「あなたの中のリーダーへ」西水美恵子

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
世界銀行副総裁として途上国の貧困と闘う著者が、これまでの経験を語る。
著者の人生を変えた瞬間を語った冒頭の章がもっとも印象的である。パキスタンの離村にホームステイに行った時の経験だそうだ。

「くる日もくる日も、同じことの繰り返し。気が狂ってしまうかと思う時さえある。

これは人間が営む生活ではない。動物のように、ただ体を動かしているだけ……

夢はただひとつ。

子供達が教育を受けて、こんな生活を繰り返さないように。けれど、それさえかなわない。

自分が病気になったら皆飢え死にする。

それが恐ろしい……」



あのとき、本気にスイッチが入ったのだと思う。自分という洋服を、それまで裏返しに着ていたようなあの感触は、今でも体に残っている。

人の人生を変えるきっかけはいろんな世界を見る努力を続けなていないと訪れないのだと改めて思った。その他にも、日本という枠にとらわれることなく活動する著者の視点からの新鮮な言葉や経験で溢れている。また、本書では何度もブータンについて触れられており、著者自身ブータンという国に非常に魅力を感じているのが伝わってくる。

何をすべきかではなく、すべきことをどう捉えるか。この違いが、組織を動かし、社会を変え、人の命さえをも救う……

自分の使命をしっかり意識してそれに向かって生きる姿が羨ましい。引き続き著者西水美恵子氏の他の本も読んでみたいと思った。

読みたくなった本

・「日本でいちばん大切にしたい会社」

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