オススメ度 ★★★★☆ 4/5
本書で一貫して主張しているのは「ウッフィーを増やす」ということである。「ウッフィー」とは何か。明確に本書でそれが定義されているわけではないが、「信頼」とか「安心」とか「尊敬」といった言葉で置き換えられそうなもの。
著者が言うのは、現在ほど、SNSが浸透している今、利益をあげようとするなら、「ユーザー数を増やす」「利益をあげる」「価格をあげる」とか、過去の慣習に従うのではなく、ウッフィーを増やすことこそその近道だと説くのである。
この考え方には僕自身非常に納得できるものがある。例えば映画を例にとってみても、映画館に足を運ぶ人の多くはCMで観た映像だけを頼りに決断して、実際に面白かったかどうかを知る手段はほとんどなかったが、インターネットが浸透した今では、映画を観終わった人がすぐにその感想を情報を発信してしまうのである。「クチコミ」の広まるスピードがインターネット以前と以後では何倍にもあがってしまったのである。
つまりそれは、言い換えるならインターネット以前の時代では「印象」だけで顧客を得ることのできていたものが、今は「内容」を伴わなければ不可能になったおいうことなのだ。
著者の体験をもとに、あらゆるウッフィーの増やし方と、自らの成功例、そして、いくつかのアメリカの企業を例にとってウッフィーを増やすことに成功した例や失敗した例を挙げている。どの例もとても興味深い。
またアメリカの企業のSNSに関する認知上は日本のそれよりはるかに進んでいることがわかる。日本にも速く追随して欲しいものだ。
さて、この「ウッフィーを増やす」という感覚。企業であれ個人であれ、その重要性を知っている人はすでにその何年も実践しているのだろう。そして、きっとその重要性を知らない人はいつまで経っても理解できないのだろう。結局それは人を信じるということに繋がってくるのだから。
なんにせよ、多くの企業がウッフィーの重要性を理解し、それを獲得することを第一に考え始めたら、すべてに人にとって過ごしやすい世界になるだろうと感じた。
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