「Messgenger of Truth」Jacqueline Winspear

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
展覧会の準備中に組み立ててあった足場から落ちて亡くなった期待の芸術家Nick。双子の姉であるGeorginaがその死に他殺の疑いを抱いて、Maisieに調査を依頼する。
Maisie Dobbsシリーズの第4弾。探偵物語というだけではもはやありふれたものになってしまうだろう今、本シリーズは戦争の悲惨さをその物語のなかで常に訴える点が面白い。本作品はある芸術家Nickの死の謎を解くことが調査の目的であるが、彼は戦争から戻ってきた後にその悲惨な体験を絵に描くことで芸術家として開花する事となったし、依頼主でありNickの双子の姉であるGeorginaは文章を描くことに才能を持ち、戦争を描写することで評価をあげたのだった。また、NickとGeorginaの姉であるNollyも夫を戦争で失っているという過去を持つ。そして、Maisieが少しずつ真実に近づいていくに従って、各々が戦時中に受けたつらい経験や過去、知りたくなかった出来事が見えてくる事になる。
また、調査だけでなくMaisieのアシスタントのBillyの生活や、Maisieに想いを寄せる医者Andrew Deneとの関係にも変化が起きる。心に傷を抱えながらもそれぞれが少しずつ人生を歩んでいく様子が印象的である。また、一方で、ドイツでヒトラーが勢いを増しているという。今後どのように展開していくのだろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。