「ロードス島攻防記」塩野七生

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
イスラム世界に対してキリスト教世界の最前線にあたるロードス島。1522年オスマントルコのスレイマン1世は聖ヨハネ騎士団を相手にロードス島攻略を開始する。
先日観光にいってきたトルコという国に興味を持ったため本書を読み始めたのだが、読み始めてみると自分の無知さに驚かされる。十字軍、オスマントルコ、神聖ローマ帝国などなど、いずれも世界史で聞きかじったことなある内容ではあるものの、それがなんで、どういう理由で行われ、結果どうなったかをまったく知らないのである。
物語の焦点がトルコとロードス島の戦いであるから、当時の防衛の技術、地雷や大砲といった戦争の技術から、それぞれの軍隊の国民やそこで話される言語など、当時の生活の様子や人々の考え方も含めて、わずかではあるがいろいろなものが伝わってくる。
どうしても歴史について知識を得ようとして本を読み始めると退屈だったり、物語を読むと極端な展開に辟易したりするが、本書は知識を退屈しない程度に楽しみながら得たい、という読者にはぴったりである。著者「塩野七生」という名を実は何度か目にしたことがあって実際その作品を読んだのは今回が初めてだったのだが、こういうスタイルで多くの歴史的事実について書いているのであればぜひもっとたくさん読んでみたいと思った。

聖ヨハネ騎士団
11世紀に起源を持つ宗教騎士団。テンプル騎士団、ドイツ騎士団と共に、中世ヨーロッパの三大騎士修道会の1つに数えられる。本来は聖地巡礼に訪れたキリスト教徒の保護を任務としたが、聖地防衛の主力として活躍した。ホスピタル騎士団(Knights Hospitaller)ともいい、本拠地を移すに従ってロードス騎士団、マルタ騎士団とも呼ばれるようになった。(Wikipedia「聖ヨハネ騎士団」)
十字軍
中世に西ヨーロッパのキリスト教、主にカトリック教会の諸国が、聖地エルサレムをイスラム教諸国から奪還することを目的に派遣した遠征軍のことである。(Wikipedia「十字軍」)

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