「異文化理解力」エリン・メイヤー


オススメ度 ★★★★☆ 4/5
異文化に対する取り組み方を語る。

先日読んだ「NO RULES: 世界一「自由」な会社、NETFLIX 」において、著者が異文化理解力の考えに触れており、もっと深く知りたいと思った本書を手に取った。

本書の冒頭でも語っているように、「気が利く」という存在は「文化」に依存しする。つまり、ある文化で「気が利く」人間やふるまいが、他の文化ではまったく異なる存在として受け取られることがありえるということである。つまり、グローバルビジネスの機会が増えるに従って、異文化を理解する能力へのニーズが高まっっているのである。

本書ではそんな文化の違いを理解する鍵を、8つの指標に基づいて例を交えながら説明している。

  • コミュニケーション(ローコンテキストかハイコンテキスト、)
  • 評価(直接的なネガティブフィードバックか間接的なネガティブフィードバック)
  • 説得(原理優先か応用優先か)
  • リード(平等主義か階層主義か)
  • 決断(合意志向かトップダウン式)
  • 信頼(タスクベースか関係ベースか)
  • 見解の相違(対立型か対立回避型か)
  • スケジュール(直接的な時間か柔軟な時間か)

よく日本人は「空気を読む」とか、海外では発言しないと誰も聞いてくれない、と聞くが、それは「コミュニケーション」にあたる部分で、文化の違いとは上にあるようにコミュニケーションだけが原因ではない。例えば同じハイコンテキストなコミュニケーションスタイルを持つ中国人と日本人は、すべてにおいてうまくいくわけではない。なぜなら決断方法も異なるからである。中国はトップダウン式に決断し、日本は合意による決断をする傾向があるのである。

本書では8つの指標を様々な例や実体験を交えて説明し、さらにその違いに対する対処方法まで紹介している。

ちなみに、この指標はその国民のすべてを一つの型にはめるものではなくあくまでも傾向を捉えるためのもので、同じ国民の中にもそれぞれ個性があり違いがあることを否定しているわけではない。どんな傾向があるかを知り、事前に心構えを持つことによって不必要な行き違いをを少なくすることができるのである。

日本とその他の国の差だけでなく、日本全体の傾向や、日本の職場で自分が居心地が悪いと感じる時の理由にも気づくことができた。僕自身は信頼をよりタスクベースで作る傾向があり、日本人全体はより関係ベースなのだと気づいた。だから自分は飲み会や歓迎会など不必要だと思う一方、多くの人が今でもそのような会の催しにこだわり続けるのだろう。

これから少しずつグローバルな関わりが増える中で、相手の文化によってある程度の心構えを持つことだけでなく、どんな文化出身の上司や同僚の言動にも戸惑わないで受け止められることが大事だと感じた。常に手元に置いておきたいと思った。

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投稿者: masatos7

都内でUI / UXデザイナー。ロゴデザイナーをしています。

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