「キミが働く理由」福島正伸

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
働くことの意味がわからずに、新卒で就職した会社をすぐに退職し、その後さまざまな事業に挑戦した著者が働くことの意味を語る。

働くこのに楽しみを見出せない人向けなのだろう。僕自身今の仕事に不満を持っているわけではないが、何かしら生き方の参考になればと思い手に取った。

著者の経験から25項目の働く上での秘訣を書いているが、もちろんすべての人に必ずしもあてはまるわけではないだろう。また、楽しく幸せに生きるための心構えはすでに多くの人が語っており、本書で言っていることもかなり重複する部分があった。そんななか印象に残った項目を挙げると次の3つである。

お父さんが、「今日も仕事が楽しかったな。明日、仕事に行けると思うと、興奮しちゃうな」と言うと、子どもさんは勉強し始めるのです。
朝起きて人を励ますと、自分が元気になります。朝会社に行ったら、まず元気のない人を探しましょう。そして、その人を励ますのです。
悩んだ時はどうしたらいいかといったら、私は人に会うことだと思います。特に自分が目指している人に会うことです。

特にものすごい印象に残ったと言うわけではないが、生き方、働き方の参考の一冊として読むのは悪くないだろう。

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「会議でスマートに見せる100の方法」サラ・クーパー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
会議でスマートに見せる方法をイラストとともに面白おかしく紹介している。

過去たくさん会議に出たことのある人ならどれもみたことのある行動ばかりだろう。

自分がやってみたい、と思うような行動はそんなになかったが(それをやっても会議が無駄に長引くだけなので)、本書を読んで置くと、誰かがこの行動をやっているときに圧倒されないで済むのかもしれない。(「ああ、この人はスマートに見せる方法をやっているだけだな・・・」と。)

特に印象に残ったのは次の3つ。

それがなんであれ「スケールする?」と聞く
「いい質問だ」と言って質問に答えない
「それは正しい質問かな?」と逆質問する。

ただのウケ狙いにしかならないかもしれないが、機会があったら使ってみたい。

【楽天ブックス】「会議でスマートに見せる100の方法」

「やってはいけない勉強法」石井貴士

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
代々木ゼミナール全国模試1位の経験を持つ著者が、勉強法について語る。

100年時代、人間は大学を卒業した後も常に学び続けなければならない。そんな一生勉強を実践する人間の一人として、いい勉強方法があったら常に取り入れ、勉強方法を改善したいと考えているなか、本書にたどりついた。

どちらかというとやってはいけない勉強法というよりも、著者がやった勉強法とやらなかった勉強法のような印象を受けるが、1人の実績がある人間の勉強方法を紹介している本として、参考にできる部分もあるかもしれない。

同意できる部分もあれば同意できない部分もあるが、もっとも印象的だったのは

NG 書いて覚える
OK 目で見て覚える

という点だろう。僕自身記憶というのは五感をフル活用してこそ記憶に定着しやすいと考えていて、目で見ると同時に手の感覚で記憶することができる「書いて覚える」(と同時に声に出して口の感覚と聴覚で覚える)は悪くない方法だと考えていた、しかし著者がいうように確かに書いて覚えるよりも見て覚える方が時間効率が良いのはそのとおりだろう。

しかし効率を言い始めると、例えば著者は

NG 独学でがんばる
OK 先生をつける

NG 通信教育で済ませる
OK 直接、話を聞いて教わる

と書いているが、実際どんなにお金を払ったとしても先生に聞ける時間など限られており、時間効率を考えるとかならずしも同意できないと感じた。勉強方法は合う合わないがあるので、読んだ人が納得できる部分から取り入れればいいだろう。「目で見て覚える」などはぜひ試してみたいと感じた。

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「この英語、訳せない!」越前敏弥

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
数々の著名作品を翻訳している翻訳家の著者が、訳すのが難しい英語を解説する。

著者越前敏弥さんの本は本書で3冊目になるが、毎回意味をつかむのが難しい文章を紹介してくれて勉強になる。本書でも日本人には難しかったり、間違えがちな様々な英語表現を紹介している。teenagerは十代ではないなど、知っていることも多々あったが、改めて学んだこともたくさんあった。例えば次の表現。

The room was badly heated.

その部屋は暑すぎるのか寒すぎるのか、なんとネイティブに質問しても意見が分かれるのだという。確かにbadlyの意味の撮り方でどちらにも取れる。このように実際日常的に使われていながら、実際には人によって意味のとり方が異なる単語は日本語にも多くあるような気がしてきた。本書でも紹介されている「カーキ色」などはその代表例だろう。文脈上重要じゃないから誰も意味が正しく取れているかどうかを確認しないのである。

また、Hopefullyの使い方については、僕がときどき英会話で使っている方法は誤用ということを初めて知った。今後は気をつけたい。

いつものように翻訳の難しさと、言語の奥深さを改めて教えてもらった。

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「絵でわかる英文法」波瀬篤雄

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
日本人には捉えづらい英単語のイメージを絵でわかりやすく伝えている。

英単語のほとんどは日本語の単語と1対1で対応されるものではない。例えばonなどは「〜の上に」と訳されることが多いが、その理解だけだとどうしてもうまく訳せない時がある。そんな日本語に置き換えることができない英単語をイメージで説明している斬新な内容である。

僕自身すでに大学を卒業してからだけでも15年以上は英語を勉強している身だったが、それでも新鮮な考え方にいくつか出会えた。面白かったのはスイッチをつける意味のturn onという表現。onの流れでの説明だったが、なぜturn onというのかがスイッチの構造をイメージするとすっきりした。

また、日本人が混乱しがちなcomeとgoの使い分けの考え方も新鮮だった。

comeは手に負える
goは手に負えない

としていて、例として挙がっている

  • Where has my eraser gone?
  • Winter has gone.
  • come true
  • come off
  • go hungry
  • go mad

などをみると納得できる。

いままで特に疑問に思わずにただ暗記していたことに気付かされる部分もあった。イメージとして持っておくとより自然に英語の意味を捉えられるようになるかもしれない。どちらかというと手元に置いておいてなんども読み返すべき本なのだろうと思った。

【楽天ブックス】「絵でわかる英文法」

「反応しない練習」草薙龍瞬

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
すべての悩みを根本的に解決する方法を、「ムダな反応しないこと」としてその考え方を説明する。

幸せに生きるための考え方を書いた本は昨今溢れており、本書もそんななかの一つである。基本的に書かれていることでそれほど新鮮な内容はなかった。とはいえ本書が役に立たないとか読む価値がないとかそういうことではなく、このような物事の考え方は、ただ単に知識として持っているだけで満足するのではなく、繰り返し触れてその精度を上げていくべきなのだろう。

個人的にもっとも印象的だったのは

相手はいつでも「初めて会った人」

という考え方である。人を過去の何度かの振る舞いでこの人はこういう人と判断するのではなく、その人自身も成長している変化しているかもしれない。だからこそ、過去に会ったことある人でも曇りのない目で見るべきだということである。もちろん言うほど簡単ではないが、今後意識していきたいと思った。

上にも書いたことだが、内容としてはよくある種類の生き方の考え方である、「嫌われる勇気」などが有名だろう。しかしこのような考え方は定期的に接して、自らを省みることが重要だと考えると、本書は一定の役割は果たしていると言えるだろう。

【楽天ブックス】「反応しない練習」

「読みたいことを書けばいい」田中泰延

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
電通を退職しフリーのライターになった著者が文章の書き方について説明する。

序盤はまず文書と文章の違いや、随筆についての説明から入り、好きなことを書くことの重要さをと主張している。確かに、必死で人に読まれる文章を描こうとしても苦しいだけだし、なんといっても書いていて楽しくない。なんといっても、実際著者は電通を退職後ひたすら好きなことを書いて仕事を得ているというから面白い。そんななか、なんといっても印象的だったのが次の言葉。

だれかがもう書いているなら読み手でいよう

確かに、世の中にはツイッターやブログなど書いて発信することのハードルが低くなったからか、どこかで聞いたようなことばかり書いている人はよく目にする。

つまらない人間とは「自分の内面を語る人」

感想を書くことを否定しているわけではないが、ライターの感想など1%程度でいいと、切り捨てている。なによりも事実が重要であるとして、何かを書くにあたって、それをひたすら調べることの重要さと、インターネットだけでなく図書館を使い倒して調べる方法を後半では語っている。地元の図書館を利用することはあっても、調べ物で利用したことはなく、ましてや国会図書館など入ったこともないので、機会を見つけてそのような利用の仕方もしてみたいと思った。

世の中の文章本と大きく異なっていて、著者の書き方自体も斬新な書き方が多く非常に面白い。読み物としても楽しませてもらった。

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「「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考」末永 幸歩

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
アートの楽しみ方を中学生にもわかるように説明している。

絵画はカメラという技術が登場したことによって大きくその存在価値が変化していった。本書ではカメラ登場以降の芸術家たちの試行錯誤する様子を、マティス、カンディンスキー、ポロック、デュシャンなどを題材に説明し、それぞれの作品が美術にもたらした大きな考え方の変化を説明している。

僕自身過去それなりに美術にも触れてきたつもりでいたし多くの書籍を読んでもきたので、登場した画家やその作品は本書を読む前から知ってはいたが、本書では解説されているような美術史における意味を知らなかった。もちろん、本書の解説は数ある一つの解釈でしかないが、自分自身でアートの背景を想像して楽しんでいるだけではなく、人の意見や解釈を聞いてそれをもとにさらに考え方を発展させるというのは非常におもしろいことだと感じた。

また、美術を見るとき、どうしても僕らは自分たちが生きている現代の常識にとらわれてしまうが、その作品が作られた時代背景をしっかり理解することが重要なんだと改めて感じた。

今後美術作品に触れる際は、もっと他の人の意見を聞いて見るということもしてみたいと思うとともに、機会があればそういう場にも参加してみたいと思った。自分の感覚でしかないが、海外に比べると日本は一般の人が美術に触れる機会は少ないように思う。本書はそんな日本の一般の人が感じる、美術への近づきがたさを多少なりとも緩和できるのではないだろうか。

【楽天ブックス】「「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考」

「「山奥ニート」やってます。」石井あらた

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
和歌山の山奥で15人のニートが集まって共同生活をしているという。特にそれぞれ何をするわけでもなく1万8,000円の生活費で自由に暮らしている。そんな山奥ニートの創業時メンバーの著者がその暮らしぶりを語る。

序盤は現在の山奥ニートの生活の様子、中盤では、現在の状態に到るまでの過程と、そして最後に現在の山奥ニートそれぞれへのインタビューと今後の展望を語っている。印象的だっったのは、山奥ニートという共同生活が出来上がるにあたってのきっかけとなった「共生舎」というNPOとその代表である山本さんという存在である。彼らは、過疎集落の古民家にニートやひきこもりを集めるという計画をしたいたのである。

残念ながら山本さんは著者と知り合ってすぐに亡くなってしまったが、社会をよくしようと損得も関係なく活動している人がいることが知れていい刺激になった。

また、最後の限界集落について語った考え方も印象的だった。「便利な場所」というのは時代によって変わるんだという。今は駅や国道に近い場所が便利な場所とされているが、100年も遡れば、たくさんの作物が獲れる場所が便利だったのだろう。そうやって考えると、コロナ禍でリモートワークが常識となり、通勤が必要と亡くなったら、どこが便利になるのだろう。

いろいろ幸せな生き方というものについて考えさせてくれる一冊。

【楽天ブックス】「「山奥ニート」やってます。」

「大地の子」山崎豊子

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ソ連国境近くの日本人開拓村で8歳だった勝男(かつお)は日本の敗戦とともに両親を失い、やがて中国の家庭にもらわれ、陸一心(ルーイーシン)として生きていくこととなる。そんな中国と日本という2つの国の間で生きた男の人生を描く。

序盤は、勝男(かつお)が陸一心(ルーイーシン)として中国の家庭に受け入れるまでを描く。しかし、日本人の血を引いているという事実と、文化大革命という歴史的な動きによって、さまざまな障害となって陸一心(ルーイーシン)の未来を阻む、陸一心(ルーイーシン)はスパイの容疑で15年の実刑を宣告されるのである。

中盤からは、陸一心(ルーイーシン)は、育ての親や友人の努力の末に名誉を回復し、日本語を話せるという能力ゆえに、中国の国家をあげての一大プロジェクトである製鉄所建設で重要な役割を担うのである。日本と中国は文化の違いに戸惑いながらも少しずつ製鉄所建設を進めていくのである。

文化大革命という大きな歴史的出来事ではあるが、あまり日本では触れられることが少なく、僕自身も「ワイルド・スワン」という物語で軽く知っている程度であった。本書の序盤はそんな文化大革命の様子を詳細に伝えてくれる。そして、その後の日中合同プロジェクトである製鉄所建設の様子からは、文化大革命という出来事が、中国人の考え方に大きく影響を及ぼしていることがわかる。

2つの国の間で翻弄された人間の様子を描くとなかで、日本と中国の戦後の様子を描き、また日本人と中国人の考え方の違いなども描写している。全体的に、この物語を描くために、多くのことを取材して著者の情熱が伝わってくる。

【楽天ブックス】「大地の子(一)」「大地の子(二)」「大地の子(三)」「大地の子(四)」

「Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール」ランダル・ストロス

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
生まれて間もないスタートアップの創業者たちを支援するベンチャーファンド、Yコンビネーターのその日々の様子を描く。

Yコンビネーターという言葉は、エアビーアンドビーなどこれまでいくつかの企業の成功物語の中で目にしてきたが、実際にどのようなことをやっているのかを知りたくて本書を手に取った。

Yコンビネーターの主な活動は、創業者たちを集めて行う3ヶ月のブートキャンプである。本書はそんなブートキャンプの様子に焦点を当てている。その過程で多くの生まれて間もない企業を紹介している。

スタートアップを始める人というのは、やりたいことや、世の中の改善したいことがあったうえで、それを実現するためにスタートアップを始めるのだと思っていたが、実際に本書において、3ヶ月のブートキャンプの創業者たちの様子を知ると、実際にはただスタートアップを始めたくて始めている人の方が多く、何をやるかはあとから出てくることの方が多いことを知った。そんな創業者たちは、利益を上げそうなことや、自分たちの知識を活かせそうなことは手当たり次第手をつけていく印象を受けた。

最後に印象に残ったのはYコンビネーターの創業者、ポール・グレアムがシリコンバレーについて語る言葉である。

ヨーロッパやその他の場所では、人々が大胆さに欠けるということではなく、手本に欠けていることが問題なのだ。

すでにアメリカではYコンビネーター以外にも、スタートアップを支援する企業が多く立ち上がっているというし、アメリカ以外の国の中にも同じような動きはおきているという。日本にもこのような動きがあってもいいのではないかと感じた。また、同時に、スタートアップを始めたくなった。

【楽天ブックス】「Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール」

「ジョブ理論」クレイトン・M・クリステンセン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
成功する企業になる為にはプロダクトではなくユーザーが解決しようとするジョブにフォーカスすべきだとして、その考え方を説明する。

まず、ジョブを見極める方法として次の5つの項目を挙げている

1.その人がなし遂げようとしている進歩は何か。
2.苦心している状況は何か。
3.進歩をなし遂げるのを阻む障害物は何か。
4.不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動をとっていないか。
5.その人にとって、よりよい解決策をもたらす品質の定義は何か、また、そん解決策のために引き換えにしてもいいと思うものは何か。

そして、未解決なジョブを見つけるための方法として次の5つを挙げている。

1.生活に身近なジョブを探す
2.無消費と競争する
3.間に合わせの対処術
4.できれば避けたいこと
5.意外な使われ方

これから何か新しい製品やサービスを考えようとしている人は参考にするといいだろう。ここまでがジョブの見つけ方や見極め方であるが、本書ではそれに加えて前後の文脈や、感情面へも配慮を怠らないことが大切としている。

また、ジョブについて説明する過程で、ジョブを解決した実例をいくつか紹介している。ウーバーやP&Gなど、すでに知っている企業の例もあれば、アメリカンガールや、マイヨークリニックなど本書を通じて初めて知った企業もあり、どれも興味深かった。アメリカンガールや、マイヨークリニックなどは日本で実現しても同じようにこれまで未解決のジョブを解決し成功を収めるのではないかと感じた。

ジョブを中心に製品を開発し企業も、その多くが一度製品を世の中に送り出すと、ジョブ中心の考え方からプロダクト中心の考え方に陥っていくのだという。後半では、その理由を大きく3つに分けて説明している

1.能動的データと受動的データの誤謬
2.見かけ上の成長の誤謬
3.確証データの誤謬

どれも言葉だけでは伝わりづらいが、能動的データと受動的データの誤謬とは、最初はジョブにフォーカスするという受動的なデータ、つまり今見えているデータをみてそれを解決する為に製品を考え始めたのに、製品を世の中に出すと、売り上げやユーザー数やユーザー属性など、製品を世の中に出したことによって得ることができた能動的なデータを改善することに意識を取られてしまうということである。見かけ上の成長の誤謬とは、既存顧客に製品をもっと売ろうとしてジョブへのフォーカスを失うことである。そして、確証データの誤謬とは、人間は自分がみたいと思うデータ以外を無視する傾向によって発生する事実誤認のことである。

どれも身に覚えのあることだけにしっかり意識して今後製品開発やサービスローンチに携わっていきたいと思った。そのほかにも、セオドア・レビットやピーター・ドラッカーの有名な言葉をたびたび引用している

人は刃の直径が4分の1のドリルが欲しいのではない。4分の1の穴が欲しいのだ。
企業が売れると思ったものを顧客が購入することはめったにない。

また、最後でジョブを嗜好やほかのものと混在しないように指摘をしている。

同種のプロダクトでしか解決できないのならそれはジョブではない。

「理論」というだけあって、様々な状況に適用できるように考えて構成していることがわかる。本書に書かれている内容をしっかり理解して、実戦で活かせるように身につけておきたいと思った。

【楽天ブックス】「ジョブ理論」

「自分のことは話すな」吉原珠央

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
イメージコンサルタントを職業とする著者が人との会話の仕方について語る。

昨今雑談力の本をよく目にするようになった。それだけ雑談というのは良好な人間関係を構築する上で重要だとみなされるようになったのだろう。しかし、著者はそんなただ単に沈黙を埋めるためだけの雑談をまっこうから否定している。著者は次の3つを不必要な雑談として切り捨てている。

  • 相手から求められていない話
  • 〇〇であろう話
  • 得のないムダ話

結局、どんなに会話を繰り返しても、相手の求めているもの、相手の欲することを考えずに話続けても信頼は築けないということなのだろう。このような本にありがちな、著者が思うことをひたすら書き綴るスタイルなので、全体に特に流れがなく読みにくいが、それでもいくつか、今後意識したいな思える内容に出会うことができた。

「質問に答えるだけの人」になるな

これはもはや説明するまでもないことだが、無口な人はムダな雑談もない代わりに、このように最小限の答えで終わりがちである。僕自身も含め男性陣はむしろここに気をつけるべきだろう。

「会って10秒・3ステップ挨拶セット」を実行せよ

ここで言う3ステップとは

  • 1.相手より先に相手の名前を呼ぶ。
  • 2.相手より先にポジティブなことを言う。
  • 3.相手より先に相手を気にかけていることがわかることを言う。

である。これぐらいならば今日から実行できそうなのでぜひやってみたい。

たかが会話かもしれないが、たかが会話で信頼を築けるなら安いもの。そんな考えで少しずつ実行していきたいと思った。

【楽天ブックス】「自分のことは話すな」

「正しいものを正しくつくる」市谷聡啓

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
アジャイルで発生しがちな問題を、どのように解決していくかを書いている。

序盤はアジャイル以前のウォーターフォール型の開発手法についての説明とその限界について説明し、アジャイルの一般的な考え方と流れを説明している。本書を手に取る人の多くはおそらくアジャイル経験者であることを考えると最初の三分の一はほとんど読む必要がないのではないかと思える。

中盤以降はアジャイル開発で起こりがちな課題と、その解消方法について書いている。また、その過程でいくつかのフレームワークを紹介している。ユーザーストーリーマッピングサービスブループリントなどの説明は他にも詳しい書籍があるので特に新鮮さはなかったが、リーンキャンバスを改善したという仮説キャンバス検証キャンバスという筆者オリジナルの手法を紹介しており、機会があれば使ってみたいと思った。リーンキャンバスには目的やビジョンがないので内容がぶれてしまうのだという。

また、仮説検証をわからないことをわかるようにする活動として、3つの種類に分ける考え方は本書で初めて出会った。

  • 課題仮説(本質)
  • ソリューション仮説(実体)
  • インターフェース仮説(形態)

別の言い方をすると、課題仮説とはどんなユーザーストーリーを実現すべきか、ということであり、ソリューション仮説はどんな機能を実装すべきか、そしてインターフェース仮説はどんな見た目にすべきか、ということなのだろう。自分たちがどこまでわかっていてどこまでわかっていないかを明確にするためにこの3種を分けて考え、チーム全体の現在地を共有することは意味があるだろう。

最後に、アジャイル開発をうまく行うためには参加メンバーの視野視座を動かして物事を見ることが重要と説明している。視野を動かすとは、自分、チーム、顧客、ユーザーといった人を軸に自分以外の視野で物事を見ることで、視座を動かすとはプロジェクト、プロダクト、事業、組織、などのように規模を大きくして物事を見つめることである。面白いのは、必ずしも大きな視点で物事をみることが重要と言っているのではなく、様々な視点で物事を見る能力をもっていてそれを状況に応じて使い分けることが重要だとしている。

おそらく著者も同じような書籍を読んできたのだろう。前半はだらだらと別の書籍や記事で詳しく触れられていてすでに一般的になったといえる考え方や手法について書いており、普段からさまざまな情報に触れている人にとっては特にあたらしさはない。

ページを増やすための戦略なのかもしれないが、たくさん書けばたくさん伝わるという考え方はエンジニア出身の著者っぽいなと感じた。言いたいことを絞ればもっと読みやすくわかりやすい本になったのではないか。後半はアジャイルを実践しながらなんども悩み解決策を考えてきた経験からくる内容の濃さを感じた。本書の前半で挫折しそうになった人には、後半だけ読むように教えてあげたい。

【楽天ブックス】「正しいものを正しくつくる」

「お父さんが教える13歳からの金融入門」デヴィッド・ビアンキ

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
生きていくためにはお金の知識は避けて通ることはできない。そんなお金について著者が子供に教えるために書いたのが本書である。

子供向けに書かれた内容ではあるが、大人でも知らないようなこともある。何かしら学ぶ部分はあるだろう。金融の最初の一歩として読むといいかもしれない。ただ、残念ながら、すでに株式投資やFXなどを日常的にやっている人にとってはあまり、実戦で役立つような新しい知識は張っていないかもしれない。

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「アート思考 ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法」秋元雄史

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ビジネス業界においてもアートに注目が集まる中、その考え方を語る。

まずはデザインとアーティストの違いを「解決策」と「問いかけ」と説明した上で、さまざまなアーティストやアートを紹介している。現代のビジネスに役立つとしたら、その常識を打ち破って問いを投げかける完成なのだという。

しかし、著者も「学びに即効性はない」としており、ビジネスにアートが役に立つと言われたから少しかじってみる程度ではまったく役に立たないし、そもそも「アートはビジネスに役に立つ」という考え自体が、現代アートの鑑賞は自らの頭で考えるトレーニングになるという。よく「現代アートはわからない」という人がいるが、著者に言わせれば、わからないからこそ面白いのだという。

なかでも「使用価値」と「交換価値」という考え方で現代アートを理解するという話が印象的であった。使用価値がほとんどないのに交換価値の代表的なものがお金であり、現代アートもまた使用価値がほとんどないにも関わらず、アーティストの著名度によって大きく値段が上がる可能性があるのである。

また、本書のなかではさまざまな現代アートのアーティストたちが紹介されている。それを一つ一つみるのも一つの楽しみになるだろう。章と章の間で、注意書きでそれぞれのアーティストを紹介しているが、特にページを割いて紹介している次のアーティストはしっかりチェックして、アーティスト名から作品がイメージできるようにしておきたい。ダミアン・ハーストの作品などは一度見たら忘れることはないだろう。

全体的に特にアートについて新しい考え方をもたらしてくれた印象はあまりないが、多くのアーティストを知ることができた点がありがたい。

  • ヨーゼフ・ボイス
  • リアム・ギリック
  • リクリット・ティラバーニャ
  • スゥ・ドーホー
  • ジェフ・クーンズ
  • 増田セバスチャン
  • 松山智一
  • 葉山有樹
  • 沖潤子

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「腕のいいデザイナーが必ずやっている仕事のルール125」

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
著名なデザイナーの考え方、心がけなどを格言としてまとめている。

僕自身すでにデザイナー歴20年近くになろうとしているが、少しでも学べるものがあれば学びたいと思い、本書を手に取った。文章は少なくて簡単な説明なので、1時間ほどで読めてしまうだろう。個人的に響いたのが次の言葉である。

  • 契約の流れで危険性を測ろう
  • 無駄話で要望を聞き出そう
  • 真似るならコンセプトを真似よ
  • 挨拶もデザイン
  • 仕事を趣味にしない
  • お金の意味を理解しよう

最後の「仕事を趣味にしない」と「お金の意味を理解しよう」はやりがちなことである。イラストを描いていること、デザインをしていることが楽しいから、タダでやってしまう。これは日本では賞賛されるが、海外では正しく値段をつけていない行為とされるのだという。気をつけたい。

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「スペイン語のしくみ」岡本信輝

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
スペイン語の基本を説明している。

スペイン語の勉強を日々しているので、手がかりになるものが少しでもあればと思い、本書を手に取った。

印象としては初心者向けの内容で、僕のように5年以上スペイン語を勉強しているような人にとって新しい内容はほとんどなかった。1点新しく知った点として、形容詞の位置によって意味が変わることがあるというものだ。

amigo viejo 年を取った友達
viejo amigo 古い友達
gran hombre 偉大な男
hombre grande 大きな男

スペイン語学習者であっても、初心に戻るために読むのはいいのかもしれない。

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「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」デイヴィッド・ミーアマン・スコット/ブライアン・ハリガン

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ライブ録音を許可し、音楽は無料で聴き放題という手法を40年も前から実践し長く活動してきたバンド、グレイトフル・デッドのマーケティング手法を語る。

40年前のバンドの話でありながらも現在も活かせそうな考え方を多く含んでいる。マーケティングの話やフリーミアムの考え方はすでに世の中にたくさんあるので特に目新しさはなかったが、改めて気をつけたいと思った項目は、

  • 忘れられない名前をつけよう
  • バラエティに富んだチームを作ろう
  • フリーから有料のプレミアムへアップグレードしてもらおう
  • ブランド管理をゆるくしよう

である。

章の合間に、グレイトフル・デッドの手法と比較して、Amazonやグーグルなど現在の成功した企業たちの戦略を紹介している。

全体的に感じたのは、ファンを幸せにすることを最優先にすることが大切だいうことである。何よりも著者の2人がグレイトフル・デッドをどれだけ好きかが伝わってくる。本書を読むと、マーケティングよりもグレイトフル・デッドが知りたくなる。グレイトフル・デッドの曲を聴きたくなる、ライブに行きたくなる。それが本書の狙いなのかもしれない。

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「超速読力」斎藤孝

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
多くの本に触れてきた著者が速読の方法について語る。

最近速読に関する本も書店にあふれているが、速読をテーマにした本を読むのが本書が最初である。

速読というと、本のページをすべてを驚くようなスピードで読むものと思っていたが、本書によると重要なパートを見つけてそこを読むとういことである。面白いのは本書ではその目的を「読んだものに対してコメントを言う」としている点である。たしかにどんなに早く読んだとしても、何も語れないほど頭のなかに何も残っていなければそもそも読書した意味がない、ということなのだろう。もちろんそれは、すべてのページをじっくり読んだとしても同じことで、読むために読んだいるのではなく、理解するために読んでいるのである。

目次のみ読むとか、最初と最後と真ん中だけを読むなど、その多くはよくある読書の手法ですでに知っているものだったが、「人格読み」という考え方だけは今まで持ってなかったので新鮮だった。著者の思いを心情的に理解すると、著者の言いたいことを理解しやすいとういのである。

1字1句丁寧に読むことだけが読書ではないと教えてくれた。

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