「越前敏弥の日本人なら必ず悪役する英文」越前敏弥

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本人なら必ず誤訳する英文」の続編である。ダ・ヴィンチ・コードなどの作品の翻訳家である著者が翻訳が難しい英文を例にその翻訳の考え方を語る。

前作が意味の捉え方に焦点をあてているのに対して、本書は美しい日本語に変換することに焦点をあてている。僕自身それなりに英語は勉強してきたつもりだが、本書で例としてあげられる誤訳しやすい英文の罠にことごとく引っかかってしまった。その過程で著者の考え方を説明しているが、それを読むと、ただただ翻訳者の考えの深さに驚かされるばかりである。英語のや英語圏の文化だけではなく日本語の言い回しや、言葉の正確な意味についても知らなければならないのである。

そんななかでも、圧倒されたのがこちらの英文。プロ野球のキャッチャーについて語った言葉の最後である。

Too bad he couldn't hit his weight.

どうだろう。こちらは

打率が体重に負けたのは残念だった。

という意味だという。アメリカだと体重も打率と同じように3桁の数字で表される(200ポンド)ので、例えば2割も打てない、という意味なのだ。アメリカの文化を知っていなければまず翻訳できない文である。

後半は、実際のダ・ヴィンチ・コードの翻訳文を、著者の授業を受けた生徒の訳と著者自身の訳を比較しながらそれぞれのポイントを解説している。この辺までくるともはやただの英語学習者には必要のない内容ではあるが、翻訳の深みが感じられるだろう。合間に著者が翻訳者として生計を立てるまでのエピソードも挟まれていて、そちらも面白い。少し英語ができるからと言って翻訳者を目指すという考え方ではとてもついていけない世界だと知った。

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「夢をかなえるゾウ」水野敬也

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
朝起きると目の前にガネーシャがいた。自ら神と名乗る、ガネーシャは夢をかなえるための課題を出していくのである。

主人公の「僕」とガネーシャがコミカルなやり取りをしながら、夢を叶えるために必要な課題を出し、それを受け入れていく様子が描かれている。それぞれの課題の有効性は、人によって意見が分かれるかもしれないが、大事とも思えるもので、間に少しずつニュートンやビル・ゲイツなど有名人の行動や心がけなども引用される点が面白い。

  • 靴をみがく
  • コンビニでお釣りを募金する
  • 食事を腹八分におさえる
  • 人が欲しがっているものを先取りする
  • 会った人を笑わせる
  • トイレ掃除をする
  • まっすぐ帰宅する
  • その日頑張れた自分をホメる
  • 一日なにかをやめてみる
  • 決めたことを続けるための環境を作る
  • 毎朝、全身鏡を見て身なりを整える
  • 自分が一番得意なことを人に聞く
  • 自分の苦手なことを人に聞く
  • 夢を楽しく想像する
  • 運がよいと口に出して言う
  • ただでもらう
  • 明日の準備をする
  • 身近にいる一番大事な人を喜ばせる
  • 誰か一人のいいところを見つけてホメる
  • 人の長所を盗む
  • 求人情報誌を見る
  • お参りに行く
  • 人気店に入り、人気の理由を観察する
  • プレゼントをして驚かせる

なんか被っている課題もあるような気がして、そのユルさが本書のいいところなのかもしれない。周囲の人の大切さと、人に感謝したり、人を喜ばせることの大切さが繰り返し強調されている。

  • やらずに後悔していることを今日から始める
  • サービスとして夢を語る
  • 人の成功をサポートする
  • 応募する
  • 毎日、感謝する

内容としては、どちらかというと自己啓発本のような固い伝えられ方をすることが多い中、小説形式で面白おかしく伝えてくれる点が新しい。人生で迷ったりしている人にはちょうどいいのではないだろうか。迷っているときだからこそ本書のように楽しく教えてくれるのがいいだろう。「会った人を笑わせる」や「応募する」「人の成功をサポートする」は今日からぜひやってみたいと思った。

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「文法のおさらいでお悩み解消!スッキリ文章術」時田昌

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
30年以上新聞社で校閲業務に関わってきた著者が読みやすい文章を書くための文章術を語る。

仕事で人の書いた原稿を受け取る機会があり、その文章の不自然さを感じながらも改善の仕方を感覚的にしか説明できず、良い文を書くためのルールを説明できるようになりたいと思い、本書にたどり着いた。

本書では、さまざまな読みにくい例を挙げて、その文を読みやすくする方法をいくつかのポイントを交えながら解説しており、僕自身日本語は結構自信があったのだが、いくつかの項目で、まだまだ曖昧にしていることが多くあることに気づかされた。

意外とやりがちだとおもったのは「述語にかかる品詞はそろえる」という考え方である。

明日の会議の目的は、新会員の紹介と、来年度予算を審議します。

明日の会議の目的は、新会員の紹介と、来年度予算の審議です。

彼の短所は、マナーや常識に欠ける。

彼の短所は、マナーや常識に欠けるところだ。

また、修飾の順序についても次のように説明している。

「句は前、詞は後」、「長い修飾語は前、短い修飾語は後」

普段不自然さを感じて改善しているだろうことだが、「なぜ?」と聞かれると答えられない。このようにはっきりと言語化してくれる点がありがたい。

そして、もっとも仕事のなかでよく見ると思うのが「敬語連結」と表現されるもの

話題のテレビドラマ、ご覧になっていらっしゃいますか?

話題のテレビドラマ、ご覧になっていますか?

尊敬語の「ご〜になる」の形と「いらっしゃる」の形を連結させた、敬意の過剰表現として避けたほうがいいと説明している。

普段外国語の勉強ばかりであまり日本語へ注意が行かないが、こうして改めて見てみるとまだまだ伸びしろがあることに気づかされる。

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「人を操る禁断の文章術」メンタリストDaigo

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
メンタリストDaigoが文章術を説く。

メンタリストDaigoがライターとしてどれほど実績があるのかはわからないが、文章の能力の向上は常に必要なのでコピーライティングの本を漁っていたところ本書にたどり着いた。

もっとも印象的だったのは最初に、文章の力を端的に表現した言葉である。

誰もが納得の美女を作り出すには、文章を使って想像させるしかない。つまり、世界最高の美女をつくれるのは文章だけなのです。

これは本当に小説を読んでいていつも思うことで、小説で「美女」とか「美人」と言われると、それはまぎれもなく美しいのである。そして、ドラマ化等されるとだいたいイメージが違うことにがっかりするのである。

本書ではそのほかにもいい文章を書くためコツをわかりやすくまとめている。例えば「書かない3原則」として次の3つを挙げている。

1.あれこれ書かない
2.きれいに書かない
3.自分で書かない

何よりも人を操ることに重点を置く本書では、人を動かす7つの引き金を次のように説明している。

1.興味
2.ホンネとタテマエ
3.悩み
4.ソン・トク
5.みんな一緒
6.認められたい
7.あなただけの

行動デザインの考え方と共通する部分があり、何事にも共通するのだと感じた。若干コピーライティングの参考書としては不足があるが、毎日の文章のなかになにかしらプラスの変化を与えてくれるかもしれない。

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「けっきょく、よはく。 余白を活かしたデザインレイアウトの本」ingectar-e

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
デザイン事務所が余白を活かして洗練されたデザインを作る方法を語る。

様々なデザインテイストをテーマに、初心者がやりがちなNGデザインと、上級者がやる余白を活かしたOKデザインを掲載し、それぞれのポイントを解説している。

本書のようにNGデザインとOKデザインを掲載したデザイン書籍は多数世の中にあるが、どの本においても、NGデザインはNGとはいえデザインとしてひどすぎたり、OKデザインにもツッコミどころ満載だったりすることがある。本書もその点では例外ではない。同時に、わざわざ意図してNGデザインを作らなければならないという、このような本を作ることの難しさを感じた。

デザインを長年やっている人にはあまり参考になる部分がないかもしれないが、5年程度までのデザイナーには学ぶ部分があるだろう。個人的にもっともありがたかったのは、使い勝手の良さそうな英文フォント等を紹介してくれている点である。いずれもAdobe Typekitで使用できるということなので、ぜひフォント名からイメージが湧くようにして、必要なときに使えるようにしたいと思った。

  • Adorn Engraved Regular
  • Province Sans Pro Regular
  • Boucherie Cursive Regular
  • Mrs Eaves All Petite Caps
  • AnnabelleJF Regular
  • Jay Gothic URW Bold
  • ScriptoramaJF Tradeshow
  • AdageScriptJS Regular
  • Serifa Bold
  • Casablanca URW light
  • Grafolita Script Regular
  • Adorn Serif Regular

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「GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代」アダム・グラント

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
人に惜しみなく与える人をギバー、自分の利益を優先させる人をテイカー、損得のバランスを考える人をマッチャーという。様々な事例を交えながら3つのタイプの人間と成功するための心がけを説明する。

ギバーの生き方が豊かな人生を送れることは誰もが予想することだろう。本書でも基本的にギバーを推奨する点は特に驚くべきことではないが、面白いのは、どんな分野でももっとも成功している人はギバーだが、一方でもっとも劣っている人もギバーなのだという。

したがって、本書のテーマは、つまり、気遣いが報われるギバーと、人に利用されるだけのギバーが存在するということである。本書のテーマはそんな2つのギバーの違いを見極めることである。

成功するギバーになるために必要なことは、「自己犠牲的」になるのではなく、自己の利益と他者の利益の二つを同時に目指す「他社志向的」な生き方をする必要があるということである。相手に同情しすぎてただ利用されるだけで終わる人も多いという。本書では、テイカーと付き合うときはマッチャーになるように努めることを勧めている。

テイカーを相手にするときは、自衛のために、マッチャーになるのがいい。ただし、三回に一回はギバーに戻って、テイカーに名誉挽回のチャンスを与える。

僕自身は他者志向のギバーなのかもしれないが、もっとギバーになるための指針があふれていた。また、僕の周りにも利用されるだけのギバーがたくさんいるので、彼らにもぜひ読んでほしいと思った。

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「ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か」エリヤフ・ゴールドラット

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
製品の制作工場の改善を中心に、企業の目的に対してどのように生産性を上げるかを、物語形式で説明する。有名な本であり以前読もうと思ったが時間がなくてできなかったためようやくこのタイミングで読むことができた。

物語、出荷遅れなどのトラブルの絶えない工場長であるアレックスが、成果が上がらなければ3ヶ月で閉鎖されることを告げられ、追い詰められたアレックスが、物理の教授であるジョナ先生に助言を求めることからから始まる。そこからジョナはこれまでの工場に置ける既成概念というものを一つずつひっくり返していくのだ。

ジョナが言うには大事なのは、

  • スループット
  • 在庫
  • 作業経費

という3つを重視することである。そして、それを向上させるために

  • 従属事象
  • 統計的変動

ということを考えなければならないのである。

結果を言ってしまえば、工場の生産性は、ボトルネックに依存するということである。ボトルネックを最大稼働させて、極力ボトルネックに無駄な仕事をさせないことが、生産性向上の鍵となるのである。アレックスは工場長としてジョナの助けを借りながら、見事に工場を再生していくのである。

物語としても面白いが、本書は生産管理ソフトの発売物とである会社の社員が、もっと広くこの手法やソフトを知ってもらうために書いたというのだから面白い。何かを知ってもらうためには、ビジネス本のような体裁だけでなく小説という形もありえるのだと再認識させてもらった。

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「毎日ロゴ 無名デザイナーが365日、毎日ロゴをつくり続け有名デザイン賞を受賞したロゴデザイン上達法」石川竜太

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1年間365日ロゴをデザインするということをやった著者が、その356個のロゴ作りから学んだことやその後の実際の仕事の様子を語る。

著者が設けたロゴ作りのルールは、その日が何の日なのか調べ、テーマを選び、ロゴを製作し投稿するまでを30分以内で行うということ。制作に30分しかかけられていないため、ロゴ自体の形などはまだまだ甘い部分も多く、デザインの参考にようなものではない。更に言えば、ロゴとはデザインであり、デザインとは目的を持つものである。そういう意味では、ただ作って投稿するだけのロゴは「デザイン」と呼べるのかは意見が分かれるかもしれない。

そのような批判はあるだろうが、毎日365日、ロゴを作り続けるというのは間違い感心すべきことで、時間制限をしたことで発想力が磨かれたことだろう。そんな発想の方法として次の17の方法を紹介してる

アルファベット←→日本語変換法
文字←→数字変換法
仮名←→漢字変換法
文字の意味を立たせる
文字←→絵変換法
文字と絵を合体する
モチーフを借りる
モチーフを合体する
一枚の絵で表現する
人の顔や形にする
動物のイメージを借りる
記号を使う
色のイメージを借りる
そのものズバリ
回転する、向きを変える
手書きで手作り感を出す
立体的に見せる

アイデアに迷ったら、順番に検討してみるといいかもしれない。後半は実際の仕事でロゴを作成した時の過程や考え方を紹介している。ロゴの考え方で特に新しい発見はなかったが、なにより365日作り続けるという偉業に刺激を受けた。

【楽天ブックス】「毎日ロゴ 無名デザイナーが365日、毎日ロゴをつくり続け有名デザイン賞を受賞したロゴデザイン上達法」

「ファスト&スロー」ダニエル・カーネマン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
2つのシステムという考え方をベースとして人間がどのように決断するのかを解明していく。

2つのシステムという考えを中心としている。システム1は自動的に高速で動き、コントロールできないもの。つまり僕らが第一印象とか、直感的にという言葉で表現するものである。システム2は頭を使わなければできないもののことを言う。本書ではこの2つのシステムを用いて、人間がどのように決断するのかを、多くのひねりの効いた質問を被験者に投げかけた結果の例とともに説明していく。

注目すべきは、システム2はより正確な答えを出すにもかかわらず、人間はシステム1の出す直感的な答えに飛びつきがちだと言うことである。その代表例として本書で紹介している例が次の問いである。

バットとボールは合わせて1ドル10セントです。
バットはボールより1ドル高いです。
ではボールはいくらでしょう?

こちらの問いに、ハーバード大学などの有名大学の学生の50%以上が間違えたと言うのである。

そのほかにも、アンカリング効果、プライミング効果、損失回避、平均回帰、ピークエンドの法則などを説明している。システム1とシステム2の動きを理解するための、例が多数含まれているので、自分自身でそれを経験して納得しながら理解することができるし、飲み会のネタとしても面白いかもしれない。

実験の結果を掲載する必要があったためかもしれないが、若干似たような話の繰り返しに感じる部分もあったが、サービスを作る上で知っておくといいと思える人間の心理を多数紹介している。Webサイトの文言を考えたり、同僚を説得する際にぜひ取り入れていきたいと思った。

【楽天ブックス】「ファスト&スロー(上)」「ファスト&スロー(下)」

「これからのディープラーニングビジネス」南野充則

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ディープラーニンの簡単の説明と、ディープラーニングが応用できる分野について説明している。

序盤では簡単にニューラルネットワーク、損失関数、勾配降下法などを含むディープラーニングの仕組みを説明している。オートエンコーダーや勾配消失、LSTM、画像生成モデルGANおよびDCGANについては本書で初見だったのだが、表面的な説明にとどまっていあので、もう少し詳しく知りたいと思った。

中盤にこうは、実際にディープラーニングが応用されている、もしくは応用されるであろう分野を順を追って紹介している。不良品の検品や、自動運転などはすでに知られていることだが、本書ではキャラクター生成や、お弁当の自動盛り付けも応用できるとしている。ディープラーニングに生半可かじった僕程度の知識だと想像もつかないような分野にディープラーニングが応用できることがわかった。

最後は、ディープラーニングを導入にあたって気をつけることなどとともに、今後の未来についても触れている。印象的だっったのはディープラーニングの応用範囲が広まっても、一流の技術を持った人間へのニーズは減らないだろうということ。

ディープラーニングについて簡単にまとめてはいるが、専門的な言葉もちりばめられており、ディープラーニングの最初のとっかかりにちょうどいいのではないだろうか。

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「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」加藤陽子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
明治以来四つの対外戦争を戦った日本を、当時の大国の思惑や人々の考えを説明しながら授業を行った内容をまとめている。

日本の歴史というと、第二次大戦前は悪、戦争の後の戦後復興は善という風に受け取られている。語られている。しかし、実際にはそのように簡単に分けられるものではなく、戦争に突き進んでいった当時もいろんな考えの人がいたのだろう。そんな、歴史の授業では数ページで終わってしまう出来事に対して、もう少し深く理解したいと思って本書にたどりついた。

本書は日清戦争以後の、日本の国内の様子、重要人物たちの考えや駆け引き、そしてイギリスやアメリカ、ロシア、中国などの当時の思惑などを詳細に説明している。

正直、第二次世界大戦以前の歴史については、曖昧にしか覚えていなかったのだが、本書で改めてその前後関係を感じることができた。そして、後半は第二次世界大戦についてである。もっとも印象的だったのは、日本の奇襲攻撃を予想できたにも関わらずなぜアメリカは真珠湾に軍艦を停泊させていたのか、というところ。である。

歴史の理解が深まったというよりも、歴史家というのは、残された資料からここまで詳細に過去に起こったことを明らかにするということに驚かされた。歴史家という生き方もなかなか悪くないかもしれない。

【楽天ブックス】「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」

「[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61」中村和正

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
デザインで人を動かすために利用できる手法を紹介している。

デザインの言語化能力、および提案力が向上することを期待して本書にたどり着いた。すでに知っているものや、知っているけれど呼び方を知らなかったもの、初めて聞いたものなどあり、どれもしっかり覚えてデザイン業務に活かしていきたいと思った。

マジカルナンバー
人が覚えていられる情報の数は4±1

ジャム効果
ジャムを6種類にした場合の購入率が30%だったのに対し24種類にすると3%になったということから選択肢が多いと購入率が低くなることを示した事例

カリギュラ効果
障壁が高いほどやる気が出る心理

バイヤーズリモース
購入後に必ず訪れる不安のこと。この不安を取り除くには先輩購入者の姿を見せたり、サンクスレターを送るという手法がある

ザイアンスの法則
繰り返すことで高まる信頼と高感度

テンション・リダクション 緊張状態が消滅したあとの注意が欠落した状態のこと。大きな買い物をしたあとに、ついでにもう一つオススメするのがこれを利用した方法。「色違いをもう一色」や「よく一緒に購入されている商品」などがこれにあたる

ツィガルニック効果
完了できなかったタスクのほうが、完了したタスクよりもよく覚えている傾向にあるという理論

カクテルパーテイ効果
騒がしいなかでも自分の名前や、興味のある話だけ集中して聞くことができる現象。「ようこそ、〇〇さん」のように、サイト上にユーザーの名前を含めるのがこれにあたる。

バンドワゴン効果
「みんなと同じ」が安心する心理。「ダウンロード数〇〇」や「ユーザー数〇〇人突破」がこれを利用したものである。

スノッブ効果
バンドワゴン効果とは反対の心理で、他人がもっているものとは同じものは欲しくないという心理。「初回限定」「〇〇県限定」がそれにあたる。

ウェブレン効果 値段が高いほど喜ばれること。ブランドなど「高いものを持っている」という見せびらかし意欲がそれにあたる。このような商品は安くしてしまうと逆に売れなくなる。

バーナム効果
曖昧な言葉を使って自分のことを言っているように感じる現象。「何をやっても英語を話せないあなたに」「楽しいことは好きな人」「意外とへこみやすいが、すぐに立ち直ることができる人」など、受け取る人の誰にでもあてはまると思われるような曖昧な言葉外使うことで自分のことを言っているように感じさせることができる。

ベビーフェイス効果
丸顔や大きな目を見ると、無邪気、無垢という印象を抱き、警戒感が薄れる心理。トップページに掲載する人物写真などがそれにあたる。

ディドロ効果
揃えたくなる心理。シリーズなど商品を同じ種類のセットにして販売することで、この効果を利用して販売を拡大することができる。

シャルパンティエ錯覚
数字よりもイメージに左右される心理。「鉄10kgと綿10kgはどちらが重い」などのように、じっくり考えればわかることだが印象が異なり、印象に左右されることが多い。

ピーク・エンドの法則
経験した記憶は、良かれ悪かれそのピークと、最後の体験で記憶されるということ。

ウィンザー効果
第三者から間接的に情報が伝わることで、信頼性が増す心理。クチコミやレビューなどがこれにあたる。

目標勾配仮説
ゴールが見えるとやる気が加速する心理。10個のスタンプカードよりも12個で最初から2つ押してあるスタンプカードの方が完了率が高いのがこちらを利用した施策。

組織規模でデザインをするためには、ただ単に綺麗なデザインを作れるだけでは不十分で、社長やプロダクトオーナーなどの意思決定権者に対してデザインを言語化して納得させることが必要である。そのために使用できる言葉が本書にはあふれていた。

【楽天ブックス】「[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61」

「人を動かすマーケティングの新戦略 「行動デザイン」の教科書」國田圭作

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
モノをどれだけ改良してもすでに、モノだけで売れる時代は終わり、これからは行動をデザインすることが必要だとして、その手法を説明している。

さまざまな行動をさせる方法を説明しているが、例えば、人を動かすために人間は金銭的コストばかりを考えるが、実際には金銭的コストを含む5つのコストを考えなければならない、ということである。

金銭的コスト
肉体的コスト
時間的コスト
頭脳的コスト
精神的コスト

それ以外にも、レーンチェンジとフレーム理論を利用して解決方法を導き出す方法を説明している。そして、後半は具体的に行動をデザインするための6つのステップを順を追って説明している。

1.どれだけ動かすのか
2.誰を動かすのか
3.いつ、どこで動かすのか
4.何で動かすのか/なぜ動くのか
5.どうやって動かすのか
6.本当に動いたのか

漠然と企画を考えて漠然と機能をリリースするだけで実際にその効果を確認していないケースが多々あるので、このように順を追って目的と成果を明確にするという手法はぜひ真似したいと思った。ステップ2の「誰を動かすのか」において、ターゲットを行動量や行動パターンでセグメントすることを推奨している。一方で、最近は行動パターンが多様化しているので、単純に人間の属性だけで分類する手法に対しては疑問視している。

また、ステップ4では、人の行動を操作するために知っておくといい、行動を加速させる方法と行動ブレーキを緩和する方法を紹介している。

行動アクセルを加速する
・急かされると、人は動く
・対決させると、人は動く
・食べ物にすると、人は動く
・限定されると、人は動く
・対比があると、人は動く
・帰属意識を刺激されると、人は動く
・挑発すると、人は動く
・選択させると、人は動く
・サイズを変えると、人は動く
行動ブレーキを緩和する
・お膳立てされると、人は動く
・お墨付きがあると、人は動く
・現場が来てくれると、人は動く
・口実があると、人は動く
・ファッションで、人は動く
・体が動くと、人は動く
・名前をつけると、人は動く
・本気が伝わると、人は動く
・子供ごころで、人は動く

全体的に、フレーム理論やレーンチェンジの部分などわかりにくい部分も多かったが、気になる部分は別で学んでみたいと思った。読みやすい本とは言えないが、役に立ちそうな考え方に出会うことができたのでその辺はしっかり覚えておきたいと思った。

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「All the Devils Are Here」Louise Penny

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Gamache家の面々はパリのレストランで緒に夕食をとったあとに、Gamache家の祖父がわりであるStephen Horowitzがひき逃げに会い昏睡状態となる。意図的にStephenを狙ったとして、その意図を探るうちに大きな陰謀に巻き込まれていく。

Armand Gamacheとその子供たちが協力して大きな陰謀を暴いていく物語。謎解きの物語であると同時に、家族の物語でもあり、カナダのケベック州とフランスのパリという大きなスケールで展開していく。印象的だったのは、長い間心を開かなかった息子DanielとArmandの関係である。今回の事件を機に、少しずつお互いの心の内を打ち上げ、やがて幼い頃のDanielの心の傷が明らかになっていくのである。

物語の随所にパリの街並みや地名が描かれるのも印象的だった。本書を読んだらきっとパリへぜひ行ってみたくなるだろう

あとになって気づいたことだがどうやらこれはArmand Gamacheを主人公とした物語の第16作品めということで、いきなり16作品めから読み始めてしまったいうことだ。とはいえすでに16作品目というのを感じさせないほどの一冊で完成された物語。ニューヨークタイムズのベストセラーということだがそれも納得である。これまでの15作品も少しずつ読み進めたいと思った。

「問題解決に効く「行為のデザイン」思考法」村田智明

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

理想のデザインとは外観の美しさだけを突き詰めたものではなく、「行為がスムーズに美しくふるまわれるためにどうあるべきか」を追求したもので、それを「行為のデザイン」と読んでいる。

そして、その「行為のデザイン」のために次の6つのインターフェースに注目することの重要性を説いている。

人と人
人とモノ
人と情報
モノと情報
モノとモノ
情報と情報

そして、行為のカードという手法を用いて、さまざまなユーザー体験を想像し、不便を感じるバグを見つけることを勧めている。8つのバグ、2つのミニマライズそして3つの美しさである。

矛盾のバグ
迷いのバグ
混乱のバグ
負環のバグ
退化のバグ
精神的圧迫のバグ
記憶のバグ
手順のバグ
形のミニマライズ
意味のミニマライズ
造形の美しさ
行為の美しさ
考え方の美しさ

いずれも例を交えて説明している。

そして最後の章では行為のデザインをするためのワークショップを紹介している。内容としてはデザインスプリントと呼ばれる手法に似ているが、時間のとりかたなどが若干異なるようだ。読みやすさやわかりやすさはあまり感じないが、いろんな考え方を提供してくれる点はありがたいと感じた。

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「人気実況者てらこのはじめての初めてのポーカーテキサスホールデムで勝つ」寺崎美保子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
最近ポーカーの本を読み漁っており、そんななかの一冊である。

本を開いた一番最初の冒頭で「わたしはそんな大したポーカープレイヤーではありません」と宣言しているように戦術の話はほとんど書かれていない。序盤は、ほかのポーカーの書籍と同様にテキサスホールデムのルール説明に終始する。その後は確率の話が多少あっただけで、戦術に関することはほとんど書かれていないが1点考え方として覚えておきたいと思ったことが

合計が20以上か否かを目安にアクションを

である。

後半では、日本や海外で気軽にポーカーを楽しめる場所やカジノを紹介している。ほかのポーカー書籍と比較した時に、本書が際立つ点はこの部分だと感じた。

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「ゼロから作るDeep Leanrning Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装」斎藤康毅

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
最近流行りのディープラーニングについて深く理解したいと思って本書を手に取った。

パーセプトロンの考え方から実施のニューラルネットワークの考え方、そして実際の学習方法まで丁寧に解説している。数学の知識としては微分と行列の考え方がわかっていればある程度ついていけるのではないだろうか。GitHubからソースコードをダウンロードして実際に動作を確認して理解を深められる点がありがたい。デバッグモードで実行して途中の数値を確認することで理解を深めることができた。

ディープラーニングについての感想は、思っていたほど万能なものではなく学習というフェーズが鍵になることがわかり、全体的にまだまだ伸びしろのある分野だと感じた。誤差逆伝播法や畳み込みニューラルネットワークの内容についてはしっかり理解したとは言い難く理解を深めるには繰り返し読む必要性を感じた。とりあえず大事なことは繰り返し出てくるという前提で続編に進もうと思った。

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「ゼロから勝てるポーカー」けむ。

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
テキサスホールデムの魅力を知人に語られ、ちょっとやってみたところあまり勝てないので、どのように考えれば勝てるのかを知りたくて本書にたどりついた。

序盤はテキサスホールデムのルールの説明に終始するが、中盤から戦術の話になっていくる。今後意識したい内容がたくさん書かれていた。まず、プレースタイルをタイトかルース、そしてアグレッシブかパッシブで分類する話である。

私が初心者に強くおすすめしたいのが、タイトアグレッシブです。

そして、適切なベット額、レイズ額もいつも悩みがちなので考える根拠を与えてくれたのはありがたい。

適切なレイズ額 直前に賭けられた額の3倍
適切なベット額 ポットにあるチップの50%〜70%ぐらい

そのほかにも初心者がやりそうなプレーとなぜそれをやらないほうがいいかについて丁寧に説明している。

リンプインはしないようにする
スロープレーをない
ドンクベットはやらないように気をつけよう

それもやっていたことばかりだったのでしっかり覚えておきたいと思った。そして最後の章では実戦形式で相手の手をどのように推測するかを解説している。ポーカーを始めたばかりの人は学べることがたくさんあるだろう。

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「脳にまかせる勉強法」池田義博

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
40代半ばから記憶力を伸ばすことに情熱を注ぎ、世界記憶力グランドマスターの称号を手にした著者が、さまざまな記憶の方法を語る。

「ゴロあわせ」や「ストーリーにして覚える」など、さまざまな記憶のための方法を説明しており、そのなかには、経験から自然とやっていたものもあれば、意識してやっていないものもあった。なかでも面白かったのは「1分間ライティング」という方法である。学んでいることに対して、とにかく知っていることを紙に1分間書き出すという手法である。これのいいところは単に自分の理解を確認するだけでなく、脳に学ぶ必要性を感じさせることだという。

序盤でも、勉強の時は音楽やインターネットとの接続を絶って、脳を学ぶモードにすることが大事と言っているが、そのような考えは持っていなかったのでぜひ実行したいと思った。

なにより、著者が記憶力の向上を始めたのは40代半ばという。歳を取っても記憶力が挙げられるという事実は、多くの人の励みになるだろう。
 
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「「ひらがな」で話す技術」西任暁子

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
FMラジオのDJとして長年話し方にこだわってきた著者が話す技術を語る。

まず、人は話すときにひらがなで話す、としている。つまり、聞いている人はひらがなとして音を聞いてそれを頭の中で、漢字や意味に変換するのである。したがって、漢字で意味の通るが音としては他にも意味を持つ言葉(例えば「視覚」「死角」「四角」「視覚」など)は話し言葉としてはわかりにくいのだという。わかりやすくためには次のようなことを心がけるといいとしている。

  • 丸い言葉を使う
  • 句読点をつけて話す
  • 言葉の粒の大きさを変える

言われてみれば当たり前のことだが、あまり意識してこなかったことに気づいた。硬い言葉は少し頭がよく聞こえると思うのか意図的に硬い言葉を使っているような人も世の中にはたくさんいる。しかし、それで伝わりやすいかというとそんなことはない。紙面上ではスペースを節約するために使われている硬い言葉が、話し言葉でも同じようにわかりやすく使えるわけではないのである。

そのほかにも間の使い方声の重要性についてなども語っており、自分の話し方でもいろいろ見習いたいと思うことに出会うことができた。
 

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