オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
サヴァン症候群の著者ダニエルには、数字が色や雰囲気を伴って見える。そんな不思議な能力を持った彼がその人生を語る。
本書では幼い頃の彼の生活の様子から描かれている。世の中から受け取る感覚が一般の人とは異なるゆえに、人とのコミュニケーションが苦手で、また数字や文字から必要以上の感覚を受け取ってしまう。その感覚ゆえに彼が行う遊びなどのエピソードはいずれも面白い。序盤はそんな変わった少年時代と、それでも普通の生活を送ることに対する両親への感謝である。
そして中盤以降は、その努力の結果社会に適応し、自らの能力を生かして多くのことに挑戦する様子が描かれる。その特異な言語感ゆえの記述はいずれも脅威深い。本書のなかで彼は、彼のような言語共感覚は誰もがもっているものだという。例えばまるみのある滑らかな形と鋭く尖った形を魅せて、「ブーバ」と「キキ」という名前をそのうちどちらかに割り当てさせると多くの人が尖った方に「キキ」、まるみのあるほうを「ブーバ」とするというのである。
そんな彼の特殊な言語感ゆえに、彼はその能力で円周率を暗唱したり、一週間でもっとも難しい言語と言われるアイスランド語をマスターする事に挑戦するのだ、エスペラント語や手話についての話も興味深い。言語学習に興味のある僕としても非常に楽しめる内容だった。
人と違っていることで障害者にされる必要はない、だれのからだも違っているのだから。
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