オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
上野で生きるホームレスを描く。
特に大きな山場はない。上野の公園を根城にしながら、若き日のことを思い返す1人のホームレスの心を描いたいる。。福島から、家族のために出稼ぎに東京に来てお金を送るという生活をしてきた。やがて、家族が1人ずつ先立ち、東京で一人で暮らすことにしたのである。
家族や子供に先立たれるのは悲しいのは当たり前だが、そんななか特に悲しいと感じたのは、妻の節子の亡くなるシーンだろう。近くにいるひとには常に感謝の気持ちを伝えたいと思った。
そんな苦労と不幸の果てに行き着いたホームレスという存在に、社会や政府は容赦ない仕打ちを与えていくのである。天皇やオリンピックとい存在を優先されるさまは、世の中の構造の歪みを感じさせる。
僕らが普段、あまり意識することのないホームレスの生き方を描いた作品。誰もが最初からホームレスだったわけではなく、それぞれの人生の最後にそこにたどり着いたのだと気づかせてくれる。
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