オススメ度 ★★★★☆ 4/5
メルボルンに交換留学生として訪れたレイは、同じくメルボルンに滞在していた日本人ブーは期間限定の恋に落ちる。
先日読んだ「お探し物は図書室まで」の物語のやさしさと深みのバランスの見事さに魅了されて、著者の作品をすべて読んでみたいと思い本書にたどり着いた。
5編から成る短編集という形をとっているが、少しずつ物語に繋がりがあり、常に物語中の画家が描いたエスキースが存在している。そして、アートに関心を持ちながら生きていく人々の人生の様子が見える。
そんななかでも印象的だったのが、額縁工房の青年を扱った第二章である。額縁という絵画においてはサポート役の存在の大きさに目を向けてくれる。額縁を作る人たちが、絵に対して合う額を選ぶことを結婚と表現するところが面白い。
心を込めて取り組ませていただくよ完璧な結婚となるように
必ずしも若い男女だけに焦点をあてているわけでもなく、中年や晩年の人たちの迷いながらも信念を持った生き方を見せてくれる。そして、合わせて美術のすばらしさと言葉の美しさを感じられるだろう。
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