オススメ度 ★★★★☆ 4/5
デザインがおかしいせいで、人の死につながったり、大きな事故を起こしたケースを紹介しながらデザインの重要性を説く。
序盤は、医療機器の操作方法がおかしくて大量の放射線を浴びて死に至った患者の話や、操縦席の計器の表示がわかりにくくて墜落した飛行機の話などデザインが生み出した悲劇を紹介している。
「医療機器や飛行機のデザインは僕らが扱っているデザインとは違う」などと他人事と思ってはいけない。中盤以降ではFacebookやLinkedInなどのUI /UXによって一生忘れないようなひどい体験をした人のエピソードを紹介している。
本書を読めば、デザイナーは自分の仕事の大切さと責任を再確認することだろう。そして、デザイナーでない人でも、クリエイティブな世界で生きる人間は自分の作り出すものがどのような結果をユーザーにもたらす可能性があるのか、その責任の大きさを改めて認識することだろう。
インターネットが普及したせいで、実際に傷ついている人を目にする機会は少なくなったが、それでも確実に、自分たちの作ったものはユーザーに使いにくく感じさせたり、疎外感を与えたりしているのである。迷った時は僕らは、実際にそのような対応を店のスタッフにされたら自分がどう感じるのか考えるべきだ。そう考えることによってエラーメッセージひとつとってもたくさん改善すべき箇所が見えてくるにちがいない。
デザイナーだけでなく、多くの人に読んで欲しいと思った。終盤で著者も語っているが「人はみなデザイナー」であり、声をあげ、行動することで世の中は使いやすいもので溢れ、過ごしやすくなっていくのである。
関連書籍
「Thinking Objects:Contemporary Approaches to Product Design」ティム・パーソンズ
「Articulating Design Decisions」キャロル・リギ
「User-Centered Design Stories」トムグリーバー
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【楽天ブックス】「悲劇的なデザイン」