「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
2006年本屋大賞受賞作品。子供の頃わずか3年だけ一緒に住んだオトンとオカンとボクの3人の人生を描く。

著者自身の家族の物語、ボクの幼い頃から、やりたいことが見つからずにダラダラと過ごす学生時代など、その成長を描く。そんななか繰り返し描かれるのは、父と母、つまりオトンとオカンとの関係である。早いうちからオトンとオカンは別居することとなり、ボクはオトンとの連絡はとり続けながらもオカンとともに生活する。

やりたいことが定まらないまま、東京に出て美大に進むことを選び、なかなか勉学に集中できないにも関わらず友人に囲まれて日々を過ごす様子が描かれる。ボクを中心とした出来事だけではなく、当時起こった記憶に残る出来事が描かれているので世代が重なっている人は楽しめることだろう。

先日読んだ「錨を上げよ」に似ているなと感じた。この高度経済成長期に子供時代を過ごした人々が40代、50代になってあくせく働く時代を過ぎて、経済的に安定期に突入して、ちょっと人生を振り返って自分の体験を物語にしてみよう、と思うタイミングなのかもしれない。したがって、似たような本を読んだばかりのせいかあまり本屋大賞受賞作品というほど強い印象は感じなかった。読むタイミングが異なればまた違った印象を受けたかもしれない。ダラダラ生きてきた人生もつまらなくはないが、むしろしっかり生きてきた人の人生にもっと触れてみたいと感じた。

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投稿者: masatos7

都内でUI / UXデザイナー。ロゴデザイナーをしています。

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