「翻訳の基本 原文通り日本語に」宮脇孝雄

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
翻訳家である著者が、翻訳者の間違えやすい英語表現、文や、翻訳者がやってしまいがちなことについて語る。

英語の本を読んでいるとたまに意味のとれない文章や表現に出会う。自分一人で読んでいる場合は、物語全体の流れに差し支えない限り特に問題はないのだが、翻訳をするとなるとそうも行かないだろう。本書を読んで最初に驚いたのが、プロである翻訳者もそこらじゅうで間違った訳をしてそれが売り物として世に出回っているのである。

序盤は翻訳者が陥りがちなよくない翻訳傾向について語っている。例えばやたらとカタカナ言葉を翻訳に使ってしまう訳。外来語がカタカナとして定着してきてはいるが、どこまでそれを用いるのかが難しいのだという。例えば現代ではすでに「wine」は「葡萄酒」ではなく「ワイン」と訳した方が通じやすいだろうが、「店がオープンした」とか「道がカーブしている」あたりから翻訳者としては許容できなくなってくるそうだ。この辺の感覚はまた何年か経つと変わっている事だろう。

中盤からは英語のなかの間違えやすい表現について紹介している。例えば

「midnight」などは僕ら日本人は「真夜中」と訳しがちがだ、僕自信は「真夜中」というと夜中の12時から3時ぐらいをさすような印象を持っているが、英語の「真夜中」は「深夜12時」のことなのだという。またイギリスの駅のシーンで「entrance」を「改札」と訳すのも間違いだそうだ。なぜならイギリスの駅には改札がないから、だとか。
読めば読むほど、もはや翻訳は英語力ではなく文化に対する知識と言う気がしてくる。また、海外の作家の本は出来る限り英語で読もうと本書を読んで決意させられた。
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