンドレイ・シロコフという名前にたどり着く。いったいその男は何を企んでいるのか、なんのために被害者たちを殺したのか。その真相を突き止めるため、倉島(くらしま)はロシア人やその関係者たちから情報を得ようとする。しかしそれは、一歩間違えればこちらの動きを相手に教えて、自らも命を狙われかねない行動。常に危険な駆け引きの連続である。ある人間について調べるためにその人間の名前をネットで検索するだけで、追跡者として特定され命の危険にさらされる。そんな様子はなんでもかんでもまずインターネットで調べようとする人にとっては衝撃かもしれない。
さて、真実が明らかになるにつれてそれは第二次世界大戦中の出来事へとつながっていく。公安捜査官の活動は近年いろいろな刑事ドラマに取り上げられるせいか、一般の人にもある程度知られるようになっては来ているが、それでも平和な日本を満喫している僕らにはとても現実感わかない世界である。本作品はスピード感や読者を一気に引き込む力があるわけではないが、そんな公安捜査官たちが、僕らの視界に入る前のところで平和を守ろうと奔走する姿が伝わってくる。
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「フェルマーの最終定理」サイモン・シン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
17世紀に数学者フェルマーが残した定理。その余白には「証明を持っているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」とあった。以後、3世紀に渡って世界の数学の天才たちの挑戦を退けてきたこの定理がついに1994年アンドリュー・ワイルズによって証明されることとなった。
数学が好きな人間なら誰でも聞いたことがあるだろう。「フェルマーの最終定理」をここまで有名にしているその理由の一つがそのわかりやすさである。数学の素人でさえもその定理が言っていることの意味はわかるゆえに誰もが証明したくなるのだが、それを証明することも判例をみつけることもできない。
本書は数学における「証明」というものの意味、そして数学者の性質から非常にわかりやすく、そして面白く説明している。タイトルを聞いただけで数学嫌いな人は敬遠してしまうのかもしれないが、本書は本当にすべてをやさしく書いている。
さて、そして物語は徐々にそのフェルマーの最終定理の核心へと繋がっていく。驚いたのは、その証明にあたって、日本人の数学者志村五郎(しむらごろう)と谷山豊(たにやまゆたか)によって考え出された谷山=志村予想が大きな鍵となったことである。
過去、多くの人がその証明に挑戦し敗れるなかで編み出されたいくつもの数学的証明手法をいくつも見ることで、フェルマーの最終定理は決してただ一人の数学者によって証明されたわけではなく、アンドリュー・ワイルズを含む多くの数学者による努力の積み重ねによって成し遂げられたとわかるだろう。
そんな数学者たちの300年の汗と涙がしっかり感じられるから、アンドリュー・ワイルズの証明の瞬間には鳥肌が立ってしまった。

そろそろお茶の時間だったので、私は下に降りていきました。私は彼女に言いました——フェルマーの最終定理を解いたよ、と

現代に生きる人は思ったことがあるだろう。科学が発展し地上のすべてがすでに切り開かれ、未知なる物など地球上にはなく、なんて退屈な世の中なのだろう…と。しかし、本書は見せてくれる。数学の世界にはまだまだ未知なる世界があふれている、と。
わからない言葉もいくつかあったが、数学という世界の魅力を存分に伝える一冊である。
【楽天ブックス】「フェルマーの最終定理」

「観察眼」遠藤保仁/今野泰幸

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本代表の遠藤保仁(えんどうやすひと)と今野泰幸(こんのやすゆき)が、過去のサッカー人生や、現在の日本代表、Jリーグなどを語る。

今野(こんの)の語る内容からは、とりたててとりえのなかった選手が日本代表になるまでの苦労や心構えが感じられる。人見知りゆえに、初めて代表に呼ばれたときは風をひいてしまった苦労など、組織の中で自らの長所を知り、それを活かしつつ監督の求める要求にこたえる。というむしろサッカーに限らず組織のなかでの心構えとして通用しそうな内容である。

また、後半の遠藤(えんどう)の内容からは、さすがに現日本代表のキープレイヤー的な視点を感じさせてくれる。

例えば、俺が考えているのは「ボールを見る時間を少なくすること」。サッカーというスポーツは、基本的にボールが選手の足下にある。下を向けば当然、上を見られない。下を向く時間を0.1秒でも短くすれば、その分だけ周囲の状況が見られる。

2人の語る内容からは、ザッケローニの求める理想の選手像とオシムの求める選手像の違いが見えてくる。また、間の章ではアジアカップ準々決勝のカタール戦について、試合経過ごとの2人の心のうちを語っている点が面白い。その試合を観戦していない人がどれほど楽しめる内容か、はなんとも言えないが、2人とも派手な選手ではないだけに、その心のうちは新鮮である。
【楽天ブックス】「観察眼」

「エデン」近藤史恵

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
白石誓(しらいしちかう)はフランスのロードレースチームに所属している。ツール・ド。フランスで出会ったのは、敵チームに所属していて、めきめきと頭角を現してきたニコラとその幼馴染であるドニだった。
「サクリファイス」の続編である。前作は日本でのロードレースを扱っていたたが本作品はその3年後の物語。全作品と同様ロードレースという日本ではとても注目度が高いとはいえないプロスポーツの世界ゆえに、その世界に身を置く選手たちやその環境などどれも新しいことばかりで非常に面白い。
誓(ちかう)は、チームのエースであるフィンランド人のミッコをアシストすることを自らの役割としてレースを戦うが、すでにチームの解散が現実味を帯びている状態ゆえに、チーム内の選手間や監督との間に不和が広がる。
そしてレース全体を覆うのはドーピング問題。それはもはやドーピングをした選手がいるチームの問題だけに限らず、ドーピングの事実が発覚することはロードレースの人気の低下、そしてスポンサー離れにつながるゆえに、選手たち全員に影響を与える問題。さまざまな要素を物語に織り込みながら誓(ちかう)はレースを戦っていく。
そして全作品にも劣らないラスト。すでに出版されている続編「サヴァイブ」も近いうちに読みたいと思わせる十分な内容である。

最初は罪のない、誰も傷つけない嘘のはずだった。
マイヨ・ジョーヌ
自転車ロードレース・ツール・ド・フランスにおいて、個人総合成績1位の選手に与えられる黄色のリーダージャージである。各ステージの所要時間を加算し、合計所要時間が最も少なかった選手がマイヨ・ジョーヌ着用の権利を得る。(Wikipedia「マイヨ・ジョーヌ」

【楽天ブックス】「エデン」

「“痛みなく”“疲れなく”気持ちよく完走できるランニングLesson」

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
「”痛みなく””疲れなく”気持ちよく完走できるランニングLesson」
マラソンについて初歩的な内容から順々に解説している。ランニングをすることのメリット、ランニングを始めるための体作り。フルマラソン、ハーフマラソンのためのトレーニング、体のケアの方法などである。

昨今のマラソンブームのなか、マラソンを始めた人は多いのだろう。しかし「マラソン」と聞くと、だれもが学生時代の授業で経験があるせいか、大した知識を必要とせずにひたすら走れば肺活量の向上によって上達するもの、と思うかもしれない。

しかし、実際にはそのままではモチベーションを保てたとしても度重なる怪我や、向上しないタイムと向き合うことになるのである。
本書は単にトレーニングの方法だけでなく、現代に合わせた、たとえばネットを利用した仲間との交流によるモチベーション維持など、総合的に役立つ情報をコンパクトにまとめている。初心者ランナーには一読の価値ありといえるだろう。
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「現代アートビジネス」小山登美夫

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ギャラリストである著者がその経験のなかから得た知識をもとに、現代アートについて語る。アーティストたちはどうやって有名になっていくのか、展覧会はどうやって開かれるのか、アートの値段はどうやって決まるのか、など、どこか敷居の高い世界、として距離を置いてしまうような空気のある現代アートについて、非常にわかりやすく解説している。
個人的に面白かったのは第3章の「アートの価値はどう決まる」である。世の中に最初に出たときの値段であるプライマリープライス、そしてオークションや売買などを経て変化するセカンダリープライス。と、アートの値段の決まり方を示してくれる。
そのほかにも、村上隆と奈良美智とのエピソードや海外のアート事情など、どれも興味を掻き立ててくれるだろう。そして、全体を通じて、現代アートをビジネスとしてだけでなく、作品、アーティスト、業界全体含めて「温かく育てていこう」という著者のアートに対する思いが伝わってくる。

アートは「商品」である前に、「作品」です。世界に一点しか存在しない。工業製品のように大量生産ができるわけでもないのです。作品には生身の人間が関わっているからこそ、アートは高額商品となり得るのです。

「ちょっとギャラリーを訪れてみようかな」と思わせる一冊である。

サザビーズ
現在も操業する世界最古の国際競売会社。インターネット上でオークションを開催した世界初の美術品オークションハウスでもある。(Wikipedia「サザビーズ」
クリスティーズ
世界中で知られているオークションハウス(競売会社)。ライバル社であるサザビーズと比べ、より大きな市場占有率を幾年にも渡って保持してきており、収益からみるとクリスティーズ社は現在、世界で最も規模の大きいオークションハウスである。(Wikipedia「クリスティーズ」
ジュリアン・オピー
イギリスの現代美術家である。シンプルな点と線による独特な顔を生み出し、世界の名だたる美術館に作品が貯蔵されている。(Wikipedia「ジュリアン・オピー」
キース・へリング
ストリートアートの先駆者とも呼べる画家で、1980年代アメリカの代表的芸術家として知られる。シンプルな線と色とで構成された彼の絵は日本でも人気があり、キースの作品をプリントしたTシャツがユニクロなどから販売されるなど広く知られている。(Wikipedia「キース・ヘリング」
ジャン=ミッシェル・バスキア
ニューヨーク市ブルックリンで生まれたアメリカの画家。1983年にはアンディ・ウォーホールと知り合い、作品を共同制作するようにもなる。(Wikipedia「ジャン=ミシェル・バスキア」
参考サイト
Julian Opie |
Keith Haring
Tomio Koyama Gallery 小山登美夫ギャラリー

【楽天ブックス】「現代アートビジネス」

「サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉」春山昇華

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
2007年の夏、サブプライムローンを初めとする住宅ローンへの不安から起こった金融危機。本書は「サブプライム」という言葉でひとくくりにされている問題を、住宅バブル、略奪的貸付、金融技術、世界の余剰資金という複数の視点から見つめ解説する。
理系の僕は正直言って経済には疎く、なかなかこの手の内容が理解できない。本書を手に取ったのも数日前に読んだマイケル・ルイスの「世紀の空売り」の細かい金融商品の仕組みが理解できなかったからである。本書も8割も理解できれば上出来かな、と思っていたのだが、非常に読みやすくわかりやすい。著者があとがきで「学生にもわかるような解説書にするという難題」と書いているとおり、経済の知識が未熟な人にも十分に理解できるような内容になっている。
興味深かったのが、サブプライム問題を理解するためにはアメリカという国の背景を理解する必要があるという説明のなかで、日本や欧州は消費者が冷遇されているが、アメリカは消費者が優遇されているという点である。アメリカでは借金をして豊かな生活をする文化が日本よりもはるかに染み付いているゆえに、金融商品がさまざまなニーズにこたえる形で発達しているのである。それ以外にもアフガン戦争やカードローンなどをサブプライム問題をここまで深刻にした要素としてあげている。
また、本書ではサブプライム問題の解説とともに、今後の世界の姿を描いている。今までアメリカが輸入超過で貿易赤字を生むことで、世界の景気を支えていた、それゆえに今後は世界の景気を支えるためにはアメリカに変わる貿易赤字大国が必要、というのはひょっとしたら経済に詳しい人には常識なのかもしれないが、僕にとっては非常に新鮮だった。
今まで見えなかった世界の動きが少し見えるようになった気がする。

国際決済銀行
通貨価値および金融システムの安定を中央銀行が追求することを支援するために、そうした分野についての国際協力を推進し、また、中央銀行の銀行として機能することを目的としている組織。1930年に第一次世界大戦で敗戦したドイツの賠償金支払いを取り扱う機関として設立された。本部はスイスのバーゼル。(Wikipedia「国際決済銀行」

【楽天ブックス】「サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉」

「Beフラット」中村安希

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
著者が多くの政治家たちをインタビューし、その会話のなかで疑問に思ったことなどを素直につづる。
「インパラの朝」の旅行記の女性ならではの独特かつ素直な視点と、深く考えて生きている様子に好感を抱いて、本作品にも同様のものを期待して手にとったのだが、読み始めてすぐ実は旅行記ではないと気づき、読むのをやめようかとも思ったのだが、読み進めるうちに本作品も悪くないと思い始めた。
政治関連の本というとどうしても、漠然とした政策や理念の羅列になってしまって何一つ具体的なことが見えてこないのだが、本書ではそんな僕らが思っていることを著者が代弁してくれる。わからないことをはっきりと「わからない」と言ってくれる著者の姿勢が新鮮である。政治家の説明だけ聞くと正論に聞こえるけど、なんだかそれは正論過ぎて実現しそうにない、と言ってくれるところもなんだかほっとする。
そして、日本の状況をアメリカや北欧など、著者の海外での経験と照らし合わせて比較して見せてくれる。著者は別に「ああすべき」とか「こうすべき」と語っているわけではないが、「どうすればいいんだろう?」と読者が素直に考えてしまうような、少し敬遠したくなるような政治や政策を近くに運んできてくれるようなそんな一冊である。
政治や政策を熟知している人には別に薦められるような内容でもないが、イマイチ政治に関心がない、という人は読んでみるといいのではないだろうか。
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「現代アート、超入門!」藤田令伊

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
西洋絵画の良さはわかるが現代アートは何がいいのかさっぱりわからない。という人は多いだろう。実際僕もそんななかの一人。一体現代アートはどうやって楽しめばいいのか?そんな人にまさにうってつけの一冊。
著者は元々は普通のサラリーマンだったという経歴ゆえに、普通の人の目線に立って解説を進めていくため、難しい話は一切ない。ピカソの「アヴィニヨンの娘たち」、デュシャンの「泉」、アンディ・ウォーホルの「ブリロボックス」など節目となった作品や、マグリットの「光の帝国」やマーク・ロスコの作品のように意味不明なものまで、その楽しみ方を非常にわかりやすく解説している。
すでに現代アートを楽しめている人にはほとんど意味のない内容だが、現代アートに興味を持ちつつも「さっぱりわからない」という人が一皮向けるのにはちょうどいい一冊。個人的に本書を読んで思ったのは、もはや現代アートにおいては「アート」=「美術」という等式は成り立たないということ。

史上初のキュビズム絵画とされ、アートの歴史に名を刻んだ「アヴィニョンの娘たち」は必ずしも「美しい」絵ではない。実際、ピカソ自身、美しく描こうとしたわけでもない。そして、「美」を求めない作家や作品は、現代アートにはゴロゴロしている。

個人的には現代アートとは、常に人々の既成概念を破壊しようとして進化しているように感じた。できるだけ現代アートの動向にもアンテナを張っておきたいと思う。

あれこれと思い巡らせた結果、「わかった!」という答えが得られなくてもかまわない。アート鑑賞は、必ずしも「わからあんければならないもの」ではないし、「わからないことがわかる」のも収穫となる場合がある。

複雑なことを考えずに現代アートを楽しもう、と思えるのではないだろうか。
【楽天ブックス】「現代アート、超入門!」

「デザインセンスを身につける」ウジトモコ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
デザインの重要性と、優れたデザインをするための考え方を著者の経験から示している。
どちらかというとデザイナー向けではなく、デザインの重要性を軽視しがちな人向けである。どこかで聞いたような話も多い中、個人的に印象的だったのは冒頭のアイコンデザインの話である。
アイコンデザインというと、つい数年前までデザイナーの仕事でしかなかったのだが、ここ数年は、Twitter、Facebookとオンラインでのコミュニケーションが一般の人にまで普及してきたため、すべての人が「アイコンデザイン」を考えなければいけない時代になっているという。しかし、多くの人がただ漠然と自分の写真をアイコンとして設定したり、顔を出すのを嫌がって、ペットなどの動物をアイコンに設定するケースも多い。
ところがアイコンによってその人が相手に与える印象は大きく異なってしまう。たとえば、同じ日常的な会話、「おやすみ」でも、その隣に表示されるアイコンの顔がアップなら押し付けがましい印象を受けるだろうし、小さく顔の映ったアイコンならまた違った印象を受けるだろう。こうやって考えると、オンラインだけのコミュニケーションが日常的になっている昨今、決してアイコンデザインを疎かにしてはいけない、と著者は言うのだ。多くの読者は読み終わったあとにアイコンを変えたくなるのではないだろうか。
また、AppleやGoogle、スターバックスなど誰もが知っている企業を例に挙げながらデザインの重要性を説いていく、冒頭でも書いたとおり、どちらかというとデザインへの関心の低い人向けであるが、そういう人は「デザインセンスを身につける」という本はなかなか手に取らないと思うが実際どうなんだろう。
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「金哲彦のマラソン練習法がわかる本」金哲彦

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
リクルートランニングクラブで小出義雄監督とともにコーチとして活躍した著者が、フルマラソンの魅力やトレーニングの基礎知識、そして、タイプ別のトレーニングメニューを紹介している。

先日読んだ小出義雄監督の「マラソンは毎日走っても完走できない」とは異なって本書の著者はインターバルトレーニングを推奨していないなど、若干異なる部分もあって戸惑うが、全体的には非常に読みやすい。本書では基本的な項目の説明ののち、3つのタイプの人間に合ったトレーニングメニューをフルマラソンの100日前から掲載している。何から始めればいいかわからないようなマラソン初心者にとっても、非常に具体的でわかりやすい内容と言えるだろう。

個人的には、どのメニューも外での練習を基本としていてジムなどで行う場合などの代替練習などにも触れてほしいと感じたりもしたが、基本的には満足のいく内容である。むしろトレーニングメニューは永久保存版にしたいくらいである。
【楽天ブックス】「金哲彦のマラソン練習法がわかる本」

「マラソンは毎日走っても完走できない 「ゆっくり」「速く」「長く」で目指す42.195キロ」小出義雄

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
高橋尚子をオリンピック金メダルに導いたことで有名な、小出義雄監督が、マラソン初心者がやりがちな間違えや、効果的に記録を伸ばすためのトレーニングを紹介する。

なんといっても本書の帯のコピー「マラソンの練習が分かっていないから30kmあたりで歩いてしまう人が多いんだよね」。この言葉にやられてしまった。実際僕が唯一挑戦したフルマラソンは26km付近で失速。その後は歩いてゴールするのがやっと。毎週のようにスカッシュやサッカーをやっていて体力に自信のある僕のよこを、おそらくマラソン以外のスポーツなど一切していないだろう年配の人たちが最後はどんどん抜いて行くのだ。恐らくマラソンに対する考えを間違えていたのだろう、と漠然と感じさせてくれる経験だった。

さて、本書のなかにはその答えに近いものが書かれている。一度もフルマラソンになど挑戦したことのない人が思い描く「マラソン」とは、せいぜい学生時代の校内マラソンの延長で、5キロかせいぜい10キロ程度なのだろう。そういう人は、肺活量を鍛えるためにひたすら走りがちだが、本書ではむしろ「足をつくる」ということを重視している。

肺活量はたしかに勝負のなかでは疎かにできなものなんだろうが、完走という目標をもっているひとにはたしかに優先度の低いものなのだろう。本書では、「足をつくる」ことを意識しつつ、その目標をハーフマラソン、フルマラソン、と、目標となるレース別にメニューを紹介している。

個人的には、そのトレーニングが、どの筋肉を鍛え、どういう状況で役に立つか、といった内容が書かれていなかったのが残念だが、それでも、読めばいやでもモチベーションがあがってくるに違いない。
【楽天ブックス】「マラソンは毎日走っても完走できない 「ゆっくり」「速く」「長く」で目指す42.195キロ」

「ゴールは偶然の産物ではない FCバルセロナ流世界最強マネジメント」フェラン・ソリアーノ

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
マンチェスターユナイテッドやレアルマドリードにチームの強さの上でも収益の面でも大きく遅れをとったスペインの名門FCバルセロナ。2003年に最高責任者に就任した著者が、FCバルセロナが世界最強のチームになるまでの過程を論理的に説明していく。
本書はサッカーのチームをその題材として描いているが、内容はいろんなことに応用できるだろう。印象的だったのは第4章の「リーダーシップ」である。この章ではチームを4つのタイプに分類し、それぞれのタイプに応じて指導者が取るべきリーダーシップのタイプについて語っている。
たとえば、チームのタイプが「能力はあるが意欲に欠けるチーム」であれば指導者は「メンバーの意見を聞き決断を下す」役割を担うべきで、チームのタイプが「能力があり意欲にあふれたチーム」であるならば、「メンバーに任務を委任し、摩擦が起きそうなときだけ解決に向けて調整をする」役割となる。というようにである。
一体世の中のどれほどの「リーダー」が、自分のチームのタイプに応じて自らの振る舞いを変えているだろうか。「リーダーは変わる必要がある」ということを漠然と理解している人もいるだろうが、ここまではっきりと示してくれるのは非常に新鮮である。そして、本書ではリーダーのタイプと合わせて、実際にバルセロナで指揮をとった、ライカールトやグアルディオラの言動にも触れているのである。僕自身、過去転職を繰り返して多くの自己顕示欲旺盛な「リーダー」を見てきたが、本書はそんな彼らに突きつけて見せたい内容に溢れている。
さて、「リーダーシップ」の内容にだけ触れたが、それ以外にも興味深い内容ばかりだ。「チーム作り」や「戦略」「報酬のあり方」など、もちろんいずれもサッカーを基に話が進められているが、どれも現実に応用可能だろう。
全体的には、バルセロナの成績だけでなく、所属した選手や周囲のビッグクラブ、たとえば銀河系軍団のレアル・マドリードなどに触れているため、サッカーを知らない人間がどれほど内容を楽しめるかはやや疑問だが、個人的にはお薦めの一冊である。
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「聖書の名画はなぜこんなにおもしろいのか」井出洋一郎

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
聖書の内容を知っていれば西洋絵画はもっと楽しめるはず。そういう考えでよく絵画に扱われるエピソードや、有名な絵画を例にとって解説している。
旧約聖書を中心に解説し、それぞれのエピソードで有名な絵、そしてその絵の登場人物の判断の仕方を解説している。当たり前のことであるが、各々のエピソードに登場する人物に対して、それぞれの画家の持つ印象は異なる。それゆえにその人物はそれを描く画家によって風貌が異なる。そういったなかで、どうやってその人物をそれと判断するか、と考えたときに、「アットリビュート」という物の存在が重要になる。
「アットリビュート」とは「○○を持っているのは○○だ」という考え方である。必ずしもそれは物ではなく時にはその風貌。例えば年老いているはず、とか若いはず。という要素として現れてくる。驚いたのは、絵画のなかに善と悪が存在する場合、右に位置するものが正しいということ。それゆえに「右(right)」=「正しい(right)」なんだそうだ。
本書で初めて知った印象的な画家は、アンドレア・マンティーニャ。ぜひ今後もしっかりとチェックしたい。
いずれにしても聖書の物語をしっかりと把握しておかないと理解しにくいものばかりで、まだまだ学ぶことは一杯あり先は長い、と感じさせてくれる一冊であった。

ユダはキリストが大好きだった。しかし、その何倍もキリストが妬ましかったのだろう。

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