「「書」を書く愉しみ」武田双雲

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
書道家である著者が「書」について語る。
コンピューターが世の中に浸透し、文字を書く機会は本当に少なくなった。そのせいか、文字を書く事が嫌いな人は多い。実際、自分の書く文字が嫌いな人も多いという。僕自身もそんな一人で、特に字が汚いわけでもなく、むしろ「字がキレイ」と言われる事のほうが多いのだが、どうしても自分の書く字が好きになれない。本書はそんな人に、字に対して新しい考え方を与えてくれるだろう。
字がうまくなる方法として「下手な字競争」を紹介している。その名のとおり下手な字を書こうと努めるのだが、どうやったら下手に見えるか、という視点に立って字を眺める事に良って、より深い考察をすることができるという。また、お手本通りに書くという学校での書道の授業に異を唱えている。なぜなら同じ人物が書いたとしても二度と同じ文字は書けないのだそうだ。
その他にも中国や日本の歴史的な書を紹介している。有名な書のなかにも読みやすいものもあれば読みにくいものもあり、そこから伝わってくるのは、文字に正解はないということ。服装や姿勢や髪型などと同じように、文字もその人の個性を表すものなのだろう。
改めて文字というものと向き合ってみたくさせてくれる一冊。
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