オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
いつから「デパート」という言葉を耳にしなくなったのだろう。いつから「デパート」という言葉は古くさい響きを持つようになったのだろう。本書の登場人物の一人である加治川(かじかわ)も幼い頃のデパートの思い出を持つ一人。大人になった今娘をデパートに誘うが、「ダサい」と一蹴され、それでも良き日の思い出を捨てきれずに深夜のデパートにやって来たのである。同じように複雑な事情を抱えた人々がデパートに集ってひと騒動繰り広げるのである。
かつては街を見下ろせたデパートの屋上は、いつのまにかオフィスビルに見下ろされるようになり、自殺を防止のためにフェンスが張り巡らされて眺めを楽しめる場所ではなくなった。物語中に散りばめられているそんな現代のデパート事情が興味深い。
物語としては登場人物が多いのとめまぐるしく変わる視点や舞台にやや追いつかない部分もあったが雰囲気が楽しむ分には問題ないだろう。喜劇として作られているとはいえやや作られすぎたエピソードや人間関係に抵抗を感じた。それでも幼い頃両親や友人と行ったデパートにもう一度足を運びたいと思わせる内容である。
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カテゴリー: しんぽゆういち
「アマルフィ」真保裕一
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
イタリアで9歳の少女が誘拐された。身代金の受け渡し場所として指定されたのはアマルフィ。外交官の黒田(くろだ)は邦人保護として少女の母親に付き添うこととなる。
数年前に豪華キャストで映画化された作品。著者真保裕一のファンとしてその物語を味わいたいという思いからあえて映画は見ずに本作品に触れることとなった。
物語は真保裕一作品のなかでは珍しく海外、イタリアを舞台としている。外交官の黒田(くろだ)目線で物語を展開させることにより、日本とイタリアとの文化の違いがところどころに描かれる。また、外交官視点により、「滞在先での自国民の保護」という役割を担いながらも、現実にそのとおりにできない事情が見えてくる。
普段の真保裕一作品のような深みや物語の訴えたいテーマのようなものが見えてこない。最終的に世界の紛争に結びついているとは言え、どうも跡付け感が漂ってしまう。後記によると、どうやら本書は映画のプロットを小説化したもので、小説が先にあってそれが認められて映画化されたものではないということである。
残念ながらもともとの真保裕一ファンにとっては期待に沿える内容とは言えないだろう。
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「追伸」真保裕一
オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
ギリシアに滞在している山上悟と日本にいる奈美子の手紙のやりとりで構成される物語。本作品に手紙の内容以外の要素は一切ない。作者である真保裕一の一つの挑戦的な作品である。
2人の何往復にもわたる手紙のやりとりによって少しずつ2人の置かれた状況や、その家族、周囲の人との関係までもが明らかになっていく。きっと、小説を書いた経験のある人や、実際に小説家として生きている人にとってはそれなりにその技法に読み応えを感じるのだろう。しかし、ただ単に読者として普段物語を楽しんでいる僕は物足りなさを感じた。
とはいえ、携帯電話やメールやインスタントメッセンジャーなど、多くの気軽なコミュニケーション手段が日常の中に取り入れられている昨今において、手紙というものの存在意義のようなものを感じるきっかけにはなった。
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「栄光なき凱旋」真保裕一
オススメ度 ★★★★★ 5/5
第二次世界大戦中のアメリカ側から描いた物語。アメリカに住む日系二世の3人の若者に焦点を当てている。
物語はアメリカから見た太平洋戦争であるが、三人の日系2世、しかもいずれも日本で生活した経験を持ち、多少なりとも日本語を話せる青年に焦点をあてているからこそ、今までと違った角度で改めて太平洋戦争を見ることができる。
ヘンリー・カワバタとジロー・モリタは幼馴染でともにリトル・トーキョーに住みながら、白人から受ける日系人の差別に苦しむ。一方、マット・フジワラはハワイで生活し白人の女性を恋人に持ちながらも、日本の真珠湾攻撃で彼らの生活は大きく変わっていく。
僕らが第二次世界大戦を振り返るとき、その印象は、日本は愚かな突撃を繰り返し、アメリカはそれを緻密な戦略で対応したというものであるが、本作品を見て改めて理解できたのは、戦争は勝とうが負けようが愚かな行為でしかなく、それは多くの不条理な死によって構成されるという事実である。
アメリカで過ごす日系人の目を通して、アメリカで起こっている多くの人種差別を理解することになるだろう。以上に迫害されていた黒人たちもいたという。主張するように黒人席へ座り「ぜんぜん汚くない」と主張する日系人の姿が印象的だ。こんな人が実際にいたなら誇るべきことなのだろう。
終盤のヘンリーが戦場で戦うシーンは、小説という媒体でありながらも、活字を追うことで脳裏にそのシーンがリアルに浮かんでくる、そして戦場の、不条理さ、無意味さ、愚かさ、そういったものを感じずにはいられない。少しずつ壊れていく自分の心を意識しながら、それまで信じていなかった神に訴えるシーンが強烈である。
3人の強く信念を持っていきている立派な日系人が、戦争という大きな力の前で、自分に無力さに失望し、自分の醜さを知り、それでもそんな自分自身と向き合って自分なりの答えを出そうとする生きかたは誰もが感銘を受けるだろう。
すでにいくつかの作品で栄光をつかんだであろう著者、真保裕一が描きたかった作品の一つなのだろう。その詳細な描写からそんな心構えが伝わってくる。
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「真夜中の神話」真保裕一
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
主人公の栂原晃子(つがはらあきこ)は研究のためインドネシアに赴くが、その途中で飛行機の墜落事故に遭う。カリマンタンの山奥で瀕死の彼女を救ってくれたのは、文明から距離を置いて生活する人々と、歌声でコウモリを操る少女であった。
国内の問題や、発展途上国との格差からくる国際問題などを鋭く描く、真保裕一であるが、今回の作品はは吸血鬼伝説に始まり、他の作品とはやや異なる印象を受けた。
それでも、魔女狩りや世界各地にある伝説や逸話を、過去の歴史や宗教科学的な根拠と結びつけて説明していく展開は非常に面白い。吸血鬼がなぜ、人の血を好み、太陽の光に弱いとされるのか、など、多くの伝説は人々の不安が作り出した必然的産物だったのではないかと考えさせてくれる。
インドネシアを舞台としているため、真保裕一の他の作品で、ベトナムを舞台とした「黄金の島」やフィリピンを舞台とした「取引」のように、発展途上国からみる先進国への妬みや、自国の未熟な社会秩序への諦めなどがリアルに描かれることを期待したが、本作品ではわずかな描写にとどまっていた。
そして、各地に広まる宗教と、宗教によっておきる紛争や社会問題に触れる。
見方を変えれば、宗教を必要としない日本人は恵まれているともいえるのだろう。
物語自体は、最後までカリマンタン島の少女の不思議な力とそれに関わる人々に焦点をあてて進められていった。
真保裕一らしく、しっかりとした下調べの上で物語を展開していることはわかるのだが、やはり、彼の長所は社会問題や国際問題を独自の視点で物語にと取り入れる手法であり、そういう意味では、本作品は最終的にどこにでもありそうな物語という形でまとまっており、物足りなさを覚えた。
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「黄金の島」真保裕一
オススメ度 ★★★★★ 5/5
5年ぶり2回目の読了。真保裕一の作品の中で最も好きな作品である。暴力団幹部の恨みを買った坂口修二(さかぐちしゅうじ)はタイへと身を潜める。その後ベトナムへと場所を移し、日本へ行くことを夢を見る若者達と出会う。
日本を目指すというゆるぎない目標を持つ、ベトナムの若者達の言葉に、何度心を動かされたことだろう。ところが教育水準は低く彼等は日本の正確な位置も知らないのだ。
わずかな稼ぎではあるが男性はその腕力や体力を駆使してお金を稼ぐことができる。しかし、力もなく、満足な教育も受けていないベトナムの女性は、体を売る以外にまとまったお金を手に入れる手段は無い。
物語の過程でベトナムという国の実態を知る。そこは警察や公安さえも信用できない世の中で、日本に住む僕等には想像することさえ難しい世界、一体そんな社会の中で、困ったときに一体誰に助けを求めればいいのだろう。民主主義が機能した日本という国に生まれたことを安堵する自分がいる。
また、ベトナムの老人の言葉からはベトナムという国の歩んできた複雑な歴史が垣間見え、その歴史的背景にも興味を抱いた。
僕等は日本に生まれた幸福をほとんど意識せずに過ごしている。そして、この本を読まなければ、そんなこと一生考えずに生きられたのかもしれない。しかし、そうでなくてよかったと思う。なぜなら、僕は「経済大国に生まれただけの何の努力もしない人間」ではないのだから。
「ストロボ」真保裕一
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
今回で二回目の読了である。50歳を迎えた写真家喜多川光司(きたがわこうじ)は今、人生の転機となった過去を振り返る。愛し合った女性カメラマンを失った42歳、昔の師と再会した37歳、病床の少女の撮影を思い出した31歳、若かった学生時代の22歳と時代を遡って行く。
一人の写真家の人生の光と影を強烈なまでに見せられた。写真家としてのキャリアや名声と手にする一方で失われていく情熱。刺激よりもお金を優先する仕事を受けて葛藤する姿。人生を送る上で得るものと失うものがあることがリアルに描かれている。そうやって割り切らなければ長いこと同じ業界では仕事を続けていくことはできないのだろう。
仕事だけではなく、プライベートにおいても長い間生活を共にすることで夫婦間が冷え込む様子が描かれる。
あらゆる面で納得のいく人生を送ることはやはり難しいことなのだろう。
小さな偶然がその後の人生を大きく変えることもある。そして若い頃の過ちを清算することもできずにずっと心の奥に背負っていかなければならないこともある。僕自身、身に覚えのあることばかりである。
そして物語中では主人公の喜多川(きたがわ)だけでなく彼に関わった多くの人達の生き方もまたしっかりと描かれている。そしてその生き方もまた小さな出来事に大きく左右され揺れ動いて進んでいくのである。
そんな人生を強烈に見せられて、結局人生やみくもに今目の前にある道を信じて進むしかないのだと感じた。というよりも実際にそうやって手抜きせずに自分の人生と向き合うことがもっとも大切なことなのだろう。大きな転機や出会いは一生懸命人生を生きていれば自然と付いてくるものなのだ。
人生を考える上でいいきっかけを与えてくれる一冊である。
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「繋がれた明日」真保裕一
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
中道隆太(なかみちりゅうた)は19歳のときに喧嘩の弾みで人をナイフで刺して殺してしまった。そして6年後に仮釈放を迎え、その後の隆太(りゅうた)の社会への復帰の様子や人間関係などを含め、刑期を終える日までを描く。
罪を償ったはずの犯罪者の一つの生き方という、今までまったく縁のなかった世界が描かれている。そこには思っている以上に様々な障害があるのだ。「人殺し」であるがゆえに社会から誤解を受け、差別され、遺族からは恨みを買う。若干誇張があるのかもしれないが、現実に似たようなことは少なからず存在するのだろう。
「罪を償った」とする以上。「犯罪者」というだけで仕事に就けなかったり世間から奇異の目で見られることはあってはならないことなのだろう。とはいえ法律だけでは対応できないことも世の中にはたくさんあるのだ。物語中でも「人殺し」である隆太(りゅうた)と接する人々の反応は実に様々なものだ。
もし友達から「実は昔人を殺したことがあるのだ」などといわれたら、僕にはどんな反応ができるのだろう。とつい自分に置き換えて考えてしまう。しかし、そこに答えはない。少なくとも向かい合って偏見を持たずに話を聞き、しっかりと自分の意見を発することができるような人間でありたい。
物語中で隆太(りゅうた)は罪を償ってもなお、自分を犯罪者にしたきっかけを作った被害者への恨みを捨てきれずにいることで葛藤する。殺人は時として、被害者にも加害者にも「恨み」を残すのだと知った。
そして現在の日本の制度についても問題点を投げかけてくる。被害者の家族に出所日を通知するのが最良の選択なのか。無期懲役の判決を受けても20年以上勤め上げれば仮釈放されるのがいいことなのか悪いことなのか。縁のない世界だからといっていつ自分の身に降りかかるかわからない。いつまでも無関心ではいるわけには行かないようだ。
物語全体としては、隆太(りゅうた)の心情を表すシーンが非常にリアルで、読者は否応なく隆太(りゅうた)に感情移入させられていくだろう。ただ、殺人者とそれに対する偏見、差別、それゆえに起きる誤解、それらを題材に物語の大部分が展開していくため大きく心動かされるシーンは残念ながらなく、同じような展開ばかりで若干しつこい感じを受けた。この内容であればもう少しコンパクトにまとめられたように思う。もっと大きな展開があればこの厚さでもテンポ良く読み進められる作品に仕上がっていたのではないだろうか。
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「誘拐の果実」真保裕一
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
都内で大病院の孫娘、17歳の辻倉恵美(つじくらえみ)が誘拐された。犯人の要求は入院患者、永淵孝治(ながぶちたかはる)という患者の命である。一方、神奈川県内では書店の息子で19歳の工藤巧(くどうたくみ)が誘拐された。こちらの犯人の要求は七千万円分の株券である。
別の場所で起こった二つの誘拐事件が、それに取り組む刑事たちの努力の末に次第に共通点が見えてくる。
物語全体としては、誘拐を起こした犯人たちの意図や家庭環境が複雑で感情移入できない箇所も多い。それでも「自分を許せない」というような、今では多くの人が忘れかけている純粋な気持ちを思い出させてくれる話ではある。作者の多くのアイデアが詰まった作品であるというのは感じるが、それが効果的に物語りに取り入れられたとは言いがたく、一般的な刑事物語の範囲を出るものではないと感じた。
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「発火点」真保裕一
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
杉本敦也(すぎもとあつや)は12歳の夏、父親を殺された。以来、何をやっているときも、常に周囲からの奇異の視線を感じてしまう。そして、21歳になった今、多くの経験を経て、12歳の夏に一体何があったのか、なぜ父は友人に殺されたのか、9年前の真実に目を向けようとする。
物語は敦也(あつや)の一人称で綴られるため良くも悪くも敦也(あつや)の物の考え方が多く描かれている。大人になりきれない21歳の敦也(あつや)の心がよく見える。
敦也(あつや)は12歳の夏から「父を殺された少年」だったことで複雑な思いを抱き続けていたのである。
敦也(あつや)の自分勝手な考え方に、身に覚えを感じてしまう。数年前の自分と重ねてしまうからだろうか。
物語は犯罪者と被害者の人権の問題へも触れることとなる。ジャーナリストとして敦也(あつや)と接点を持った武藤(むとう)は敦也にこう語る。
また僕の中に、答えの出ていない問題が出来上がったような気がした。
この物語自体は真保裕一としての新たな試みだったようで、すべてが敦也(あつや)の回想シーンとして描かれているため、話の展開が遅く、特に真実を求め始めるまでが長すぎて間延びする感がある。また、21歳の青年の回想としては感想などがあまりにも大人びているような印象も受けるが、作者の視点から敦也(あつや)の気持ちを描いてしまうためなのだろう。内容としてはページ数のわりに薄い印象を受けた。
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「ダイスをころがせ」真保裕一
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
駒井健一郎(こまいけんいちろう)34歳は職を失い、ハローワークで職を探していた。そんな折、高校時代の友人、天知達彦(あまちたつひこ)と出会った。達彦(たつひこ)は次の衆議院選挙に立候補するから手伝ってほしいと告げる。度重なる説得の末、健一郎は第二の人生を選挙戦へと注ぎ込むこととなる。
真保裕一は好きな作家とはいえ、堅苦しい政治の話だと思って、この本を手に取るまで時間がかかった。なぜなら、僕にとっては自民党にも民主党にも大した違いは見えないし、今の政治に満足しているわけでは決してないが、興味を注いで動向を見つめるほどでもないからだ。そんな僕には達彦(たつひこ)が健一郎(けんいちろう)を説得するために語った言葉は耳が痛い言葉ばかりだ。
「投票に行け」とか、「政治を駄目にしているのは国民だ」などと頭ごなしに言われればつい反論したくなるが、この本を読み進めていくうちに「国民の政治への無関心さ」を良くないことだと素直に受け入れざるを得なくなる。
また、今まで見えなかった選挙というものの裏側がリアルに伝わってくるとともに。政治を腐敗させる原因が選挙制度の中にもあるということを教えてくれる。
しかし、達彦(たつひこ)はこう語る
達彦(たつひこ)が語った政治論は「理想」であり「現実」とは程遠い考え方なのかもしれない。そして理想だけでは政治家であり続けることができず、政治家でなくなればなにも実現できない。そんな葛藤が現実にはあるのだろう。しかし政治家には「理想」と「絶対に譲れない線」は持ち続けて欲しいと思った。
そして達彦(たつひこ)はこうも語る。
本当に耳が痛い・・
なにより僕を刺激してくれたのは健一郎とその仲間たちの仲間を支えようという想いである。情熱を注ぐものさえ見つければ、何歳になっても熱い感動を味わうことができるということだ。眠る時間も惜しんで情熱を注げるもの。そんなものをまた見つけたくなった。
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「ボーダーライン」真保裕一
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ロサンゼルスの日系企業で働く探偵のサム永岡(ながおか)は、一人の日本人の若者を安田真吾(やすだしんご)を探すように依頼を受ける。安田を探すウチに彼の冷酷な性格が見えてくる。という話。
人はどうやって人間性を形成するのか。人や動物や虫どの命の尊さを生きているどの過程で知るのか。そして、生まれつきの犯罪者などいるのか。そんな周囲の環境が与える人の性格の難しさを考えさせてくれる。永岡が真吾の父親の英明(ひであき) に語るシーンは印象的である。
一人暮らしで、人を部屋にいれたがらない僕には勇気の出るメッセージ。この本を読んで、僕は自分と向き合える中身のある人間だ。そう思えるようになった。
【Amazon.co.jp】「ボーダーライン」