「ジョブ理論」クレイトン・M・クリステンセン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
成功する企業になる為にはプロダクトではなくユーザーが解決しようとするジョブにフォーカスすべきだとして、その考え方を説明する。

まず、ジョブを見極める方法として次の5つの項目を挙げている

1.その人がなし遂げようとしている進歩は何か。
2.苦心している状況は何か。
3.進歩をなし遂げるのを阻む障害物は何か。
4.不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動をとっていないか。
5.その人にとって、よりよい解決策をもたらす品質の定義は何か、また、そん解決策のために引き換えにしてもいいと思うものは何か。

そして、未解決なジョブを見つけるための方法として次の5つを挙げている。

1.生活に身近なジョブを探す
2.無消費と競争する
3.間に合わせの対処術
4.できれば避けたいこと
5.意外な使われ方

これから何か新しい製品やサービスを考えようとしている人は参考にするといいだろう。ここまでがジョブの見つけ方や見極め方であるが、本書ではそれに加えて前後の文脈や、感情面へも配慮を怠らないことが大切としている。

また、ジョブについて説明する過程で、ジョブを解決した実例をいくつか紹介している。ウーバーやP&Gなど、すでに知っている企業の例もあれば、アメリカンガールや、マイヨークリニックなど本書を通じて初めて知った企業もあり、どれも興味深かった。アメリカンガールや、マイヨークリニックなどは日本で実現しても同じようにこれまで未解決のジョブを解決し成功を収めるのではないかと感じた。

ジョブを中心に製品を開発し企業も、その多くが一度製品を世の中に送り出すと、ジョブ中心の考え方からプロダクト中心の考え方に陥っていくのだという。後半では、その理由を大きく3つに分けて説明している

1.能動的データと受動的データの誤謬
2.見かけ上の成長の誤謬
3.確証データの誤謬

どれも言葉だけでは伝わりづらいが、能動的データと受動的データの誤謬とは、最初はジョブにフォーカスするという受動的なデータ、つまり今見えているデータをみてそれを解決する為に製品を考え始めたのに、製品を世の中に出すと、売り上げやユーザー数やユーザー属性など、製品を世の中に出したことによって得ることができた能動的なデータを改善することに意識を取られてしまうということである。見かけ上の成長の誤謬とは、既存顧客に製品をもっと売ろうとしてジョブへのフォーカスを失うことである。そして、確証データの誤謬とは、人間は自分がみたいと思うデータ以外を無視する傾向によって発生する事実誤認のことである。

どれも身に覚えのあることだけにしっかり意識して今後製品開発やサービスローンチに携わっていきたいと思った。そのほかにも、セオドア・レビットやピーター・ドラッカーの有名な言葉をたびたび引用している

人は刃の直径が4分の1のドリルが欲しいのではない。4分の1の穴が欲しいのだ。
企業が売れると思ったものを顧客が購入することはめったにない。

また、最後でジョブを嗜好やほかのものと混在しないように指摘をしている。

同種のプロダクトでしか解決できないのならそれはジョブではない。

「理論」というだけあって、様々な状況に適用できるように考えて構成していることがわかる。本書に書かれている内容をしっかり理解して、実戦で活かせるように身につけておきたいと思った。

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「イノベーションへの解 利益ある成長に向けて 」クレイトン・クリステンセン/マイケル・レイナー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
企業が破壊的イノベーションへ対抗するための方法を語る。
まず、持続的イノベーションと破壊的イノベーションという言葉を用い、ソニーやアップルが行ってきたイノベーションを説明し、相互依存型アーキテクチャとモジュール型アーキテクチャという言葉で、企業が作る商品を説明している。世の中の多くの企業の栄枯盛衰が、この考え方で説明できる点が面白いが、実際にはこのあたりの内容は「イノベーションのジレンマ」に含まれる部分なのだろう。
中盤以降は、そんな今までわかってても避け方のわからなかった、破壊的イノベーションを避けるために、持続的イノベーションの状態にある企業はどのような取り組みをすべきなのかを語っている。
とてもすべてが理解できたとは言い難いが、世の中の流れについて新たな視点をもたらしてくれる。
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「教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に改革する」クレイトン・クリステンセン/マイケル・ホーン/カーティス・ジョンソン

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
破壊的イノベーションの説明を用いて、教育がいつまでたっても進歩しない理由と、教育の今後の進化すべき方向性を語る。
印象的だったのは教育のモジュール化という考え方である。現在の教育はすべて、それ以前の学んだことが理解できていないと、その次の内容を理解できない仕組みになっており、それが問題だというのである。例えば、足し算、掛け算を理解していないとその先にある、分数の計算が理解できないために、すべての生徒が同じ順番で学んでいかなければならないために教育を非効率にしているのだという。つまり、教育のプログラムは相互依存性が強いのだ。
そんななか解決策として本書が主張しているのは、教育をモジュール化し、1人1人が独立したコースを自由に履修し、必要な時間をかけて理解するという方法である。それによって全員が同じ授業を受ける必要もなく、全員が同じ内容に同じだけ時間をかける必要もないというのである。確かに、以前であればそもそも「先生の数が足りなくて実現できない。」で終わっていしまったであろう話が、現在であればインターネットを使うことで実現できそうな気がする。
教育の発展だけでなく、経済的なイノベーションの考え方を用いて教育界を語っている点が面白い。
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